ベース<4481> 少数顧客への集中、日中融合の人材力、効率的な組織運営で高利益率を実現

2019/12/23

独立系のソフトウェア受託開発会社
少数顧客への集中、日中融合の人材力、効率的な組織運営で高利益率を実現

業種: 情報・通信業
アナリスト: 阪東 広太郎

◆ 独立系のソフトウェア受託開発会社
ベース(以下、同社)は独立系のソフトウェア受託開発会社である。同社グループは同社及び子会社2社で構成されている。

サービスラインとしては、1)システム開発、2)ERP注1ソリューション、3)その他ソリューションの3つがある。同社はソフトウェア受託開発事業の単一セグメントで、上記区分に関する売上構成比は公表していないが、同社の説明によると、システム開発が売上の大半を占めているようである。エリア別の売上構成比は、日本が94.5%、中国4.2%、その他1.3%となっている。

1)システム開発
システム開発は、①システム開発、②運用保守、③社員支援の3つのサービスから構成される。

システム開発サービスでは、主に金融・流通・製造分野におけるオープン系システム開発注2を行っている。要件定義から運用保守までトータルでサービスを提供している。運用保守サービスでは、顧客の情報システム部門やヘルプデスク部門に同社の人材を常駐させている。開発に参加した技術者をメンバーとして配置することで、顧客の要望にタイムリーに応えられる体制を作っている。社員支援サービスでは、システム開発に付随し、顧客先へ同社の人材を派遣している。システムの企画やエンドユーザーとの要件調整、プロジェクトマネジメント等、主に上流工程を支援している。

2)ERPソリューション
ERPソリューションは、SAP SE注3の製品を中心に、ERP、CRM注4、SAP BASIS注5の3領域でサービス提供を行っている。

3)その他ソリューション
受託開発案件で培った経験をもとに、同社独自のソリューションを構築し、顧客に提供している。例えば、NISA口座開設サービス、マイナンバーサービスの等のソリューションがあり、複数の顧客に導入した実績を持つ。また、同社のソリューションに付随して、業務のアウトソーシング(BPO注6)サービスも提供している。

◆ 高い少数顧客への売上依存度
同社の売上は少数の顧客に集中する傾向にある。富士通(6702東証一部)、みずほ証券、野村総合研究所(4307東証一部)の3社への売上依存度は高い(図表1)。19/12期第3四半期累計期間において、上記3社への売上高は57.7%を占めている。上記3社以外にも売上高比率は10%を超えていないもののNTTデータ(9613 東証一部)への売上依存度も高い。同社によると、この4社と資本関係にあるグループ企業まで含めると、売上構成比は約75%を占めるようである。この他にも100社程度の顧客と取引があり、多くが準大手のシステムインテグレーターや大手プライム顧客など、将来的に売上の柱になりうる顧客が大半のようである。

◆ ビジネスモデル
同社は案件ごとに要員数、売上単価、期間を契約で定めている。案件は受注して納品後に完了するシステム開発案件と、継続して安定的に受注が見込める運用保守及び社員支援に大別される。

案件タイプ別の売上構成比は、顧客毎に異なる。プライム顧客では、システムに関する専門性が高い人材へのニーズから、運用保守や社員支援の比率が高い。システムインテグレーター向けでも、同社の実績が豊富な金融領域では社員支援が比較的多く、それ以外では、システム開発の比率が高くなる傾向があるようである。同社の受注する案件は、契約期間はほとんどが3~6カ月間、エンジニアの人月単価は同業他社と同水準のようである。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。