梅の花(7604) 利益率が大幅に改善 中期計画にも注目

2024/07/18
 

本多 裕二 社長

株式会社梅の花(7604)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

小売業

代表者

本多 裕二

所在地

福岡県久留米市天神町146番地

決算月

4月

HP

https://www.umenohana.co.jp

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

978円

8,209,200株

8,028百万円

34.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

10.0円

1.0%

39.15円

25.0倍

159.65円

6.1倍

*株価は7/11終値。24年4月期決算短信より。BPS、ROEは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年4月

21,603

-2,252

-2,396

-1,921

0.0

2022年4月

22,591

-1,630

-1,792

217

19.58

0.0

2023年4月

27,456

89

14

-440

5.0

2024年4月

29,816

819

739

1,020

117.30

10.0

2025年4月(予)

30,250

906

727

420

39.15

10.0

*予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

(株)梅の花の2024年4月期決算概要などをご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年4月期決算概要
3.2025年4月期業績予想
4.本多社長へのインタビュー
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 食と文化の融合をテーマに、外食事業、テイクアウト事業、外販事業を展開する。外食事業は、「湯葉と豆腐の店 梅の花」、「和食鍋処 すし半」、「海産物居酒屋 さくら水産」、「熊本あか牛 しゃぶしゃぶ甲梅(こうばい)」等の店舗展開を行う。テイクアウト事業は、巻寿司・いなり寿司等の販売店「古市庵(こいちあん)」及び和総菜・弁当の販売店「梅の花」の店舗展開を行う。外販事業では、水産加工品の製造販売、梅の花及び古市庵ブランド商品の販売を行う。創業者である故・梅野重俊氏が座右の銘とした「人に感謝、物に感謝」が経営理念。99年に日本証券業協会に店頭登録。02年に東証二部に上場。22年4月よりスタンダード市場に移行。 
  • 24/4期の売上高は前期比8.6%増の298億16百万円。コロナ禍において落ち込んだ業績回復を目指し、引き続き各事業部門の組織運営力の強化及びDX推進による管理業務の合理化による生産性向上を図った。また、セントラルキッチンの製造機器更新や新規導入及び生産管理の精度向上による収益力の向上にも尽力している。営業利益は同812.5%増の8億19百万円。売上総利益率が前期64.3%から65.5%へ大きく改善。物価上昇の影響を考慮し同社においても賃上げを実施した一方販管費を6.5%増に抑えたことで営業利益率が前期の0.3%から2.7%へ大幅に向上した。期末配当は会社予想通り5.00円/株を実施。年間では前期比5.00円/株増配の10.00円/株。 
  • 25/4期は売上高が前期比1.5%増の302億50百万円、営業利益は同10.6%増の9億6百万円を見込む。新型コロナウイルス感染症は収束しているが、原材料価格と光熱費の高止まりや人手不足等、先行き不透明な状況が続くことが予想される。こうした中、物価上昇の影響を考慮して賃上げを実施、賃金上昇の好循環に対応するために販売価格改定及び生産性の向上に取り組む。配当は前期と同額の10.00円/株(うち上期末5.00円/株)を予定する。 
  • 本多社長は梅野氏から18年にバトンタッチをして専務から社長に就任した。インタビューでは、「おいしいものと健康なもの」を推進する方針は継続していく。さらにはM&Aを通じて規模を大きくしていく考え。コロナ禍においてコスト削減や物流改革を実行しており、より収益性の高い体質に変貌。これらを反映させた業績の向上を、IR強化などを通じて株価上昇に繋げていく考えも示した。 
  • 24/4期はコロナ禍からの回復の延長線上だが、利益率が大幅に改善されていることが目を引く。営業利益は前期比812.5%増、期初の予想5億91百万円を4割近く上回った。販売価格の改定に加えコロナ禍で実行してきた様々な施策が功を奏したといえるだろう。25/4期においても利益率は改善する見通し。説明会で本多社長は幾度か強調していたが、今後は外販事業を強化していくことでセントラルキッチンの効率化をさらに進めていく考えである。 
  • 本多社長は会社の現状を良く知っていて、今後どのように戦略を打っていくべきかを熟知している印象を持った。派手さはなく控え目な社長ではあるが、社会貢献するとともに従業員や顧客満足度を高めることに対しては非常に熱心である。なお、同社が本格的にIR活動を実施するのは初めて。今後は業績動向とあわせて、まだ発表されていない「資本コストや株価を意識した経営に向けた対応」や「中期計画」などのリリースにも注目していきたい。 

