フロンティア<4250> 今はファブレスだが自社生産を含めた供給体制の強化を目指す

2021/11/02

自動車アフターパーツの企画・販売や電子玩具の受託製造を行う
今はファブレスだが自社生産を含めた供給体制の強化を目指す

業種: 化学
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 自動車アフターパーツ・電子玩具のファブレスメーカー
フロンティア(以下、同社)グループは、同社並びに新域國際香港有限公司(以下、フロンティア香港)の2社で構成されている。自社工場を持たずに中国国内の工場に生産委託をしているファブレスメーカーである。

同社グループの事業は自動車アフターパーツ注1の製造販売を行うPB(プライベートブランド)販売事業と顧客の依頼に基づき商品の製造を受託し同社が選定した工場で製造して納入するOEM/ODM注2事業を行っている(図表1)。PB販売事業は20/11期の売上高の62.0%、OEM/ODM事業は同38.0%を占めている。

自動車アフターパーツについては同社が企画開発、品質管理、納期管理、輸入、販売を行い、フロンティア香港は中国の広東省東莞の工場に製造委託し生産工程、日本への輸出までの管理を行っている。主に電子玩具の製造受託を行うOEM/ODM事業については、同社は関与しておらずフロンティア香港が主体となって行っている。

◆ PB(プライベートブランド)販売事業
主に自動車アフターパーツを扱っており、06年にサイドバイザーの製造販売を開始し、その後、フロアマットやナンバーフレームの製造販売も開始した。同社のサイドバイザー、フロアマット、ナンバーフレームは軽自動車やコンパクトカー用が中心である(図表2)。

同社はサイドバイザーのアフターパーツのパイオニア的な存在であり、中国の提携工場を指導・育成しながらサイドバイザーの生産を拡大してきた。競合先に対しては、生産量の増加も相まって、高い価格競争力を確保している。また、同社のサイドバイザーは射出成形により製造されており、バリが少なく仕上がりがきれいなことから、業界内での評価は高い。

PB販売事業はB2B部門とインターネット通販部門に分かれる。

1)B2B部門
アフターパーツを卸売業者や自動車販売店に販売しているのがB2B部門である。20/11期のPB販売事業の95%程度がB2B部門によるものと推定される。主な販売先はマツダ(7261東証一部)の連結子会社であるマツダパーツ向けで、20/11期のPB販売事業の売上高の37.6%(全売上高の23.3%)を占めている。マツダパーツで扱われているものは、すべて同社ブランドで販売されている。この他には、山陽パーツ(山口県周南市)が主要顧客に挙げられる。

2)インターネット通販部門
主に個人顧客を対象にアフターパーツに加えて、ペット関連用品、アウトドア関連用品をウェブサイトで販売している。

◆ OEM/ODM事業
フロンティア香港が同事業を行っている。顧客の要望する商品の製造を受託し、同社が選定した工場で製品化し納入している。現在は主として児童向けパソコン型玩具やタブレット型玩具などのデジタル玩具を扱っている。

同事業の主たる販売先は加賀電子(8154東証一部)の連結子会社である加賀マイクロソリューションだが、その先は大手玩具メーカーに販売されている。加賀マイクロソリューション向けは20/11期の同事業の売上高の92.7%(全売上高の35.2%)を占めている。同社の手掛けるデジタル玩具の市場価格は1万円を超え、玩具としては高価格で製造するには高度なエレクトロニクス技術が必要となる。

◆ 収益構造
売上高についてはPB販売事業、OEM/ODM事業とも特定企業への依存度が高い。PB販売事業は20/11期には135社との取引があったが、上位10社への売上依存度が79.3%(全売上高の約5割)に達している。インターネット通販への注力や他の販売先の開拓を進めているが、上位企業への依存度は高い。OEM/ODM事業についても加賀マイクロソリューションとの取引が大半を占めている。

また、売上高には季節的な影響を受ける部分がある。PB販売事業は3月に向けて新車登録台数が増えることから、3月の売上高が大きくなる傾向がある。OEM/ODM事業については、クリスマス商戦向けの受注が多いため、第3四半期(6月~8月)から第4四半期(9月~11月)にかけての売上高が大きくなる傾向がある。

20/11期の売上総利益率はPB販売事業が約50%、OEM/ODM事業は約10%と推定される。PB販売事業のセグメント利益率は16.7%、OEM/ODM事業のセグメント利益率は4.3%となっており、事業リスクの低さに見合ってOEM/ODM事業の利益率は低い。

同社は中国の工場に生産委託し、輸入している関係で、コンテナなどの輸送コストの変動の影響は無視できない。また、取引は米ドル建てで行われているが、為替予約などのヘッジ手段を利用していないことから、為替変動の影響が時間を置かずに業績に反映され易いという傾向があるものと思われる。

◆ 顧客の要望に柔軟に対応できるファブレスメーカー
同社はファブレスメーカーだが、提携工場を育成しながら、事業を拡大してきた経緯がある。サイドバイザーのアフターパーツ製造のパイオニアとして車種ごとの金型を所有しており、射出成形製法による高品質な製品にも関わらず低価格で供給出来ている点に特徴がある。フロアマットについても高品質、低価格を実現している。

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