アスタリスク<6522> バーコードリーダーやRFIDリーダーであるAsReaderシリーズが主力製品

2021/10/05

「モノ認識」と「モバイル」を軸に独自の自動認識技術を基に製品を展開
バーコードリーダーやRFIDリーダーであるAsReaderシリーズが主力製品

業種:電気機器
アナリスト:髙木 伸行

◆ 「モノ認識」と「モバイル」を軸に事業を展開
アスタリスク(以下、同社)グループは、同社並びに新製品の研究・開発を主 に行う中国大連市にある大連明日星科技と米国と欧州の各販売子会社の計 4 社で構成されている。

同社グループは「モノ認識」と「モバイル」を軸とした事業展開を行っており、 独自の自動認識技術の研究開発を行い、画像認識技術やバーコードリーダ ー、RFID 注 1リーダーなどから、基幹システムや業務アプリケーションの運用ま で一気通貫で、主力製品である AsReader シリーズとソリューションパッケージ を提供している。

同社が特に注力している RFID には、①非接触通信(電波の届くところであれ ば遠くの RF タグ注 2を読み取ることが可能)、②一括読み取り(電波の届く範囲 の RF タグを一括して読み取ることが可能)、③透過性(電波が箱などの中ま で届くため、箱などを開けなくても中のものを読み取ることが可能)といった特 徴があり、多くの業界で採用される可能性の高い技術である。

同社グループは AsReader シリーズの開発・販売を行う AsReader 事業を主力 事業とし、この他に AsReader シリーズを活用するためのシステム開発をメイン とするシステムインテグレーション事業(以下、SI 事業)を行っている。20/8 期 の売上構成比はAsReader事業が 76.8%、SI事業が 23.2%、調整額控除前の セグメント利益の構成比は AsReader 事業が 69.6%、SI 事業が 30.4%となって いる。

◆ AsReader事業
AsReaderは同社製品のブランド名である。AsReader 事業として、自動認識技 術を使ったサービス・製品の開発・販売を行っている。スマートフォンやタブレ ットといったモバイル端末に装着して使用する 1 次元・2 次元バーコード注 3 を 読むバーコードリーダーや RFID リーダー、IrDA 注 4対応赤外線通信リーダー (以下、赤外線通信リーダー)を中心に事業を展開している。この他、スマート フォンのカメラによりバーコードを高速で読み取るアプリケーションとレーザー ポインターを組み合せた製品(AsReader CAMERA-Type)も取り扱っている。

RFID リーダーについては最近では使用場面が広がっていることから、手のひ らサイズのハンディタイプ、RFタグの読み取り距離が 10m 以上の GUNタイプ、 梱包された箱から取り出すことなくデータを読み取ることができるゲートタイプ、 スマートデバイスやパソコンに接続して使用するボックスタイプなど、RFIDの 特徴を活かした製品ラインナップを揃えている。

AsReader シリーズが、20/8 期の AsReader 事業の売上高の 82.3%を占めてい る(図表 1)。AsReader シリーズの販売増に伴って製品に対する長期保証サ ービス(AsReader Care など)も展開しており、16.6%を占めている(図表 1 の保 守)。アプリライセンスは在庫管理や棚卸、発注などに対応するアプリなどから なる AsReaderApps のライセンス売上である。

またリーダーの種類別ではバーコードリーダーが 20/8 期の AsReader 事業の 売上高の 33.5%、RFID リーダーが 30.5%、赤外線通信リーダーが 8.5%占め ている。

AsReaderシリーズの導入業界や利用場面は広がりを見せている。製造業、物 流業界、小売業界、自動販売機業界、医療業界、アパレル業界などで同社 製品が利用されている(図表 2)。

国内の販売経路は直販と販売店・代理店経由の 2 ルートであるが、販売店・ 代理店経由でも同社の人員が同行し営業活動を行うことが多いようである。 主な販売店・代理店としてはソフトバンクやサトーホールディングス(6287 東証一部)傘下のサトーが挙げられ、20/8 期の売上高の各々14.6%、10.0%を占め ている。

海外については、15年1月に米国に、18年2月に欧州市場での展開を目的 にオランダに、販売子会社を設立し営業活動を行っている。20/8 期の海外拠 点の売上高は全体の売上高の 10.9%を占めており、その 9 割以上が米国拠 点の売上高である。なお、海外販売子会社 2 社は 20 年 6 月末時点で米国が 56 百万円、欧州が 35 百万円の債務超過であったが、単体決算上では 20/8 期に関係会社株式評価損と債権に対する貸倒引当金を計上済みである。

◆ システムインテグレーション事業
SI事業ではハードウエア、ソフトウエア、ネットワークなどを組み合わせて、シ ステムを構築しユーザーに提供している。AsReader シリーズを活用するため のシステム開発が中心である。

◆ 収益構造
保守とライセンスはストック型ビジネスで、それぞれ 20/8 期の売上高の 16.6%、 1.0%を占め、合計 17.6%がストック型収益となる。残りはフロー型の事業となる ことから、業績は顧客産業の景況感や設備投資などの影響を受ける傾向にあ る。さらに 1 件当たりの受注額が大きくなる傾向にあり、納入のタイミングにより業績に影響を与える度合いが大きくなりつつある点にも留意が必要である。

売上総利益率は商品構成の変化や一件当たりの受注規模の影響を受ける。 一件当たりの受注金額が大きい案件は金額ベースでの利益貢献が大きい一 方、利益率は相対的に低い傾向があるようである。この他、同社はファブレス メーカーであり、海外の生産協力会社との取引は米ドル建てであるため、為 替変動の影響も考慮しておく必要がある。

>>続きはこちら(1.23 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

このページのトップへ