一家ホールディングス(7127) 過去最高の売上高・営業利益を見込み

2026/01/08

 

 

 

武長 太郎 代表取締役社長

株式会社一家ホールディングス(7127)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード

業種

小売業(商業)

代表取締役社長

武長 太郎

所在地

千葉県市川市東大和田二丁目4番10号

決算月

3月末日

HP

https://ikka-holdings.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

674円

7,252,600株

4,888百万円

-18.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

24.85円

27.1倍

121.20円

5.6倍

*株価は12/15終値。26年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2022年3月(実)

4,424

-729

-751

189

28.56

0.00

2023年3月(実)

8,376

166

131

80

11.93

0.00

2024年3月(実)

9,232

227

219

78

11.12

0.00

2025年3月(実)

10,089

-74

-100

-172

-24.16

0.00

2026年3月(予)

11,629

320

286

179

24.85

0.00

*単位:百万円、円。

 

 

株式会社一家ホールディングスの2026年3月期上期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2026年3月期上期決算概要
3.2026年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 26年3月期上期の売上高は前年同期比14.7%増の52億15百万円。飲食事業は新規出店や業態変更の他、メニュー価格改定の実施による客単価上昇などで同8.7%増収。ブライダル事業は、婚礼組人数・組単価は縮小したものの、婚礼施行数や宴席及びレストランが好調で同17.2%増収。営業利益は46百万円の損失を計上(前年同期は2億17百万円の損失)。原材料高騰などの影響はあったが、原価率が適正化され売上総利益は同16.7%増加した。ただし、ブライダル事業において婚礼施行数増加に伴う各種コストや積極的な販促施策強化による販管費の増加を吸収しきれなかった。新規出店は2店舗、店舗数は2025年9月末で89店舗。
  • 26年3月期は、売上高は前期比15.3%増の116億29百万円、営業損益は3億20百万円の黒字(前期は74百万円の赤字)の予想。過去最高の売上高・営業利益を見込んでいる。飲食事業については、堅実な新規出店(主軸は「屋台屋  博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」「にのや」)を進めつつ、既存店の収益性の向上、飲食事業の経営基盤の強化を図ることに重きを置く方針。ブライダル事業においては、ブライダル施設「The Place of Tokyo」の更なるブランド価値の向上を図るとともに、引続き主力広告媒体との連携強化による来館数・成約率の向上、サービス力向上及びコスト削減を図る。また、現在育成中のレジャー事業においては、バーベキュー・ビアガーデン業態の店舗運営及び2025年11月29日に開業した茨城県植物園及び茨城県民の森のリニューアル事業である、レジャー施設「THE BOTANICAL RESORT『林音』」(ザ ボタニカルリゾート リンネ)の運営に注力する。
  • 「日本一の“おもてなし”集団」「家族のような会社」に魅力を感じて入社した社員に、同社では様々なキャリアを追求する道も用意している。その一つが「社内起業制度」だ。同社でおもてなしを学び、様々なポジションを経験後、独立を熱望する社員は、経営陣が適材と判断すれば、ホールディングス内で独立することができる。「肉のウヱキ」を運営する株式会社Ego代表取締役 植木 紀彰氏も「社内起業制度」で独立した一人だ。植木氏は新卒入社時から「社長になりたい」と公言していたそうで、独立するにあたっても「いつかは植木さんの下で働きたい」と熱望する社員が数名「肉のウヱキ」に異動するほどの求心力、人間力のある人物とのこと。起業家候補は現在も複数控えており、こうした事例の積み重ねは同社の採用力及び人的資本の強化、同社グループの企業価値向上に繋がることとなろう。
  • 前回の通期決算の説明会の中で「売価の変更はもちろん、メニュー構成の見直しや原価率の週次でのマネジメント強化などにより、今期(26年3月期)に入って足元での原価率は安定」してきている旨の言及があったが、実際に飲食事業は業態問わずに客単価の改善が見られた。また、業態変更が奏功し、汐留店については売上が2倍弱まで増加したことも紹介されたことで、今後のスピード感ある店舗ポートフォリオ管理への期待感も増した印象だ。宴会需要の確保についても、「例年に比べて好調に推移しており、特に客単価の高いコースの受注が好調」と示され、通期決算に向けて徐々に業績期待も高まろう。
  • 武長社長から、「AIの浸透で仕事にかける時間が減り、その時間を使って、家族や大切な人と過ごすことに幸せを感じたり、価値を見いだしたりするような時代が到来しています。それはまさに食・エンターテインメント・レジャーを提供する当社の出番であると考えおり、是非期待していただきたいと思います」とのメッセージを伺った。レジャー事業の立ち上がりも含め、各事業の中期的な伸長にも注目していきたい。

1.会社概要

グループミッションとして『あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団』を掲げ、主力業態である餃子・串焼き・もつ鍋などが中心メニューの「屋台屋 博多劇場」と、炉端・蒸焼・大鍋がメインの「こだわりもん一家」、全卓にハイボールタワーを設置した「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」などを展開。他には類を見ない接客サービス、業界における独自のポジショニング、理念を共有する人材育成のための取り組みなどが特長・強み。
2025年9月末現在、1都3県に89店舗を展開。ブライダル事業、レジャー産業も展開。

 

 

