ライフドリンク カンパニー <2585> 少品種大量生産、業務内製化、工場の全国展開が特徴

2021/12/24

小売業者のプライベートブランド向けの水・茶系飲料の製造・仕入・販売を展開
少品種大量生産、業務内製化、工場の全国展開が特徴

業種: 食料品
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ 水飲料・茶系飲料の製造・仕入・販売を中心に展開
ライフドリンク カンパニー(以下、同社)は清涼飲料(ドリンク)及び茶葉(リーフ)の製造・仕入・販売を主たる事業としている。07年に16.6%を出資した生駒名水は、同社向けの清涼飲料が販売高の大半を占めていることから同社の持分法適用会社となっている。同社の事業区分は、清涼飲料(ドリンク)及び茶葉(リーフ)の製造・仕入・販売を行う「ドリンク・リーフ」及び、「ポパイ」ブランドのソース製品の製造・販売を行う「その他」で構成される。22/3期第2四半期累計期間(以下、上期)における売上構成比は、ドリンク・リーフ99.4%、その他0.5%である(図表1)。

同社は、1950年に創業された茶卸売業の緑香園を72年に法人化し、設立された(当時の社名は「あさみや」)。73年に鹿児島県川辺郡知覧町(現 南九州市知覧町)に株式会社あさみや知覧工場を設立したのをきっかに茶葉の加工・販売を行ってきた。

00 年頃より、同社は多角化を進めた。多角化事業の例としては、農畜産物・水産物の加工製造・販売(00 年にフレッシュおおすみかごしまを設立)、茶系飲料の製造・販売(01 年に青峰ビバレッジを買収)、水系飲料の製造・販売(02 年に美山名水を買収)、醤油の製造・販売(04 年にいわて醤油を買収)、せんべいの製造・販売(04 年に大黒屋を買収)、チョコレート製品の製造・販売(08 年に東チョコを買収)、調味料の製造・販売(10 年にポパイ食品工業を買収)、乾麺及びインスタントラーメンの製造・販売(11 年に北勢麺粉を買収)、運送業(12 年に山忠運輸を買収)、炭酸水の製造・販売(13 年に東北ビバレッジを買収)などが挙げられる。

15 年にCLSA Capital Partners Japan がサブアドバイザーを務めるSunrise Capital と資本業務提携をした後は、ドリンク事業への集中を進め、ドリンク・リーフ、及びソース以外の事業から撤退した。ドリンク事業に関しては、15 年に大手小売事業者向けに茶系飲料の仕入・販売を行う明和の買収や、16 年に足利工場(現 栃木工場)を新設するなど販売先と生産能力の双方を拡大してきた。

◆ ドリンク・リーフ事業
同社は、清涼飲料(ドリンク)及び茶葉(リーフ)の製造・仕入・販売を行っている。主に水飲料(2L/500ml)、緑茶・烏龍茶の茶系飲料(2L/500ml)、炭酸飲料(1.5L/500ml)を液種、容量を絞って少品種大量生産・販売している。21/3 期の売上構成比は、水飲料55%、茶系飲料25%、炭酸飲料10%、その他の飲料・茶葉が10%である。

同社は、清涼飲料について、小売事業者のプライベートブランド(以下、PB) 向け及び自社ブランドを製造・仕入・販売している。21/3 期における売上構成比は、PB が6 割、自社ブランドが4 割である。

同社の販売先は、小売事業者とEC を経由しての一般個人があり、21/3 期における売上構成比は、小売事業者が96%、EC が4%である。イオン(8267 東証一部)子会社のイオントップバリュは同社の最大の顧客であり、22/3 期上期におけるイオントップバリュ向けの売上高は同社の売上高の19.3%を占めている。この他、神戸物産(3038 東証一部)、ゲンキー(9267 東証一部)、ウエルシアホールディングス(3141 東証一部)の子会社であるウエルシア、マツキヨココカラ&カンパニー(3088 東証一部)等の総合スーパー、ディスカウントストア、食品スーパー、ドラッグストアが中心である。

上記業態の店頭において、同社の商品は大手ナショナルブランド等に対して数割程度低い価格で販売されることが多い。例えば、500ml の水飲料や茶飲料は、PB・自社ブランドともに、総合スーパーや大手ディスカウントスト アにおいて50 円以下で販売され、2L の水飲料は大手ドラッグストアのPB と して70 円程度で販売される場合がある。同社の商品は、価格を重視する生活者向けの商品として販売される場合が多い。

EC については、Amazon や楽天市場といった大手EC サービス上にて自社ブランド製品を販売している。同社が販売する強炭酸水「ZAO SODA」は、楽天市場において21 年楽天年間ランキング総合1 位となっている。同社によると、価格の安さが評価されているようである。

◆ その他
その他の事業として、同社は「ポパイ」ブランドで、とんかつソースやウスターソースなどのソース製品の製造・販売を行っている。茨城県築西市にある茨城工場で製造し、総合スーパーや食品スーパーに販売している。

◆ バリューチェーン・人員体制
ドリンク・リーフ事業において、同社は、原料加工、製造の一部を外部に委託しているものの、調達・原料加工・製造・販売は殆ど自社で行っている。物流は外部に委託し、小売事業者への販売は原則として卸を通さず直販している。

清涼飲料の製造は、自社製造と生駒名水を含む外部委託の2 パターンだが、21/3 期では自社製造品が売上高の約7 割、外部委託品が約3 割を占めている。

同社は、東北・関東・中部・関西・九州において、8 カ所で飲料工場を展開している。水飲料は栃木工場(栃木県)、富士工場(山梨県)、尾鷲工場(三重県)、湯浅工場(和歌山県)、耳納工場(福岡県)で製造している。茶系飲料は岩手工場(岩手県)、美山工場(京都府)、耳納工場で、炭酸水は蔵王工場(山形県)で製造している。

同社は、利益率の高い自社製造の拡大を進めている。同社の自社工場における清涼飲料の生産実績は17/3 期の23 百万ケースから、17 年10 月の栃木工場の休止等によって、18/3 期に20 百万ケースに低下したが、19/3 期以降は、19 年10 月に栃木工場が再稼働再したことや複数の工場で設備を増強したこと、設備メンテナンスの効率化などにより、生産能力及び稼働率を向上させたことで、21/3 期には45 百万ケースに達している。

同社の従業員の配置は、工場が約320 人、本社・支社(営業、サプライチェーンマネジメント、コーポレート等)が約70 名である。臨時雇用者の配置は、約130 人が工場、約10 名が本社・支社である。多くの工場は設備の洗浄などを除き、土日を含めて24 時間稼働しており、三交代の体制を取っている。

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