朝日ラバー(5162) 今期の設備投資計画を引き上げ

2024/12/26

 

 

 

渡邉 陽一郎 社長

株式会社 朝日ラバー(5162)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ゴム製品(製造業)

代表取締役社長

渡邉 陽一郎

所在地

埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2

決算月

3月

HP

https://www.asahi-rubber.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

533円

4,562,875株

2,432百万円

2.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.8%

2.19円

243.4倍

1,105.64円

0.5倍

*株価12/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
* BPS、ROEは、2024年3月期実績、DPS、EPSは、2025年3月期会社予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

EPS

配当

2021年3月(実)

6,487

-92

18

113

25.06

10.00

2022年3月(実)

7,024

291

313

238

52.56

20.00

2023年3月(実)

7,205

185

194

203

44.75

20.00

2024年3月(実)

7,180

156

195

133

29.38

20.00

2025年3月(予)

7,363

36

28

10

2.19

20.00

*単位:百万円、円。

 

(株)朝日ラバーの2025年3月期第2四半期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2025年3月期第2四半期決算概要
4.2025年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 25/3期上期は前年同期比10.0%の増収、57百万円の経常損失(前年同期は35百万円の経常利益)。売上面では、工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業とも主力製品の受注が増加し売上高が増加した。工業用ゴム事業は、自動車向けスイッチ製品の受注が増加し、医療・衛生用ゴム事業は、診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁、医療シミュレーターの受注が増加した。一方、利益面では、新規開発製品の立上げコスト増と既存製品の工場移管の費用を計上したことから各段階利益が減少した。 
  • 同社は、10月30日に25/3期の会社計画の下方修正を実施した。新しい25/3期の会社計画は、前期比2.5%の増収、同85.6%の経常減益の予想。売上面では、工業用ゴム事業においてASA COLOR LEDの売上が減少するもののスイッチ製品が好調に推移しほぼ前期並みとなる見込みである。医療・衛生用ゴム事業は、下期も受注が堅調に推移し増収となる見込みである。利益面では、上期のコスト増の要因がなくなり利益率は回復するものの前期比で各段階利益が減少する見込みである。配当予想は、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。配当性向は912.6%となる。 
  • 同社は今期の設備投資計画を6億47百万円から9億90百万円へ引き上げた。機能事業のスイッチ製品の開発製品の投資と医療・ライフサイエンス事業の効率化投資を加速するものである。自動車関連では、今後1台当たりに採用されるスイッチ製品の増加に加え、自動車以外の民生品への拡大も期待される。また、医療・ライフサイエンス事業では機能事業と連携した製品開発の強化が期待される。今期に機能事業と医療・ライフサイエンス事業において実施する設備投資が今後どの様な成果をもたらすのか注目される。 

1.会社概要

小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

 

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社Asahi Crosslink Corporation、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司、医療機器・医療機器用製品の販売を行う(株)朝日フロントメディックの連結子会社6社からなる。

 

【経営方針】

◎社訓

個性を重視し、特徴ある企業に高めよう

一、豊かな人間関係、生活の向上を目指し、社会に奉仕しよう

 

◎経営基本方針
同社グループは、“志”を持った方々が集まり、その志を果たすために、自らの能力を最大限発揮するとともに、その志を果たすために、一人ひとりの仕事が、会社を通じ、社会に貢献するものでなければならないことをしっかりと認識する必要がある。
同社で働く一人ひとりが社会人としての良識や判断力を持ち、人間として成長する努力を続け、朝日ラバーが作り出す製品やサービスは社会の人々に直接、間接的な形で快適さや便利性、そして健康や介護に役立つもので、多くの方々に満足いただけるものである必要がある。
同社は、この様に多くのお客様を始めとし広く社会全体に奉仕、貢献すること、そして、人間として成長をしていくことによって、“自らの志を果たす”という思いを持った社員の方々と、社会全体を結びつけるために存在している。
同社は、この存在理由や会社としての使命や目的といったものを、社訓として表現し、社訓の意味するところを経営の基本方針として位置づけし、あらゆる経営活動においての基本的な考え方、進むべき方向、目標とすべきものとしている。

 

◎企業行動指針
同社グループは、創業の企業理念と使命の下、企業活動を行っていくうえで、役員と社員が遵守すべき行動指針を定めている。
役員は、その統制環境が与える影響力を深く認識し、誠実性と倫理観によって法令遵守を率先垂範し、社員への周知徹底とグループ内体制の実効あるコーポレート・ガバナンスを推進する。また、役員は、この企業行動指針に反する事象が発生した場合においては、自らの責任において問題解決に当たるとともに、原因究明と適切な措置・改善を図り、再発を防止し、健全で活力ある企業経営を目指して前進する。
社員は、同社の企業理念と使命の下、自己研鑽に励み、企業目標と自己実現のために、真摯に、懸命に努力していく。
1.社員の人格と個性を尊重します
2.特徴ある企業を目指します
3.豊かな人間関係を築きます
4.会社の発展と生活の向上を目指します
5.企業活動を通じて社会への貢献をします
6.コンプライアンスを推進します
7.ステークホルダーを尊重します
8.環境への配慮、安全、安心を確保します

 

【連結業績の推移】

 

【中期事業分野】

事業分野

主要製品

方針

光学事業 ASA COLOR LED

ASA COLOR LENS

白色シリコーンインキ

「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と

感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進める。

医療・ライフ

サイエンス事業

プレフィルドシリンジ用ガスケット

採血用・薬液混注用ゴム栓

ARチェックバルブ

マイクロ流体デバイス

診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。
機能事業 自動車スイッチ用ゴム

卓球ラケット用ラバー

F-TEM(フレキシブルサーモ

エレクトリックモジュール)

ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。
通信事業 RFIDタグ用ゴム製品

やわらか保護カバー

自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。

 

【事業内容と主要製品】

事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、24/3期の売上構成比は、それぞれ78.6%、21.4%。今後は、RFIDタグ用ゴム製品、ASA COLOR LENS、医療回路製品用ゴム部品などの販売拡大が期待される。

 