【1-1 沿革】

学生時代の旅の途中、お客様の笑顔に囲まれる飲食業の楽しさ・面白さに魅了された武長社長はホテルでのアルバイトなどサービスの基礎を学びながら資金を貯め、20歳で1997年10月に同社の前身である有限会社ロイスカンパニーを設立し、同年12月には1号店として「くいどころバー一家(現こだわりもん一家)本八幡店」を千葉県市川市にオープンした。
その年の12月22日、来店客からコースターの裏に書かれた「こんな素敵なお店をありがとう。」とのメッセージを受け取った武長社長は、深く感銘を受け、「お客様の喜び・感動は自分の喜び・感動である。」ことを改めて強く認識。
お客様と喜びと感動を分かち合うことを理念に掲げて店創り、会社創りに邁進する。
2000年8月に有限会社から株式会社へ組織変更し、同時に商号を「株式会社一家ダイニングプロジェクト」へ変更。
2010年2月には新業態である屋台屋 博多劇場1号店「屋台屋 博多劇場 成田店」を千葉県成田市にオープン。その後も1都3県で店舗を拡大するとともに、2012年8月にはブライダル施設「The Place of Tokyo」を東京都港区にオープンし、ブライダル事業へも参入し、業容を着実に拡大。2017年12月、東証マザーズ市場に上場、2020年3月には東証1部へ市場変更した。
その後、株式会社一家ホールディングスの設立に伴い、完全子会社となる株式会社一家ダイニングプロジェクトの株式は2021年9月29日付で上場廃止。同年10月1日付で株式会社一家ホールディングスの株式が東京証券取引所市場第一部に上場した。22年4月、東京証券取引所の市場再編に伴って東証スタンダード市場に移行。24年4月に設立した子会社株式会社一家レジャーサービスによりレジャー事業に進出した。

 

【1-2 経営理念】

沿革で述べた武長社長の創業時の強い想いを込め、以下のようなグループミッション、経営理念、社訓を掲げている。

 

(グループミッション)
『あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団』

 

(経営理念)

お客様、関わる全ての人と喜びと感動を分かち合う。
誇りの持てる「家族のような会社」であり続ける。
夢を持ち、限りなき挑戦をしていく。

(社訓)

笑顔であれ どんな時も明るく元気に仕事をせよ。笑顔は活力の源である。
思いやる人となれ 人の喜びや悲しみを共有せよ。心優しき者が繁盛店を創る。
目標を定め、実行せよ 実行の前に目標がある。ゴールを定めない者は結果を出せない。
やり抜く強さを持て 自分を信じ、決して諦めるな。希望は自身の中にある。己に勝て。
前向きに捉えよ 愚痴や言い訳を言うな。否定的な考え方はつまらない人生を呼び寄せる。
素直な心であれ 感動、感激、感謝せよ。吸収力は感受性の高さに比例する。
日々改善、改革せよ 失敗を恐れるな。進化し、変化し、大きく飛躍せよ。

 

【1-3 事業内容】

報告セグメントは「飲食事業」「ブライダル事業」に加え、25年3月期より「レジャー事業」が加わった。売上高で8割を占める飲食事業が成長ドライバーである。

(*)なお、飲食事業は年末・年始が、またブライダル事業は婚礼シーズンである10月、11月が年間を通じた最繁忙期となるため、3月決算の同社においては第3四半期(10-12月)に売上・利益が偏重する季節特性がある点には留意する必要がある。

 

(1)飲食事業
株式会社一家ダイニングプロジェクトが運営する「屋台屋 博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」「こだわりもん一家」「にのや」「韓国屋台ハンサム」に加え、子会社株式会社Egoが「肉のウヱキ」を運営している。各業態とも『あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団』として来店客に喜びと感動を提供するための様々な特長を備えている。

 

業態

特長

「屋台屋 博多劇場」

50店舗(25年9月末)

*「福岡・博多の風物詩である、中洲の屋台街の雰囲気や活気を再現した空間で、気軽で安くて旨い屋台飯を楽しんで頂ける、笑顔と活気があふれた劇場」がコンセプト。

 

*屋台をそのままお店にしたような店舗設計店内の活気やスタッフの笑顔が外からでもわかるように間口を広くし、遠くからでも一目で博多劇場だとわかる、店名の入った提灯やのれん、看板を掲げたファザードを設置。店内に入ると、串焼きや鉄板焼き、おでんといった屋台さながらのオープンキッチンとカウンター席。個室は作らず、開放感のある店内はスタッフの元気や活気が客に伝わる劇場をイメージし、設計している。

 

*「旨くて安い屋台飯」をコンセプトに、メニューを作成毎日手仕込みで作り、鉄鍋で調理する博多劇場名物の「鉄鍋餃子」をはじめ、肉や季節の野菜のほか、色々な食材を串に刺して焼く「博多串焼き」、博多名物である「博多もつ鍋」など。その他、鉄板焼きやおでんなどの屋台飯、辛子明太子や、ごま鯖などのメニューを取り揃え、ドリンクは、ハイボールや店内で仕込む自家製塩レモンサワー、九州の酒蔵より取り寄せた焼酎などを提供している。客単価2,600円。

 

*サービスと商品を組み合わせることで顧客との接点を増やし、客に楽しんでもらうために様々な取り組みを行っている。(「鉄鍋餃子」100個(総重量1.5㎏)を60分以内に食べたら無料イベントの実施の他、年齢同数の餃子の誕生日プレゼント、3回以上の来店で、乾杯ドリンクを通常料金で1リットルサイズに変更するなど独自のアプリ会員システム「屋台屋会員」の運営)。

 

(同社資料より)

 

業態

特長

大衆ジンギスカン酒場

ラムちゃん

15店舗(25年9月末)

*昨今の健康志向の高まりにより、「低糖質」「高タンパク」な食材が注目されヘルシーで太りにくい健康食材が一段と注目されている。脂肪燃焼に効果的なカルニチンを多く含むラム肉と、低糖質でプリン体も少ないウイスキー(ハイボール)を思う存分楽しめることをコンセプトとして、需要を取り込む。客単価3,600円。

 

*全卓に強炭酸ハイボールタワーを設置し、顧客自身でハイボールを好きなタイミングで好きなだけ注ぐことができるため、注文してもなかなか運ばれてこないといった心配がない、ストレスフリーな構造となっている。

 

*こだわりの岩塩で塩締め・低温熟成させ、かつ柔らかく旨みを最大限に引き出した低カロリー高タンパクのラム肉を使ったジンギスカンが最大の売りとなっている。マトンに比べてクセがない(羊肉特有の臭み)ため、男女・世代を問わずに気取らず楽しめる、活気に溢れた大衆酒場。

 

(同社HPより)

 

業態

特長

こだわりもん一家

6店舗(25年9月末)

*「お客様の第二の我が家」をコンセプトに、「いらっしゃいませ」ではなく「おかえりなさい」と出迎えるなど、自分の家に居る様なくつろげるお店造り。

 

