スタメン<4019> 組織サーベイ、コンサルティング、社内制度運用クラウドを一気通貫で提供

2020/12/18

企業のエンゲージメント向上を支援するプラットフォーム事業を展開
組織サーベイ、コンサルティング、社内制度運用クラウドを一気通貫で提供

業種: 情報・通信業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ エンゲージメント経営プラットフォーム事業を展開
スタメン(以下、同社)は、エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」を企画・開発・販売する事業を展開している。

同社は、エンゲージメントを、会社と従業員の信頼関係及び、従業員同士の信頼関係が確立されている状態と定義付けており、待遇や環境など与えられるモノの上に成り立つ従業員満足度とは異なる概念と考えている

エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」は、企業のエンゲージメント向上を支援するプラットフォームである。エンゲージメントの向上、及び組織状態を改善するためには、①現状の課題を明らかにしたうえで、②それに対して適切な施策を設計し、③さらに設計した施策を継続的に実施していくという3つのステップが必要と同社は考えている。「TUNAG」は、それぞれのステップに対して、「エンゲージメントサーベイ」、「組織改善コンサルティング」、「社内制度運用クラウド」というソリューションを提供している。

「エンゲージメントサーベイ」は、組織のエンゲージメントスコアを診断するアンケートをクラウドツールで提供している。アンケートはスマートフォンやパソコンから約10分で回答することが可能であり、診断レポートがクラウドツールから自動生成され、その結果から課題を把握し、改善施策の検討に役立てることが可能である。

「組織改善コンサルティング」は、エンゲージメント向上に必要な様々な要素(会社理解・共感、上司や同僚との関係、承認欲求注1等)にアプローチする

「社内制度」の企画・設計・提案を行っている。コンサルティングは同社の専任コンサルタントが行う。同社の専任コンサルタントは、同社に蓄積された300を超える企業の制度設計・運用の事例の紹介を中心に、顧客課題に応 じた社内制度の企画・設計・提案を行っている。

同社によると、顧客企業が社内表彰やピアボーナス、メンター制度といった社内制度を設計する際の参考として、入手可能な他社事例が少ないため、同社が蓄積した事例へのニーズは強いようである。

「社内制度運用クラウド」は、設計された社内制度が現場に浸透せず、形骸化するという事態を防ぐための仕組みをクラウドツールとして提供している。

「TUNAG」のクラウドツール上では、社内制度が一元的に見える化されており、従業員が利用しやすい環境が整っている。社内制度が利用されたときには、利用された場所、一緒に参加した従業員、写真などの内容がタイムラインとして自動で投稿され、それを見た他の社員との新たなコミュニケーションを発生させるともに、さらなる社内制度の活用を促す。こうして投稿が蓄積されていくことで、次第に、社内文化の構築、浸透が進んでいくと同社は考えている。

顧客企業は、自社のニーズに応じて、上記3 つからサービスを選択して、「TUNAG」を契約し、活用することが可能である。

収益モデルとして、同社は、顧客が「TUNAG」を導入する際に、初期導入費を受け取る。その後は、利用期間に応じて利用料・オプション料を月次で受け取る。月額利用料は、従業員数で決まり、50 人までは10 万円、1,000 人までは65 万円、1,000 人以上は都度見積りである。初期導入費の定価は月額利用料の4 カ月分である。

◆ 顧客構成と販売チャネル
同社は、17 年4 月に「TUNAG」を正式にリリースした。同社の経営陣や株主のネットワークを活用した営業や、同社社員による架電営業によって、リリースから1 年で約80 社から契約を獲得した。その後、導入実績と認知度の高まりと共に、Web 問合せや顧客からの紹介、展示会を通した獲得が増えるサイクルができ、20 年9 月末時点で310 社が「TUNAG」を導入している。

同社の顧客構成について、業種は外食、小売業などのサービス業やクリニックが多いようである。同社によると、多数の職制に応じた情報の出し分けができる点が特に評価されている。企業規模について、20 年9 月末時点の契約先企業の構成は、従業員数が100 人~999 人が48%、99 人以下が29%、1,000 人以上が23%と、中小・中堅企業が中心である。直近1 年では、大企業のクラウド活用が進んでいる事、大企業での受注実績が増えた事で、従業員1,000人以上の大企業からの受注が増加している。

新規顧客の獲得経路は、約30%がWeb 問合せ、約25%が既存顧客からの紹介、約25%が架電などのアウトバウンド、約20%がイベント出展である。

顧客企業の窓口は、中堅・大企業では人事部門、中小企業では経営者が多い。大企業では、従業員満足度など社内サーベイのスコアの低さ、中堅・中小企業では社内の雰囲気が良くない事等への問題意識をきっかけに、エンゲージメント関連のサービスの導入を検討するケースが多い。複数社のサービスを検討する顧客が大半であり、その中で同社へ問合せが来る。

同社によると、外食やスーパーは業界内の企業間のつながりが強く、「TUNAG」への満足度の高い企業が、同社に同業他社を紹介しているようである。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
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