◎ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、青色LEDに蛍光体を配合したキャップを被せた高品質LED。シリコーンゴムキャップ内の蛍光体を調合する事で多彩な色度を創りだすことができる。色度座標をはじめ、相関色温度、色温度偏差で色度規格を設定し、顧客の要望に沿った規格を提案している。すべて日本国内で生産しており、販売開始から19年で売り上げ数23億個を突破。これまで自動車メーカー 計19社(日本9社、欧州7社、北米3社)、150車種以上に採用されている。高品質な色合わせ技術が武器で、①実機を元に、最適な色と明るさのLED選定を手伝う「色合わせ」サービス、②実機の発光面周辺の塗装色や発光面積を加味した、目視による色合せ、③顧客の設計スケジュールに合わせたスピーディーな対応、が可能である。LEDを波長ランクごとに分類・選別しており、ランクに合わせた色のキャップを被せることで色・光度のばらつきを低減。自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。顧客に要求される均一な色を実現している。

 

同社決算説明会資料より

 

ASACOLOR LEDは、主に自動車の内装に採用されている。用途としては、スピードメーター照明・ナビコントロール関連・スイッチ関連・オーディオ関連となっている。

(同社ウェブサイトより)

 

◎医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。素材変性技術による安全性の高い材料と表面改質技術による摺動性の向上により、医療ミス防止などの安全性向上に貢献している。

 

プレフィルドシリンジ向けガスケット(左)とARチェックバルブ(右)

(同社決算説明会資料より)

 

・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のRFIDを提供。取り付ける対象がどのようなものかを記憶し、認識させる機能で、今後成長が期待される認証・認識ビジネスに対応。ゴムという弾性体の特徴を生かして、RFIDが使用できなかった用途への利用が可能に。さらに応用し市場拡大を進める。

 

RFIDタグ用ゴム製品のイメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・卓球ラケット用ラバーのイメージ
球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

(同社決算説明会資料より)
*同社では、製造委託のみを行っており、卓球ラケット用ラバーの販売は行っていない。

 

【コア技術と事業領域】

同社は、独自の競争力の源泉である「色と光のコントロール技術」「表面改質及びマイクロ加工技術」「素材変性技術」の3つのコア技術に、「制御と感性」を成長のキーワードとして追加し、人の健康を含めた環境問題の解決に役立つ商品、新たなグリーン市場を創出する画期的な商品にとって、なくてはならないパーツを創り、顧客の期待にクオリティと経済性で応えている。

 

(同社ウェブサイトより)

 

【強み】

◎柔軟な対応力
同社は、長年にわたりOEM製品に携わってきた経験から、顧客の求める仕様にフレキシブルに対応している。ゴムにかかわらず新しい要素を積極的に取り入れることで、OEMからODMへの変革を進めながら、自動車、医療、通信など幅広い分野に対して様々な製品を展開している。

 

◎確かな技術力
同社では、コアとなる3つの技術をベースとしてQCDSEのあらゆる角度から製品を提案している。多様な製品開発にかかわる中で蓄積した技術は裾野が広いため、ゴムに縛られない製品の企画・提案やコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。

 

◎誠実な姿勢
これまでの経験では解決することが難しくても、解決の方法を探究し、挑戦してきたことで「朝日ラバーだったら何とかしてくれる」という言葉を得て、同社は大きく成長した。これからも顧客に寄り添いながら、困りごとに真摯に向きあっていく。

 

【開発体制】

同社は、技術・営業・研究の連携を強化し、会社としての総合力を発揮できるような開発体制を整えている。新規分野の事業や新製品の創出と技術基盤の強化を目的として、社内外の技術の融合や先端技術の取り込みによる「戦略的育成テーマ」を推進している。

 

(同社ウェブサイトより)

 

【サステナビリティビジョン2030】

同社は、「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」とするサステナビリティビジョン2030を定めた。ゴムには無限の可能性が秘められている。同社はさまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続ける。

 

(同社ウェブサイトより)

 

また、SDGs/ESGへの関心が高まるなか、改めて社会における自社の存在意義を見直した。その結果、会社は社会のためにあるべきものであり、「人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社」という将来像を見据えた、2030年までの長期ビジョン「AR-2030VISION」を定め、SDGs/ESGを経営の軸に置くことをより明確にした。
また、世界共通の目標であるSDGs達成のためにはさまざまなパートナーとの共創が不可欠と考え、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」という行動指針を定めた。そして、「サステナビリティビジョン2030」実現のため、環境・社会に関する各種基本方針の下、取り組むべき環境・社会目標、KPIを設定した。目標、KPIに関する進捗は毎年報告する。

 

◎環境(方針・実績/KPI)
環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境保全と社会への貢献を目指して活動する。

 

(同社ウェブサイトより)

 

◎社会(方針・実績/KPI)
働きがいのある職場環境で従業員一人ひとりが生き生きと活躍することで、顧客が満足できる製品を提供し続ける。

(同社ウェブサイトより)

 

◎SDGsへの貢献
同社は、「AR-2030VISION」で掲げたビジョン「社会に貢献する企業として成長し続ける」ために、まず社会ニーズを認識し事業の方向性を定めることが必須と考えている。サステナビリティビジョン2030を策定するにあたり、同社が得意とするコア技術で期待されるイノベーションが、どのSDGsに貢献できるかを整理した。そしてさまざまなステークホルダーとの対話やパートナーとして事業を推進することで価値を共創していく。

 

(同社ウェブサイトより)

 

2.中期経営計画

同社は、中期経営計画を策定するにあたり、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、朝日ラバーらしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描くため、2030年を見据えたビジョン「AR-2030VISION」を定めた。具体的な内容は、以下の通り。

 

【AR-2030VISION】
弾性無限の創造で持続的な価値向上がつながる社会に貢献する企業へと成長し続ける

 

【経営基盤】
SDGs/ESG経営へ ―グローバルな社会課題に挑戦する企業へと邁進しますー

 

【行動指針】
ステークホルダー・エンゲージメントを高めること

 

