Macbee Planet <7095> 独自の解析ツールや接客ツールにより、生涯利益の大きい顧客の獲得を支援

2020/04/10

顧客が生涯でもたらす利益に焦点を当てたマーケティング支援事業を行う
独自の解析ツールや接客ツールにより、生涯利益の大きい顧客の獲得を支援

業種: サービス業
アナリスト:阪東 広太郎

◆ 成果報酬型でマーケティングを支援する事業を展開
Macbee Planet(以下、同社)は、主にインターネットを活用した販売促進、 集客、知名度向上を目指す企業に対して、データ解析プラットフォーム「ハ ニカム」や Web 接客ツール「Robee」等を用いた、マーケティングを支援する 事業を展開している。

同社は、「アナリティクスコンサルティング事業」と「マーケティングテクノロジ ー事業」の 2 つの事業を展開している。19/4 期の売上構成比は、アナリティ クスコンサルティング事業が98.4%、マーケティングテクノロジー事業が1.6% である(図表 1)。

◆ アナリティクスコンサルティング事業
同社のコア事業であるアナリティクスコンサルティング事業は、15 年 8 月の 同社設立と同時にスタートし、急速に事業を拡大してきた。顧客単価の高い美容業界と金融業界を中心としたクライアントに対して、LTV 注 1の高いユー ザーの集客を支援し、CPA 注 2 や成果件数などに連動した成果報酬を受け 取っている。対象広告はアフィリエイトから始まり、現在はアドテクノロジー注 3 を活用した広告などへと拡大している。成果測定の対象となる成果地点は、 サービス申込、契約成立、商品購入など、顧客・案件ごとに決めている。

同社は、データ解析プラットフォームである「ハニカム」を活用することで、複 数のメディアにまたがって出稿している Web 広告の一元管理を行い、同社 が連携している多数のメディアから、クライアントのマーケティング目標に合 致した出稿先を選定し、ランディングページ(LP)注 4 への流入数を高める支 援をしている。

同社は設立の際、アフィリエイトの広告主の多くが、ASP 注 5 やメディアの数 が多く、選定・管理に工数がかかっていることに着目した。加えて、特に継 続的に収益が発生するビジネスでは、ユーザー間の利用量や利用期間の ばらつきに伴い、LTV の幅が大きく、最適な CPA 設定に課題を抱えている 点に着目し、「ハニカム」を活用したコンサルティングサービスを開始した。

同社は、「ハニカム」を活用することで、インターネット上で取得できるマーケ ティングデータ(ユーザー属性、ニーズ、デバイス、媒体等)、および顧客企 業が持つ購買データ(購入単価や購入回数等)を組み合わせたデータ解 析によって、ユーザーの LTV を予測するモデルを構築し、LTV の高いユー ザーの特定、集客に繋げている。

同社は、顧客との間で合意した成果に連動した成果報酬を顧客から受け取 る。成果指標は CPA、成果件数の 2 つのケースが多い。

CPAは、取引開始時は、顧客の現状CPAと同水準のケースが多い。獲得ユ ーザーの LTV の高さが確認されるに従い、CPA を上げていくことが多い。 CPA に加えて、同社が担当する成果件数の増加に繋がることも多く、同一 顧客からの売上拡大に繋がる。顧客との契約期間は半年が大半だが、成果 が顧客に認められると継続するケースが多いようである。

同社は成果報酬の一部を、同じく成果に連動してメディアに支払っている。 同社はクライアントからの成果報酬の増加分の一部を、メディアへの成果報 酬増額などに活用し、集客を更に強化するというサイクルを構築している。

顧客は、美容業界と金融業界の企業が多い。美容業界では美容エステ・サ ロン、通販化粧品など、金融業界ではネット証券、消費者金融など、顧客単 価と限界利益率が高く、ユーザーから継続的に収益が発生し、マーケティン グ予算の多い先が中心である。

同社の売上は少数の顧客に集中する傾向にある。20/4 期第 2 四半期累計 期間において、大広(大阪府大阪市)、クオラス(東京都品川区)、SMBC コ ンシューマーファイナンスの上位 3 社で売上高の 39.9%を占めている(図表 2)。大広は、広告代理店であり、同社の最終的なサービスは主に SBI ネオ モバイル証券(東京都港区)に提供されている。同社によると、SBI ネオモバ イル証券の親会社である SBI ホールデイングス(8473 東証一部)や SMBC コンシューマーファイナンスの親会社である三井住友フィナンシャルグルー プ(8316東証一部)の他の傘下企業まで含めると、構成比は50%を超えると のことである。

新規顧客は、既存顧客等からの紹介が大半で、コンペ等を経て取引を開始 するケースが多いようである。営業は自社で行っており、代理店営業は活用 していないが、クライアントの理由で商流上は代理店を通すケースがある。 特に、美容業界と金融業界では、実績と知名度があること、成果報酬型であ ることが、顧客からの紹介や、取引開始の障壁を下げていると思われる。

◆ マーケティングテクノロジー事業
マーケティングテクノロジー事業では、「Robee」を活用し、データ解析と機械 学習により、消費者の LP への流入経路、行動パターンを収集し、消費者行 動を予測することで、LP 上でのコンバージョン率の向上及び、解約率の低 減につながるマーケティングを実施している。

「Robee」には、ユーザーの流入経路や Web ページ上での行動分析、広告 効果の自動分析などの個別ユーザーの行動特性を把握する機能に加えて、 ユーザー特性に応じて、コンバージョンや解約防止に繋げるためのポップ アップやチャットボット注6などの機能があり、顧客はニーズに応じて機能を選 択することが可能である。

同社は、顧客から初期導入費は受け取らず、成果連動の成果報酬方式、ま たは、定額報酬のサブスクリプション注 7 方式で報酬を受け取っている。契約 期間は半年で、自動更新条項付きのケースが多いようである。

現状の顧客はアナリティクスコンサルティング事業との重複が多い。アナリテ ィクスコンサルティングの顧客に対し、LP 流入後の成果改善や解約率の低 減のために「Robee」を提案し、導入に繋がるケースが多い。最近は、認知 度向上などに伴い、「Robee」単体での導入も進んでいる。

マーケティングテクノロジー事業の19/4期の売上高は75百万円で、構成比 は1.6%に留まるが、セグメント利益率は78.9%と高い。同社は、マーケティン グテクノロジー事業の売上構成比を高めていきたいと考えている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。