ワンキャリア<4377> 採用業務のDX化を推進するキャリアデータプラットフォーム事業を展開

2021/10/12

求職者と企業の双方に採用活動に必要な情報を提供し採用満足度の向上を図る
採用業務のDX化を推進するキャリアデータプラットフォーム事業を展開

業種: 情報・通信業
アナリスト:鎌田 良彦

◆ 求職者と求人企業の双方に仕事選びに関するキャリアデータを提供
ワンキャリア(以下、同社)は、人材採用市場において求職者と求人企業が必要とする様々なキャリアデータ(図表1)を提供することにより、求職者、求人企業双方の採用満足度を高め、採用業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を推進するキャリアデータプラットフォーム事業を行っている。

具体的には、新卒求職者には同社が運営するWebアプリのONE CAREERを通じて、求職者の就職活動の体験情報や編集者による就職活動に関するコンテンツ、企業の求人広告やインターンシップの募集等、様々な情報をワンストップで提供している。会員登録した新卒求職者はONE CAREERを無料で利用でき、体験情報を投稿した場合には同社から謝礼を得る。

ONE CAREERの登録会員数は年々増加し、22年卒業予定者の登録会員数は、21年6月末時点で28万人となっている。この数は直近実績値である20 年に卒業・就職した51.4 万人(文部科学省「令和2 年度学校基本調査結 果」)の54%に相当し、新卒求職者の2 人に1 人が利用している計算になる。 累計会員登録数は、同じく6 月末で80 万人を超えている。中途採用の求職 者向けにはWeb アプリのONE CAREER PLUS を運営している。

求人企業に対しては、人材採用に特化したクラウド型サービスのワンキャリアクラウドシリーズの諸機能により、ONE CAREER への求人広告掲載やオンライン動画説明会の配信、応募者の採用管理等のサービスを提供している。

求人企業からのワンキャリアクラウド利用料が同社の収益の大部分を占めるが、求職者の体験談情報に基づく求人企業に対する採用コンサルティング等のサービスや、ONE CAREER の会員を他の就職情報サイトに送客しての成果収入等もある。

同社の事業は、キャリアデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるが、売上高を採用DX支援サービス、マーケティングアライアンス、その他の3 つに分けている(図表2)。

◆ 採用DX 支援サービス
採用DX 支援サービスは、ワンキャリアクラウドを利用してONE CAREER に求人広告を掲載する求人掲載、会社説明会を配信するオンライン動画サービス、ターゲティングメール等のメディアオプションサービス、主に求職者の体験談に基づく学生や同業他社の動向等、同社が保有するキャリアデータを活用してコンサルティングを行う採用ソリューションサービス等からなる。

求人企業向けのワンキャリアクラウドの料金体系は、求人広告掲載やイベントへの参加募集を行うスタンダードとライトの2 種類のパッケージプランと、オンライン動画サービスやメディアオプションサービス等のオプションサービスからなっている。スタンダードは基本料30 万円に月額利用料30 万円で採用人数の多い大企業向け、ライトは基本料30 万円に月額利用料10 万円で採用人数が少ない企業向けのプラン となっている。現状では同社の顧客は採用人数の多い大手企業が多く、 スタンダードの利用企業が多い。

同社の法人取引累計社数は新規顧客企業の増加により、21 年6 月末には782 社となった(図表3)。同社では顧客基盤拡大の経営指標として法人取引累計社数の増加を重視している。年間取引社数は、19/12 期が362 社、20/12 期が495 社であった。

◆ マーケティングアライアンスサービス
マーケティングアライアンスサービスは、リクルートホールディングス(6098 東証一部)子会社のリクルートが提供するリクナビ等、他の就職情報サイトにONE CAREER 登録会員を送客して先方で会員登録された場合に成果報酬が支払われる。同社ではインターンシップの募集等、採用プロセスの比較的早い段階から求職者の会員登録があることや、求職者層の違いにより、同業他社との協業関係が生まれている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。