【技術基盤】
制御&感性へ -ゴムが有する無限の可能性に感性技術を加えてQOL向上を目指します-
独自の競争力の源泉となるコア技術は、色と光のコントロール技術、素材変性技術、表面改質およびマイクロ加工技術としている。それらコア技術に対して新たに感性技術を融合させ、現実世界・サイバー空間がシームレスにつながる世界において、それぞれの事業分野における「人と機械(システム)のつながり」を成長の視点と捉え、新たな価値の創造をもって社会課題の解決に挑む。
【事業基盤】
重点4事業分野へ -事業価値を高め続けて10年後にありたい姿の実現を目指します-
これまでの重点3事業分野(車載・照明事業、医療・ライフサイエンス事業、その他事業)について社会が求める2030年の環境から見つめ直すとともに、将来に「実装化」が想定されるテクノロジーを見通しながら、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の重点4事業分野に集中して10年後にありたい姿の実現を目指す。

 

新中期経営計画(第14次三ヵ年中期経営計画)
同社は、AR-2030VISIONの実現に向けて、第2のステージの2026年3月期までの2024年4月~2026年3月を第14次中期三ヵ年として、中期経営計画を策定した。中期経営方針、テーマ、スローガン、中期経営戦略、及び数値目標は、以下の通りである。

 

<中期経営方針:魅力を高めて新たな価値を提供しよう>
<テーマ:後継・Well-being>
<スローガン 「新しいカタチ」に向かって 挑戦>
<中期経営戦略>
①事業活動の深化・進化・新化
②スマートファクトリーの実績
③Well-beingを高める
④地域社会貢献

 

<26/3期数値目標>

売上高 85億円以上
営業利益率 5%以上

 

また、第14次三ヵ年中期経営計画では、エンゲージメント強化により、EX(従業員体験)を通じて従業員やステークホルダーの価値向上を図るとともに、CX(顧客体験)を通じて顧客の価値向上を実現する。更に、単品からモジュールへ、更には完成品へ売上構成の転換を図り、生産のみを行うOEM企業から、設計・生産まで行うODM企業への進化を図る。自らが価値「価格」をコントロールすることが目的であり、同社の独自の技術による付加価値を、ゴム単品の配合・成形からモジュールや完成品を提供できるように進化させることで、「弾性無限」の可能性を製品に表現した新たな価値をもって市場参入機会を増やし、社会に貢献していく。

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

(1)重点事業分野の取り組み

◎光学事業  23/3期の連結売上高約26億円に対し、26/3期の売上高は30億円を計画
「再構築と挑戦」をキーワードに光の可能性を追求した高付加価値向上で市場に貢献する。
◆車載照明のみならず、通信・セキュリティ、機能性照明、殺菌用途などで標準製品の付加価値向上と複合モジュールの開発を展開する。

 

◎医療・ライフサイエンス事業  23/3期の連結売上高約15億円に対し、26/3期の売上高は20億円を計画
「第二の柱へ成長させる」 をキーワードに、同社らしさで世界の医療現場と患者のQOL向上に貢献する。
◆ODM設計・複合デバイスやシステム機器へ挑戦する。また、診断・治療機器を製造販売する企業を目指し、診断治療機器と診断治療デバイスへ貢献するとともに、新事業を開拓する。

 

◎機能事業  23/3期の連結売上高約25億円に対し、26/3期の売上高は29億円を計画
「新たな柱を創る」をキーワードに、ラストワンマイルを安心・安全につなぐ制御で貢献する。
◆サーモモジュールの開発を推進し、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社との販売連携活動を進める。
<F-TEMの事業展開>
サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。同社では、サーモモジュールに使用される素子をゴムで覆うことで、“やわらかく曲げられる”サーモモジュールを開発・販売している。従来のサーモモジュールは固いセラミックスを使用しており、曲げることができなかった。市場が変化する中で、「曲げることができれば良いのに」という顧客の声を受け、F-TEMの開発が始まった。同社は、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社と販売特約店契約を締結し、今後F-TEMを製造するとともに、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社製サーモモジュールの販売を行う。
◆風力発電分野において、施設や設備の完工後に、保守操業を実施するO&M(Operation and Maintenance)を事業化する。

 

◎通信事業  23/3期の連結売上高約6億円に対し、26/3期の売上高は6億円を計画
「基礎基盤を固める」をキーワードに、伝える・伝わる価値でつながる社会に貢献する。
「モノ・センサ・通信規格・情報処理アプリケーション」を駆使し、新たな社会価値への取り組みに参画してスマート社会の発展に貢献する。病院向けでは施設内のIoT機器などを、交通インフラ向けでは保護・施工管理などを、環境センシングでは農業スマート化、発電設備の故障検知などを対象とする。

 

(2)EX(従業員体験)の取り組み

EXの推進により、成長基盤を構築し、社員全員で「好きのカタチ」を築く。

成長エンジン  

<スマートファクトリーの実践>

◆ものづくりの自動化・合理化・省人化

◆内外作政策の促進

◆設計技術、生産技術の強化

◆知的財産力を高める

地球と太くつながる  

<地域社会貢献>

◆地域の方々との交流

◆地域活性化への支援

来たくなる会社  

<well-beingの向上>

◆従業員の声を聞き反映させていく環境と体制整備

◆ワークライフバランスの向上

◆健康、福利厚生活動の充実

◆ITを利用した業務改善と働く環境整備

無形資産価値の向上  

<非財務情報の向上・開示>

◆人材育成計画に基づく活動

◆労働環境の整備

◆温室効果ガス削減活動

◆コンプライアンス実行力を高める

 

(3)24/3期の主な取り組み

◎医療・ライフサイエンス事業
【手技シミュレーター関係】

大腸内視鏡シミュレーター

mikoto

穿刺トレーニング

レベラップ

心臓の血管位置を学ぶ

CAトレーナー

大腸の内視鏡手術をトレーニング

するためのシミュレーター。内視鏡のリアルな挿入感と術中の様子を採点できる機能によって、手技レベル向上を図ることができる。

採血など穿刺を練習するためのトレーニングモデル。実際の注射器を使用し、穿刺~採血までの流れを一通りトレーニングすることがでる。 X線画像では分かりにくい心臓の

周りの血管を学ぶための学習用

ツール。このモデルと実際のX線

撮影画像を照らし合わせることで、どの血管がどこにあるのかを正しく理解することができる。

鳥取大学発ベンチャー R0社と

共同開発

近畿大学、タナック社と

共同開発

国際医療看護福祉大学校と

共同開発

 