1.会社概要

食と文化の融合をテーマに、外食事業、テイクアウト事業、外販事業を展開する。外食事業は、「湯葉と豆腐の店 梅の花」、「和食鍋処 すし半」、「海産物居酒屋 さくら水産」、「熊本あか牛 しゃぶしゃぶ甲梅(こうばい)」等の店舗展開を行う。テイクアウト事業は、巻寿司・いなり寿司等の販売店「古市庵(こいちあん)」及び和総菜・弁当の販売店「梅の花」の店舗展開を行う。外販事業では、水産加工品の製造販売、梅の花及び古市庵ブランド商品の販売を行う。同社及び子会社7社で構成される。
創業者である故・梅野重俊氏が座右の銘とした「人に感謝、物に感謝」が経営理念。
99年に日本証券業協会に店頭登録。02年に東証二部に上場。22年4月よりスタンダード市場に移行。

 

【1-1 沿革】

1976年に梅野重俊氏が、かに料理店「かにしげ」を創業。梅野氏は会社設立を経て事業を拡大させながら2018年まで社長に就く。18年から跡を継いだのが現社長の本多社長。

 

年 月

概要

79年 10月

料理店の経営を目的として、佐賀県佐賀市にかにしげ有限会社を設立

86年 4月

「湯葉と豆腐の店 梅の花」1号店を福岡県久留米市に開店(久留米店)

90年 1月

福岡県久留米市に株式会社ウメコーポレーションを設立

7月

株式会社ウメコーポレーションが、かにしげ有限会社を吸収合併

92年 12月

福岡県久留米市に久留米セントラルキッチンを新設

96年 3月

福岡県久留米市に本社社屋を取得移転

97年 10月

株式会社ウメコーポレーションを株式会社梅の花に商号変更

99年 4月

日本証券業協会に株式を店頭登録

02年 6月

東京証券取引所市場第二部に上場

03年 9月

タイ国バンコク市にUMENOHANA(THAILAND)CO.,LTDを設立

04年 9月

新設分割により株式会社西日本梅の花及び東日本梅の花を設立し、店舗運営を継承

(08年10月の組織再編により統合、商号を株式会社Serviceに変更)

04年 11月

福岡県久留米市に有限会社梅の花plus(08年10月に株式会社梅の花plusに変更)を設立

07年 10月

株式会社古市庵を株式取得により子会社化

12年 11月

エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社と資本・業務提携契約を締結

13年 6月

タイ国バンコク市に現地法人S&P Syndicate Public CO.,LTD.と合弁でUMENOHANA S&P CO.,LTD.を設立

14年 10月

株式会社古市庵を株式交換により完全子会社化

16年 10月

株式会社梅の花Serviceを分割会社とする新設分割により株式会社梅の花サービス東日本を設立し、

株式会社梅の花Serviceを株式会社梅の花サービス西日本へ商号変更

  株式会社丸平商店を株式取得により完全子会社化

11月

株式会社フジオフードシステム(現株式会社フジオフードグループ本社)と資本業務提携に関する覚書を締結

17年 4月

株式会社すし半を株式取得により完全子会社化

18年 8月

京都府綴喜郡井手町に京都セントラルキッチンを新設

12月

19/4期より、決算月を9月から4月に変更

19年 2月

農事組合法人甲誠牧場(本社 熊本県阿蘇市)と合弁で株式会社三協梅の花(子会社化)を設立

5月

株式会社テラケンを株式取得により子会社化

21年 1月

Plum協同組合を設立

5月

株式会社梅の花サービス西日本を分割会社とする新設分割により、株式会社梅の花サービス九州を設立

22年 4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第二部からスタンダード市場に移行

5月

株式会社古市庵を存続会社、株式会社梅の花plusを消滅会社とする吸収合併を行い、

商号を株式会社古市庵プラスに変更

23年 3月

エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社と資本・業務提携契約を解消

4月

UMENOHANA S&P CO.,LTD.の株式売却によりS&P Syndicate Public CO.,LTD.との合弁解消

 

