シイエヌエス<4076> ビッグデータ分析モデル開発やクラウドサービスの導入支援に注力

2021/08/25

企業向けシステム基盤の受託開発、運用、保守を行う
ビッグデータ分析モデル開発やクラウドサービスの導入支援に注力

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ システムエンジニアリングサービスを提供
シイエヌエス(以下、同社)と子会社のシイエヌエス北海道はSI事業者やベンダー、ユーザー企業に対して情報システムの受託開発、技術支援、コンサルティングサービスを提供している。シイエヌエス及びシイエヌエス北海道は同様の事業を行っている。

同社グループは、オンプレミス基盤事業とクラウド基盤事業からなる「システム基盤事業」、業務システムの初期検討、開発から導入後運用までをサポートする「業務システムインテグレーション事業」、「ビッグデータ分析事業」、デジタルトランスフォーメーション推進のための技術ソリューションを提供する「デジタル革新推進事業」を行っている。

同社では、オンプレミス基盤事業と業務システムインテグレーション事業を「安定領域」、クラウド基盤事業、ビッグデータ分析事業、デジタル革新推進事業を「成長領域」と位置付けている(図表1)。

21/5期売上高の約6割が安定領域、約4割が成長領域からのものである。また、成長領域の売上内訳はクラウド基盤事業が約3割、ビッグデータ分析事業が約4割、デジタル革新推進事業が約2割、残りがキャッシュレス決済システムの受託開発やAI関連システムの受託開発などのその他である(図表2)。

◆ システム基盤事業
システム基盤事業として、オンプレミス基盤事業とクラウド基盤事業を行っている。

① オンプレミス基盤事業
金融機関などの自社で大規模システムを保有するユーザー企業に対してサーバー、ネットワークなどのオンプレミス基盤システムの技術ソリューションを提供している。野村総合研究所(4307東証一部)が主要顧客だが、エンドユーザーとしては金融機関向けや通信向けが多い。同社は野村総合研究所の二次請けとなる場合もあるが、野村総合研究所が最終顧客となるサービスの導入・運用に一緒に参画する直接取引の案件も多い。

② クラウド基盤事業
Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどのパブリッククラウドを活用したシステムの設計・構築・導入支援サービスや運用支援サービスを提供している。エヌ・ティ・ティ・データ(9613東証一部、以下、NTTデータ)グループが主要取引先である。

◆ 業務システムインテグレーション事業
業務システムの初期検討、開発から導入運用までの全般をサポートする事業である。同社の強みとしては金融業界の信用リスクや規制対応、流通業界の顧客管理や販売管理に関するノウハウを多く蓄積している点が挙げられる。

主要顧客としては札幌に本部を置く生活協同組合コープさっぽろが挙げられる。コープさっぽろ向けはコープさっぽろが出資するデュアルカナム(札幌市西区)を経由しての販売となるが、実質的にはコープさっぽろとの直接取引と見て良い。

◆ ビッグデータ分析事業
ユーザー企業が保有するビッグデータの分析や予測モデルの構築を行い、データ分析に基づき課題解決に向けた提案を行っている。また、ユーザー企業が自身で分析業務を行うための技術支援も行っている。携帯キャリア向けの出店エリアのコンサルティングといったマーケティング支援がサービス導入例として挙げられる。

SAS Institute Japanと連携して同事業を行っている。SAS Institute Japanは特定業種について豊富な業務知識や実装経験を持つ企業との協業を進めており、同社はリセラー(SAS製品の販売)とデリバリーパートナー(SAS製品を使ったシステム開発)という2つのパートナーに認定されている。

◆ デジタル革新推進事業
デジタルトランスフォーメーションを推進することを目的に様々なソリューションを提供している。企業活動に欠かせない業務・サービスを単一のプラットフォーム上に統合し煩雑な業務を標準化・自動化するServiceNowを主に提供している。ServiceNow関連ビジネスを強化しているNTTデータの協力会社として、事業機会が拡大している。

◆ 顧客基盤
エンドユーザーの業種別売上構成比は、金融(21/5期売上構成比約30%)、通信(同約20%)、公共(同約20%)、小売・流通(同約10%)、SI事業者(同約10%)となっている(図表3)。

同社グループの主要取引先としてはNTTデータ、NTTデータ東海、NTTデータ先端技術などのNTTデータグループ(21/5期売上構成比34%)、野村総合研究所グループ(同25%)、コープさっぽろ(同13%)、SAS Institute Japan(同4%)といった先が挙げられる。

SI事業者やベンダー自身がエンドユーザーとなるサービスの導入・運用に一緒に参画する直接取引の案件を含めた元請比率は45%と、この規模の会社としては高い水準にある。野村総合研究所の自社製品向けやコープさっぽろ、DGフィナンシャルテクノロジー(東京都渋谷区)が主な受注先である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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