*30代~50代のサラリーマンやOLを中心に、家族連れやカップルなど幅広い客層が様々なシーンで利用。客単価4,000円。

 

*店内の中央部分には、その日水揚げされた鮮魚や旬の野菜が並べられた食材のディスプレイを設置。奥には開放感のあるオープンキッチンを配置し、目の前で食材や調理の様子を見ることができる。

 

*日本各地から地魚や旬の野菜、郷土の名物調味料や地酒を仕入れており、素材の味を活かした炉端焼きを中心とした通常メニュー、旬の食材を使用し45日ごとに年8回変わる旬彩メニュー、料理長が市場へ足を運び買い付けした日替わりメニューなどがある。

 

(同社資料より)

 

 

その他の業態

業態

店舗数・客単価

コンセプト

韓国屋台 ハンサム 4店舗、3,000円 「五感で楽しむ韓国屋台」

本場韓国屋台の雰囲気さながらに人気の本格韓国料理を小ポーションでリーズナブルに提供。テイクアウト・デリバリーにも対応している。

にのや 10店舗、3,600円 「本格和食×日本酒」

手作りにこだわった美味しい和食料理と日本酒をリーズナブルに楽しむことができる専門性の高い本格和食酒場。

肉のウヱキ 4店舗、2,500円 「フライ&デリカ」

昭和レトロなどこか懐かしい「街のお肉屋さん」×「昭和大衆ネオ酒場」

*25年9月末時点

 

※2022年4月1日より㈱Egoを子会社化し、「肉のウヱキ」の店舗数を上記グラフのその他業態に含めている。
※2025年3月期のその他に含まれていた、バーベキュー・ビアガーデン業態の3店舗に関しては、
2026年3月期よりレジャー事業での運営に切り替えている為、飲食事業グループ店舗数に含めていない。
(同社資料より)

 

(2)ブライダル事業
東京タワーの麓、唯一無二のロケーション東京タワーを一望できるチャペルと、多彩な4つのバンケット、レストランを有する婚礼施設「The Place of Tokyo」を運営している。近年の結婚式のスタイル変化に対応しつつ、新たな付加価値を提供している。

 

 

 

 

(同社資料より)

 

 

6F チャペル 「THE MUSIC PLACE」は、“東京タワーと一体化するアートな空間”をコンセプトに、東京タワーを取り込むことで成立するシンプルなインテリア空間を演出している。
式場1Fに併設しているレストラン「Terrace Dining TANGO」を、家族婚・少人数婚のニーズに対応した本格的な披露宴を行うことができるモダンで美しいガーデン付きバンケット「THE DINING」として一新し、4バンケット体制へ拡充した。(披露宴が開催されない場合はレストランとして営業する、下写真3)。

 

その他、披露宴会場やエントランス、ルーフトップバーなど、より心地よく過ごしてもらえるよう最新のデザインとおもてなしの付帯設備を取り入れ、新しいウエディングやお祝いの場としての価値を追求していく。

(同社資料より)

 

(3)レジャー事業
子会社である株式会社一家レジャーサービスが、主にバーベキュー場などのレジャー施設の運営を行っている。
2025年11月には日本初の泊まれる体験型植物園、THE BOTANICAL RESORT『林音』がオープンした。同施設は茨城県植物園及び茨城県民の森を、「泊まる」・「癒される」・「食べる」・「遊ぶ」という複数の体験要素を掛け合わせた日本初の“泊まれる体験型植物園”へとリニューアルしたもの。同社他6社が参画するSPC(特別目的会社)である株式会社ボタラシアンリゾートが指定管理者として運営にあたる。指定管理期間は25年4月1日から45年3月末までの20年間。
株式会社一家レジャーサービスは株式会社ボタラシアンリゾートから運営に関する再委託を受け、業務委託料等を収受する。

 

 

(同社資料より)

 

(主なメニュー)

グランピング&コテージ グランピングテント27棟、コテージ18棟の合わせて45棟を建設。コテージについては、従来のログハウスとは異なり、シャワー、トイレが完備されており、アウトドア初心者でも利用しやすい施設となっている。
日帰りBBQ「THE FOREST BBQ」 県産の食材を活かし、手ぶらでバーベキューを楽しめる。食材や飲料の持ち込みも可能で、自由度の高い施設。最大で300席ほどの収容が可能なため、小・中学生の校外学習などの学習用途にも対応可能。
ボタニカルスパ「りんねの湯」 日帰りでも宿泊でも利用可能な温浴施設で、最大300名程度の収容が可能。温泉は運び湯だが、天然温泉や露天風呂、複数のサウナ施設を備えている。
ダイニングレストラン「RINNE CAFÉ」 県産食材を活かしたダイニングレストラン。店内102席、テラス56席。宿泊者にはビュッフェ形式のモーニングを提供。
バニラドームカフェ 熱帯植物園を改装。宿泊者限定でライトアップショーを実施。バニラをテーマとしたスイーツやドリンクを楽しめるカフェを新設。
りんね・ぼうけんの森 自然を活かしたツリーアドベンチャー、ARシューティングなど3種類のアクティビティを新設。

 

 

【1-4 特長と強み】

(1)他には類を見ない接客サービスによる高いリピート率
同社では来店客を自分の大切な人(家族)と考え、接客している。
基本的なサービスマニュアルはあるものの、それをベースにスタッフが自ら考え、マニュアルにはないおもてなしを表現できるよう理念浸透や教育に取り組んでいる。
調理場スタッフも含めスタッフ全員で来店客を出迎えるためのオープンキッチンの導入、こだわりもん一家業態における「女将」の対応に加え、【1-5 成長戦略】で述べる会員企画など、他社には見られないユニークな接客サービスが高いリピート率に結び付いている。

 

(2)業界における独自のポジショニング
居酒屋マーケットの中で低価格帯ながらも、顧客に対するサービスレベルが高く、独自のポジションを構築している。また、コロナ禍の影響とは関係なしに、飲食店の利用は昔と比較して企業や大人数での利用から、個人や親しい人との少人数利用の需要形態へと移行しつつある。こうした社会背景等も反映しつつ、業態の整理に加え新たな業態開発も行っていく方針だ。

