STIフードホールディングス<2932> コンビニ惣菜需要の増加を追い風に売上成長が続く見込み

2020/09/29

セブン‐イレブン向けが中心の水産原料に強い食品メーカー
コンビニ惣菜需要の増加を追い風に売上成長が続く見込み

業種: 食料品
アナリスト: 藤野敬太

◆ 水産原料に強い食品メーカーでセブン‐イレブン向けが中心
STIフードホールディングス(以下、同社)は、水産原料素材の調達から製 造・販売までを一貫して行う水産原料に強い食品メーカーである。セブン‐イ レブン向けの食品または食材を多く扱っている。

同社の前身は 88 年に設立された新東京インターナショナルで、水産商社と して魚介類の輸出入を中心に、冷凍品や食材の販売を手掛けていた。工 場の設備投資で資金需要が強かった時に、リーマンショックの影響で円高 が進行した時に為替予約で多額の損失を出し、10 年 4 月に民事再生法の 適用を申請するに至った。その後、極洋(1301 東証一部)がスポンサーとな り、事業を立て直すこととなった。事業立て直しの過程で、為替リスクを負う 水産商社の事業からは撤退し、食品と食材に事業を集約した。現在は同社 と連結子会社 6 社、非連結子会社 1 社でグループを構成している。

事業立て直しの経緯で、極洋が同社株式の 30.0%を保有し、極洋の持分法 適用関連会社となっていたが、上場時の売出しにより極洋の保有比率は 9.43%となり、持分法適用関連会社から外れた。

同社は事業セグメントの区分を行っていないが、食品と食材に売上高を分 類している(図表 1)。食品の成長が目立ち、20/12 期第 2 四半期累計期間 (以下、上期)にはその売上構成比は 82.1%まで上昇している。

◆ 製品分類(1)~ 食品
食品は、コンビニエンスストア向けを中心とした水産惣菜と、水産原材料を 用いた缶詰・レトルト製品に分類される

水産惣菜は、一部冷凍惣菜もあるがチルド(冷蔵)製品が主で、国内外で水 揚げされた原料を、チルド温度帯で下処理、骨取り、加熱調理、冷却、包装 までを一貫して手掛けていることが特徴である。電子レンジで温めるだけで 食べられる焼魚などが代表例である。特殊な包装機械を導入するなどの工 夫を重ね、14年頃に一般的に2日間と言われているチルド惣菜の消費期限 を 10 日間まで延ばすことを実現している。この技術面でのブレイクスルーに より、事業が拡大している。

缶詰・レトルト製品は、保存用商品というより、日常使いの惣菜としての商品 を投入している。

◆ 製品分類(2)~ 食材
食材は、主にコンビニエンスストア向けのおにぎり、弁当、サラダ等に使われ る水産食材であり、食材商社経由でデイリー惣菜メーカーに供給している。 製品はサーモンフレーク、イクラ、辛子明太子等である。加工のための製法 技術に関する特許を複数保有している。

◆ 顧客
同社の製品は、最終的にセブン‐イレブンの店舗で販売されるものが多い。 そのため、セブン‐イレブン・ジャパン及びセブン‐イレブン・ジャパンが指定 する販売先 3 社(ベンダーサービス、三井食品、リテールシステムサービス) の合計 4 社向けの売上構成比は、18/12 期 83.5%、19/12 期 84.9%と高い水 準となっている。中でもセブン‐イレブン・ジャパンに直接販売するものが多く、 全売上高の半分を超えている(図表 2)。

◆ 製造
製造拠点として、東北、関東、東海、九州の4エリアに6工場を保有している。 工場ごとに得意分野や得意商品があり、組み合わせることで 3 温度帯(チル ド、常温、冷凍)のどれにも対応できる製造体制となっている。

6 工場のうち、コンビニエンスストア向け水産惣菜を製造しているのは、関東 の船橋工場と白岡工場、九州の福岡工場の 3 工場である。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。