 

【1-2 事業構造】

≪セントラルキッチン≫

 

セントラルキッチンは、「梅の花」のおいしさの原点。

「安心・安全・おいしい」を全国へ。

「梅の花」や「古市庵」の主力となる食材をセントラルキッチンで製造し、安定したおいしさと、安定した供給を実現

 

 

「安心・安全・おいしい」を全国へ

 

(同社資料より)

 

92年に福岡県久留米市のセントラルキッチンを新設。以降、「梅の花」のおいしさの原点となっている。現在は久留米市のほか、京都府綴喜郡、栃木県佐野市、山口県山口市に拠点を構える。セントラルキッチンで作られた食材は、その日のうちに配送または冷凍保管し、鮮度と風味をキープしたまま各店舗へ。配送された食材を店舗で仕上げることで、どのレストランでも、どのテイクアウト店でもいつでも変わらないおいしさを顧客に提供している。

 

(同社資料より)

【1-3 事業内容】

≪外食事業≫
株式会社梅の花サービス(連結子会社)は「湯葉と豆腐の店 梅の花」を中心とした店舗、株式会社すし半(連結子会社)は「和食鍋処 すし半」の店舗、株式会社テラケン(連結子会社)は「海産物居酒屋 さくら水産」を中心とした店舗、株式会社三協梅の花(連結子会社)は「熊本あか牛 しゃぶしゃぶ 甲梅(こうばい)」の店舗を運営している。同社はこれら子会社に対し、食材及び備品等の供給、経営指導、経理事務等の請負サービス等を提供している。

 

外食事業における同社グループの業態別の主要販売品目は、次のとおり。

業態

主要販売品目

湯葉と豆腐の店 梅の花 湯葉と豆腐懐石料理、和食一品料理、ドリンク、持ち帰り弁当
和食鍋処 すし半 鍋料理、寿司、丼物、お膳物、ドリンク、持ち帰り弁当
海産物居酒屋 さくら水産 魚料理、焼き鳥、一品料理、ドリンク
その他 その他飲食

 

「湯葉と豆腐の店 梅の花」久留米店

 

 

 

(同社HPより)

グループの主力である「湯葉と豆腐の店 梅の花」は、顧客に“おいしい料理に心満たされる、癒しのひとときを。”をテーマに展開。高級料亭を思わせる外観や高級なしつらえの店内と高度な接客を、リーズナブルな価格で提供することで差別化している。また事業拡大を目指し、「創作中華の店 チャイナ梅の花」、「季節釜めし 花小梅」を出店している。さらには、M&Aにより「和食鍋処 すし半」を運営するすし半、「海鮮居酒屋 さくら水産」を運営するテラケンをグループ化した。新業態としては、高価格帯の「熊本あか牛しゃぶしゃぶ 甲梅」を20年3月に「GINZA SIX」に出店。

 

(同社資料より)

 

なお、「海鮮居酒屋 さくら水産」については、総合居酒屋から新鮮魚介類を中心とした店舗「魚がイチバン」への業態変更、リニューアルを進めている。

 

≪テイクアウト事業≫
株式会社古市庵プラス(連結子会社)は、「古市庵」と「梅の花」ブランドを中心とした店舗を展開している。同社は、食材及び備品等の供給、経営指導、経理事務等の請負サービス等を提供している。
テイクアウト事業における同社グループの業態別の主要販売品目は、次のとおり。

業態

主要販売品目

古市庵 巻寿司、いなり寿司、押寿司、詰合せ寿司、おむすび、おこわ等
梅の花 持ち帰り弁当、和惣菜、おせち、豆腐他大豆加工品、冷凍惣菜
その他 持ち帰り弁当、和惣菜、おせち、豆腐他大豆加工品、冷凍惣菜、生鮮品等

