ROBOT PAYMENT<4374> 両サービスとも拡大傾向続くが請求管理クラウドサービスの勢いが強い

2021/10/04

インターネット決済代行サービスと請求管理クラウドサービスを提供
両サービスとも拡大傾向続くが請求管理クラウドサービスの勢いが強い

業種:情報・通信業
アナリスト:藤野 敬太

◆ インターネット決済代行サービスと請求管理クラウドサービスの 二枚看板で展開
ROBOT PAYMENT(以下、同社)は、00 年の創業来、インターネット決 済代行サービス「ROBOT PAYMENT」を提供している。決済代行サービス 事業者は多く存在するが、同社独自の機能を付加することで、サブスクリプ ションビジネス注 1 を展開する事業者へのサービスを得意としている。また、 15 年に開始した請求管理自動化サービスの「請求管理ロボ」は、請求業務 の効率化を目指す経理向けソリューションとして展開しているが、こちらも、 サブスクリプションビジネス事業者の業務に対応する機能を多く搭載してい ることを特徴としている。

両サービスとも SaaS 注 2 型で提供されているため、安定的な収益を獲得でき るリカーリングビジネス注 3 が、20/12 期の同社の収益の 95.6%を占めている。

同社の事業は、インターネット決済代行サービスのペイメント事業と、請求管 理自動化サービスのフィナンシャルクラウド事業の 2 つの報告セグメントに 分類されている(図表 1)。売上構成では、ペイメント事業が約 3 分の 2、フィ ナンシャルクラウド事業が約 3 分の 1 を占めているが、直近はフィナンシャ ルクラウド事業の増収率の方が高い。ただ、フィナンシャルクラウド事業は費 用が先行していたため、20/12 期まではセグメント損失が発生し続けていた が、増収により、21/12 期第 2 四半期累計期間(以下、上期)のセグメント利 益は黒字となった。

◆ ペイメント事業
ペイメント事業では、インターネット経由で販売や取引を行う事業者を対象 に、インターネット決済代行サービスを提供している。サービス名は 「ROBOT PAYMENT」であり、顧客である加盟店に代わって、数多くの決済 事業者との窓口を一本化し、決済手続き等を一元管理するサービスとなっ ている。連携している決済事業者は、クレジットカード会社、銀行、通信キャ リア、口座振替事業者、コンビニエンスストア会社等多岐にわたり、ほとんど の決済手段に対応できる。

「ROBOT PAYMENT」は、他の決済代行サービスでも提供する、各決済事 業者に対しての窓口となる決済ゲートウェイ機能に加えて、以下の同社独 自の機能を提供している。

(1) 課金周期や契約期間から設定したルールに基づいて自動で課金する サブスクリプションエンジン
(2) 顧客管理データベース

これらの独自の機能があるため、決済代行サービスを提供する事業者が多 く存在する中で、「ROBOT PAYMENT」は、サブスクリプションビジネス事業 者の決済を得意としているというポジションを構築できている。

ペイメント事業の収益は、以下の 4 種類で構成されている。

(1)加盟店が「ROBOT PAYMENT」の導入時に支払う初期費用である「イ ニシャル」
(2)月額固定のシステム利用料である「ストック」
(3)加盟店の売上高に応じた料率で課金する加盟店手数料の「スプレッド」
(4)決済データの処理件数に応じた決済手数料の「フィー」

「イニシャル」以外は毎月計上されるリカーリング収益だが、リカーリング収益 比率は 20/12 期で 95.8%、21年6月単月で 96.6%と高い水準となっている。

ペイメント事業のアカウント数は 20/12 期末で 5,205 アカウント、21/12 期第 2 四半期末で 5,525 アカウントと増加が続いている。ARPA 注 4 は期によって多 少の増減はあるものの、20/12 期は 12,363 円、21/12 期上期は 12,587 円と 12,000 円を超えるようになってきた(図表 2)。

◆ フィナンシャルクラウド事業
フィナンシャルクラウド事業では、「請求管理ロボ」のサービス名で、毎月の 請求管理業務を効率化、自動化する経理 DX 注 5 サービスを提供している。

サブスクリプションサービスでは、解約されるまで定期的に課金されることに なるが、その都度、請求と集金の業務が発生する。「請求管理ロボ」では、大 量で煩雑となる請求、集金、消込、督促といった一連の請求業務をすべて 自動で行うことが可能となる。「請求管理ロボ」は一般的な請求業務にも対 応できるが、サブスクリプションサービス向けならではの機能を多く搭載して いることがひとつの特徴となっている。

「請求管理ロボ」はインターネット環境があれば使用でき、経理システムや販 売管理システム等の他の IT サービスと連携できるようになっている。

「Salesforce」との連携のために使われる「請求管理ロボ for Salesforce」という サービスもあり、顧客が導入している販売管理システム「Salesforce」で管理 されているデータと連動することで、業務効率化を図る仕様になっている

フィナンシャルクラウド事業の収益は、以下の 2 種類で構成されている。

(1)加盟店がシステム導入時に支払う初期費用及び導入支援費用である 「イニシャル」
(2)月額固定金額のシステム利用料と、請求書の郵送費用や請求件数の 超過件数等による従量課金から成る「MRR注6 」

ペイメント事業と同様、「イニシャル」以外は毎月計上されるリカーリング収益 だが、リカーリング収益比率は 21 年 6 月単月で 97.4%と高い水準となって いる。

フィナンシャルクラウド事業のアカウント数は 20/12 期末で 468 アカウント、 21/12 期第 2 四半期末で 535 アカウントと増加が続いている。ARPA はペイ メント事業よりはるかに高く、20/12 期 72,662 円、21/12 期上期 72,100 円と 70,000 円を超えて推移している(図表 3)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。