 

(3)理念を共有する人材育成のための取り組み
グループミッション、企業理念、社訓を、パートアルバイトを含めた全スタッフにいかに深く浸透させることができるかが業容拡大、企業価値向上のための最も重要なポイントであると考えており、人材の採用および育成についても同社ならではの取り組みを実施している。

 

◎社内教育プログラム「IKKAユニバーサルカレッジ」
「マインド」、「知識」、「スキル」、「行動」、「コミュニケーション」など、広範囲なテーマにわたり座学と実践を交えて包括的な人材育成を行っている。直近では、幹部社員講師による、マインド・スキル・コミュニケーション力を高める包括的教育プログラム「Ikka Universal College」、飲食経営者である社外取締役の赤塚元気氏による体系的サービス研修プログラム「元気塾」、新卒社員向けの理念浸透、社会人(プロ)として必要な知識と心構えを身につける「ルーキー研修」、新卒2年目向け、責任者教育の研修「ネクストセミナー」、キャリア社員向けの理念研修と交流の促進を図る「キャリア研修」、役員・幹部を対象として、傾聴力向上、コミュニケーションの活性化、社内風土醸成を目的とする「アクティブリスニング研修」などが展開されている。
社内講師も着実に育ってきており、継続的かつ安定的に同社の理念やビジョンを継承・浸透させていく仕組みとなりつつある。

 

(同社資料より)

 

◎社内動画共有ポータルサイト
後述の従来型イベントの開催に加え、効率性の観点から、社内動画共有ポータルサイトを立ち上げ、各種教育プログラム動画を配信し、教育体制の充実、理念浸透の強化を図っている。

 

(同社資料より)

 

◎各種イベントの実施
社員やアルバイトメンバーへの理念浸透、モチベーション向上、離職率低下を図るため、以下のような各種賞賛・イベントを開催している。

 

(同社資料より)

 

◎従業員のエンゲージメント向上
2023年4月より、定期昇給に加え全社員の給与について平均5%のベースアップを実施したことを皮切りにその後も継続的にベースアップを実施しており、従業員の処遇改善、満足度向上を図ることを通じて、顧客満足度および企業価値向上の実現につなげていく。
こうした取り組みが功を奏し、同業他社と比較して低い離職率を実現している。

 

◎人財採用
人手不足が深刻化する中、新卒、中途とも様々な施策により優秀な人財確保に注力している。

 

*新卒採用
2025年4月は62名の新卒を採用した。2026年卒は55名の採用を予定。採用に向けて、大手ナビサイトからの流入に加え、採用経路の窓口を拡大(採用エージェントの活用、ダイレクトリクルーティング、合同説明会、スポーツ系学生就活イベントへの参加、専門学校への訪問、千葉商科大学サービス創造学部での講演等)し、優秀な人財の積極的な獲得に注力する。

 

*中途採用
リファラル採用(紹介採用)やアルムナイ採用(出戻り採用)といった近年活用が広がっている採用方式に加え、「カンテラ採用」と銘打ち、アルバイトメンバーの社員登用にこれまで以上に注力していく(※カンテラ採用の年間採用目標は15名)。理念浸透がしやすい他、実際の働きぶりを見たうえで、採用判断が可能。また、採用コストを抑え、即戦力の優秀な人財の確保ができるといったメリットがあるためだ。

【1-5 成長戦略】

同社では成長ドライバーを飲食事業、なかでも中心業態である「屋台屋 博多劇場」の拡大と位置付けてきたが、今後は同業態に加え「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」「にのや」の出店拡大にも注力していく考えだ。

 

(同社資料より)

 

なお、「屋台屋 博多劇場」による成長戦略は以下のとおりである。

 

(1)商品戦略
気軽に利用できる客単価でありながら、高いコストパフォーマンスを感じられる低価格メニュー戦略をとっている。さらにはアプリ会員になりリピーターになることでよりお得に利用できる施策を展開している。

 

(2)会員企画
総来店客数の増大及び継続的なリピーターの獲得を重視する同社において「会員企画」は重要な取り組みであり、ユニークな販促企画を次々と産み出している。

 

主な企画名

概要

バースデー餃子 誕生日に年齢同数の餃子をプレゼント
V・I・P会員 3回行くとVIP会員になり、VIP会員は最初の飲み物をメガジョッキにしてくれるのに加え、同伴来店客にも同様のメガジョッキをサービス
百個餃子 文字通り100個の餃子(総重量1.5kg)を食べきったらタダになるという企画。ただし、「1人で食べきるべし!」「味わって食べるべし!」が条件で、制限時間60分の一本勝負。成功すれば餃子100個分の代金が無料になる他、餃子年間パスポート贈呈。失敗すると、餃子代全額を支払うことになる。

 

博多劇場1号店オープンからの累計会員数は25年9月末で約201万人。継続した会員獲得とアプリ企画のブラッシュアップで客数増・リピート率上昇を目指している(2016年10月からスマホ・アプリ会員をスタートさせ、18年1月からはアプリ会員に一本化している)。

 

(3)出店戦略
認知度およびブランド価値向上を図るため、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県で集中的に出店している。
最寄り駅乗降客数10万人以上の都心店舗と、それ以外の郊外店舗を組み合わせたハイブリッド型出店で、約200の候補地(駅)の中から厳選して出店する計画である。
心のこもった接客を最重視する同社では十分な接客が可能なスタッフの育成が不可欠であり、サービスレベルを低下させることなく成長を追求するために、スタッフの育成スピードと見合った無理のない着実な店舗拡大が重要と考えている。

 

【1-6 株主還元】

同社は現在成長過程にあり、事業規模の拡大および財務基盤の強化を目的として内部留保の充実を優先するため、配当を実施していない。
ただ、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、今後は、経営成績および財務状況等を総合的に勘案しながら、配当の実施を検討していく考えだ。
なお、株主の支援に対する感謝の意を表すとともに、店舗の利用を通じて事業内容の理解と継続的な支援を得ることを目的として株主優待制度を設けている。また、2024年11月(2024年9月30日時点の株主)に送付する予定の株主優待券より、電子チケット化している。これに合わせて、より株主優待制度を活用できるよう、オンラインショップにて販売している屋台屋 博多劇場自慢の「明太もつ鍋セット」を電子チケットと引換えに取り寄せできるよう、株主優待制度の変更(拡充)を行っている。