「湯葉と豆腐の店 梅の花」の味を各家庭でも楽しめるように販売する「梅の花」のテイクアウト店。彩りの美しい寿司やおむすび等でおなじみの「古市庵」。2ブランドとも全国の有名百貨店に展開するテイクアウトブランドである。

 

(同社資料より)

 

≪外販事業≫
セントラルキッチンで製造されたオリジナル商品をスーパーマーケットや他社の外食事業者等、約270社へ販売している。また、旧株式会社丸平商店(23年8月に梅の花に統合)において牡蠣商品を主とする水産加工品の製造販売等を行っている。

(同社資料より)

 

≪その他≫
UMENOHANA(THAILAND)CO.,LTD.(持分法適用非連結子会社)は、タイ王国バンコク市において豆乳・豆腐及び湯葉等の食品製造、販売並びに飲食店舗の運営を行っている。
Plum協同組合(持分法非適用非連結子会社)は、外国人技能実習生共同受入事業、特定技能外国人支援事業並びにそれらの職業紹介事業を行っている。
また、不動産の賃借も行っている。

 

【1-4 サステナビリティ】

―生産者と共に― 安心・安全のおいしさを、生産者とともに。

 

セントラルキッチン食品残渣の年間廃棄量を100%削減

生産者との共存共栄の拡大と環境問題への取り組みとして、セントラルキッチンにて年間273トンの食品残渣を100%削減。現在は一部店舗も取り組みを開始。

①食品残渣を発酵分解処理を行い生成物へ

②協力企業が回収し堆肥化

③農作物の生産者へ提供

④生成された堆肥を使用した農作物を直接同社が全量買取り

⑤梅の花グループ店舗で使用

「ゆきぴりか大豆」の契約栽培

生産者との共存共栄を目的に北海道において、梅の花の名物である豆腐づくりに欠かせない「ゆきぴりか大豆」を契約栽培。北海道の空知・十勝地区で7軒の生産者と契約、2010年より全量買取を行い原料の安定確保にも努めている。

 

(同社資料より)

「ゆきぴりか大豆」は他の大豆に比べてイソフラボン含有率が高いことが特徴。

栽培がむずかしい品種のため、生産量が少ない希少な大豆。

 

(同社資料より)

 

―環境への配慮― 温室効果ガス削減への取り組み
物流センターから店舗への配送に使用する資材を、ドライアイスと発泡スチロールからリサイクルコンテナと、再利用できる高性能の保冷剤へ切り替えを行い、ドライアイスの年間使用量を削減。

 

(同社資料より)

 

―社会貢献―
こども食堂への提供
梅の花グループ物販店からお弁当等930千円とセントラルキッチンから2.3トンの食品をNPO法人こども食堂へ提供。

 

地域災害へ支援
福岡県久留米市豪雨災害(23年7月)避難所へ、11日間の食品提供。

 

タイの学校へ支援
14年に特定非営利活動法人「The Flower of a Dream Association」を設立。
タイの学校へミャンマーの子供たちの学校運営支援として従業員と会社で支援活動を行うことで、国際社会の健全な発展に貢献。
24/4期
寄付額合計6,444千円
➤従業員 3,222千円
➤会社は従業員と同額を寄付

 

Plum共同組合
外国人技能実習生共同受入事業を目的とし、特定技能外国人支援事業並びに職業紹介事業を行うことを目的とした「Plum共同組合(非連結子会社)」を設立。

 

 

 

 

同社所属の特定技能は前期より5名増加の32名、

技能実習生は前期より34名増加の70名

 

24年4月時点

                                                                                (同社資料より)

 

2.2024年4月期決算概要

【2-1 連結業績概要】

 

