東名<4439> ストック型ビジネスモデルへの転換の一巡後もストック売上の動向に注目

2019/04/19

中小企業向けに光回線関連商材等のビジネスソリューション商材を提供
ストック型ビジネスモデルへの転換の一巡後もストック売上の動向に注目

業種: 情報・通信業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ NTT の光回線をベースにしたソリューション商材の販売が主力
東名(以下、同社)は、1997 年の創業以来、NTT(9432 東証一部)の回線の代理店を主力業務としてきた。しかし、代理店の業務は新規の回線獲得に対して一定の手数料を得るフロー型のビジネスモデルであり、業績が安定してこなかった。

転機を迎えたのが、NTT が15 年に始めた「光コラボレーション」である。従来の「フレッツ光」(NTT の光回線)は、ユーザーとNTT の間の契約でのみ提供されてきた。代理店はその契約を仲介するだけであった。それに対し、「光コラボレーション」は、いろいろな事業者が、NTTの通信会社から光回線を借り、独自のサービスを追加し、セット商品にして自社ブランドで提供することを可能にする光回線の販売形態である(契約はユーザーと事業者の間で交わされる)。

この「光コラボレーション」の登場を受け、同社も、主力の光回線の代理店販売の事業を「光コラボレーション」に対応したものに変え、「オフィス光119」という自社ブランド商品の販売に切り替えた。従来の回線販売時の手数料収入を失う代わりに、継続してサービスが使われる限り月額利用料が得られることとなり、フロー型からストック型へビジネスモデルが転換した。

同社は中小企業の課題を解決するパートナーとして、課題解決に資する各種商材を提供している。その商材により、同社の事業は、オフィス光119 事業、オフィスソリューション事業、ファイナンシャル・プランニング事業の3 事業に分類されている。オフィス光119 事業が、売上高の約80%を占めている(図表1)。

◆ オフィス光119 事業
「光コラボレーション」の導入により、フロー型からストック型へビジネスモデルが転換した同社の主力事業で、18/8 期の全売上高の82.1%を占める。全国の中小企業・個人事業に対し、光回線やプロバイダの他、オフィスに関するサービスをワンストップで提供する自社ブランド「オフィス光119」の販売を行う。創業来取引のあった約100 万社を対象に、自社運営のコールセンターを通じた営業を通じて、全国に拡販している。

◆ オフィスソリューション事業
18/8 期の全売上高の15.5%を占める。(1)ビジネスホン、UTM注機器、ネットワーク対応型複合機を主要な商材とする情報通信機器販売、(2)LED 照明器具や電気を商材とするエコソリューション、(3)企業のPR 用ホームページをレンタルするサービス「レン太君」の営業を行うWeb サービスの3 分野で構成される。

なお、情報通信機器販売については、レカム(3323 東証JQS)のグループ会社であるレカムジャパン(東京都渋谷区)のフランチャイズ加盟店として岐阜で情報通信機器の販売を行う岐阜レカムと、首都圏を中心に中古を含めた情報通信機器の販売を行うコムズという2 社の連結子会社がある。

◆ ファイナンシャル・プランニング事業
18/8 期の全売上高の2.4%を占める。来店型ショップによる保険の取次業務を行っている。18/8 期末時点で、みつばち保険グループ(東京都豊島区)のフランチャイズ加盟店「みつばち保険ファーム」の店舗を、愛知県と静岡県に7 店舗展開している。

◆ ビジネスモデルの転換を経てストック売上が中心
同社が取り扱う商材は、ストック商材と代理店商材に分類される。ストック商材は月々収入が入ってくるもので、「オフィス光119」関連、ファイナンシャル・プランニング事業のすべて、オフィスソリューション事業のうちのWeb ソリューションが該当する。代理店商材は販売時またはサービス提供時に収入が入ってくるもので、オフィスソリューション事業の大半の商材と、「オフィス光」119 事業の中のフレッツ光代理店販売が該当する。

ビジネスモデル転換前は、全売上高に占めるストック売上の割合は10%に
満たなかったが、「オフィス光119」の契約保有回線が積み上がっていくのに
伴い、18/8 期末のストック売上の割合は81.8%まで上昇している(図表2)。

◆ 販売はコールセンター経由が中心
販売は自社運営のコールセンターでの営業が中心で、案件の約70%がコールセンター営業によるものとされる。残りは対面営業によるもので、営業エリアは関東地方と東海地方である。

◆ 東名の強み
同社の特色及び強みとして、(1)設立以来積み上げてきた約100 万契約の取引実績、(2)複数商材の契約の多さや、オフィス光119 事業における低い

月次解約率に裏付けられる高い継続性、(3)営業の中心となっている自社 運営のコールセンターでのデータ蓄積、(4)約10 万契約(光回線だけでな く他の商材の契約を含む)の自社顧客へのアプローチの機会、(5)顧客ニ ーズに対応できるサービス開発力、(6)100社超の工事業者をネットワーク 化した全国をカバーするサポート体制が挙げられる。

>>続きはこちら(1.26 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。