JTOWER<4485> 携帯電話の5G時代を迎え、携帯通信キャリアの設備投資削減等に貢献
屋内の共用化可能な通信設備を国内外で提供するサービスを展開
携帯電話の5G時代を迎え、携帯通信キャリアの設備投資削減等に貢献
業種: 情報・通信業
アナリスト: 松尾 十作
◆ 主たる事業は通信設備を携帯通信キャリアに提供
JTOWER(以下、同社)は、携帯電話の通信設備共用の通信インフラシェアリングを携帯通信キャリアに提供している。同社の通信インフラシェアリングを利用すると、携帯通信キャリアは個別にアンテナ、配線、中継装置などを設置する必要がなくなり設備投資を削減できる。携帯通信設備を敷設している不動産事業者には設備の簡素化、携帯電話ユーザーには契約している携帯通信キャリアを問わず通信環境の改善といったメリットがある。
連結対象(19年9月末時点)は、出資比率53.0%のナビック、完全子会社Southern Star Telecommunication Equipment Joint Stock Company(ベトナム)、完全子会社VIBS PTE.LTD.(シンガポール)、持分法適用会社は出資比率49.0%のGNI Myanmar Co., Ltd.(ミャンマー)である。
同社グループは通信インフラシェアリング事業の単一セグメントだが、主な事業は国内IBS(In-Building-Solution)事業、海外IBS事業、ソリューション事業である(図表1)。新規事業としてタワー事業を企画及び準備をしている。
主要販売先の上位は国内の携帯通信キャリアが占めている(図表2)。なお、MobiFone service company region 2は、ベトナム国内の通信事業会社である。
◆ 国内IBS事業
同社が独自に開発した通信インフラシェアリングを国内の携帯通信キャリアに提供している。19年9月末時点で、通信インフラシェアリングを導入した物件数は123物件であり、商業施設、オフィスビル、ホテル等多岐に亘っている。地域は関東を筆頭に全国に展開している。
◆ 海外IBS事業
海外では、ベトナム、ミャンマー、マレーシアでの商用サービスを展開している。
ベトナム国内最大手のSouthern Star Telecommunication Equipment Joint Stock Companyを17年7月に買収したことで、海外における商用サービスが始まった。買収時点でSouthern Star Telecommunication Equipment Joint Stock Companは経常黒字、最終損益も黒字であった。19年9月末時点でベトナムでの共用設備の導入物件数は145物件である。
ミャンマーでは、16年10月に現地会社と合弁でGNI Myanmar Co., Ltd.を設立した。商用サービス開始は19/3期で同期の売上高は僅少であり、19年9月末時点での共用設備の導入物件数は5物件である。
マレーシアでは、20/3期に完全子会社(非連結)を設立した。マレーシア国内最大手の通信インフラシェアリング会社であるedotco Group Sdn Bhdと19年1月に戦略的事業提携を締結し、商用サービス開始は21/3期を計画している。
◆ ソリューション事業
クラウドWi-FiソリューションとSITE LOCATORサービスの2つのサービスを提供している。クラウドWi-Fiソリューションは、建物を保有、もしくは管理する不動産事業者向けサービスである。SITE LOCATORサービスは、建物の屋上の遊休スペースの収益化を考えている不動産事業者と屋上への基地局設置スペースを探している携帯通信キャリアとをマッチングさせるサービスである。
◆ 新規事業のタワー事業
タワー事業は18年10月から開始した事業だが、屋外の共用化可能な通信設備(鉄塔、コンクリート柱、ポール、アンテナ等)を提供するとして19年9月末時点では本格展開に向け、各携帯通信キャリアと協議をおこなっている。21/3期中の商用サービス開始を計画している。