AHCグループ<7083> 当面は福祉事業の共同生活援助(グループホーム)の事業所新設が成長を牽引
障害者向けの福祉事業を中心に介護事業や外食事業を展開
当面は福祉事業の共同生活援助(グループホーム)の事業所新設が成長を牽引
業種: サービス業
アナリスト: 藤野敬太
1. 会社概要
・AHCグループ(以下、同社)は、首都圏を中心に、福祉、介護、外食の 3 事業を展開している。福祉事業は、障害を持つ幼年から成人までをワン ストップでカバーできるサービスラインナップが特徴である。
2. 財務面の分析
・福祉事業と介護事業の事業所数の増加が牽引し、15/11 期以降 19/11 期 まで増収を続けてきた。グループ会社の整理と事業所開設が集中した 17/11 期は単体ベースでは経常損失を計上したが、18/11 期と 19/11 期は 経常増益となった。20/11 期は新型コロナウイルス禍が外食事業を直撃し て微減収・大幅経常減益となった。
・障害福祉または介護を事業とする上場企業と財務指標を比較した。障害 福祉と介護の両方を行う同社の収益性と成長性の数値は、総じて介護 事業者より高いが、障害福祉事業者より低い傾向にある。同社が成長性 の高い福祉事業の拡大を図っているのは理にかなっていると言える。
3. 非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、福祉、介護、外食の 3 事業にわたる事業所 運営に関する知見・ノウハウの蓄積(組織資本)にある。介護施設の運営 を通じて得たノウハウを福祉事業にも活用し、関係資本である顧客接点 となる事業所を増やし、更なる運営ノウハウの蓄積につなげている。
4. 経営戦略の分析
・対処すべき課題として、福祉事業における有資格者人材の安定的な確 保、福祉事業における事業所開設に適した物件の確保、新型コロナウイ ルス感染症の感染拡大への対応が挙げられる。
・同社は福祉事業を成長事業と位置づけ、中でも共同生活援助(グルー プホーム)の事業所数において業界首位となることを目標に開設を進め ていく方針である。
5. アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、障害を持つ人の人生をフルカバーするよう に福祉事業のサービスの種類を増やしてきた展開の仕方を評価している。 今は共同生活援助(グループホーム)の開設に注力する方針だが、想定 されるボトルネックによる影響と、その開設ペースに注目していきたい。