リックソフト<4429> ソフトウェアの導入支援が主力業務

2019/03/01

ソフトウェア開発の工程管理や課題管理として使用されているアトラシアン社製品の
ソフトウェアの導入支援が主力業務

業種: 情報・通信業
アナリスト: 松尾 十作

◆ アトラシアン社製品のソフトウェアの導入支援が主力業務
リックソフト(以下、同社)グループは、同社と連結完全子会社であるRicksoft,Inc.の2社で構成されており、ツールソリューション事業としてAtlassian Pty Ltd.(以下、アトラシアン社)、Alfresco Software, Inc.(以下、アルフレスコ社)、Tableau Software, Inc.(以下、タブロー社)が開発したソフトウェア及び自社開発のソフトウェアの導入支援を行っている。

ツールソリューション事業の単一事業だが、売上高はライセンス&SIサービス業務、クラウドサービス業務、ソフトウェア開発業務に分類されている(図表1)。

ライセンス&SIサービス業務の主力はアジャイル開発やDevOps(デブオプス)の管理に使用されるアトラシアン社製のソフトウェアの導入支援である。顧客への提案からソフトウェア利用のためのライセンス販売、システム構築、システムの稼働や保守等の業務に係る担当者への研修、運用に係る問い合わせに対応する運用支援といった包括的なサービスを提供している。ユーザーがアトラシアン社製のソフトウェアを導入してシステムを構築し、2年目以降にライセンスを更新する際には、新規ライセンス価格の50%に相当する更新料を受け取る、ストックビジネスとなっている。

アジャイル開発とは、システムを構築するにあたり、要件定義、設計、実装、テストのサイクルを短く設定し、市場環境の変化を受けて要件定義を柔軟に変更する前提で順次開発する手法である。比較的新しい開発手法であり、従来(ウォーターフォール型開発)の開発手法に比べてシステム構築の時間が短縮できるメリットと市場環境の変化のスピードに対応した臨機応変な開発が可能とされている。モバイル分野など技術や仕組みが日進月歩で変化しているシステムを構築する際に強みがある。

システム構築から実際の運用までのプロセスを通じ、複数の組織や担当者が共同で取り組む手法をシステム構築(開発、Dev)と運用(オペレーション、Ops)をつなげたDevOps(デブオプス)と表現している。アジャイル開発とデブオプスとの違いは、アジャイル開発はシステム構築の手法だが、デブオプスは運用までも含む点にある。技術革新が目覚ましい昨今、アジャイル開発やデブオプスでのシステム構築が拡がっている。市場の需要に応じてアトラシアン社の業績も拡大基調にある(図表2)。

14年5月にパートナー契約を締結したアルフレスコ社の文書等ドキュメントの管理ツールや、17年3月にパートナー契約を締結したタブロー社のビッグデータを分析するツールの導入支援の売上高はまだ僅少で、同社にとって今後の事業としての位置づけにある。

◆ クラウドサービス業務
クラウドサービス業務としては、ライセンス&SIサービス業務で取り扱っているソフトウェアをクラウド上で稼働させる場合のクラウドシステムを提供している。24時間365日対応、取扱製品の専任技術者が運用を管理しているクラウドサービスとなっている。特徴として、小規模での運用開始から本格稼働まで対応し、クラウド環境で管理されているデータ保存領域でのデータの保護、クラウドシステムの監視、クラウドシステムを稼働させているハード機器の監視、クラウドシステムのセキュリティ対応等も含まれている。

◆ ソフトウェア開発業務
アトラシアン社の主力製品であるJira やConfluence 注を対象とした自社開発の拡張機能のソフトウェア(アドオン製品)を販売している。国内では顧客の要望に応じて販売している。

海外においてはアトラシアン社のインターネット上の電子市場でRicksoft, Inc.が販売している。なお、国内販売では販売価格の25%をライセンス使用料として、海外では販売価格の25%を市場の使用料としてアトラシアン社に支払っている。ソフトウェア開発業務の海外販売に相当する電子市場での売上高比率は18/2 期は53.5%であったが、19/2 期第3 四半期累計では62.3%と海外売上高比率は上昇している。

Jira は、システム構築の際の課題を管理するためのソフトウェアだが、アドオン製品として「WBS ガントチャート for JIRA」、「Excel like Issue Editor for JIRA」を販売している。前者は、Jira は一覧表示が不得手なため、プロジェクトの各工程を作業レベルにまで分類しツリー構造にまとめた表示機能や、プロジェクト管理の工程毎の計画と進捗を横棒で表現する機能を付加させたものである。後者は、Jira が表形式での課題編集機能をサポートしていない弱点を補う機能を付加したものである。

>>続きはこちら(1.04 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。