バルミューダ<6612> 販売チャネルは国内では自社のオンラインショップや家電量販店など
企画、開発、デザイン等は内製化し製造は外注する高級家電のファブレスメーカー
販売チャネルは国内では自社のオンラインショップや家電量販店など
業種: 電気機器
アナリスト: 松尾 十作
◆ 家電等のファブレスメーカー
バルミューダ(以下、同社)グループは、同社及び完全子会社で連結対象のBALMUDA Europe GmbHの2社で構成されている家電メーカーである。家電製品の企画や開発、デザイン等は内製化し、製造は国内外のメーカーに発注しているファブレスメーカーである。大半の製品は中国や台湾の製造委託先から仕入れている。19/12期の販売高の製品分野別構成比は、キッチン関連が48.5%、空調関連が43.2%、その他が8.3%となっている(図表1)。
19/12期の所在地別売上高は日本が67.2%、韓国が22.8%、台湾、その他が10.0%となっている(図表2)。
販売チャネルは、家電量販店、百貨店、自社のオンラインショップ、EC事業者、海外の代理店等である。19/12期の販売先のトップは、韓国での代理店であるLimotech Korea Co.,Ltd.で、総販売高の22.8%を占めた。次に販売依存度が高いのは主として輸入家電の卸や小売り、住設機器や空調機器の販売・工事を行うミツバ(東京都台東区)で総販売高の10.8%を占めた(図表3)。
◆ 従来にない機能を追求した家電製品で消費者への訴求力を高める
同社は、03年5月に最初の製品であるノートパソコン用冷却台の販売を開始した。10年4月に販売したDCブラシレスモーターを搭載した扇風機「GreenFan」で、消費者の認知度が高まった。3万円超の価格にも関わらず、扇風機(GreenFanシリーズ)は、累計50万台以上を販売する、同社の代表的な製品である。
その後、タンクレス構造を実現した加湿器「Rain」、航空機のジェットエンジン技術を応用して大容量の空気を静かに循環させることができる空気清浄機「BALMUDA The Pure」、活性炭脱臭フィルター搭載のポータブルサーキュレーター「GreenFan C2」を発売するなど、空調関連製品のラインナップが充実していった。
キッチン関連製品の第一弾として、15年にスチームトースター「BALMUDA The Toaster」を発売した。水補給でトースター内の湿度を高めることにより、簡単においしいトーストを作ることができるトースターである。価格は2万円超だが国内外で評価され、累計100万台以上を販売している。スチームトースターに続いて、注ぎ心地を追求した電気ケトル「BALMUDA The Pot」、釜を二重にして蒸気の力で炊き上げる炊飯器「BALMUDA The Gohan」等、キッチン関連製品のラインナップも充実していった。
空調関連製品は季節性があり在庫管理が難しいが、キッチン関連製品は季節性がないため、在庫管理がし易く経営の安定の礎となった。
その他の製品群では、自然界の色に近いスペクトルが特徴の太陽光LEDデスクライト「「BALMUDA The Light」、ポータブルLEDランタン「BALMUDA The Lantern」等の照明関連製品、360°全方位に音が広がるワイヤレススピーカー「BALMUDA The Speaker」等の音響関連製品がある。同社の場合、新製品発表から販売まで1カ月半から2カ月の期間があるが、同社のオンライン販売において、BALMUDA The Speakerは販売までの期間の予約数が過去最高となった。
同社の製品は、同業他社製品に比べ高価格でありながら、従来にない機能で消費者への訴求力を高めている。