 

(2024年3月末日以降の株主向け優待)

所有株式数

優待内容

100株以上200株未満 2,500円相当の食事優待券(電子チケット)
200株以上400株未満 5,000円相当の食事優待券(電子チケット)

または5,000円相当の「明太もつ鍋セット」1セット

400株以上 10,000円相当の食事優待券(電子チケット)

または5,000円相当の「明太もつ鍋セット」2セット

または5,000円分の食事優待券(電子チケット)と5,000円相当の「明太もつ鍋セット」1セット

※食事ご優待券(電子チケット)は、1円単位で利用が可能

2.2026年3月期上期決算概要

同社飲食事業では、過去の実績からも12月の忘年会等の需要による客数の増加およびコース予約増加による客単価の向上、ブライダル事業では、婚礼の需要が高まる10~11月の施行件数の増加といった季節要因に加え、第1~2四半期に新規出店した店舗の売上寄与もあり、第3四半期(10-12月)の売上高が他四半期に比べ増加する傾向にある。
これに対し、第1~2四半期(4-9月)は、飲食事業において新規出店を集中し、それに伴う出店コストや人員確保のための採用費、新卒入社での人員増による人件費の増加などにより、費用が先行するため利益は低水準となりやすい。投資家はこうした同社決算の特性に留意する必要がある。
ただし、レジャー事業における「THE BOTANICAL RESORT『林音』」の稼働が今後本格化していくと、ゴールデンウィークや夏休みがある7月や8月にピークを迎える想定となるため、季節変動が徐々に緩やかになるとみられる。

 

(1)業績概要

25/3期上期

構成比

26/3期上期

構成比

対前年同期比

売上高

4,546

100.0%

5,215

100.0%

+14.7%

売上総利益

3,022

66.5%

3,528

67.6%

+16.7%

販管費

3,240

71.3%

3,574

68.5%

+10.3%

営業利益

-217

-46

経常利益

-229

-69

当期純利益

-158

-52

単位:百万円

 

大幅増収、赤字幅縮小
売上高は前年同期比14.7%増の52億15百万円。飲食事業は新規出店や業態変更の他、メニュー価格改定の実施による客単価上昇などで同8.7%増収。ブライダル事業は、婚礼組人数・組単価は縮小したものの、婚礼施行数や宴席及びレストランが好調で同17.2%増収。レジャー事業については、前期は飲食事業として運営していたバーベキュー・ビアガーデン業態店舗の他、THE BOTANICAL RESORT『林音』の運営に係る業務委託料もレジャー事業セグメントの売上高として計上している。
営業利益は46百万円の損失を計上(前年同期は2億17百万円の損失)。原材料高騰などの影響はあったが、原価率が適正化され売上総利益は同16.7%増加した。ただし、ブライダル事業において婚礼施行数増加に伴う各種コストや積極的な販促施策強化による販管費の増加を吸収しきれなかった。
新規出店は2店舗。店舗数は2025年9月末で89店舗となった。なお、新規出店2店舗の内訳は、大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん1、こだわりもん一家1。

 

(2)セグメント動向

25/3期上期

構成比

26/3期上期

構成比

対前年同期比

売上高

飲食事業

3,851

84.7%

4,186

80.3%

+8.7%

ブライダル事業

695

15.3%

814

15.6%

+17.2%

レジャー事業

213

4.1%

合計

4,546

100.0%

5,215

100.0%

+14.7%

営業利益

飲食事業

-53

4.5%

61

0.7%

ブライダル事業

-173

-157

レジャー事業

-3

31

合計

-217

-46

*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。

 

◎飲食事業
増収、黒字転換。
外食業界においては、アフターコロナでの人流の増加に加え、インバウンド需要も回復基調である一方、原材料費・光熱費等の高騰や人材不足及び採用コストの増加など、依然として厳しい状況が継続している。このような中、飲食事業においては、新規出店、既存店のサービス力向上及び店舗オペレーションの改善、各業態における外部販促強化による新規客数の増加、自社アプリなどの会員獲得によるリピーター客数の増加に継続して注力した。新規出店および不採算店舗の業態変更、メニュー価格改定などが奏功し増収となり、各種コスト上昇も吸収して黒字転換で着地した。

 

25年3月期は、価格改定をなるべく控え、客数増による売上増を目指したが、原価率が大きく利益を圧迫した。26年3月期はその反省を活かし、全業態で適切なメニュー価格の見直しを行った。一部価格志向の強い顧客離れはあったものの、同社のサービス等付加価値を評価する顧客は引き続き来店してくれているという。既存店の月次ベースの実績を見ると、客数は若干の減少も、顧客単価増により既存店は増収傾向が定着。利益率も改善している。
フリー客獲得に向けては、入り口のファサード含めた入店しやすさへの工夫やデザートの充実など、女性客にフォーカスした取り組みにも注力している。

 

(新規出店など)
ドミナントエリア拡大に向けて千葉県で「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん 成田店」「こだわりもん一家 成田店」の2店舗を出店し、直営店は合計で89店舗となった。
89店舗の内訳は、屋台屋 博多劇場50、大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん15、にのや10、こだわりもん一家6、韓国屋台ハンサム4、その他業態(肉のウヱキ等)4。

 

(業態変更、退店など)
*業態変更
既存店の「韓国屋台ハンサム 渋谷店」を「屋台屋 博多劇場 渋谷宮益坂店」、「韓国屋台ハンサム 汐留店」を「寿司トおでんにのや 新橋汐留店」にそれぞれ変更した。
汐留店については、ホワイトカラーのビジネスマンが多いとの分析により業態変更を行ったところ、売上は2倍弱と大きく増加。改装費のみの低コストで、業績向上に大きく貢献した。今後も臨機応変に対応していく考えだ。

