クリアル<2998> 個人投資家向け不動産クラウドファンディング商品拡大を起点に成長を目指す

2022/05/09

個人投資家と機関投資家向けにITを活用した不動産運用プラットフォームを提供
個人投資家向け不動産クラウドファンディング商品拡大を起点に成長を目指す

業種: 不動産業
アナリスト: 鎌田 良彦

◆ 個人投資家と機関投資家向けに不動産運用プラットフォームを提供
クリアル(以下、同社)グループは、同社と子会社3社からなり、不動産運用業務にITを活用して、不動産クラウドファンディング等の個人投資家向けサービスから、不動産ファンド運用等の機関投資家向けサービスまでを扱う、不動産運用のプラットフォーム事業を展開している。

同社グループの事業セグメントは、資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるが、提供するサービスを①個人投資家向けにオンラインで不動産クラウドファンディング商品への投資サービスを提供するCREAL、②個人投資家向けにワンルームマンションへの投資サービスを提供するCREAL Partners、③機関投資家及び超富裕層向けに不動産ファンドの運用等の不動産投資サービスを提供するCREAL Proの3つに分け、売上高を開示している(図表1)。

21/3期の売上高は、CREALが1,705百万円(売上構成比23.9%)、CREAL Partnersが3,830百万円(同53.6%)、CREAL Proが1,605百万円(同22.5%)だったが、22/3期第3四半期累計期間では、CREALが4,626百万円(同52.4%)、CREAL Partnersが2,994百万円(同33.9%)、CREAL Proが1,208百万円(同13.7%)となっており、CREALが高い伸びを示している。

◆ CREAL
CREALは、個人投資家が1口1万円から不動産への投資ができる、不動産クラウドファンディング商品をオンライン上で提供するサービスである。不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法に基づき、事業主が複数の投資家から資金を集めて不動産売買や賃貸等の取引を行い、その収益を投資家に分配する不動産特定共同事業として行われている。

運用期間は4カ月~2年程度で、予め設定した想定利回り(足元の案件では年率4~5%程度)に基づき、物件運用時の賃貸収入と、物件売却時の売却益の一部を個人投資家に分配金として支払う。投資対象は、ワンルームマンション等の住宅から保育園、ホテル等多岐に亘る。

物件の取得・運用は匿名組合を通じて行われるが、個人投資家が優先出資者、同社が劣後出資者として5%程度の出資を行うため、ファンドの損失が劣後出資の範囲内であれば、個人投資家は損失を回避することができる。

不動産クラウドファンディングは、17年の不動産特定事業法改正により、インターネットを使って顧客の勧誘が可能になったことからサービスが立ち上がり、同社は18年11月にCREALのサービスを開始した。CREALは、優先・劣後スキームの採用で不動産投資のリスクを軽減し、年率4~5%のリターンが得られることから急速に拡大し、21年12月末の登録会員数は25,994人、累計調達額は128.5億円に達している(図表2)。

21年12月末で、累計52ファンドを組成し、うち37ファンドが償還済みとなっているが、いずれも元本割れ・配当遅延はなく、想定利回りの配当を完了している。

◆ CREAL Partners
CREAL Partnersは、個人投資家向けに、主に東京都心部の中古ワンルームマンションでの資産運用を提供するサービスである。子会社のクリアルパートナーズが案件を仕入れ、投資家に販売している。

投資金額は1,000万円以上で、実際には2,000~2,500万円程度の案件の販売が多い。投資期間は5年以上となる。投資家はローンで資金調達をしてワンルームマンションに投資する場合が多い。

◆ CREAL Pro
CREAL Proは、機関投資家及び超富裕層向けに、不動産ファンドの運営や不動産投資運営サービスを提供するもので、投資額は1億円以上となる。子会社の合同会社RLSプロジェクトと合同会社RLSプロパティは、楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)が運営するホテルに投資するファンドの運用・管理を行っている。

◆ 収益構造
CREALの売上高は、ファンド運用期間中に保有物件から得られる賃貸収入やファンド運用終了時に、CREAL Proで運用するファンドや外部のファンド・投資家への物件売却収入からなり、売却収入が9割以上を占める。

利益は、投資家から調達した資金であるGMV(Gross Merchandize Value、流通取引総額)に対して、ファンドが成立した場合に管理手数料(アップフロント・フィー)3%程度、運用の管理手数料(アセットマネジメント・フィー)1%程度、ファンド運用終了時に売却手数料(エグジット・フィー)1%程度の手数料と、売却益が出た場合にプロフィットシェアとして得る売却益が平均して5%程度、合計でGMVの10%程度が売上総利益となる。

CREAL Partnersの売上高は、個人投資家へのワンルームマンションの売却収入と、投資後の物件に対する集金代行手数料や契約事務手数料等の賃貸管理収入からなり、売却収入が太宗を占める。利益は売却金額に対して9%程度の売上総利益を得るほか。賃貸管理収入の利益も得る。

CREAL Proの売上高は、機関投資家等からのアセットマネジメント・フィー、仲介手数料等からなる。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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