BASE<4477> E コマースプラットフォーム「BASE」及びオンライン決済サービス「PAY.JP」を運営

2019/10/30

誰でも簡単にネットショップを開設できる仕組みを提供
E コマースプラットフォーム「BASE」及びオンライン決済サービス「PAY.JP」を運営

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 個人を中心にE コマースプラットフォームと関連サービスを提供
BASE(以下、同社)グループは、E コマースプラットフォーム、オンライン決済サービス、資金調達サービス等を提供している。同社はE コマースプラットフォーム「BASE」を提供する「BASE 事業」を、連結子会社であるPAY はクレジットカード決済によるオンライン決済サービス「PAY.JP」及びID 決済サービス「PAY ID」を提供する「PAY 事業」を行っている。この他、連結子会社のBASE BANK はBASE を利用するショップオーナーに対して資金調達サービス「YELL BANK」を中心とした事業を「その他事業」として展開している(図表1)。

BASE 事業は同社が設立された12 年12 月より行われている。PAY 事業は14 年3 月より開始したが、オンライン決済サービスを開発するピュレカを14 年12 月に買収したことでオンライン決済サービス事業の展開が加速した(ピュレカは18 年5 月に清算)。資金調達サービスの開始は18 年12 月である。

◆ BASE 事業
BASE は、「お母さんも使える」をコンセプトに、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを作成・運営できる仕組みを提供するEコマースプラットフォームである。

BASE の主な特徴は、1)初期費用・月額費用が無料、2)「BASE かんたん決済」、3)豊富なテンプレート、4)「BASE Apps」、5)リアル店舗出店スペース及び出品型ポップアップスペースの提供が挙げられる。

初期費用・月額費用が無料であることにより、商品が売れない時期からコストが先行するリスクや負担なくネットショップを運営でき、資本力のない個人や小規模企業にとって利用し易くなっている。このため、副業希望者、個人事業者、小規模店舗、地方自治体等が利用しており、個人でネットショップを運営しているショップオーナーが73%を占めている。

BASE かんたん決済は、クレジットカード決済、コンビニ決済・Pay-easy 注1 決済、銀行振込決済、後払い決済、キャリア決済注2 の5 つの決済方法をBASE により開設したネットショップが導入することを可能にしている。ショップオーナーにとっては決済機能の導入を煩雑な手続きを行わなくても出来る点が魅力となっている。

テンプレートは8 月末現在で11 種類が無料で用意されている。また、クリエイターが作成したオリジナルデザインを購入することもでき、簡単にデザイン性の高いネットショップを作成することを可能にしている。

BASE Apps はBASE をより便利に利用するための拡張機能で、目的に応じて使いたい機能をダウンロードして自分のネットショップに追加できるシステムである。8 月末現在で58 種類の拡張機能を用意しており、一部有料である。

同社はBASEの出店ショップに対して、リアルの場での商品を販売する機会を百貨店等と連携して提供している。渋谷マルイの「SHIBUYA BASE」や10 月中旬に福岡市の天神コアにオープンした「TENJIN BASE」がリアルの場であり、BASE の出店ショップがリアル店舗を開設し、商品を販売することを可能にしている。また、百貨店に商品の販売を任せる出品型ポップアップスペース(一種の期間限定店)としてマルイシティ横浜、なんばマルイ、博多マルイで「OIOI BASE MARKET」を提供している。

SHIBUYA BASE の場合、1 日あるいは2 日程度、長くても1 週間程度の出店となる。BASE のショップ出店者にとってみると顧客と直接接する機会を得られる事の魅力は大きい。また、出店者は売上高の一定額を販売手数料として支払うだけでよく、売上に関係なく固定的な金額を支払うというような負担を伴わないことも、出店者にとってハードルを低くしている。

他にも、ヤマト運輸と連携して「かんたん発送」というサービスを提供している。荷物のサイズ別に全国一律の配送料となっている。

◆ PAY 事業
PAY 事業の主なサービスにはPAY.JP とPAY ID がある

PAY.JP はネットショップが(BASE により作成されたネットショップを除く)、クレジットカード決済機能を簡単に導入できるオンライン決済サービスである。PAY.JP の特徴としては、1)シンプルな料金体系、2)簡単な組込み、3)強固なセキュリティの3 点が挙げられる。「支払のすべてをシンプルに」というコンセプトに基づいたシステム設計であり、導入が簡単に行える。

料金体系は5 つあるが、月間流通総額が数百万円以上の事業者向けプランを除くと月額費用は無料であり、各プランの決済手数料は1 種類か2 種類となっている。ベーシックプランを例にとると月額費用は無料、決済手数料はクレジットカード会社により3.0%または3.6%の2 種類があり、支払いサイクルは月末締め翌月末払いとなっている。

PAY.JP はスムーズに決済機能を組込むことができ、最短で翌営業日から決済機能を利用することができる。EC サイト運営者にとっては決済機能を導入する際に障害となっていた煩雑な手続きや審査時間を大幅に緩和することができる。

PAY.JP のセキュリティ対策は、国際的なクレジットカード5 社(JCB、American Express、Discover、MasterCard、VISA)が共同で策定したクレジット業界のグローバルセキュリティ基準に準拠した運用を行っている。また、実在性の疑わしい取引やチャージバック注3 のリスクを軽減するためにリアルタイムですべての決済を監視している。

PAY ID は購入者向けのID 決済サービスで、予め購入者情報を登録しておけば、クレジットカード番号や住所を入力する必要がなくID とパスワードでログインするだけで決済を行うことができるサービスである。8 月末のアカウント数は250 万を超え、BASE の出店ショップを含め80 万店舗以上で利用可能である。

◆ その他事業
BASE を利用するショップオーナーから将来発生する債権を買い取ることにより、事業資金を提供するYELL BANK 等を展開している。YELL BANK はBASE ショップの将来売上を予測し、その予測に基づいた将来債権を買い取ることによりショップオーナーに事業資金を提供している。

◆ 収益モデル
BASE 事業の主な収益はショップの売上に対して発生する3.6%+40 円の決済手数料及び3.0%のサービス利用料となり(合計で6.6%+40 円)、PAY 事業の収益は流通総額に手数料率を乗じて算出される決済手数料となる。両事業とも流通総額の拡大が収益の拡大につながる。

18/12 期の売上原価率は40.6%となっている。主要な費用は決済代行会社に支払う支払手数料である。

販売費及び一般管理費(以下、販管費)はプロモーション費(広告宣伝費と販売促進費の合計額)、人件費等により構成されている。18/12 期の販管費は2,187 百万円、売上高に対する比率は93.0%と高水準である。内訳を見るとプロモーション費が869 百万円、同36.9%、人件費が769 百万円、同32.7%となっている。事業の拡大のためには知名度の向上と人材の確保が不可欠のため、今後とも両費用項目の増加が見込まれる。

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ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。