23/4期

構成比

24/4期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

27,456

100.0%

29,816

100.0%

+8.6%

29,690

+0.4%

売上総利益

17,652

64.3%

19,521

65.5%

+10.6%

19,350

+0.9%

販管費

17,563

64.0%

18,701

62.7%

+6.5%

18,626

+0.4%

営業利益

89

0.3%

819

2.7%

+812.5%

723

+13.3%

経常利益

14

0.1%

739

2.5%

639

+15.6%

当期純利益

-440

1,020

3.4%

764

+33.5%

*単位:百万円、会社予想は24年3月に修正した予想。

 

増収大幅増益、修正後の会社計画も上回る
売上高は前期比8.6%増の298億16百万円。コロナ禍において落ち込んだ業績回復を目指し、引き続き各事業部門の組織運営力の強化及びDX推進による管理業務の合理化による生産性向上を図った。また、セントラルキッチンの製造機器更新や新規導入及び生産管理の精度向上による収益力の向上にも尽力している。出退店については、3店舗出店及び7店舗退店し、当連結会計年度の店舗数は、279店舗となった。
営業利益は同812.5%増の8億19百万円。売上総利益率が前期64.3%から65.5%へ大きく改善。物価上昇の影響を考慮し同社においても賃上げを実施した一方、販管費を6.5%増に抑えたことで営業利益率が前期の0.3%から2.7%へ大幅に向上した。売上高・各段階利益は3月に上方修正した会社予想を上回って着地した。
期末配当は会社予想通り5.00円/株を実施。年間では前期比5.00円/株増配の10.00円/株。

 

【2-2 セグメント別売上高・

営業利益】

 

23/4期

構成比

24/4期

構成比

前期比

売上高          
外食事業

15,233

55.5%

16,999

57.0%

+11.6%

テイクアウト事業

10,439

38.0%

10,541

35.4%

+1.0%

外販事業

1,768

6.4%

2,254

7.6%

+27.5%

その他

15

0.1%

21

0.1%

+37.9%

合計

27,456

100.0%

29,816

100.0%

+8.6%

セグメント利益

 

 

 

外食事業

219

1.4%

931

5.5%

+324.3%

テイクアウト事業

683

6.5%

761

7.2%

+11.5%

外販事業

-77

-84

その他・調整額

-735

-788

合計

89

0.3%

819

2.7%

+812.5%

*単位:百万円、セグメント利益の構成比は売上高利益率。

 

*外食事業
売上高は前期比11.6%増の169億99百万円、営業利益は同324.3%増の9億31百万円。
4年ぶりに新型コロナウイルス感染症による行動制限のない歓送迎会シーズンやインバウンド需要が引き続き好調なこともあり、売上高の回復傾向が継続している。既存店売上は前期比で1%増、コロナ禍前との比較では11%減だが、客数が20%程度減少に対して客単価は10%程度増加している。
「湯葉と豆腐の店 梅の花」については、季節の食材を使用した懐石等のメニューや季節ごとのテイクアウト商品の販売強化を行い、引き続き顧客満足度の向上と売上確保に努めている。一部店舗においては、店内改装を実施し顧客の快適性及び従業員の作業環境の改善を行った。また、「うめのあぷり」の会員を対象とした試食会の継続実施に加えて店舗で食事した顧客を対象に料理に関するアンケートを実施、顧客の声を商品開発に反映する等、顧客との接点を増やすことに取り組んでいる。また、メニュー価格の改定を行い、原価率の改善等に取り組み営業利益の確保に努めている。

 

「和食鍋処 すし半」については、お酒が飲める逸品料理や幅広い世代をターゲットとしたメニューへリニューアルした。また、LINEを活用したクーポン発行、近隣企業へのDM発送など集客に努めるとともにメニュー価格を改定したことにより客数・客単価ともに前期を上回っている。
「海産物居酒屋 さくら水産」については、横浜日本大通り店を23年10月に豊洲直送の新鮮魚介類を中心にお得に楽しめる居酒屋「魚がイチバン 横浜日本大通り店」としてリニューアルオープンし、好調に推移している。また、さくら水産朝霞台北口店に続きさくら水産イオン新浦安店及び海鮮処魚さま光が丘店にて「まぐろの解体ショー」を行い、集客と認知度向上に引き続き努めている。
「熊本あか牛 しゃぶしゃぶ 甲梅」は、インバウンドの効果が継続して好調なことにより前期の売上高を大きく上回っている。
各業態において取り組んできたメニューのリニューアル、顧客接点強化による認知度及び来店客数の増加、店舗管理体制の強化並びにコスト削減により営業利益が大幅に改善した。

