レオクラン<7681> 大型案件の有無で短期業績の変動は大きく20年9月期は減収減益の見込み
医療機関や介護施設の新築・増改築案件を得意とする「狩猟型」医療機器商社
大型案件の有無で短期業績の変動は大きく20年9月期は減収減益の見込み
業種: 卸売業
アナリスト: 藤野 敬太
◆ 医療施設や介護施設の新築・増改築に関わる医療機器商社
レオクラン(以下、同社)は、医療施設や介護施設の新築案件や増改築案件を支援することを得意とする医療機器商社である。新築や増改築の際の基本計画の提案、設計、設備工事等をワンストップで手掛ける。
同社の事業は、メディカルトータルソリューション事業、遠隔画像診断サービス事業、給食事業の3事業に分類されている。メディカルトータルソリューション事業が、売上高のほとんどを占めている(図表1)。
主力のメディカルトータルソリューション事業は、同社のほか、レオクラン東海(岐阜県岐阜市)、L&Gシステム(大阪府摂津市)、医療開発研究所(東京都新宿区)が担う。遠隔画像診断サービス事業は京都プロメド(京都府京都市)が、給食事業はゲイト(大阪府摂津市)がそれぞれ担っている。
◆ 「狩猟型」のメディカルソリューションサービス事業
同社によれば、医療機器商社の多くは、安定的な需要のある消耗品の提供を中心に展開することが多いという。対して同社は、顧客の医療施設や介護施設の新築や増改築に付随する医療機器の提供に軸足を置くスタイルを採っている。この点をもって、同社は「狩猟型」医療機器商社と称している。
「狩猟型」であるため、大型の案件である方が効率は良い。14/9期~18/9期に同社が関わった施設の平均病床数は396床で、全国の一般病院の平均病床数の178床を大きく上回っており、規模が大きい施設が顧客の主体となっている。また、同社が販売する医療機器のうち、放射線機器を中心とした大型機器が大半を占めている。
新築や増改築に伴うコンサルティングや医療機器販売の売上構成比は、14/9期~18/9期の直近5年平均で95.1%に達している。
◆ 全国展開
消耗品の提供の場合、継続して確実に納入することが求められる。そのため、消耗品提供を中心とする医療機器商社の多くは、特定の地域に根差す地域密着型の展開をしているところが多い。一方、同社の場合、1つの施設だけで見ると、一度新築や増改築の需要が顕在化すれば、次の需要が出てくるまでには少なくとも10年以上はかかる。そのため、案件があるところには幅広く営業展開していく必要が生じる。
同社では07年以降、近畿中心の展開から全国展開へと方針を転換し、現在、36都府県で販売実績を有している。
また、14/9期~18/9期の累計実績案件数の地域別構成比は、北海道東北地区9.8%、関東地区11.8%、中部地区29.4%、近畿地区21.6%、中国四国地区11.8%、九州沖縄地区15.7%と分散されている。
◆ 「トータルパックシステム」
新築や増改築の需要に対応するため、新築や増改築に関連するコンサルティング、企画・設計支援、IT・ネットワーク構築支援、医療機器の調達・納入、予防医療部門の構築支援、保守・メンテナンスといった一連の業務をワンストップで提供できる体制が構築されている。同社ではこの体制によるサービス提供を、「トータルパックシステム」と称している。
このうち、コンサルティング機能を有していることが同社の大きな特徴であり、14年9月に医療開発研究所を子会社化したことで大幅に機能が強化された。
なお、顧客の需要に対応することを重視するため、特定の医療機器メーカーへの過度の依存を避ける方針を採っている。
◆ 遠隔画像診断サービス事業
遠隔画像診断サービス事業は、連結子会社の京都プロメドが担当している。医療機関からの依頼により、CTやMRI等の医用画像を放射線診断専門医により遠隔で診断し、診断結果等の情報を依頼元に提供するサービスである。京都大学医学部との連携により、常時5~6人の放射線診断専門医が常駐する読影センターを有している。
◆ 給食事業
給食事業は、連結子会社のゲイトが「クックレオ」のブランド名で展開している介護・福祉施設等への給食サービスである。セントラルキッチンでチルド状態にした料理をサテライト厨房(顧客施設の厨房)に配送する「おかず販売」と、委託元の施設の厨房へ職員を配置して食事を提供する「業務受託サービス」の2通りがある。
◆ レオクランの強み
同社の特色及び強みとして、(1)「狩猟型」の医療機器商社として大規模顧客に注力してきた実績、(2)子会社の医療開発研究所を中核としたコンサルティング機能や、自前のIT部門といった顧客に対する提案力を高める部門の存在、(3)設計事務所や建設会社、主要医療機器メーカーとの全国規模での連携ネットワークが構築されていることの3点が挙げられよう。