 

*退店
特になし。

 

(既存店の状況)
既存店(屋台屋 博多劇場業態・こだわりもん一家業態・大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん業態・にのや業態・韓国屋台ハンサム業態)客数が前年同期比4.2%減、既存店客単価は同7.3%増、既存店売上高は同2.8%増となった。業態別の既存店については、こだわりもん一家業態、韓国屋台ハンサム業態が売上高、客数の面でそれぞれ苦戦したものの、主力の屋台屋 博多劇場業態をはじめとしてその他は全般堅調となった。

 

*既存店とは、新規開店した月を除き、18ヶ月以上経過した店舗。改装等により稼働していない期間があった店舗は当該月から除外している。

(同社資料より)

 

◎ブライダル事業
大幅増収、営業赤字やや縮小。
ブライダル事業においては、近年、少子化やいわゆる「ナシ婚」の増加による婚礼件数の減少に加え、結婚式のニーズの多様化により少人数婚のニーズが高まり、婚礼1組当たりの組人数も減少傾向にある中、婚礼の主力広告媒体との連携強化、SNSを活用したブランディング強化による来館数・成約率の向上、サービス力向上及びコスト削減、宴席の新規案件の取り込み及びリピート客数の増加、レストランのサービス力、商品力の向上及び新規客数の増加にも継続して注力した。例えば、5月の大型連休や集客の繁忙期に合わせ、自社主催の集客イベントを開催するといった取り組みを実行している。
婚礼の施行数については、前期の受注が好調に推移したことが奏功し、前年同期比で増加。一方、組人数・組単価については、小人数での挙式件数の割合が高まったことにより、前年同期比で減少した。そのほか、宴席及びレストランについては好調に推移した結果、全体として大幅な増収、営業赤字もやや縮小して着地した。

 

1施設のみを運営する同社では、成約率向上に向けてはスタッフの教育が極めて重要である。通常来館したカップルは、SNSでの口コミを見て式場を決定することが多い。同社では、そのカップルを当日担当するスタッフのみではなく、全員でお迎え・お見送りする「全員接客」を実施しており、口コミの高い評価に繋がっているということだ。

 

◎レジャー事業
レジャー事業においては、バーベキュー・ビアガーデン業態の3店舗運営(※前期は飲食事業として運営)のほか、「THE BOTANICAL RESORT『林音』(ザ ボタニカルリゾート リンネ)」の開業準備に注力し、運営に係る業務委託料を売上高として計上した。前年同期は小幅な費用先行だったこともあり、黒字転換している。

 

(3)財務状態と

キャッシュ・フロー

◎主要BS

25年3月末

25年9月末

25年3月末

25年9月末

流動資産

2,071

2,004

流動負債

1,869

1,924

現預金

1,454

1,350

仕入債務

275

275

売上債権

366

399

短期借入金

820

890

固定資産

3,638

4,003

固定負債

2,943

3,157

有形固定資産

1,953

2,177

長期借入金

2,467

2,648

建物

1,645

1,763

負債合計

4,812

5,082

無形固定資産

19

19

純資産

897

925

投資その他の資産

1,664

1,806

利益剰余金合計

-410

-463

敷金・保証金

862

883

負債純資産合計

5,709

6,008

資産合計

5,709

6,008

借入金合計

3,287

3,539

単位:百万円

 

現金及び預金が減少したことが主因で流動資産は微減となったものの、新規出店等に伴い有形固定資産などが増加した他、投資その他の資産も増加したことで、資産合計は前期末に比べ2億98百万円増加し60億8百万円となった。未払金が減少したものの、1年内返済予定の長期借入金や長期借入金などが増加したことで、負債合計は同2億69百万円増の50億82百万円となった。純資産は同28百万円増加の9億25百万円。この結果、自己資本比率は前期末から0.2pt低下し14.9%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

25/3期2Q

26/3期2Q

増減

営業CF

-190

24

+215

投資CF

-283

-368

-84

フリーCF

-474

-343

+130

財務CF

506

236

-270

現金同等物残高

1,503

1,231

-271

*単位:百万円

 

税金等調整前中間純損失の発生や売上債権の増加、未払金の減少などによる資金減少があった一方、減価償却費による資金増加で営業CFが前年同期比で小幅に黒字転換した。投資CFは、有形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得等の影響でマイナス幅がやや拡大し、結果としてフリーCFのマイナス幅は縮小している。ただし、長期借入れによる収入が前年同期から減少した影響で、キャッシュポジションも減少している。

 

(4)トピックス

◎社内起業制度による企業価値向上
同社では、2025年4月の62名に続き、2026年4月には55名の新卒採用を予定している。武長社長によると、人に喜んでもらったり、楽しんでもらったりするなど、人の笑顔にかかわる仕事がしたいという志望動機の学生が多いという。特にコロナ禍以降、そうした価値観が強くなっている。その中で、同社を選ぶにあたっては、グループミッションである「日本一の“おもてなし”集団」、経営理念にある「家族のような会社」である点、飲食のみでなく、ブライダルに加えレジャーと総合的におもてなしを学ぶことができる点が大きな魅力となっている。

 

「1.会社概要」でも触れているように、同社では、グループミッション、企業理念、社訓を、パートアルバイトを含めた全スタッフにいかに深く浸透させることができるかが業容拡大、企業価値向上のための最も重要なポイントであると考えており、人材育成についても同社ならではの様々な取り組みを実施している。
「日本一の“おもてなし”集団」、「家族のような会社」に魅力を感じて入社した社員に、様々なキャリアを追求する道も用意しており、その一つが「社内起業制度」だ。
同社でおもてなしを学び、様々なポジションを経験後、独立を熱望する社員は、経営陣が適材と判断すれば、ホールディングス内で独立することができる。

 

