トヨクモ<4058> しばらくは安否確認サービスの拡販の進捗動向を確かめていく局面となろう

2020/09/30

安否確認サービスやkintone 連携サービス等法人向けクラウドサービスを展開
しばらくは安否確認サービスの拡販の進捗動向を確かめていく局面となろう

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野敬太

◆ 安否確認サービス等の法人向けクラウドサービスを提供
トヨクモ(以下、同社)は、サイボウズ(4776 東証一部)がクラウドサービス分 野で新規サービスを確立するために 10 年 8 月に設立したサイボウズスター トアップスが前身である。その後 MBO を経てサイボウズから独立し、現在に 至るが、一貫して法人向けクラウドサービスを提供してきている。

同社のクラウドサービスは、IT 初心者であっても難なく使えることを目指すも のであり、簡単な操作、シンプルな機能、分かりやすいデザインをサービス のコンセプトとしている。

同社の事業は、法人向けクラウドサービス事業の単一セグメントだが、緊急 時に従業員の安否を確認するとともに会社と従業員との間で簡単に情報共 有ができる安否確認サービスと、サイボウズが提供する業務アプリケーショ ン構築サービス「kintone(キントーン)」と連携して機能を発揮する kintone 連 携サービスに分類される。両サービスの具体的な売上高の金額の開示はな いが、19/12 期の kintone 連携サービスの売上構成比は 59%である。

◆ 安否確認サービス
安否確認サービスは、災害時に従業員等の安否確認を携帯電話やスマー トフォン、PC で行うクラウドサービスである。社内ネットワークの障害時の緊 急連絡用としても活用できる。災害時はアクセスが急増することが予想され るが、クラウドサービスである特徴を活かし、サーバー拡張を自動的に行うこ とができる。

創業の翌年の 11 年 12 月に「トヨクモ安否確認サービス」を開始し、16 年 12 月に「トヨクモ安否確認サービス 2」にバージョンアップされている(「安否確認サービス」は現在新規販売を終了している)。顧客企業にとっては利用料 金だけがかかり、初期費用、追加費用、サーバー費用、バージョンアップ費 用はかからない。

同社の安否確認サービスは順調に契約数を増やし、20 年 6 月末時点での 有償契約数は 1,789 件となっている。

◆ kintone 連携サービス
「kintone」は、サイボウズが提供する、売上管理や顧客管理といった業務に 必要なアプリケーションをプログラミングスキルがなくても作成できるプラット フォームサービスである。

「kintone」は、ログインしたユーザーだけが情報の登録や参照ができる社内 の業務システムとして活用される。当然、「kintone」を単独で使用しても良い が、実務においては社内外で情報を共有する業務も多く、「kintone」だけで はその対応には限りがある。そこで、そうした社外を巻き込んだウェブシステ ムを構築したいという需要を満たすために利用されるのが kintone 連携サー ビスであり、ユーザーは「kintone」と kintone 連携サービスを組み合わせて利 用する。

同社は 7 つの kintone 連携サービスを提供している(図表 2)。年々着実に契約数を伸ばし、20 年 6 月末時点での有償契約数は 3,448 件となっている (図表 3)。

◆ 販売は直販が多い
安否確認サービス、kintone 連携サービスの両方とも、直接販売または代理 店経由で販売されている。詳細の開示はないが、全体として、直接販売が 全売上高の約 3 分の 2、代理店経由が約 3 分の 1 と推察される。

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