レオクラン<7681> 大型案件の有無で業績の変動は大きく20年9月期は減収減益の見込み
医療施設や介護・福祉施設の新増改築案件を得意とする「狩猟型」医療機器商社
大型案件の有無で業績の変動は大きく20年9月期は減収減益の見込み
業種:卸売業
アナリスト:藤野敬太
1.会社概要
・レオクラン(以下、同社)は、医療施設や介護・福祉施設の新増改築案件の支援を得意とする「狩猟型」スタイルの医療機器商社である。新増改築時の基本計画提案、設計、設備工事等をワンストップで手掛けている。
2.財務面の分析
・医療施設の新増改築案件を対象とすることが多いため、業績の変動が大きく、15/9期以降増収増益と減収減益が繰り返されてきた。中でもゼネコン各社による受注調整の影響を受けた17/9期は減益幅が大きかったが、建物の着工が進んだ18/9期以降、業績は大幅に改善した。
・上場している医療機器商社との比較では、19/9期が好業績だった点を割り引く必要はあるものの、収益性、安全性、成長性の指標は総じて他社より優位にある。大型案件が計上された時の「狩猟型」のビジネスモデルの特性が表れた分析結果と言えよう。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、「狩猟型」のスタイルを崩さずにビジネスモデルを磨き上げていった代表取締役社長の存在(人的資本)にある。顧客紹介のネットワークの多くが代表取締役社長によるもので、獲得した案件での経験を蓄積して体制を強化し、次の案件を獲得して成長してきた。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、コンサルティング営業力の強化と、業績変動の平準化への対応が挙げられる。
・同社は、既存のビジネスモデルでの更なる成長のために新増改築案件獲得の能力・体制に更に磨きをかけるとともに、業績変動の平準化のため、対応できる案件の領域拡大を図っていくことを経営戦略としている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、同社の「狩猟型」ビジネスモデルは、病院経営者の経営視点に寄り添いながら、中長期的な関係性を構築し、断続的に病院経営の支援という価値を提供するものと認識している。当面は業績変動が大きい展開が予想されるが、変動の平準化よりも、短期業績の変動に耐えられる体制を構築できるかが、今後の成長の鍵を握ることになろう。