T.S.I<7362> 終末期ケアの支援機関~Terminalcare Support Institute~が社名の由来

2021/03/24

サービス付き高齢者向け住宅の建築及び介護サービスを提供
終末期ケアの支援機関~Terminalcare Support Institute~が社名の由来

業種: サービス業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 終末期ケアの支援機関
T.S.I(以下、同社)の社名は、「終末期ケアの支援機関」を意味する「T・erminalcare ・upport ・nstitute」の略である。同社グループは、同社と連結子会社である北山住宅販売で構成されている。同社は介護事業としてサービス付き高齢者向け住宅である「アンジェス(Anges フランス語で“天使”)」を運営しており、北山住宅販売はアンジェスの設計・建築を行なう一方でアンジェスを6棟保有している。

同社グループは自宅で看取られたいと希望する高齢者に対して住まいと介護サービスを提供しており、サービス付き高齢者向け住宅の保有、設計、建設、運営までを一貫して行っている。介護事業は20/12期の売上高の83.1%を占め、残りは不動産事業となっている(図表1)。

◆ 介護事業
介護事業として、「サービス付き高齢者向け住宅」の運営、「訪問介護/介護予防・日常生活支援」、「居宅介護支援」を行っている。

介護事業の売上高は家賃、食費などのサービス付き高齢者向け住宅関連収入と訪問介護サービス、居宅介護支援サービスによる介護保険収入で構成されている。サービス付き高齢者向け住宅関連収入は基本的には定額であり、介護保険収入はサービスの利用量や介護度によって変動する。19/12期の介護関連事業の売上高の23%がサービス付き高齢者向け住宅の家賃収入、22%が生活支援関連収入、55%が介護保険関連収入となっている。介護保険関連収入のほぼすべてがアンジェスの居住者からのものとなっている。

1)サービス付き高齢者向け住宅
同社のサービス付き高齢者向け住宅は自立している人から重度の人を対象とする介護特化型である。24時間施設に人員を配置し、看取り注1まで対応するなど要介護2~3程度の介護が必要な人を主たる顧客層とした運営を行っている。また、後述する訪問介護事業所「ケアステーションあんじぇす」と居宅介護支援事業所「ケアプランセンターえんじゅ」を併設している。

利用者には同社が運営するサービス付き高齢者向け住宅であるアンジェスに賃貸借契約を結んで入居してもらう。同社は住まいの他には、食事、生活支援サービスや訪問介護事業や居宅介護支援事業によるサービスを提供している。入居する際の初期費用として「入居一時金」などを徴収する施設もあるが、同社は敷金、礼金、入居一時金、更新料などを徴収していない。

同社は、京都府、滋賀県を中心に、岡山県、兵庫県、愛知県、静岡県、神奈川県に24拠点746室のサービス付き高齢者向け住宅を展開している(図表2)。

静岡県浜松市にあるアンジェス浜松中沢(44室)と兵庫県加古川市のアンジェス加古川(69室)を除くと、各施設は基本フォーマットである29室(一部28室がある)の居室数となっている。単身部屋のみの施設が7施設、単身部屋と夫婦部屋の両方からなる施設が17施設ある。夫婦部屋の設置は同社の施設の特徴のひとつであり、一部例外もあるが29室フォーマットでは夫婦部屋数は1施設2室が基本となっている。

同社は、アンジェス浜松中沢やアンジェス加古川で大型施設の開設・運営を試してみたが、採算面では29室フォーマットが優れているという結論にたどり着いている。同社は建築費を抑えることも利用者の負担を抑える上で重要な要素と考えており、建築面での規制が相対的に緩やかな敷地面積1,000 m2未満に建てられる最大の室数である29室フォーマットに拘わった展開を今後も継続してゆく考えである。

2)訪問介護/介護予防・日常生活支援
同社の訪問介護事業所である「ケアステーションあんじぇす」では、主にアンジェスの入居者に対して訪問介護を提供している。「ケアステーションあんじぇす」のスタッフは、サービス付き高齢者向け住宅のスタッフも兼務しており、サービス付き高齢者向け住宅の業務も行っている。

3)居宅介護支援
在宅で看護を希望する利用者向けの介護サービスである居宅介護支援を「ケアプランセンターえんじゅ」が提供している。同社のケアマネージャーが要介護や要支援者の状態、その家族の生活環境の状況を確認し、利用者やその家族に必要とする介護や支援の内容について確認し、ケアプランを作成している。主としてアンジェスの入居者を対象としており、ケアマネージャーはアンジェスの生活環境やサービスなどを熟知していることから、利用者の介護面と経済面を考慮した適切なプランを作成することが可能となっている。

◆ 不動産事業
北山住宅販売が、施主となる土地オーナーと建築請負契約を締結し、サービス付き高齢者向け住宅アンジェスの設計から建築までを行っている。29室フォーマットという同一モデルのサービス付き高齢者向け住宅についてのノウハウに富むため、設計期間を短縮化し、建物価格を抑えるとともに介護住宅に適した建物の建築を可能にしている。

北山住宅販売が建築するアンジェスは木造寄宿舎扱いの建物であり相続税評価が低く見積もられることから、オーナーにとっては相続税対策に適している。また、建築費の1割の補助金を受けられることや同社(あるいは一括借上げ事業者)が一括で25年間借り上げること、8%の表面利回りが投資物件を求めるオーナーにとって魅力となっている。

なお、北山住宅販売が土地を調達、設計・施工して、オーナーになる場合もある。現時点では北山住宅販売が6棟を保有しているが、同社グループでの保有棟数は限定し、外部オーナーが施主となり保有するものを賃借するというスキームを基本としている。

同社がオーナーからアンジェスを直接借り上げているのが9棟あるが、うち2棟が北山住宅販売の保有分、日本管理センター(3276東証一部)がオーナーから一括借上げしたものを同社が転貸(サブリース)を受けているものが15棟あるが、うち4棟が北山住宅販売の保有分である。

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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