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

同社は、今後手技シミュレーター分野への取り組みを通じて、医療現場に関わる人達との接点を増やし、市場の課題とニーズに触れて、同社が事業オーナーとして参画できる分野を見出す。また、引き続き既存顧客との取り組みを継続し、付加価値のある製品を提案する活動を進めるとともに、既存製品・新製品のさらなる拡売のため、新規顧客の開拓にも注力する。更に同社だからできた付加価値のある製品を、国内外含めて広く拡売する方針である。

 

【今後の拡大】

同社は、2023年4月から第14次三ヵ年中期経営計画をスタートし、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の4事業の成長による企業価値の向上に努めている。そのうち、医療・ライフサイエンス事業は、「朝日らしさで世界の医療現場と患者のQOL向上に貢献する」をビジョンとし、光学事業に続く収益の第二の柱として成長すべく活動を続けている。

 

第二福島工場の増築 今後の開発製品の受注見通しを踏まえて、第二福島工場の生産能力を増強させるために、同工場を増築することとした。
販売子会社の設立 35年にわたる実績を基盤に、医療分野の最前線でメーカー機能とネットワークを活かした提案・サービスを進めていくことが、医療・ライフサイエンス事業の拡大に寄与すると判断し、商社機能を持った新たな販売子会社の設立を決定し、2024 年8月8日に設立登記した。

 

◎機能事業
【筋電計測スターターキット】

ナノシート電極

伸縮配線

ナノシート電極は生体適合性を持つシリコーンゴムと導電性高分子で構成された極薄の電極。シートの厚みは1,000nm以下で接着剤を仕様せず水のみで肌へ貼り付けることができる。 フィルム状の配線表面にシリコーンゴムを同社独自の分子接着接合技術を用いて被覆させ、立体的に構造変化するよう「切り紙」加工された配線。ゴムの復元力により低応力で伸縮させることができる。
 

 

(同社決算説明会資料より)

 

筋電計測スターターキットでは、同社の伸縮配線を使用することで、課題であった動きの範囲に関係なく測定することが可能となる。また、極薄のナノシート電極を用いることにより、 今まで測定が難しかった表面の凹凸が複雑な手のひらや足の裏にも電極を貼り付けて測定することが可能となった。

 

◎通信事業
【やわらか保護カバー】

やわらか保護カバーRFIDタグ

やわらか保護カバーEnOcean

やわらか保護カバーRFIDタグは、単品では屋外での使用が制限されるRFIDタグをやわらか保護カバーで保護することで、工事現場や物流など過酷な屋外での使用を可能にした。中身のRFIDタグの種類を変えることで、様々な種類のRFIDタグを屋外向け仕様に
することができる。
EnOceanは、独EnOcean社が開発したバッテリー不要の無線通信規格。EnOceanデバイスの正規代理店である丸紅情報システムズ社と共同で、EnOceanを

「やわらか保護カバー」で保護し、防塵防水機能を追加した製品をラインナップした。

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

3.2025年3月期第2四半期決算概要

(1)連結業績

24/3期 上期

構成比

25/3期 上期

構成比

前年

同期比

会社計画

(期初予想)

計画比

売上高

3,359

100.0%

3,694

100.0%

+10.0%

3,835

-3.7%

売上総利益

725

21.6%

718

19.4%

-0.9%

902

-20.3%

販管費

713

21.2%

767

20.8%

+7.6%

785

-2.2%

営業利益

11

0.3%

-48

-1.3%

117

経常利益

35

1.1%

-57

-1.6%

111

親会社株主に帰属

する中間純利益

55

1.6%

-86

-2.3%

78

*単位:百万円 

 

前年同期比10.0%の増収、57百万円の経常損失
25/3期上期の売上高は、前年同期比10.0%増の36億94百万円となった。売上面では、工業用ゴム事業と医療・衛生用ゴム事業がともに主力製品の受注が増加した。工業用ゴム事業では、自動車向け製品において、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注は減少したものの、スイッチ用ゴム製品の受注が増加した。また、卓球ラケット用ラバーの受注は引き続き好調に推移した一方で、自動認識機器に使用されるRFIDタグ用ゴム製品の受注が前期に続き事業環境の影響を受け低迷した。これにより、工業用ゴム事業の売上高は、前年同期比9.0%増の28億57百万円となった。また、医療・衛生用ゴム事業では、プレフィルドシリンジガスケット製品は、顧客の生産調整等の影響により受注が減少したものの、診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁、医療シミュレーターの受注が増加した。これにより、医療・衛生用ゴム事業の売上高は前年同期比13.5%増の8億36百万円となった。
利益面では、57百万円の経常損失(前年同期は35百万円の経常利益)となった。工業用ゴム事業のセグメント利益は、機能性ゴム製品の開発製品の立上げに関するコスト、生産性合理化につながる設備投資に係るコストの計上等により、前年同期比77.5%減の19百万円となった。また、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益は、売上高の増加により前年同期比28.7%増の70百万円となった。売上総利益率は、19.4%と前年同期比2.2ポイント低下。コストダウンの実施などにより、売上高販管費率が同0.4ポイント低下。以上により、48百万円の営業損失(前年同期は営業利益11百万円)となった。また、前年同期に保険解約返戻金9百万円を計上した一方で、今上期は計上がなかったことや、為替差損10百万円を計上したことなどにより、営業損失よりも経常損失が拡大した。その他、偶発損失引当金繰入額の計上などにより親会社株主に帰属する中間純損失が86百万円となった。
期初計画との対比では、自動車向けのスイッチ製品は好調となったものの、内装照明用のASA COLOR LEDが採用されている国内自動車メーカーの中国市場での販売不振や生産体制見直しの影響を受け受注が減少したことにより、売上高が計画を下回った。また、各段階利益においても売上高減少の影響と新規開発製品の立上げコストの増加と既存製品の工場移管の費用の計上により、期初計画を下回った。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

