HCSホールディングス<4200> 顧客との長期信頼関係に基づく安定した収益基盤

2021/06/28

情報サービス事業、ERP事業、デジタルマーケティング事業を展開
顧客との長期信頼関係に基づく安定した収益基盤

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 情報サービス事業を中心に提供
HCSホールディングス(以下、同社)は16年7月に日比谷コンピュータシステムからの株式移転で設立されたが、母体となる日比谷コンピュータシステムは大手ミシンメーカーのリッカーの電算センターを前身として1970年10月に設立された。

同社は純粋持株会社でグループの経営戦略などを担っている。傘下には連結子会社6社注1及び持分法適用関連会社1社(ラバブルマーケティンググループ)があり、情報サービス事業、ERP事業、デジタルマーケティング事業の3事業セグメント、システムインテグレ―ション、マスターファイルソリューション、SAP導入支援・開発、リソースプラニングサポート、パッケージソリューション、マーケティングソリューションの6サービスラインを展開している(図表1)。

21/3期のセグメント別売上構成比は情報サービス事業が59.1%、ERP事業が25.9%、デジタルマ―ティング事業が15.0%となっている(図表2)。

◆ 情報サービス事業
1)システムインテグレーションサービス
大手エンドユーザー系情報子会社や大手システムインテグレーター(以下、SIer)の開発案件に主に二次請けとして参画し、常駐型を中心にソフトウエアの設計、開発、運用サービスを行っている。設備投資額の大きい電力、航空、鉄鋼業の情報系子会社を主要顧客としている。

2)マスターファイルソリューションサービス
1972年に外販を開始した、別名「日比谷コード」として知られる国土行政区画コードマスターを活用した住所メンテナンスサービスである。利用者は簡単に手早く、正確に顧客などの住所を管理できる。市町村の統廃合や区画整理によって地名や番地が変更されるが、変化する住所に対し、コード及び最新の住所で管理する事により、メンテナンス性を高め、顧客情報管理業務の作業時間・コストの大幅な削減につなげている。金融機関や小売業者など約600社との取引があり、安定的な収益源となっている。

◆ ERP事業
1)SAP導入支援・開発サービス
SAPジャパンのサービスパートナーとして大手コンサルティング会社や大手SIerからのSAP導入・保守案件に主に二次請けとして参画している。常駐型を中心にSAP社のERPソフトウエア導入支援、カスタマイズ、アドオン開発注2、保守・運用サービスを提供している。

2)リソースプラニングサポートサービス
SAPシステム及び周辺の運用管理ツールなどのヘルプデスク業務をサポートセンターからリモートで提供している。顧客は技術者を抱えることなく、必要なサービスを利用することができ、コスト削減を図ることが可能になる。また、同社としても技術者を特定企業にはりつける必要がなく、複数社を担当させることにより高稼働率や高収益につなげることが可能になる。

◆ デジタルマーケティング事業
1)マーケティングソリューションサービス
インターネット広告運用、マーケティングデータ管理プラットフォーム構築などのデジタルマーケティング支援サービスを提供している。広告プランを策定し、広告プラットフォームを通じて広告媒体に広告を配信するとともに広告効率改善につながる広告プランの見直しを提案している。

2)パッケージソリューションサービス
点検・検査報告書作成アプリケーションである「点検エース」の開発、販売を行っている。紙の報告書をタブレットPCに置き換えるソフトウエアで、情報の入力や画像データの取り込みが簡単にできることから作業の効率化につながる。ビル・家屋の設備点検、製造品質・工場の管理や点検、エレベーターの点検などの省力化に貢献する製品を提供している。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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