全研本社<7371> コンテンツマーケティング事業と海外IT人材事業が今後の成長の牽引役

2021/06/22

顧客企業のウェブ集客支援を行うコンテンツマーケティング事業が主力事業
コンテンツマーケティング事業と海外IT人材事業が今後の成長の牽引役

業種:サービス業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ コンテンツマーケティング事業を中核事業として展開
全研本社(以下、同社)の創業事業は語学教室の運営や学習教材の出版であるが、00年に「IT」と「語学」の融合をテーマにSEO注を軸としたIT事業を開始して以降、ITを活用したマーケティング支援に中核事業をシフトしていった。現在はウェブマーケティングによる集客支援を行うコンテンツマーケティング事業を主体としている。

また、「語学」をテーマとして長く事業を行ってきたこともあり、「IT」と「語学」の両分野の知見の蓄積を活かし、インドのIT人材を日本企業のために活用する海外IT人材事業への注力を増している。

同社は、IT、語学、不動産を事業セグメントとしている(図表1)。利益の大半を生み出しているのが売上高の7割超を占めるITセグメントである。また、ビルの賃貸を行う不動産セグメントは、多少の増減はあるものの、利益を創出し続けている。一方、語学セグメントは利益を生み出していないセグメントとなっている。

◆ ITセグメント(1):コンテンツマーケティング事業
21/6期第3四半期累計期間の売上高の73.9%を占めるITセグメントは、コンテンツマーケティング事業、メディア事業、AI事業、海外IT人材事業に分類されるが、主軸となるのは、ITセグメントの売上高の約8割を占めるコンテンツマーケティング事業である。

コンテンツマーケティング事業では、顧客企業の特徴や強みを明らかにするウェブ上の集客メディアを制作、運用している。明確な目的を持ってキーワード検索をして情報を探しているユーザーに訴求し、商品の購入やサービスの利用申し込みといった次のアクション(コンバージョン)を促すことにより、質の高い見込み客を顧客企業へ送客するメディアとなっていることが特徴である。メディア制作費と運用費が収益源となる。

集客メディアを制作するにあたり、同社がこだわっているのは、「狭い範囲に特化するも、内容の深い専門メディアに仕上げる」ということである。広範なキーワードは他メディアとの競争が激しくなり、来訪するユーザーが増えない、またはコストに見合わなくなる可能性がある。それよりは、より専門性の高いキーワードに焦点を当て、来訪時点で強い関心を持っているユーザーを集めた上で、コンバージョンにつなげることに注力している。

質の高いメディアを制作、運営するため、同社はコンサルティング、制作、編集、運用までを一気通貫で提供できる体制を構築している。記事制作を担うライターは自社運営のライター募集メディア「ライターステーション」で集め、21年3月末時点で994名のライターの登録を得ている。内部制作人員約130名とともに専門メディアの制作を支え、運営するメディアの分野は120以上に及んでいる。分野別には、美容/医療/健康、住宅、学校/資格の順に多い。

こうしたメディア制作、運営体制のもと、同社は年400~500件台の新規メディアを公開している。一方、運用メディア件数は17/6期以降減少し続けてきた。これは、Googleの検索エンジンのアルゴリズム(表示順位判定基準)が断続的に変更され、業界全体としてメディアの採算性が大きく変動する中で、好採算メディアに絞り込み、解約が続いたためである。ただし、この解約も20/6期に底を打ち、メディア運用件数は増加に転じてきた模様である(図表2)。

取引先数で見ると、18/6期を底に増加に転じている。取引先の地域の拡大が進んできたことが背景にあり、東京以外の取引先の割合は21/6期第3四半期累計期間で65.9%まで上昇している(図表3)。

◆ ITセグメント(2):メディア事業
メディア事業では、美容業界に特化した求人紹介サイト「美プロ」や、美容業界の商材の仲介を行う「健康美容EXPO」といった自社メディアの運営を行っている。顧客企業からの広告料が主な収益源である。

◆ ITセグメント(3):AI事業
AI事業では、AIを活用した、顧客とのコミュニケーションを促進するサービスを提供している。子会社のサイシードを中心に展開している。ユーザーとの1対1のコミュニケーションを可能にするチャットボット「sAI Chat」、ユーザーの入力した話し言葉を適切に認識して最適な回答を提示する「sAI Search」といったサービスがあり、初期導入費用と月額運用費が主な収益源となっている。

◆ ITセグメント(4):海外IT人材事業
海外IT人材事業は、将来のIT人材不足の慢性化を見越し、同社のITと語学の知見を活用する形で展開している事業で、海外のIT人材を日本の企業へ紹介するサービスを行っている。

IT人材の供給元はインドのIT都市ベンガルールで、21年3月時点でベンガルールの上位大学を中心に29校と提携している。提携先の大学内に置かれたジャパンキャリアセンターにて、応募してきた学生と採用したい日本企業とをマッチングするほか、学生に対して日本語教育を行っている。紹介料と日本語講座料が主な収益源となっている。

◆ 語学セグメント
21/6期第3四半期累計期間の売上高の14.0%を占める語学セグメントでは、グローバル・インバウンド(日本国内における国際化)に関連するサービスを展開している。

展開しているサービスは、(1)企業向け講師派遣と、マンツーマンのオンラインレッスンを行う中学高校向けオンライン英会話で構成される法人向け語学研修事業、(2)「Linguage(リンゲージ)」のブランド名の英会話スクールを運営する英会話スクール事業、(3)アメリカ大学奨学金プログラムのアジア総代理店として行っている留学斡旋事業、(4)17年10月に開校したリンゲージ日本語学校で行っている、日本語を母国語としない外国人向けプログラムを運営する日本語教育事業がある。斡旋手数料を収益源とする留学斡旋事業以外は、教材費と授業料を主な収益源としている。

◆ 不動産セグメント
21/6期第3四半期累計期間の売上高の7.5%を占める不動産セグメントは、東京の新宿駅近くに所有するオフィス用ビル2棟の賃貸を行うセグメントである。

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ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
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