イー・ロジット<9327> 新型コロナウイルス禍により促進されたEC化への波に乗る

2021/04/02

インターネット通販業者へフルフィルメントサービスとコンサルティングを提供
新型コロナウイルス禍により促進されたEC化への波に乗る

業種: 倉庫・運輸関連業
アナリスト: 髙木 伸行

◆物流関連サービスと物流コンサルティングサービスを提供
イー・ロジット(以下、同社)は通販事業者に対して、「物流代行サービス」、 「運営代行サービス」を提供している。また、通販物流事業を通して蓄積した ノウハウを活かして通販事業者の物流改善に向けて、「物流コンサルティン グサービス」も提供している。同社は通販物流事業の単一セグメントであり、 各サービス別の売上高は公表していないが、売上高のほぼすべてが物流 代行サービスによるものである。

1)物流代行サービス
通販事業者向けに商品の保管、品質や消費期限、数量などの管理を行う 「商品管理」、「ピッキング注 1 」、小分け、カスタム製品のパッケージングや組 み立てなどの作業を行う「流通加工」、「梱包」、宅配業者を通じての「配送」 や「代金回収」といった一連の物流サービスを提供している。

同社は、多品種小ロットの在庫回転率の高い、小口高回転物流を得意とし ており、少ない在庫で、効率良く販売高を極大化したいという通販事業者の 要望に応えている。同社は雑貨、アパレル、健康食品やカー用品を始め、 化粧品や医薬部外品といった薬機法注 2 の認可が必要な商品の取り扱いも 可能である。

2)運営代行サービス
顧客企業の依頼を受けて、通販サイトに掲載するための商品撮影及び画像 の加工、商品データの通販サイトへのアップ、受注処理、生活者からのメー ルや電話での問い合わせ対応といったカスタマーサポートを行っている。

3)物流コンサルティングサービス
物流代行サービス、運営代行サービスが物流業務をアウトソーシングする 企業に向けてのサービスであるのに対して、物流コンサルティングサービス は物流業務を自社運営する企業向けのサービスである。同社の経験や蓄 積したノウハウを活かして、会員メルマガなどによる情報提供、物流知識や 改善に関してのセミナー、物流人材の育成、物流センターの改善、改革と いった物流現場の改善コンサルティングなどを行っている。また、物流シス テムの導入支援なども行っている。

◆ フルフィルメントサービス
物流代行と運営代行の両サービスをワンストップのフルフィルメントサービス 注3として提供している。Web サイトのページ作成や運営は顧客企業が行うが、 同社は商品撮影、受注処理、物流代行、カスタマー対応、宅配、代金回収 まで対応している。自社にシステムエンジニアがおり、システムを活用するこ とで人為的なミスの低減にもつなげている。

同社のフルフィルメントサービスを支えるのが、東西で運営しているフルフィ ルメントセンター(以下、FC)である。今年の 1 月に開設した習志野 FC を含 めて、東京、埼玉、千葉、大阪に 6 つの FC を運営している(図表 1)。他社 の通販物流センターは 1,000 坪~2,000 坪が多い中、同社の FC は総床面 積 5,000 坪をひとつの目安としている。5,000 坪を前提とすると、フル稼働時 の 1FC 当たりの標準的な人員数としては従業員 20 人にパート社員 150 人 ~200人が目安となるが、各FCの立地はパート社員の確保がしやすい住宅 エリアやその近隣となっている(総床面積に比して東京 FC の従業員数が多 いのは営業、カスタマーサポート、システムの人員を含んでいるためであ る)。

関東圏の FC はそれぞれ近隣の FC とは 20km 以内の地域にあり、業務の波 動(繁閑)に合わせて機動的に商品や人員の移動が可能である。例えば、ひとつの FC で大量の商品の発送を行わなければならないが、発送能力が 不足している時には、商品を他の FC に送り、その FC から発送することによ り対応することが可能になる。また、アイテム数が多いものを大量に発送しな ければならない場合には、商品を他の FC に送るのではなく、他の FC から 人員を派遣してもらうことにより、効率よく対応することも容易にできるというメ リットがある。

同社の取引社数は18/3期末200社、19/3期末214社、そして 20/3期末245 社と順調に増加している。主要販売先としては「EXILE」や「三代目 J SOUL BROTHERS」といった人気アーティストが所属するエンターテインメント企業 である LDH JAPAN が挙げられる。LDH JAPAN 向けは 20/3 期の売上高の 15.3%を占めており、ファン向けグッズなどを取り扱っている。また、主に女 性だけを対象としたフィットネスクラブ「カーブス」を運営するカーブスジャパ ンも主要取引先に挙げられる(図表 2)。カーブスジャパンからはサプリメント などの通販物流代行を受託している。この他には美容、健康食品、ワインを 扱う企業との取引があり、契約期間が長期に亘る先が多いとのことである。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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