アイ・パートナーズフィナンシャル<7345> IFA向けのプラットフォームサービスを提供するビジネスモデルで成長

2021/07/01

国内最大級の独立系フィナンシャルアドバイザー事業者
IFA向けのプラットフォームサービスを提供するビジネスモデルで成長

業種: その他金融業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ 独立系フィナンシャルアドバイザー事業者としてIFA向けのプラットフォームサービスを提供
アイ・パートナーズフィナンシャル(以下、同社)は、国内最大級の独立系フィナンシャルアドバイザー事業者であり、金融商品仲介業を基軸に、IFA注による金融サービスを提供している。法人としてIFAを事業とする場合、(1)個人のIFA向けのプラットフォームを運営し、IFAの活躍の場の提供とIFAの業務支援に徹するケース、(2)個人のIFAを社員として雇用し、法人自体がIFA事業を行うケースがある。同社は、一部の例外はあるが、IFAを直接雇用するのではなく、業務委任契約を締結したIFAが活躍できるように各種サポートを行うことで収益を上げる、プラットフォーム型のビジネスモデルで展開している。

同社は、IFAによる金融サービス提供事業の単一セグメントだが、売上高は金融商品仲介業とその他金融サービスの2つに区分されている(図表1)。金融商品仲介業は同社が、保険募集業務を中心とするその他金融サービスは100%子会社のAIPコンサルタンツが担当している。収益の大半は金融商品仲介業から得ている。

◆ 金融商品仲介業とIFA
金融商品仲介業は、金融商品取引法で定められている有価証券の売買の媒介等の行為に係る業務のことであり、金融商品仲介業者となるには内閣総理大臣の登録を必要とする。金融商品仲介業者は、金融商品取引業者(証券会社等)の委託を受け、証券会社が取り扱う金融商品を顧客に仲介する。複数の証券会社と業務委託契約を締結することが可能なため、特定の証券会社に属さない独立、中立の立場にいることが可能とされている。

IFAは、証券会社や銀行等の特定の金融機関に属することなく、独立した立場で、顧客のライフステージに応じた金融商品の提案を行うことができる職業とされ、一般的には、金融商品仲介業者や、金融商品仲介業者の登録外務員を指すと言われている。

◆ 収益構造
前述の通り、同社はプラットフォーム型のビジネスモデルを採用しているため、IFAと業務委任契約を締結する。所属IFAは各自の顧客に対してファイナンシャル・アドバイスを行い、それに伴って生じる金融商品の売買注文を証券会社に取り次ぐことになる。

21年4月末現在、同社は楽天証券、SBI証券、エース証券、あかつき証券と金融証券仲介業に係る業務委託契約を締結している。所属IFAは顧客にこれらの証券会社で口座を開設してもらい、顧客はその口座を通じて金融商品の売買を行うことになる。

同社は、所属IFAがファイナンシャル・アドバイス業務に専念できる環境を整えられるよう、業務スペース等の設備の提供、事務サポート、コンプライアンス対応、システムやツールの提供、研修プログラムの提供といった各種サポートを行っている。

このサポートを充実したものにするために、同社は設備投資やシステム投資を続けてきた。中でも所属IFAの業務スペースとして、IFAオフィスを設けており、所属IFAの増加に応じて順次増やしてきた。21年4月末時点で、全国に21カ所のIFAオフィスが運営されている。

こうした各種サポートに対して同社が得ている収益は、以下の2つである。

(1) システム利用料として、所属IFAから月額約10万円を得ている。所属IFAの人数がKPIとなる。
(2) 所属IFAが媒介する金融商品の売買や預かり資産残高に応じて発生する手数料の一部を証券会社から報酬として受け取っている。売買金額に連動するが、中長期的には預かり資産残高に連動するようになるため、証券会社に媒介する口座数と資産残高がKPIとなる。証券会社から受け取る報酬が同社の売上高となり、その中から同社の取り分を差し引いた金額が所IFAへの報酬として支払われる(同社にとって の原価となる)。

所属IFA は21/3 期末で187 名となっている(図表2)。21/3 期は新型コロナウイルス禍の影響で純増数は低く抑えられたが、15/3 期以降は18/3 期を除くと、毎期20 名台の純増ペースで増加してきた。

21/3 期末の顧客数を示す口座数は11,711 口座、媒介する資産残高は2,108 億円となった(図表3)。21/3 期末の媒介する資産残高の伸びが顕著だが、株式市場の上昇を受けての投資意欲の高まりによる資金流入が要因である。

◆ その他金融サービス
その他金融サービスは、顧客に対する総合コンサルティングの一環として、行っている資産運用以外のサービスである。顧客の需要に応じていろいろなサービスがあるが、中でも多いのが保険募集業務である。保険代理店を母体にした金融商品仲介業者もおり、21年4月末時点で76名の保険募集人が所属している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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