 

四半期業績の推移

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25/3期第2四半期(7-9月)は、前年同期比で、増収となったものの、新規開発製品の立上げコスト増と既存製品の工場移管の費用を計上したことにより営業利益は減少した。前四半期(4-6月)との比較では増収減益となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

24/3期 上期

構成比

25/3期 上期

構成比

前年同期比

工業用ゴム事業

2,622

78.1%

2,857

77.4%

+9.0%

医療・衛生用ゴム事業

737

21.9%

836

22.6%

+13.5%

連結売上高

3,359

100.0%

3,694

100.0%

+10.0%

工業用ゴム事業

86

61.3%

19

21.6%

-77.5%

医療・衛生用ゴム事業

54

38.7%

70

78.4%

+28.7%

全社費用

-129

-138

連結営業利益

11

100.0%

-48

100.0%

*単位:百万円 

 

工業用ゴム事業では、自動車向けスイッチ製品の受注が増加した。
医療・衛生用ゴム事業では、診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁、医療シミュレーターの受注が増加した。

 

事業別売上高(中期事業分野別)

24/3期 上期

構成比

25/3期 上期

構成比

前年同期比

光学事業

1,169

34.8%

1,174

31.8%

+0.5%

医療・ライフサイエンス事業

756

22.5%

841

22.8%

+11.2%

機能事業

1,208

36.0%

1,450

39.3%

+20.0%

通信事業

225

6.7%

228

6.2%

+1.4%

売上高合計

3,359

100.0%

3,694

100.0%

+10.0%

*単位:百万円

 

(同社決算説明会資料より)

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

光学事業は自動車内装照明用のASA COLOR LEDが採用自動車メーカーの中国市場での販売不振や生産体制見直しの影響により受注が減少し、売上高が前年同期比で0.5%の増加にとどまった。医療・ライフサイエンス事業は採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブ、医療シミュレーターの受注が増加し、売上高が同11.2%増加した。機能事業は、自動車のスイッチ向け製品の受注が増加し、売上高が同20.0%増加した。卓球用ラバーはパリオリンピック後の注文増を受け四半期ベースで過去最高の売上高を更新した。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注見通しが不透明な状況が継続し、売上高が同1.4%の増加にとどまった。

 

国内・海外別売上高

 

24/3期 上期

構成比

25/3期 上期

構成比

前年同期比

国内

2,504

74.6%

2,820

76.3%

+12.6%

海外

854

25.4%

874

23.7%

+2.3%

アジア

788

23.5%

815

22.1%

+3.4%

北米

58

1.7%

44

1.2%

-23.5%

欧州

7

0.2%

13

0.4%

+84.7%

合計

3,359

100.0%

3,694

100.0%

+10.0%

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

25/3期上期において、国内売上高は前年同期比12.6%の増収となった。海外売上高は規模の大きいアジアの増加が寄与し、同3.4%の増収となった。

 

(3)主力製品の売上推移

 

23/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

24/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

24/3期

1Q

2Q

ASA COLOR LED

608

630

646

502

531

535

609

574

547

509

医療用ゴム製品

330

357

365

370

372

357

368

418

432

398

卓球ラケット用ラバー

149

166

144

163

171

175

177

178

163

181

RFIDタグ用ゴム製品

72

115

123

75

83

89

83

84

69

78

*単位:百万円

 

25/3期上期において、ASA COLOR LEDの売上高は、前年同期比0.9%減の10億56百万円となった。国内自動車メーカーの中国市場での販売不振や生産体制見直しの影響を受け売上高が減少した。医療用ゴム製品の売上高は、同13.8%増の8億30百万円となった。プレフィルドシリンジガスケット製品は、顧客の生産調整等の影響があったものの、採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁の受注が増加した。卓球ラケット用ラバーの売上高は、同0.5%減の3億45百万円となった。第1四半期(4-6月)は一部調整があったものの、パリオリンピック後に注文が増加し第2四半期(7-9月)は四半期ベースで過去最高の売上高を更新した。RFIDタグ用ゴム製品の売上高は、同14.4%減の1億48百万円となった。北米市場での受注が回復傾向にはあるものの、変動が大きく新型コロナ以前の水準には戻っていない。

 

(4)財政状態及び

キャッシュ・フロー

財政状態

 

24年3月末

24年9月末

 

24年3月末

24年9月末

現預金

2,282

2,266

仕入債務

299

337

売上債権

1,619

1,576

短期有利子負債

1,003

1,228

棚卸資産

1,106

1,090

流動負債

2,611

2,825

流動資産

5,418

5,331

長期有利子負債

751

820

有形固定資産

3,300

3,728

固定負債

1,760

1,873

無形固定資産

57

47

純資産

5,042

5,025

投資その他

637

615

負債・純資産合計

9,414

9,725

固定資産・繰延資産

3,995

4,393

有利子負債合計

1,755

2,049

*単位:百万円。有利子負債=借入(リース債務含まず)

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24年9月末の総資産は前期末比3億10百万円増の97億25百万円。資産サイドでは、機械装置及び運搬具などが主な増加要因となり、売上債権、電子記録債権などが主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは、短期と長期の借入金、為替換算調整勘定などが主な増加要因となり、偶発損失引当金、親会社株主に帰属する中間純損失の計上による利益剰余金などが主な減少要因となった。24年9月末の自己資本比率は、51.7%と前期末から1.9ポイント低下した。有利子負債(リース債務含まず)は、前期末比で2億94百万円増加した。

 

キャッシュ・フロー

24/3期 上期

25/3期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

317

146

-170

-53.7%

投資キャッシュ・フロー

496

-439

-936

フリー・キャッシュ・フロー

813

-292

-1,106

財務キャッシュ・フロー

229

247

+17

+7.6%

現金及び現金同等物の中間期末残高

1,960

1,395

-564

-28.8%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

CFの面から見ると、税金等調整前中間純損失の計上、売上債権と棚卸資産の減少額の縮小などにより営業CFのプラスが縮小した。また、有形固定資産の取得による支出の増加などにより投資CFがマイナスへ転じ、フリーCFもマイナスへ転じた。一方、長期借入金の返済による支出の減少などにより財務CFのプラスが拡大した。以上により、第2四半期末のキャッシュ・ポジションは前年同期比28.8%減少した。

