レナサイエンス<4889> 医薬品から医療機器、AIソリューションまでの多様なモダリティを展開

2021/09/29

創薬バイオベンチャーで、基礎から臨床開発まで手掛ける
医薬品から医療機器、AIソリューションまでの多様なモダリティを展開

業種: 医薬品
アナリスト:松尾 十作

◆ 多様な開発領域を展開
レナサイエンス(以下、同社)は、医薬品、医療機器、人工知能(AI)ソリューションなど多様なモダリティ注1を活用して、新しい医療を創造したいとするバイオベンチャーである。

高齢化や生活習慣に伴う疾患であるがん、糖尿病、呼吸器疾患、循環器疾患の4疾患を、世界保健機関(WHO)では非感染性疾患(NCDs=Noncommunicable diseases )と位置づけているが、同社はこれらNCDsを開発領域としている。また、精神面でのメンタルケアを含めた女性、小児疾患や、新型コロナウイルス感染症に伴う肺障害などを、医学的あるいは社会的にも重要な医療課題として取り組んでいる。

同社は、00年2月の会社設立当初は、加齢に伴い生じる一連の疾患を治療できる可能性を持つPAI-1阻害剤などの低分子医薬品注2の開発を主体にしていたが、研究・医療機関からの要請、更に医療現場での課題を解決する必要性から、医療機器やAIソリューションもモダリティに加えてきた。

同社の医薬品開発におけるビジネスモデルは図表2で示される。医師が治験を企画及び立案し、治験計画届を提出して実施する医師主導治験では、PhaseⅠ注3からPhaseⅢ注4までの臨床開発を行う。PhaseⅡ注5終了後は商業化の可能性が高まったとして大手製薬企業に、製品の開発権、製造権、販売権等をライセンスアウトすることで、契約一時金、開発の状況に応じて得られるマイルストーン収入、製品上市後に売上高の一定割合が得られるロイヤリティ収入、売上高に対する販売目標が達成されるごとに支払われる販売マイルストーン収入を得るビジネスモデルとなっている。

医師主導治験の運営資金は、公的機関からの補助金、若しくは民間資金となる。同社の医師主導治験は、補助金によるものが主体だが、不足する場合は同社が負担している。補助金の拠出元は、新エネルギー・産業技術総合開発機構における大学発事業創出実用化研究開発事業、科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム、国立研究開発法人である日本医療研究開発機構の医療研究開発革新基盤創成事業等である。近年は日本医療研究開発機構からの補助金が主体となっている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。