プロパティデータバンク<4389> 既に高シェアのファンド・J-REIT以外の顧客層向けのシェア拡大余地に期待

2019/09/20

不動産管理業務支援のためのクラウドサービスを提供する不動産テック企業
既に高シェアのファンド・J-REIT以外の顧客層向けのシェア拡大余地に期待

業種: 情報・通信
アナリスト: 藤野敬太

1.会社概要
・プロパティデータバンク(以下、同社)は、顧客が保有する不動産・施設の運用管理支援のための統合資産管理クラウドサービス「@プロパティ」を提供している。ファンド・J-REIT向けでは高いシェアを占めている。

2.財務面の分析
・13/3期末以降、登録棟数の増加に伴い、クラウドサービスは増収基調で推移してきたが、ソリューションサービスの増減収により、全体の売上高及び経常利益の増減が繰り返されてきた。18/3期と19/3期はソリューションサービスの増収が貢献し、2期連続で増収増益となった。
・BtoB向けに特化型のクラウドサービスを提供する上場企業との財務指標の比較では、同社の優位性が際立っているとまでは言い難い。しかし、同社の財務指標の全体的なバランスは良く、比較対象企業の水準まで改善の余地があるという捉え方もできよう。

3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、「@プロパティ」そのもの(組織資本)にある。常にバージョンアップや機能追加が続けられ、不動産・施設の運用業務を統合管理するノウハウが蓄積されてきた。「@プロパティ」はファンド・J-REIT向けで高いシェアを得るに至り、関係資本の増強につながっている。

4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、提案営業力の強化、ソリューション案件の執行力の強化、「@プロパティ」の競争力の更なる向上が挙げられる。
・同社は、ファンド・J-REIT以外の不動産・施設を保有・管理する企業向けでのシェア拡大を成長戦略の中心としている。また、「@プロパティ」とは別の新サービスにより、価値提供できる分野を広げる方針である。長期的には、「不動産DXプラットフォーム」の確立を志向している。

5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、高いシェアを獲得したファンド・J-REIT向け以外でシェア拡大を図る戦略は合理的で、成長余地は大きいと判断する。その分、フロービジネスであるソリューションサービスの売上構成比の上昇により、全体として業績変動幅が大きくなる可能性に留意したい。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。