 

(5)設備投資と減価償却費

連結ベースの25/3期上期の設備投資額は6億47百万円、減価償却費は2億38百万円。

事業分野

設備投資額(単位:百万円)

内訳

光学事業

61

ASA COLOR LEDの設備他

医療・ライフサイエンス事業

67

回路製品の生産設備他

機能事業

484

自動車向けゴム製品・新規開発製品の生産設備他

通信事業

11

タグ関係生産設備

その他

23

 

法人

設備投資額(単位:百万円)

分野

朝日ラバー

599

全事業

朝日FR研究所

0.7

基礎研究など

朝日フロントメディック

1.5

環境設備

東莞朝日精密橡膠制品

45

機能事業など

 

医療・ライフサイエンス事業はARチェックバルブ(逆止弁)など回路製品の生産投資を実施した。機能事業は自動車向けゴム製品の生産効率化の投資を実施した。

 

(6)25/3期上期の活動実績

◎医療・ライフサイエンス事業-手技シミュレーター関係
心電図の理解を助ける「3D 心電図Ⅻ-12lead」を国際医療看護福祉大学校と共同開発した。
心電図で観測される波形は、心臓をどの方向から見ているかによって分かれている。どの方向から心臓を観察した波形であるかは、アイントーベンの三角形のような簡略図を使うが、平面であるため立体的な心臓の形を理解しにくいという課題があった。「3D 心電図Ⅻ-12lead」は、心臓を見る方向を立体的に示し、心臓がどのように見えるかを的確に表した学習用シミュレーターである。製品中央に立体的な心臓を配置し、それを取り巻くように心電図で心臓を見る方向や位置を三次元的にあらわすことで、心臓との位置関係や心臓の見え方が明確化し、心電図をより正確に理解する手助けとなる。同社は医療・ライフサイエンス事業の成長に向けて、手技シミュレーター分野から医療現場に関わる方々との接点を増やし、市場の課題とニーズに触れて、同社が事業オーナーとして参画できる分野を見出す方針である。今後同社は、引き続き既存顧客との取り組みを継続し、付加価値のある製品を提案する活動を進めるとともに、既存製品・新製品のさらなる拡売のため、新規顧客の開拓にも注力する。更に、同社だからできた付加価値のある製品を、国内外含めて広く拡売する。

 

(同社決算説明会資料より)

 

◎医療・ライフサイエンス事業-(株)朝日フロントメディックの設立
同社は、35年にわたる実績を基盤に、医療分野の最前線でメーカー機能とネットワークを活かした提案・サービスを進めていくことが、医療・ライフサイエンス事業の拡大に寄与すると判断し、商社機能を持った新たな販売子会社である(株)朝日フロントメディックを設立した。
同社はこれまで、同社製のゴム製品の製造販売を行ってきた。部品の販売のみを行い顧客が組み立てていた。今後、(株)朝日フロントメディックは同社製ゴム部品とともに他社部材の仕入れ、外部の組み立てメーカーへ組み立てを依頼する役割を担う。今後完成品として販売することで顧客の裾野の拡大が期待される。また、(株)朝日フロントメディックは他社部材の仕入・販売を行う商社機能も担う。今後、今まで取引のなかったサプライヤー・顧客の開拓が期待される。将来的には、ワールドワイドで取引を行う予定である。

4.2025年3月期業績予想

(1)連結業績

24/3期

構成比

25/3期

構成比

前期比

売上高

7,180

100.0%

7,363

100.0%

+2.5%

売上総利益

1,678

23.4%

1,602

21.8%

-4.6%

販管費

1,522

21.2%

1,566

21.3%

+2.9%

営業利益

156

2.2%

36

0.5%

-77.0%

経常利益

195

2.7%

28

0.4%

-85.6%

親会社株主に帰属する当期純利益

133

1.9%

10

0.1%

-92.5%

*単位:百万円

 

25/3期は、前期比2.5%の増収、同85.6%の経常減益予想
同社は、10月30日に25/3期の会社計画の下方修正を実施した。新しい25/3期の会社計画は、売上高が前期比2.5%増の73億63百万円。経常利益が同85.6%減の28百万円の予想。売上面では、工業用ゴム事業においてASA COLOR LEDの売上が減少するもののスイッチ製品が好調に推移し、売上高が前期比で0.8%増加する見込みである。医療・衛生用ゴム事業は、下期も受注が堅調に推移し売上高が同8.8%増加する見込みである。
利益面では、上期のコスト増要因がなくなり利益率は回復するものの前期比で各段階利益が減少する見込みである。売上総利益率が前期比1.6ポイント低下し21.8%となり、売上高対販管費率が同0.1ポイント上昇し21.3%となる予定である。この結果、営業利益は前期比77.0%減の36百万円となる見込みである。売上高営業利益率は、前期比1.7ポイント低下の0.5%の予想。その他、前期に営業外収益で保険解約返戻金が発生した反動などにより、経常利益の減益率は営業利益の減益率よりも悪化する見込みである。
一方、配当予想は、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。連結配当性向は912.6%となる。

 

業績予想の修正

 

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

期初会社予想

7,772

281

263

183

10/30修正会社予想

7,363

36

28

10

増減額

-409

-245

-235

-173

増減率

-5.3%

-87.2%

-89.4%

-94.5%

*単位:百万円

 

売上高は、引き続きASA COLOR LEDの減少傾向は緩やかではあるものの回復が見込めず、また、医療・衛生用ゴム事業の注射器用ガスケット製品の一部で顧客の在庫調整がある見込みであることから、期初予想を下回る見込みとなった。また各段階利益も。開発部品の立ち上げに係る追加コストはなくなるものの売上高が減少することから、期初予想を下回る見込みとなった。

 

(2)下期の業績見通し

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

 

25/3期 上期

25/3期 下期

増減

売上高

3,694

3,668

-26

売上総利益

718

883

+164

売上総利益率

19.4%

24.1%

+4.7P

営業利益

-48

84

+133

*単位:百万円

 

