すららネット<3998> 将来の利用者増加に備えた先行投資で21年12月期は減益の会社計画

2021/04/09

対話型ICT学習教材「すらら」の開発・提供を行う社会課題解決型“EdTech”企業
将来の利用者増加に備えた先行投資で21年12月期は減益の会社計画

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太

◆ 会社概要
・すららネット(以下、同社)は、小学校低学年から高校生を対象としたICT学習(eラーニング)教材「すらら」の開発・提供を主要事業としている。

◆ 20年12月期決算
・20/12期決算は、売上高1,649百万円(前期比44.5%増)、営業利益540百万円(同8.4倍)となった。期中に2回、会社計画が上方修正されたが、その水準を上回った。新型コロナウイルス禍に伴う無料ID配布を機に公立校中心に「すらら」の導入が進んで大幅増収となった上に、広告宣伝費の減少や出張経費の削減等の効果が加わり大幅増益となった。

◆ 21年12月期業績予想
・21/12期計画について、同社は売上高1,920百万円(前期比16.4%増)、営業利益323百万円(同40.1%減)と予想している。
・証券リサーチセンター(以下、当センター)では、21/12期について、売上高1,950百万円(前期比18.2%増)、営業利益346百万円(同35.9%減)と、会社計画をやや上回る水準を予想した。EdTech補助金の終了で公立校での登録ID数が一旦減少することや、人員増等の先行投資や新型コロナウイルス禍により前期に抑制されていた出張費や教育イベントへの出展費用等の増加を予想した。

◆ 今後の注目点
・当センターでは、22/12期は22.8%増収、23/12期は22.9%増収を見込み、売上高営業利益率は22/12期22.4%、23/12期26.0%と予想した。
・20/12期の新型コロナウイルス禍は、「すらら」が公立校に浸透する大きな契機となり、今後も政策の後押しは続くと考えられる。21/12期こそ今後の利用者の増加に備えた先行投資のために減益となるが、22/12期以降は増収増益基調に戻ると予想する。ただし、自治体の予算配分や、政策等によって同社の業績が影響を受けやすくなったとも言える。今後は、そうした政策動向にも注意が必要となろう。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。