Sun Asterisk<4053> 2つのサービスラインのエコシステムによるワンストップサービスが特徴

2020/08/05

デジタルトランスフォーメーションによる新規事業開発支援サービスを展開
2つのサービスラインのエコシステムによるワンストップサービスが特徴

業種: 情報・通信
アナリスト: 藤野 敬太

◆ デジタルトランスフォーメーションや新規事業開発を支援
Sun Asterisk(以下、同社)は、クライアント企業のデジタルトランスフォーメーション注1による新規事業開発を支援している。同社は、新規事業を立ち上げたい企業や事業成長を加速したいスタートアップ企業を顧客とし、デジタルを活用した新たな事業創造(デジタライゼーション)のために、事業アイデアの創出からプロダクトの開発と運用まで、ワンストップで支援する。また、デジタライゼーションを実現するために必要な人材を供給するために、ベトナムを拠点とした事業も行っている。

同社の事業は、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントだが、デジタライゼーションのために顧客と協業するクリエイティブ&エンジニアリングと、デジタライゼーションのための人材を供給するタレントプラットフォームの2つのサービスラインに分類される(図表1)。クリエイティブ&エンジニアリングが全売上高の8割近くを占める主力サービスとなっている。タレントプラットフォームは売上構成比こそ低いものの、クリエイティブ&エンジニアリングのサービスを提供するのに必要な人材を供給する役割も担っており、両サービスラインが揃っていることが同社の競争力の源泉となっている。

◆ クリエイティブ&エンジニアリング(DXソリューション)
クリエイティブ&エンジニアリングは、同社及び18年2月に連結子会社化したSun Asterisk Vietnam Co.,Ltd.(以下、ベトナム子会社)によって提供されるサービスラインである。

デジタルトランスフォーメーション市場には、業務プロセスのデジタル化により主にコストの最適化を目指す「デジタイゼーション」と、事業そのものをデジタル化して収益の成長を目指す「デジタライゼーション」の2つの要素があるというのが同社の認識であり、同社は後者の「デジタライゼーション」の方に注力していくという方針を打ち出している。デジタライゼーションに関連する分野はまだ明確な市場として確立しているわけではなく、既に300超のプロダクトを生み出した実績を持つ同社は、当分野で先行していると考えられる。

新規事業を立ち上げる場合、「小さくマーケットインして、大きく育てていく」という方法でアプローチすることが多い。前半の小さくマーケットインする部分をサービス開発、後半の大きく育てていく部分を事業規模拡大(運用しながら機能強化していく等)というように分けられる。前半だけ、または後半だけについてサービスを行う企業は他にも存在するが、両方をワンストップで提供できる企業は見当たらない。

前半のサービス開発では、事業アイデアの創出や課題抽出、MVP注2の開発及び価値検証を、後半の事業規模拡大では、システムの本開発、追加機能開発等の運用を行っていく。サービス開発には数人程度、事業規模拡大には10人程度が関わることになる。また、事業規模拡大の際には、ベトナム子会社のITエンジニアが参画することが多い。

同社のサービスは、準委任契約または請負契約に基づいて顧客に提供され、それぞれの契約形態に応じた収益を得ている。同社では、3カ月以上継続する準委任契約をストック型、継続期間が3カ月未満の準委任契約及び請負契約をフロー型と分類している。直近3期については、クリエイティブ&エンジニアリングの売上高の約8割がストック型の売上である(図表2)。

ストック型売上の重要指標となる顧客数と月次平均顧客単価は、どちらも顧客の規模に関係なく増加または上昇している。顧客単価が高いエンタープライズの顧客数も着実に増加している(図表3)。なお、エンタープライズの顧客単価が高いのは、同時期に複数の新規事業案件が進行していることが要因であり、同じ種類の案件であれば、1案件ごとの規模はエンタープライズでもSMB注3でも大きく差がない模様である。

◆ タレントプラットフォーム(人材育成ソリューション)
タレントプラットフォームは、DX推進のためのIT人材(タレント)の育成と紹介を行うサービスラインである。同社とベトナム子会社のほか、18年12月に連結子会社化したグルーヴ・ギアがサービスを提供している。

タレントプラットフォームに関しては、ベトナム子会社は、主に、ベトナム等のアジア各国のトップ大学との産学連携による「高度IT人材育成の選抜コース」の運営を行っている。この選抜コースは、日本のODA事業及び独立行政法人国際協力機構(JICA)による技術協力事業として実施されていたプロジェクトから発展拡大した事業によるもので、日本でエンジニアとして就職を希望する学生を集めたコースである。現在、6校で1,444名(20年4月1日時点の1~5年生の合計)の学生が在籍している(図表4)。そして、このコースで育成した人材を、ジョブフェアを通じて日本国内の企業へ紹介している。企業のジョブフェア参加料と、採用決定時の成功報酬が同社の収益となる。

日本国内では、同社がIT人材の発掘・育成、紹介、派遣を行っている。その中には、クリエイティブ&エンジニアリングの顧客を対象とした人材紹介も含まれている。また、グルーヴ・ギアはプログラミングスクール「GEEK JOB」を通じて、エンジニア未経験者や転職希望のエンジニアの育成を行っている。顧客に対する人材紹介や人材派遣、業務委託により収益を得ているほか、グルーヴ・ギアではスクールの受講料も収益となる。

◆ 2つのサービスラインが相互作用するエコシステム
クリエイティブ&エンジニアリングとタレントプラットフォームの2つのサービスラインは、それぞれ個別に展開されているわけではなく、相互に連携している。

顧客とともにデジタライゼーションをベースとした新規事業開発案件に取り組むクリエイティブ&エンジニアリングでは、案件を経験するごとにナレッジが蓄積されていく。そのナレッジは、カリキュラム提供という形で、タレントプラットフォームにおけるITエンジニアの育成に活用される。ITエンジニアの育成により、人材そのものがクリエイティブ&エンジニアリングに供給されるとともに、育成の過程で得られた知見もまたフィードバックされ、クリエイティブ&エンジニアリングのノウハウとして蓄積される。

このように両サービスラインが相互に連携するエコシステムが構築されているのが同社の大きな特徴だが、そのエコシステムを支えているのが、自社開発のデータプラットフォーム群である。ベトナムのクリエイターやエンジニア向けのナレッジ共有プラットフォームである「Viblo」、最適な人員配置を可能にするタレントマネジメントプラットフォームである「Rubato」、安定したDevOps注4を実現するためのシステムである「Sun* CI」が稼働している。

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