「肉のウヱキ」を運営する株式会社Ego代表取締役 植木 紀彰氏も「社内起業制度」で独立した一人だ。
2012年入社の植木氏は、「屋台屋 博多劇場」のスタッフから始まり、数店舗の店長、アシスタントマネージャー、エリアマネージャー、統括マネージャーを経て、2021年に株式会社Egoを創業した。
植木氏は新卒入社時から「社長になりたい」と公言していたそうで、独立するにあたっても「いつかは植木さんの下で働きたい」と熱望する社員が数名「肉のウヱキ」に異動するほどの求心力、人間力のある人物とのこと。
起業家候補は現在も複数控えており、こうした事例の積み重ねは同社の採用力及び人的資本の強化に繋がることとなろう。また、起業後もグループ内で事業を展開するため、持株会社制度に移行したメリットが大いに発揮されている。
こうしたことから、「社内起業制度」は同社グループの企業価値向上に資する有意な仕組みといえよう。

 

3.2026年3月期業績予想

(1)業績概要

25/3期

構成比

26/3期(予)

構成比

対前期比

進捗率

売上高

10,089

100.0%

11,629

100.0%

+15.3%

44.9%

売上総利益

6,678

66.2%

7,871

67.7%

+17.9%

44.8%

販管費

6,753

66.9%

7,550

64.9%

+11.8%

47.3%

営業利益

-74

320

2.8%

経常利益

-100

286

2.5%

当期純利益

-172

179

1.5%

単位:百万円。予想は会社予想。

 

大幅増収、黒字転換予想。
売上高は前期比15.3%増の116億29百万円、営業損益は3億20百万円の黒字(前期は74百万円の赤字)の予想。過去最高の売上高・営業利益を見込んでいる。
飲食事業については、引き続き既存業態の出店による主力ブランドの認知向上に加え、トレンドのニーズに対応した新規業態開発を継続して行っていく。また、自社アプリによる会員獲得、会員企画のブラッシュアップによりリピーターの増加に注力し、さらに、店舗オペレーションの改善による経営の更なる効率化を図る。特に今期は業績不振店舗2店舗を上期に業態変更し、堅実な新規出店(主軸は「屋台屋 博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」「にのや」)を進めつつ、既存店の収益性の向上、飲食事業の経営基盤の強化を図ることに重きを置く方針。
ブライダル事業においては、ブライダル施設「The Place of Tokyo」の更なるブランド価値の向上を図るとともに、引続き主力広告媒体との連携強化による来館数・成約率の向上、サービス力向上及びコスト削減、宴席の新規案件取り込み及びリピート客数の増加、レストランのサービス力向上・商品力向上に注力し売上及び利益拡大を図っていく。
また、現在育成中のレジャー事業においては、バーベキュー・ビアガーデン業態の店舗運営及び2025年11月に開業したレジャー施設「THE BOTANICAL RESORT『林音』」の運営に注力する。

 

(2)注力施策

*新規出店戦略および業態変更
期初段階では、子会社の(株)一家ダイニングプロジェクトで5店舗、(株)Egoで1店舗、グループ合計6店舗の新規出店を通期で計画していた。第2四半期決算説明会時点で、下期には肉のウヱキ 本八幡店が12月9日にオープンしたが、飲食事業の業態については、今後「屋台屋 博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」「おでんトさかな にのや」の3業態を軸に出店を進めていく方針が示されている(※「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」に関しては、今後FC展開を見据え、現在募集を行っている段階であり、詳細は後段に別途記載)。

 

*飲食事業およびブライダル事業の取り組み
飲食事業においては、最大繁忙期に向け、各業態で様々な施策を行い、忘年会・新年会需要の取込みに注力し、売上の最大化を図る。具体的には、宴会予約の取り込みやフリー客の確保、客単価の向上を目指した施策を実施。さらに、各業態でイベントカレンダーを作成したり、宴会のチラシを配布したり、昨年利用実績のある幹事に直接アプローチをしたりと、各店が工夫を凝らしている。
ブライダル事業においては、引き続き厳しい業界環境の下で、受注獲得に注力する。SNS活用による集客強化のほか、クリスマスディナーコースの販売や挙式後の新郎新婦様向けイベント「プレオブクリスマス」の開催等の動きを通じて、クリスマス商戦・繁忙期の売上拡大に注力する。

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

*「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」FC展開
更なる事業拡大および収益機会の拡大を図るとともに、全国への店舗展開の加速とブランド認知度およびブランドイメージの向上を目的としてFC展開を開始する。まだ競合が少ないうえ、商品(ラム肉)の安定供給が可能で、加えて、基本的には「焼肉」なので、オペレーションが標準化されていることからFC展開に向いている業態と想定している。
現在、FC契約締結に向け、フランチャイザー候補と交渉中とのことだ。

(同社資料より)

 

*レジャー事業の計画
2025年11月29日に、日本初の泊まれる体験型植物園、THE BOTANICAL RESORT『林音』がオープンした。「泊まる」「癒される」「食べる」「遊ぶ」といった複数の体験型コンテンツや施設を用意している。なお同施設の5カ年PL見込みは以下となっている。
2030年3月期までに売上高約11億円以上、営業利益約1億70百万円と、約15パーセント以上の利益を目指して運営を進める。来場者数に関しては、将来的には約38万人を目指している。「茨城県民の森」は1969年の開設で、すでに50年以上が経過し、来場者数はピーク時から徐々に減少していた。リニューアルすることで、県内外からより多くの来場者を集客できる観光拠点として、茨城県と共に取り組んでいく。

 

(同社資料より)

 

 

(同社資料より)

 

THE BOTANICAL RESORT『林音』オープンを契機に、複数の自治体から問い合わせが寄せられているという。植物園は施設管理コストを上回る収入を獲得するのが容易ではないため、今後の運営について悩んでいる自治体は多いようだ。
ナチュラル系リゾートとしての展開は課題解決の一つの手法となりうると同社では考えており、ノウハウを蓄積しながら、事業拡大の可能性を検討していく考えだ。