25/3期下期は、前年同期比4.0%減収、同46.2%の経常減益の見込みである。ASA COLOR LEDなどの受注の減少が影響する。一方、上期との比較では、売上高は微減も、上期の一時的な費用の増加が解消し、利益率は回
復する見通しである。

 

(3)セグメント別売上高(中期

事業分野別)の見通し

24/3期

実績

構成比

25/3期

会社計画

構成比

前期比

光学事業

2,485

34.6%

2,226

30.2%

-10.5%

医療・ライフサイエンス事業

1,563

21.8%

1,672

22.7%

+6.9%

機能事業

2,688

37.4%

3,004

40.8%

+11.7%

通信事業

442

6.2%

461

6.3%

+4.1%

売上高合計

7,180

100.0%

7,363

100.0%

+2.5%

*単位:百万円

 

光学事業は、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注の減少傾向が続き、売上高が前期比10.5%減少する見込みである。医療・ライフサイエンス事業は、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなどゴム製品の受注が引き続き堅調となり、医療シミュレーターの受注も増加し、売上高が前期比6.9%増加し過去最高を更新する見込みである。機能事業は、自動車向けなどのスイッチ向けゴム製品の受注が好調に推移し、卓球ラケット用ラバーの受注も引き続き堅調に推移する見込みであり、売上高が同11.7%増加する見込みである。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注に不透明感があるものの、売上高が同4.1%増加する見込みである。やわらか保護カバーの市場供給を進める方針である。

 

主要製品の売上見通し

 

24/3

実績

25/3

会社計画

前提・方針

ASA COLOR LED

2,250

1,986

◆採用自動車メーカーの中国市場での販売不振や販売

不振生産体制見直しの影響が続く見込み。

◆タッチパネル化による内装照明ニーズの変化の見通し

が不透明。

医療用ゴム製品

1,517

1,520

◆診断・治療向け製品の受注は引き続き堅調に推移する見通し。

◆新規開発製品の取り組みを継続して進める。

卓球ラケット用ラバー

702

742

◆五輪後の受注は堅調に拡大する見込み。

◆生産体制の増強に向けて準備を進める。

RFIDタグ用ゴム製品

340

300

◆採用されている北米市場での見通しの不透明感が続く。

◆やわらか保護カバーRFIDタグの標準品、カスタム品を

販売開始。

*単位:百万円

 

(4)設備投資と減価償却費の計画

連結ベースの25/3期の設備投資額は9億90百万円、減価償却費は4億80百万円を計画。

事業分野

設備投資額(単位:百万円)

内訳

光学事業

61

ASA COLOR LED設備他

医療・ライフサイエンス事業

115

回路製品の生産設備他

機能事業

656

自動車向けゴム製品・新規開発製品の生産設備他

通信事業

11

タグ関係生産設備

事業共通

146

基礎研究など

 

法人

設備投資額(単位:百万円)

分野

朝日ラバー

913

全事業

朝日FR研究所

0.7

基礎研究など

朝日フロントメディック

1.5

環境整備

東莞朝日精密橡膠制品

74

機能事業など

 

設備投資は、期初計画の6億47百万円から9億90百万円へ増額し、更に開発と増産投資を加速する。
また、下期は機能事業のスイッチ製品の開発製品の投資、医療・ライフサイエンス事業の効率化投資を実施する予定である。

 

(5)配当計画

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

配当金は、中間配当金、期末配当金とも一株当たり10円の前期と同額の年20円を計画。配当性向は912.6%となる見込みである。

 

5.今後の注目点

同社の25/3期上期決算は、前年同期比10.0%の増収ながら、57百万円の経常損失(前年同期は35百万円の経常利益)となり、売上高と各段階利益が期初の会社計画を下回った。売上面では、自動車向けのスイッチ製品は好調に推移しているものの、内装照明用のASA COLOR LEDが採用されている国内自動車メーカーの中国市場での販売不振や生産体制見直しの影響を受け受注が減少した。利益面では、売上高の減少に加え、新規開発製品の立上げによるコストの増加と既存製品の工場移管の費用を計上したことが影響した。残念な上期決算となったものの今後の成長に向け期待の持てる内容でもあった。ASA COLOR LEDは苦戦しているものの、スイッチ製品の受注は好調に拡大している。加えて、卓球用ラバーは第2四半期(7-9月)に過去最高の売上高を計上した。更に、医療・ライフサイエンス事業では、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブ、医療シミュレーターの受注の増加が確認された。また、経常損失となったものの、新規開発製品の立上げによるコストの増加と既存製品の工場移管の費用を計上したことが影響したものであり、今後の業績拡大に向けて不可欠な先行投資と言えよう。こうした中、同社は今期の設備投資計画を6億47百万円から9億90百万円へ引き上げた。機能事業のスイッチ製品の開発製品の投資と医療・ライフサイエンス事業の効率化投資を加速するものである。自動車関連では、今後1台当たりに採用されるスイッチ製品の増加が期待される。また、医療・ライフサイエンス事業では機能事業と連携した製品開発の強化が期待される。設備投資計画の引き上げは今後の事業拡大に向けた同社の自信の表れではなかろうか。今期投資を実施するスイッチ製品など機能事業と医療シミュレーターなど医療・ライフサイエンス事業の今後の受注状況が注目される。
また、同社は今上期に商社機能を持った新たな販売子会社である(株)朝日フロントメディックを設立した。今後、(株)朝日フロントメディックは同社製ゴム部品とともに他社部材の仕入れを行い外部の組み立てメーカーへ組み立てを依頼する他、完成品の販売を計画している。更に、(株)朝日フロントメディックは他社部材の仕入・販売を行う商社機能も担う。今後完成品の販売により顧客の裾野が拡大し、更に、今まで取引のなかったサプライヤー・顧客の新規開拓が進む見込みである。本格的に同社の業績へ貢献するのは少し先になると思われるが、(株)朝日フロントメディックの今後の事業展開について期待を込めて注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 7名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年6月25日

 

