ココペリ<4167> 全国の地域金融機関と連携して、中小企業に対して経営・業務支援プラットフォームを提供

2021/01/05

全国の地域金融機関と連携して、中小企業に対して経営・業務支援プラットフォーム
を提供

業種: 情報・通信業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ 地域金融機関と連携し、中小企業の経営を支援する事業を展開
ココペリ(以下、同社)は、中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」の提供を主に、企業のデータを活用した AI(人工知能)モジュー ル注 1 「FAI」、中小企業及び個人事業主向け経営支援サービス「IT サポート サービス」を提供している。21/3 期第 2 四半期累計期間の売上高の 82.0% が「Big Advance」によるものである。

◆ 中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」
同社は、日本全国の地域金融機関に対して、SaaS 注 2 型の中小企業向け経 営支援プラットフォーム「Big Advance」を提供している。各金融機関は「〇〇 Big Advance」というように金融機関の名称などを冠して、それぞれの取引先 中小企業に対してサービスを提供している。例えば京都銀行(8369 東証一 部)であれば「京銀 Big Advance」といったかたちである。導入金融機関の取 引先の中小企業は会員登録をすることで、オンラインでサービスを利用する ことが可能になる。

「Big Advance」には、中小企業にとって事業及び日常業務を支援する機能 が搭載されている。「Big Advance」の会員企業は、初期費用をかけることな く、月額 3,000 円(税抜)で基本機能を活用できる(図表 1)。

「Big Advance」の収益源は、金融機関から受領する、サービス導入時の初 期導入費用及び、毎月の運用・保守費である。運用・保守費は継続課金型 で、金融機関からの月額固定報酬と、金融機関と会員企業との間の月額利 用料に関するレベニューシェアにより構成されている。初期導入費用は、地 方銀行 600 万円、信用金庫 400 万円、月額固定報酬は地方銀行 50 万円、 信用金庫 30 万円である。レベニューシェアは、金融機関が会員企業から受 領する月額利用料の 50%に相当する 1,500 円を毎月受け取っている。

「Big Advance」を導入している金融機関は、20 年 9 月末時点で 42 社となっ ている。全国の第二地方銀行や信用金庫を中心に導入が進んでいる。

「Big Advance」の会員企業の構成は、地域金融機関の融資先構成に概ね 比例して、製造業や建設業、卸売業の割合が高いようである。会員企業数 は、導入金融機関数の増加に伴い、18 年 9 月の 1,036 社から 20 年 9 月に は 27,914 社まで増加している。

会員企業の獲得経路は、ほぼ全てが「Big Advance」を導入している地域金 融機関の営業員による営業である。地域金融機関は、競合先との金利競争 が進む中、提案力による差別化を目指しており、「Big Advance」を顧客への 新たな価値提案として活用している。新型コロナウイルス感染症が蔓延して 以降は、同社はリモートでの導入セミナーを 2 週間に 1 回程度のペースで、 地域金融機関の集客のもと実施している。毎回 100 社以上が参加し、成約 率は 5 割を超えているようである。

◆ 人工知能モジュール「FAI」
「FAI」は、企業の様々なデータから意味や妥当性を抽出し、最適な結果を 分析・予測する AI モジュールの総称である。主にニューラルネットワーク注 3 のアルゴリズムを用いて、金融機関や中小企業の業務を支援するモデルを 実装している。「FAI」は、金融機関向けシステムベンダーである日本ユニシ ス(8056 東証一部)が提供する金融機関向け営業支援ツール「CoreBAE」 内のモジュールにも採用されている。

◆ IT サポートサービス
同社は、中小企業に対して、記帳代行・給与計算サービスを中心としたバッ クオフィス業務のアウトソーシングを受ける「IT サポートサービス」を 07 年 6 月より提供している。また、同社は、税理士向けの業務・顧問先管理ツール や士業事務所などのホームページ作成等も行っている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。