アイドマ・ホールディングス<7373> 在宅ワーカー活用型営業支援や在宅ワーク特化型求人サイトの運営を手掛ける

2021/07/05

中小企業の営業や業務を支援する法人向けサービス会社
在宅ワーカー活用型営業支援や在宅ワーク特化型求人サイトの運営を手掛ける

業種: サービス業
アナリスト: 大間知 淳

◆ 中小企業の営業や業務を支援する法人向けサービス会社
アイドマ・ホールディングス(以下、同社)は、「すべての人の夢の実現に貢献する」という経営理念の下、「人口減少を成長の機会に」という経営戦略に基づき、顧客における外部リソースの有効活用と生産性の向上を目的として中小企業向けの営業支援等を提供するワーク・イノベーション事業を展開している。

ワーク・イノベーション事業は、営業支援サービスである「セールス・プラットフォーム事業」、人材支援サービスである「ママワークス事業」及びオンラインコミュニケーションインフラを提供する「meet in事業」によって構成されている。20/8期のサービス別売上高構成比は、セールス・プラットフォーム事業81.8%、ママワークス事業11.4%、meet in事業6.8%である(図表1)。

(1) セールス・プラットフォーム事業では、同社グループの事業活動を通じて得られた営業情報データベースと独自に開発した営業支援システム「Sales Crowd」を活用し、主に法人向けビジネスを営む顧客企業が持つ商材やサービスに応じたテストマーケティングの実行を支援している。テストマーケティングでは、概ね1年にわたって営業プランを様々な角度から検証し、効果の高い施策を見つけ出し、顧客の営業活動における成果の追求、生産性の向上を支援している。具体的な業務手順は図表2の通りである。

同社グループは、毎月60万件を超える電話営業を中心とした手法を通して様々なテストマーケティングを行ってきた結果、サービス別、業種別、エリア別、アプローチ手法別等の様々な営業の成功事例が蓄積されたデータベースを有している。そのデータを活用して営業活動の企画を立案(仮説を設定)し、在宅ワーカーを活用してテストマーケティングを実践する営業支援を提案している。

(2) ママワークス事業では、登録会員数が26万人を超える在宅ワークに特化した求人サイト「ママワークス」を運営するほか、セールス・プラットフォーム事業の顧客に対して、在宅ワーカーを活用した業務の実現に向けたコンサルティングを行っている。求人広告を掲載する企業からは、掲載職種、掲載期間に応じた掲載料を受領している。コンサルティングについては、契約期間に応じた料金を受領している。同社グループは、15年から在宅ワーカーを幅広く活用して事業を展開しており、21年3月時点で1,300名を超える在宅ワーカーと業務委託契約を締結している。

(3) meet in事業では、同社グループが独自に開発したオンラインコミュニケーションインフラ「meet in」を提供している。18年11月のサービス開始から21 年3 月までで、3,400 社を超える企業に導入されている。一般的なオンライン会議ツールの機能に加え、meet in 上でやり取りされた音声 から人工知能を活用してリアルタイムで文字起こしする議事録作成機 能等が実装されている。販売形態は、連結子会社であるmeet in による 直接販売と、販売代理店を介して販売する代理店販売の2方式を採用 している。

3 つの事業は、各々が単独で収益を獲得するだけでなく、事業間の連携によっても収益を生み出しており、シナジー効果が発揮されている。具体的には、セールス・プラットフォーム事業の営業支援の一環で実施するテストマーケティング実行支援時に、ママワークスに登録している在宅ワーカーと協業するほか、セールス・プラットフォーム事業で活用する営業支援システム「Sales Crowd」の中にmeet in の機能を組み込んでいる。

同社は近年、業容拡大に伴い、大量採用に成功している。単体従業員数は、16/8 期末の25 名から21 年4 月末には136 名に増加した(連結では141 名)。また、従業員の平均年齢は29.4 歳となっている。

◆ フロー型収益のビジネスモデル
中核サービスであるセールス・プラットフォーム事業は、再現性のある営業の仕組みを顧客企業に提供する期間限定のコンサルティングサービスであり、フロー型収益のビジネスモデルである。なお、同社は今後、営業支援システム「Sales Crowd」をSaaS 形態で提供するほか、ノウハウ、データを活かした新サービスの開発・展開を予定しており、ストック型収益モデルの拡充を進める方針である。

同社は連結決算を開示しているが、連結子会社の売上高(連単差額)は連結売上高の4.6%を占めるに過ぎないため、証券リサーチセンターでは、連結損益計算書に加え、単体の売上原価明細書を使って同社の収益構造を分析することにした。

単体の原価率は17.5%と低い(子会社meet in は売上原価を計上していないため、連結の原価率は16.7%と更に低くなっている)。売上原価の明細には労務費は見当たらない。単体の売上原価の75.0%はクラウドワーカーに支払う業務委託費である。同じく19.8%はシステム開発や保守等に係る外注費である。同じく5.1%を占めるその他の経費に多少の固定費は含まれていると推測されるが、同社の売上原価の主体は変動費と言えよう。

販売費及び一般管理費(以下、販管費)の内訳としては、給与手当、支払手数料、貸倒引当金繰入額、広告宣伝費、地代家賃等が挙げられており、固定費が中心を占めている。販管費率は、単体71.4%、連結71.8%と高くなっている。結果、営業利益率は、単体11.1%、連結11.5%と良好な水準を確保している。

同社は、KPIとして、売上高、経常利益の他に、受注数(3事業合計)を挙げており、19/8期以降の四半期毎の数値を開示している(図表3)。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。