スポーツフィールド<7080>スポーツ経験のある人財の採用支
体育会・クラブチーム等の所属学生を中心としたスポーツ経験のある人財の採用支
援サービスに特化
業種: サービス業
アナリスト: 髙木 伸行
◆ スポーツ人財に特化した就職・採用支援事業を行う
スポーツフィールド(以下、同社)と子会社エスエフプラスにより構成される同社グループは、主としてスポーツ人財採用支援事業を展開している。同社は求職者や自社の役職員を人材(Human Resource)ではなく人財(Human Capital)と考えており、人財という言葉を使用している。
スポーツ人財採用支援事業は現役体育会学生注1を対象とする新卒事業部門(新卒者向け)と過去にスポーツ・競技経験のある社会人や引退したプロ・アマアスリートを対象とする中途事業部門(既卒者向け)に区分される(図表1)。
同社の求職者に対するアプローチは、大手人材紹介会社等のマスでのアプローチと異なり、求職者を深く理解した就職アドバイザー(新卒者向け人財担当)や転職アドバイザー(既卒者向け人財担当)が行う1対1のサービスに特色がある。社員の9割以上が元アスリートあるいは現役アスリートであり、スポーツ人財との意思疎通を図る上で共通の土台を持っている。また、各アドバイザーは求人企業の窓口となる人事コンサルタントを兼ねており、人財や企業に対しては希望やニーズに沿った先とのマッチングをし易くしている。
新卒者へのアプローチを例にとると、アプローチするタイミングは1年生~3年生時に、集客経路はインターネットよりは先輩、同期、監督、コーチからの紹介・口コミを重視し、求職者へのコンタクトは複数回且つ長時間行うことにより、求職者とは親密な関係を築いている。
直接会って面談するというアナログ的なコンタクトを重視しているため、拠点網が充実している。19年9月末時点で11オフィス(札幌、仙台、東京、千葉、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡)を設けており、後述する新卒者向けイベント事業の開催エリアは11オフィスに、町田、大宮、浜松、堺・和歌山、滋賀、姫路・明石、岡山、福山、小倉、熊本、久留米を加えた、合計22地域となっている。なお、現時点では11オフィスに加えて、サテライトオフィスを大宮、金沢、姫路、岡山に置いており、需要動向に応じてオフィスに昇格することを考えている。
同社の売上高は新卒者向けイベント事業、新卒者向け人財紹介事業、既卒者向人材紹介事業に区分されている(図表2)。同社サービスは「スポナビ」ブランドを付されて提供されている。
◆ 新卒者向けイベント事業
新卒者向けイベント事業として、スポーツ人財の採用を希望する企業とスポーツ人財が一堂に会し、採用・就職活動の接点を持つことができるイベントを開催している。同社は求人企業からイベント出展料を受け取っている。
全国で開催した20 年卒業者向けイベント回数は143 回に上り、出展ブースの販売枠数は約2,000 に達した(図表3)。
大規模なセミナーを開催する一方で、同社の就職アドバイザーや人事コンサルタントの推薦に基づき人財や参加企業数を絞り込んだ小規模イベントも開催している。また、全参加企業が全参加学生に対して説明できる機会を提供するイベントも企画している。
◆ 新卒者向け人財紹介事業
同社の新卒体育会学生向けサービスであるWeb サイト「スポナビ20XX 注2」に登録した学生に対して就職カウンセリングを行う一方で、求人企業の採用したい人財像を理解し求職者と求人企業をマッチングするサービスも提供している。
マッチング成約数は公表されていないが、20 年3 月卒業生に関しては5,300 名を超える学生を770 社以上の企業に紹介した。
◆ 既卒者向け人財紹介事業
既卒者向け人財紹介事業として、既卒の求職者(転職者)を求人企業とマッチングしている。基本的には、内容は新卒者向け人財紹介と変わらないが、転職アドバイザーによる人財一人当たりの面談回数及び時間は、新卒者向けよりも多くなっている。人財を紹介するに当たり、必ず人財との面談を行い、人財の質を担保している。
既卒者向けのもう一つの特徴としては、入社後のフォローをより緻密に行っている点が挙げられる。人財の入社後1週間、2週間、3カ月、6カ月、1年を目途に人財、採用企業に状況を確認しており、早期退職の予防を図っている。
紹介した人財の定着率が高まることは採用企業の満足度を高めるうえでも重要であるが、紹介した人財の在職期間に応じて成果報酬を返還する契約を結んでいることから、返金リスクを引き下げることにもつながる。
◆ 収益構造
新卒者向けイベント事業の売上高は、求人企業からのイベント出展料となる。
新卒者向け人財紹介事業は学生が内定を承諾し、企業から内定承諾確認書を受け取った段階で成果報酬を受け取り、既卒者向け人財紹介事業は求職者が企業に入社し、同社が企業から入社確認の連絡を受け取った段階で売上高を認識している。受け取った成果報酬は新卒者向けの場合、学生が入社前に辞退すると100%返金しなければならず、既卒者向けの人財紹介の成功報酬は年収の35%となり、入社後3カ月以内に退職すると50%を返金しなければならないという取り決めとなっている。
ちなみに同社の紹介先の業種は職種でいうと営業職や販売サービス、業種でいうと不動産業、建設業、サービス業が多いとのことである。