グローバルインフォメーション<4171> 委託調査や国際会議・展示会への出展、参加サポートも行う

2021/01/14

特定テーマでの市場・技術動向調査レポートを販売
委託調査や国際会議・展示会への出展、参加サポートも行う

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 市場、技術動向に関する情報提供を行う
グローバルインフォメーション(以下、同社)は海外の調査会社や出版社、国際会議や展示会の主催者からのリサーチやコンファレンス情報を販売している。これら商品の情報をWebサイト上に集約し、市場・技術動向に関するリサーチ情報のプラットフォームとして提供している。概要や目次といったリサーチ内容に関する情報をオリジナルの英語のみならず、日本語、韓国語、中国語(簡体・繁体)で紹介している。同社は幅広い分野でのテーマに対応するため、多くの調査出版会社などとの提携に努めており、300社を超える調査出版会社や国際会議・展示会開催者と販売契約を締結している。

同社の事業は「市場調査レポート」、「年間情報サービス」、「委託調査」及び「国際会議・展示会」の4つに区分されている(図表1)。市場調査レポート事業が売上高の凡そ8割を占めている。国際会議・展示会についてはコロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、足元の売上高は低調な状態にある。

同社が取り扱う調査カテゴリーは成熟産業から先端的な分野に至るまで幅広く、売上高に関しても特定の分野への極端な偏りはない(図表2)。このことは、同社の顧客企業の属する業界が多岐に亘っていることも表している。

◆ 市場調査レポート
調査分析会社のアナリストが市場や技術動向について体系的にまとめた調査分析レポートを調査出版会社から仕入れて販売している。市場動向の分析や将来予測などについてのレポートが網羅されており、海外市場の動向や新技術に関しての調査ニーズのある顧客に活用されている。

世界各国の調査出版会社と契約を結ぶことで、Webサイト掲載レポート数は年々増加しており、11月末時点では9万点を超えている(図表3)。毎月800以上のペースで掲載レポートは増加しているとのことだが、一方で提供する情報の鮮度を維持するうえで、おおよその目途として3年を経過したものは、Webサイトから消去されてゆく。

取り扱っているレポートの平均的な価格は4,000ドル~5,000ドルとなっており、10,000ドルを超えるレポートも多く存在する。高価なレポートが多いため、「目次やサンプルだけではなく、内容を確認したい」、「必要な情報がカバーされているか知りたい」といった顧客の要望に応えるために同社独自のサービスである「試読サービス」というものを提供している。同社の提供する調査レポートの約6割が試読可能である。

試読サービスでは原本の貸し出しは行わないが、オンライン或いは対面で1時間ほどの時間をかけて顧客に内容を確認してもらっている。顧客満足度の向上につながるサービスだが、調査出版会社との信頼関係があって、初めて可能となるサービスであり、差別化要因のひとつとなっている。

◆ 年間情報サービス
年間単位で契約し、継続的に市場・技術動向に関するリサーチを提供するサービスである。オンラインデータベース型、サブスクリプション型、定期刊行型など調査出版会社ごとに提供方法は異なる。

同社の営業担当者がリサーチ内容の説明をするため、顧客は言語や時差の違いといった煩わしさを感じることなくサービスを購入することができる。顧客の利用目的としてはプロジェクトのための情報収集や、継続的に特定データを把握しておきたいといったニーズに基づくものがある。

顧客が特定のプロジェクトに取り組んでいる期間に利用するといったものから、4年、5年と長期に亘って利用されているケースもある。

◆ 委託調査
既存の調査レポートではカバーできない顧客のリサーチニーズに対して、調査を受託して実施する事業である。同社の提携先から最も調査ニーズにマッチする調査出版会社を選定し、同社が調査の進捗管理などを行う。

◆ 国際会議・展示会
世界各地で開催される国際会議や展示会への参加者を募集する事業である。国際会議や展示会の主催者が作成した英語版Webページを日本語、中国語、韓国語に翻訳して提供している。希望者は同社のWebサイトを通しての申込みや参加費の支払いまで行うことができる。また、会議についての問い合わせなどにも対応している。

国際会議・展示会事業はコロナウイルス感染症拡大の影響を最も受けた事業であるが、その対応としてオンライン開催の会議や展示会の取り扱いを20/12期より開始した。

◆ 収益モデル
市場調査レポート、年間情報サービス、委託調査、国際会議・展示会の各事業とも顧客から受注後に発注を行うため在庫リスクはない。

19/12期の同社の売上総利益率(「販売高-仕入高」÷「販売高」×100)は43.0%であったが、市場調査レポートの売上総利益率が46.3%と全社の売上総利益率を上回っているだけで、他の事業は平均以下の水準にとどまっている。売上総利益率の高い順から、市場調査レポート、委託調査、国際会議・展示会、年間情報サービスとなる。

同社は海外の調査出版会社からUSドル、ユーロ、ポンドなどの通貨建てで仕入れており、Webサイトには各通貨建て価格を当日の為替レートで換算した価格が記載されている。このため為替変動リスクは基本的には負わないかたちになっている。ただし、海外の売上構成比が19/12期は30%に達しているが(図表4)、海外顧客への販売についはそれぞれの現地通貨に換算された代金を受け取り、その後円転しているため、円転時の為替レートの影響を受けることになる。また、支払いに充てるための外貨を保有しているが、その部分も為替変動の影響を受ける。

◆ 第1四半期に売上・利益が偏る傾向がある
同社の業績パターンの特徴としては第1四半期(1月~3月)に売上高と利益が偏る傾向がある点が挙げられる(図表5)。1月から3月は顧客企業の年度末にあたる場合が多く、市場、技術動向に関する調査報告書を購入する傾向があるためである。

19/12期は通期売上高の3分の1、同じく営業利益の半分強が第1四半期に計上されている。20/12期はコロナウイルス感染症の影響が第2四半期以降、強く表れていることもあり、20/12期会社計画に対する第1四半期の比率は売上高が40.3%、営業利益が79.2%と、19/12期の構成比よりも更に高い数値となっている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。