サクシード<9256> 成長性と安定性を兼ね備えた事業ポートフォリオが大きな特徴

2022/01/14

個別指導教室と家庭教師派遣の教育サービスと人材サービスが事業の両輪
成長性と安定性を兼ね備えた事業ポートフォリオが大きな特徴

業種: サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 個別指導教室を中心とした教育サービスと人材サービスの二本柱
サクシード(以下、同社)は、教育サービスと人材サービスを両輪として展開している。教育サービスは、創業来の個別指導教室の運営に加えて、家庭教師の派遣を行っている。家庭教師の派遣を開始したのと同じタイミングで、講師を他の学習塾に紹介、派遣するサービスも手掛けるようになり、本格的に人材支援のサービスを広げていった。現在は、教育及び福祉の分野で人材支援サービスを展開している。

同社の事業は、個別指導教室事業、教育人材支援事業、福祉人材支援事業の3つの報告セグメントに分類されている(図表1)。教育人材支援事業のセグメントには、家庭教師の派遣と教育人材支援の2つのサービスが含まれているため、個別指導教室の運営と福祉人材支援と合わせて、同社は4つのサービスを展開していると捉えた方が分かりやすい。

そして、個別指導教室の運営と家庭教師の派遣を合わせて「教育サービス」、教育人材支援と福祉人材支援を合わせて「人材サービス」と分類し直すと、「教育サービス」が全体の売上高の約3分の2、「人材サービス」が約3分の1を占めるという売上構成が続いてきた(図表2)。

◆ 教育サービス(1): 個別指導教室の運営
小学生から高校生までを対象に個別指導を行う「個別指導学院サクシード」を運営している。21年9月末時点で、神奈川県で22教室(横浜市13教室、川崎市7教室、相模原市2教室)を展開している。ほかに、学習塾付き学童クラブの「学童クラブ ペンタスkids」が横浜市に1教室ある。

「個別指導学院サクシード」は、1人の講師に3人の生徒という人数比のために料金を低く抑えることができ、比較的割安に個別指導を受けたいという層を取り込んでいる。また、社内で別途教育人材支援サービスを展開していることもあり、バラエティに富んだ講師を、獲得費用を抑えながら集めることができる仕組みになっている。

◆ 教育サービス(2): 家庭教師の紹介
主に小学生から高校生までを対象に、「家庭教師のサクシード」のブランドで、対面指導またはオンライン指導の家庭教師を紹介するサービスである。

オンライン指導は新型コロナウイルス禍を契機に20 年7 月に始まった。(1) 地域を選ばずに全国対応が可能であること、(2)拠点を設ける必要がないこと、(3)講師と生徒のマッチングの可能性が高まること(適任の講師が遠隔地にいても対応できるようになった)、(3)講師側も移動の時間が不要になり、実質的な時給アップになることから、オンライン指導は、新型コロナウイルス禍が収束しても、今後の成長のひとつの軸になるサービスと位置づけている。

◆ 人材サービス(1): 教育人材支援
学習塾、学校法人、地方自治体を対象とした、教育分野の人材支援を行うサービスである。塾講師や教員のほか、ICT 支援員や部活動指導員、日本語教師等の人材を派遣または紹介し、派遣先、紹介先から手数料を得る。人材を集めて部活動や学内塾の業務受託を行う場合もある。

人材サービスでは、求人と求職のマッチングの質を高めることが重要となる。そのため、(1)社内のマーケティングチームによるオウンドメディア注1 やランディングページ注2 の機動的な制作により、より条件の合いそうな求職者の募集を可能にする、(2)同一スタッフが求職者と求人企業の両方を担当することで、マッチング率の上昇や契約後の離職率の低下につなげるといった工夫がなされている。現在は、12 の自社メディアを運営して、教育人材の募集につなげている。

◆ 人材サービス(2): 福祉人材支援
保育施設や介護施設、地方自治体を対象とした、福祉分野の人材支援を行うサービスである。保育士、栄養士、学童保育指導員、社会福祉士、介護職員等の人材を派遣または紹介する。

ビジネスモデルは教育人材支援とほぼ変わらない。福祉人材を募集するために運営している自社メディアは28 ある。細かくセグメントされた媒体を多く運用することにより、ロングテールの専門性の高い人材の獲得につなげている。

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