4.今後の注目点

前回の通期決算の説明会の中で「売価の変更はもちろん、メニュー構成の見直しや原価率の週次でのマネジメント強化などにより、今期(26年3月期)に入って足元での原価率は安定」してきている旨の言及があったが、実際に飲食事業は業態問わずに客単価の改善が見られた。また、業態変更が奏功し、汐留店については売上が2倍弱まで増加したことも紹介されたことで、今後のスピード感ある店舗ポートフォリオ管理への期待感も増した印象だ。宴会需要の確保についても、「例年に比べて好調に推移しており、特に客単価の高いコースの受注が好調」と示され、通期決算に向けて徐々に業績期待も高まろう。
武長社長から、「AIの浸透で仕事にかける時間が減り、その時間を使って、家族や大切な人と過ごすことに幸せを感じたり、価値を見いだしたりするような時代が到来しています。それはまさに食・エンターテインメント・レジャーを提供する当社の出番であると考えおり、是非期待していただきたいと思います」とのメッセージを伺った。レジャー事業の立ち上がりも含め、各事業の中期的な伸長にも注目していきたい。

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 11名、うち社外4名
監査等委員 3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2025年6月24日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、「お客様、関わる全ての人と喜びと感動を分かち合う」とういう理念のもと、「あらゆる人の幸せに関わる日本一の“おもてなし”集団」というグループミッションを掲げ、飲食事業、ブライダル事業、レジャー事業を展開しており、おもてなしに関わる様々な事業で、日本人の文化である“おもてなし”を広め、日本を代表する「おもてなし」のリーディングカンパニーを目指しております。
当社は、企業価値の継続的な向上には、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが必要不可欠であると考え、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実に努めております。株主をはじめとするステークホルダーと良好な関係を築き、事業活動を行うことで、長期的な成長を遂げることができると考えております。
透明かつ公平な経営を最優先に考え、株主総会の充実をはじめ、取締役会の活性化、監査等委員会の監査機能の強化及び積極的な情報開示に努め、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図ってまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>

【補充原則1-2-4】 当社は、機関投資家や海外投資家の比率が相対的に低いため、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳は実施しておりません。今後は、株主・投資家の皆様のご意見・ご要望を参考にしつつ、機関投資家や海外投資家の比率、費用対効果等を勘案し、引き続き議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳の導入について検討してまいります。
【原則1-3】 当社は、資本効率の向上や株主に対する適切な利益還元は、重要な経営課題のひとつであると考えておりますが、具体的な方針を定めるには至っておりません。当面は、収益力の向上・改善が最重要課題であると認識しており、収益力を強化し、企業価値の向上に努めてまいります。
【補充原則4-1-2】 当社は、経営環境の変化が激しい中で、中期的な業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの観点から、事業単年度毎の見通しを公表することとしており、数値目標をコミットメントする中期経営計画は策定しない見込みです。一方、単年度予想と実績との乖離に関する原因分析は定期的に行っており、決算発表等を通じ必要なタイミングで株主を含むステークホルダーに対し開示・説明を行ってまいります。
【補充原則4-2-2】

 

当社のサステナビリティについての取組みや人的資本・知的財産への投資等につきましては【補充原則3-1ー3】にてお示ししておりますが、当社のサステナビリティを巡る取組みの基本方針は策定しておりません。今後、当該基本方針の策定について検討してまいります。また、当社の人的資本・知的財産への投資等をはじめとする経営資源の配分や事業ポートフォリオに関する戦略の実行につきましても、取締役会において審議することによりその実効的な監督を行うよう努めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

【原則1-4】 当社は現状、政策保有株式として上場株式を保有する見込みはありません。
【補充原則2-4-1】 当社グループはこれまでも、性別、国籍などを問わず人財を採用しており、当社グループの女性従業員については全従業員の35.4%、管理職全体の14.6%となっております。中途採用者についても同様に、性別、国籍、新卒・中途採用によらず有能な人財を登用するようにしており、全従業員の60.9%、管理職全体の78.0%となっております。一方で、当社は主要な事業を国内で展開していることから、外国籍の方の登用については進んでおりません。

現状において、具体的な管理職への登用目標を示すことは困難ではありますが、引続きこれら比率の向上に努めてまいります。

当社は、社内教育プログラム「IKKAユニバーサルカレッジ」を立ち上げ、「マインド」・「知識」・「スキル」・「行動」・「コミュニケーション」など、広範囲なテーマにわたり座学と実践を交えて包括的な人財育成を行い、さらに各種社内イベントの他、社内動画共有ポータルサイトを立ち上げ、各種教育プログラム動画を配信するなど、さらなる教育体制の充実、理念浸透の強化を図っております。

今後も、より一層の教育・理念浸透の充実を図るとともに、柔軟な働き方に対応した様々な制度の導入を検討しながら、企業価値の向上を図るための人財育成および社内環境の整備に引き続き努めてまいります。

【補充原則3-1-3】 当社は、サステナビリティに対する取組みを重要な経営課題と認識しており、人的資本への投資については、新卒採用及び中途採用を継続的に実施し、当社の「おもてなし」の根幹となる人財の確保に取り組むとともに、階層別の教育プログラムを導入し、教育制度の充実・理念浸透を図っております。また、知的財産への投資については、業態ブランドの開発及び既存業態の商品・サービス開発を継続的に行っております。

サステナビリティについての取組みについては、リスクコンプライアンス委員会を設置し、事業リスクの把握、未然防止、リスク発生時の損失の最小化に努めております。また、LEDの導入や、節水バルブの導入などにより、店舗の省エネルギー化に取り組む他、廃油リサイクルや仕入れの適正化・適正な在庫管理による廃棄物低減、公益財団法人School Aid Japanへの募金活動を通じ、発展途上国への支援活動を行っております。

【原則5-1】 当社では、IR担当取締役を選任するとともに、管理部をIR担当部署としております。管理部は、経理、広報、総務等IR活動に関連する部署を統轄し、日常的な部署間の連携を図っております。

株主や投資家に対しては、代表取締役社長が出席する決算説明会を半期に1 回開催するとともに、個人投資家説明会を実施しております。その他、株主から面談の希望があった際は、目的・内容等に応じ、IR担当取締役や代表取締役社長が対応することとしております。これらの活動を通じて得られた意見等は、適宜取締役会にフィードバックを行ってまいります。

なお、株主との対話に際してはインサイダー情報の漏洩防止を徹底しております。

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