トビラシステムズ<4441> オレオレ詐欺等の特殊詐欺対策に有効

2019/05/08

モバイル、固定電話向け迷惑電話をブロックするサービスを提供
オレオレ詐欺等の特殊詐欺対策に有効

 

業種: 情報・通信業
アナリスト: 髙木 伸行

◆ 迷惑電話や詐欺電話を防止するセキュリティサービスを提供
トビラシステムズ(以下、同社)は、かかって来た電話が迷惑電話に該当する かどうかを自動的に判別し、オレオレ詐欺や還付金詐欺等の被害を防止す るためのセキュリティサービスや製品を独自開発している。

同社は日本全国の迷惑電話番号等に関する情報を収集し、独自の迷惑電 話番号抽出技術注 1 により生成される迷惑電話番号リストを日々更新してい る。警察・自治体等の公共機関やユーザーからの情報や同社独自で収集し た迷惑電話情報をデータベース化している。同社はこの迷惑電話番号リスト を参照して迷惑電話に該当する電話を着信しないようにするサービスや製 品を提供している。

同社の報告セグメントは「迷惑情報フィルタ事業」と「その他事業」に分類さ れているが、売上、利益の 9 割以上は迷惑情報フィルタ事業によるものであ る(図表 1)。その他事業はホームページの制作運営支援システムの販売及 びシステムの受託開発を行っているが、迷惑情報フィルタ事業に注力する ため、積極的には取り組まない方針である。

迷惑情報フィルタ事業は、「モバイル向けフィルタサービス」、「固定電話向 けフィルタサービス」、「ビジネスフォン向けフィルタサービス」の 3 つのサー ビスで構成されている。この3サービスの各々の売上高は開示されていない が、18/10 期では、迷惑情報フィルタ事業の売上内訳は 95%程度がモバイ ル向けフィルタサービス、5%程度が固定電話向けフィルタサービスによるも のであり、ビジネスフォン向けフィルタサービスの売上高は僅少と証券リサー チセンターでは推定している。

モバイル向け、固定電話向け、ビジネスフォン向けの 3 サービス合計の 19 年1月の利用者数注 2は227.9万人に達している(図表2)。各通信キャリアと ライセンス契約を結んでいるが、ライセンス契約はキャリア毎に従量制契約、 定額契約、レベニューシェア契約に分かれている。このため、必ずしも月間 利用者数の増減が同社の収益に直結するものではない点には注意が必要 であるが、同社のサービス利用者の拡大状況を把握する上では重要な指 標である。

◆ モバイル向けフィルタサービス
ソフトバンク(9434 東証一部)、NTTドコモ(9437 東証一部)、KDDI(9433 東証一部)等の主要通信キャリアと提携し、各キャリアが提供するオプション パックに含まれるサービスの一つとして、同社の迷惑情報フィルタアプリが 各キャリアのアプリという形で、エンドユーザーに提供されている。

オプションパックに加入した契約者は同社のアプリをダウンロードすることで 迷惑電話フィルタ機能を利用できるようになる。更に、スマートフォン等の電 話帳に登録をしていない電話番号であっても同社の電話番号データベース に蓄積された情報を基に公共施設や宅配便業者等の企業の名称を表示す る機能も利用可能となり、安心して電話に応答することができるようになる。

この他、ソフトバンクに対しては、迷惑電話フィルタ機能に加えて、同社が独 自に収集・分析した迷惑メールデータベースを活用して迷惑メールフィルタ 機能も提供している。

同社は通信キャリアと定額、従量課金、あるいはレベニューシェアによる契 約を締結しており、オプションパックの契約数あるいは利用者数に応じた収 益モデルにより、安定した収益基盤を確立している。

◆ 固定電話向けフィルタサービス
通信回線事業者(現時点ではKDDIとKDDI系の中部テレコミュニケーショ ン)のオプションパックとして IP 電話注 3 向けの迷惑情報フィルタサービスを 提供しており、オプションサービス契約数に応じた従量課金による契約を結 んでいる。通信回線業者が提供するホームゲートウェイ注 4 にアプリケーショ ンが内蔵されており、利用者はオプションサービスの利用申し込みを行うこ とで、迷惑情報フィルタサービスを利用できるようになる。

利用者の固定電話に着信があった際に、着信電話番号が迷惑電話に該当 するかどうか同社のデータベースに照合され、迷惑電話と判別されたものに ついては自動的に着信音を鳴らさない仕組みとなっている。

他の IP 電話向けや従来の電話回線向けには外付け型のトビラフォンにより、 迷惑情報フィルタサービスを利用することが可能となる。外付け型端末は本 体正面のLEDの発光色(緑、黄、赤)によって着信電話の安全度を知らせ、 ボタンひとつで着信拒否できる。利用者の着信拒否は同社の管理サーバに 記録され、迷惑電話判定調査の参考となる。

◆ ビジネスフォン向けフィルタサービス
トビラフォンにクラウドサーバにおける通話録音システムや集中型管理シス テムの機能を追加した「トビラフォン Biz 光回線用」を 17 年 6 月より企業向 けに販売している。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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