プラスアルファ・コンサルティング<4071> 強みはビッグデータを可視化する技術力

2021/07/14

タレントパレットをはじめとするデータ分析プラットフォームのクラウドサービスを提供
強みはビッグデータを可視化する技術力

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 情報を可視化し顧客の業務効率化や意思決定を支援
プラスアルファ・コンサルティング(以下、同社)は、世の中にあふれている文章、数値、画像、音声などの可視化されていない情報を「見える化」している。その上でプログランミングや統計処理の知識が無くても分析することができるSaaS注1型ソリューションを提供し、顧客企業の業務効率化や意思決定を支援するサービスを展開している。

同社の事業は、08年5月にサービスを開始した「見える化エンジン事業」、11年7月に開始した「カスタマーリングス事業」、16年9月に開始した「タレントパレット事業」の3つのセグメントに分類されている(図表1)。いずれの事業も継続収益が大部分を占めるストック型のビジネスモデルである。

◆ 見える化エンジン事業
大量の顧客の声を「見える化」するツールである「見える化エンジン」を提供している。顧客アンケートやコールセンターのログ、SNSやブログなどの膨大な顧客の声や営業マンの営業日報、テキスト化した音声データ、特許・論文などの知的財産情報などの幅広いデータソースによる情報をテキストマイニングで分析し、顧客の不満やニーズを「見える化」するサービスである。同社は企業が顧客の声を活用するために必要なVOCマネジメント注2サイクルを効率的に回すためのコンサルティングまで行っている。

「見える化エンジン」は40種類以上の分析機能を組み合わせて顧客の声を分析することで、企業は隠れた顧客の発見、施策の効果測定、既存顧客や潜在顧客のニーズの発見、次の施策のアイデアの創出といった成果につなげることが可能になる。

3月末時点の契約数は458件であり、一般消費者向けに商品やサービスを提供する企業のコンタクトセンターやマーケティング部門で導入されている。

◆ カスタマーリングス事業
顧客属性や行動履歴データを統合し、その分析結果をもとに最適なマーケティング施策を実現するCRM注3/マーケティングオートメーションツール「カスタマーリングス」を提供している。直感的に操作できるインターフェース、顧客一人ひとりの行動を分析・可視化できる豊富な機能、メール、SMS、チャット、アプリなど多様なチャネルへの対応などが特徴である。

アパレル、健康食品、化粧品、雑貨などを扱うEC事業者や小売企業を中心に採用されており、3月末の契約件数は297件に達している。

◆ タレントパレット事業
社員のスキル、適性、人事評価、キャリア、アンケート情報、採用情報などの人事情報を集約し、分析/「見える化」することにより、社員の最適配置や離職防止、効率的な採用を実現する科学的人事注4のプラットフォームである「タレントパレット」を提供している。

マーケティング分野でのデータの見える化とその分析ノウハウを活かし社員をマーケティングにおける顧客とみなし、採用情報、評価データ、自己申告書や人事アンケート結果、研修履歴、勤怠データなどの社内に分散した様々な情報を統合・分析することにより、人材の最適配置、採用ミスマッチや離職の防止、育成をはじめとした幅広い分野をカバーできる。

タレントパレットの投入は16年9月と日が浅いが、導入件数は急速に拡大しており、3月末時点で568件に達している。

◆ ストック型のビジネスモデル
同社の3つのサービスはいずれもSaaS形態で提供しており、固定の月額利用料を受け取るサブスクリプション型のビジネスである。顧客は利用目的に応じたサービスプランを選択し、プランに応じた固定の月額料金を支払う。この他、新規契約時の環境構築やアカウント発行、スタートアップガイド提供の対価としての初期費用や個別依頼によるコンサルティングや作業に対するスポット的収入などがあるが、売上高の8割以上は固定の月額利用料が占めている。

各事業の売上高に関連する主要指標として、契約件数、契約平均単価、解約率が挙げられる(図表2)。契約件数については見える化エンジン事業、カスタマーリングス事業が減少傾向あるいは伸び悩んでいる一方で、タレントパレット事業は急激に増加している。いずれのサービスも解約率は比較的低水準であり、契約平均単価が高いのが特徴と言える。

費用構造を見てみると、20/9期の売上原価率は28.4%、売上高に占める販売費及び一般管理費(以下、販管費)の比率は41.3%であり、営業利益率は30.3%と高い水準にある。

売上原価の主な費目としては労務費、システム関連費用が挙げられ、20/9期の売上原価に占める比率は各々45.3%、37.0%である。システム関連費用はサーバー利用料やメール配信費用などからなり変動費的要素の強い費目と言える。販管費の主要な費目は広告宣伝費、給料手当、役員報酬があり、販管費に占める比率は、各々37.8%、14.6%、11.7%である。販管費に 占める割合の高い広告宣伝費は前期比76.3%増と大幅に増加している。有 名俳優や女優を起用してのタレントパレットのテレビ広告やタクシー広告の 増加によるものと推察される。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。