イボキン<5699> 解体事業を成長事業と位置づけて展開
解体工事、廃棄物処理、金属加工までワンストップで提供するリサイクル総合企業
解体事業を成長事業と位置づけて展開
業種: 鉄鋼
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・イボキン(以下、同社)は、兵庫県を地盤としたリサイクル総合企業である。解体工事、リサイクル処理、金属加工までをワンストップで提供する体制を構築しているが、解体事業を成長の柱と位置づけている。
2.財務面の分析
・13/12期~19/12期までの年平均増収率は14.5%だったが、市況下落で15/12期と16/12期は2期連続の減収となり、19/12期も微減収となった。特に16/12期は減価償却費の遡及計上とも相まって利益率が大幅に低下した。その後市況回復で利益率は改善していった。
・産業廃棄物処理を事業とする上場企業との比較では、安全性指標の自己資本比率、成長性指標で優位性がある。収益性も低くはないが、市況の影響を受けやすいことと、解体工事の大型案件の多寡による変動が大きい点には留意しておきたい。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、創業来のリサイクル事業に関する知見の蓄積(組織資本)にある。リサイクルの「質」を重視する方針にいち早く舵を切ったことで「質」の面での先行優位性が確立した。その結果、顧客の蓄積(関係資本)と体制強化(組織資本)を続けて事業拡大を続けてきた。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、解体事業における受注対応力の強化と全国への展開、環境事業における処理量と販売量の増加が挙げられる。
・同社は総合リサイクル企業としての競争力強化を成長戦略の中心に据え、成長事業と位置づけている解体事業の営業体制の強化、ビジネスモデルの進化、信頼性の更なる向上のための体制強化を進めていく。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、今後産業廃棄物処理の市場が伸びにくい状況の中、需要拡大が見込める解体事業を有している点を評価している。今後、質を維持しながら解体工事の施工件数を増やせるか、大型案件の施工に必要な専門人材の確保が進むかに注目していきたい。