<基本的な考え方>
当社及び当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「継続的な成長を通して、企業価値を高めていくという経営の基本方針を実現するために、経営の透明性・健全性を高め、コンプライアンス経営を徹底する」であり、経営上の重要な課題のひとつと位置付けております。

 

【実施をしないコード:その主な原則と理由】

原則

実施しない理由

【補充原則1-2④】 当社の株主構成で機関投資家また外国人株主の比率が低いため、議決権電子行使プラットフォームや決算資料および招集通知の英訳は実施しておりません。それぞれ一定程度の株主構成比率になった場合または要望が多くなった場合に検討いたします。
【補充原則2-4①】 当社では、必要に応じて適材適所での人員配置とすることを基本方針としているため、女性、外国人等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方等は定めておりませんが、今後も、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針であります。
【補充原則3-1②】 海外投資家、外国人投資家の株主構成比率は少ないため、英語での決算情報など開示資料の公開は行っておりません。
【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】 女性取締役や外国人取締役は在籍しておりません。当社では女性の管理職が7名、また現場でのリーダーは30名でございます。いろいろな考え方を尊重して、多様性を高めた人事を進めていきたいと考えています。当社では、出産や育児のあとも短時間勤務制度を利用しながら継続して働いている女性社員が増えてきており、こうした方たちが、将来、活躍できるように体制を整えてまいりたいと考えております。財務・会計に関する十分な知見を有している社外取締役は1名で、旧大蔵省での財務・会計業務を長年にわたって携わってきたことによる豊富な知識と弁護士としての幅広い見識を、当社の監査業務やコンプライアンス活動等に活かしていただくため、社外取締役に指定しております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】

原則

開示をしている主な原則

【原則1-4.政策保有株式】 方針として、中長期的な企業価値向上を図ることを基本とし、その保有の合理性を得られない場合は保有いたしません。政策保有株式の目的は取引関係の強化、情報収集などが主な目的であり、それぞれの目的が効果をあげているかの状況等を検討して、適宜判断しております。

当社が保有している法人の株式については、その簿価と株価とを比較し、また当該会社の事業状況等も踏まえて、保有するか売却するかの判断を行っております。

特に定量的な数値指標はございません。取引状況、情報収集状況、また相手先の会社の経営状況等を総合的に判断して、議決権を行使してまいります。

【原則3-1.情報開示の充実】 ⅰ)会社の社訓、経営基本方針を会社ホームページにて開示しております。また中期経営計画を策定し、説明会を開催して公表して会社ホームページにて開示しております。

ⅱ)当社は、当社グループ全体の企業価値の最大化を図るためにはコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しており、経営の透明性と健全性の確保、適時・適切な情報開示を行うことに努めています。また、「内部統制システムに係る基本方針」に基づき、当社および子会社の内部統制システムを整備し運用しております。

ⅲ)当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としております。決定の手続きについては、他社水準及び対従業員給与とのバランスを考慮しながら総合的に勘案して、取締役会で了承された方法により決定いたします。

ⅳ)取締役候補者の選任について、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人物を役員とすることを基本方針とし、経営の意思決定および業務執行の監督に携わる者としてふさわしい経歴、能力、リーダーシップ、中長期的視野および高い倫理観を持つ者の中から、人格、経験を総合的に勘案し、取締役候補者といたします。その手続きは、候補者を代表取締役社長が監査等委員会に提案し、監査等委員会で確認後、取締役会で候補者を決定し、取締役の選任に関する議案を株主総会に提出いたします。執行役員の選解任については、代表取締役社長が取締役会に提案し、取締役会でその提案について審議し、決定いたします。

ⅴ)役員等の候補者選定の手続きについては、管理部門が候補者の経歴書、推薦書等の資料を準備し、監査等委員会にて面談を実施し、審議、取締役会への答申内容を決定し、取締役会で審議結果を答申し決定いたします。

【補充原則3-1③】 当社では「サステナビリティビジョンとして「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」を掲げ、ゴムの無限の可能性を追求し、さまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続けます。

当社事業におけるSDGsの各ゴールの設定と環境・社会の課題に対するKPIを定め、従業員の働く環境に関する施策の実施状況とあわせて、ホームページにて活動を報告しております。

https://www.asahi-rubber.co.jp/company/sustainability/

知的財産の基本的な考え方と知財戦略について、当社は、研究開発活動の成果を知的財産として、権利化したりノウハウとすることにより、経営計画、経営戦略の一環として推進し、中長期経営戦略の事業の企画・戦略と知的財産を結びつけた知財戦略とすることを基本としています。知的財産をけん引する組織としては、知的財産グループが主導して各工場(事業)に知財実行委員を配置し、知財実行委員会を開催し、事業戦略に基づいた知財戦略について、部門横断的な連携がとれる体制としています。さらに、特許出願の職務発明報奨制度により、社員の出願インセンティブを高めることで、積極的な知的財産の創出を図っています。一方、他社の知的財産権に対しては、これを尊重し係争を未然に回避するため、テーマ提案・事業化・仕様変更などの事業開発の節目および継続的に特許調査を実施し、知財実行委員会で討議し、設計段階において工程全体のパテントクリアランスの確保に努めております。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】 IR活動を強化し、頻度をあげております。外部からの意見もいただきながら、問い合わせ窓口を広げてまいります。今後も株主の皆様や投資家の皆様のご意見をいただきながら、体制を整備していきたいと考えております。
【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】 <現状評価・取組方針>

当社は、2026年3月までの第14次三カ年中期経営計画において、連結売上高85億円、連結営業利益率5%を定量目標としています。この目標達成に向けて、資本コストをWACC(加重平均資本コスト)とし、資本収益性の指標としてのROIC(投下資本利益率)が資本コストを上回ることで達成可能と分析しています。これを着実に実行していくため、持続的な成長と当社独自の付加価値を高めて市場に貢献していく活動を進めながら、株主・投資家との対話や開示の充実も図ってまいります。

<ご参考>

詳細は、当社ウェブサイト「IR情報」に掲載の「2024年3月期決算説明会資料」29~33ページの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対策」に記載していますので、以下URLをご参照ください。

https://www.asahi-rubber.co.jp/ir/kessan/

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