 

外食事業の既存店売上推移(単位:百万円、%)

19年4月期は、19年5月~20年1月と19年2~4月対比

(同社資料より)

*テイクアウト事業
売上高は前期比1.0%増の105億41百万円、営業利益は同11.5%増の7億61百万円。
新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類感染症移行後、外出機会の増加に伴い引き続き業績は回復傾向にある。梅の花・古市庵ブランドともに節分やひな祭りなどの各種イベント商品の販売が引き続き好調なことにより売上は堅調に推移した。既存店売上は前期比で3%増、コロナ禍前との比較では8%減。利益面では、前期に続き梅の花・古市庵ブランドともに商品の価格改定を実施し原材料価格高騰に対応した。また、店舗における効率的な商品製造や人員配置などの指導、並びに廃棄及び値引き等のロス抑制による原価率改善等により利益率も向上した。
店舗数については、古市庵テイクアウト店は2店舗出店及び4店舗退店し104店舗、梅の花テイクアウト店は1店舗出店し52店舗、その他店舗は5店舗。テイクアウト事業の全店舗数は161店舗となった。

 

テイクアウト事業の既存店売上推移(単位:百万円、%)

19年4月期は、19年5月~20年1月と19年2~4月対比

(同社資料より)

 

*外販事業
売上高は前期比27.5%増の22億54百万円、営業損失84百万円(前期は77百万円の損失)。
「古市庵」の冷凍なみはや寿司、「湯葉と豆腐の店 梅の花」の人気商品、冷凍カキフライなど味の定評と独自性を活かし販路の拡大に努めている。「通販本舗 梅あそび」については、楽天市場等、他社の通販サイトへの出品の強化に加えて、WEB広告の継続による顧客へのアプローチに努めている。なお、子会社だった株式会社丸平商店は、23年8月1日に株式会社梅の花へ吸収合併した。

 

 

環境問題への取り組み及び社会貢献の一環として、京都及び久留米の2ヶ所のセントラルキッチンにバイオコンポスターを導入し、セントラルキッチンから排出される食品残渣の廃棄量削減を継続している。食品残渣より発酵分解された生成物を基にした堆肥を生産者に提供し栽培した農作物については、規格外品も含めた全量を同社が生産者より直接買い取るリサイクルシステムの運用を継続している。24/4期は、水稲、白菜、大根が店舗へ食材として供給された。今後は、作付けする農作物の量や種類及び地域の拡大に向けた準備を進めている。
また、北海道においては豆腐用大豆「ゆきぴりか」の生産者との交流を図り全量買い取りを前提とした契約栽培を継続し原料の安定確保に努めている。
脱炭素社会に向けた取り組みとして、物流センターから冷蔵及び冷凍の食材を店舗に配送する際に使用する資材を保冷効果に優れたリサイクルコンテナと再利用可能な保冷材に切り替え、CO2及び経費の削減を継続している。
リブランディングの取り組みとして、営業・製造・企画などグループ内の様々な部門や職種の中から選抜した中堅社員からなるリブランディングプロジェクトを発足し、企業イメージ及び企業価値の向上に着手し、取り組みを継続している。この取り組みの一環として、ハレの日に来店した子供連れ顧客に思い出を形として残すため、絵本作家わらべきみか氏のデザインによるオリジナルフォトフレームを作成し、記念写真と合わせてプレゼントするサービスを一部の飲食店舗において開始した。
オリジナルフォトフレームの素材は、「有機廃棄される備蓄米」や「食べられなくなったお米(非食用米)」を配合して製造された紙を使用することで、フードロス削減の活動支援を行っている。
また、「うめのあぷり」から外食事業及びテイクアウト事業の各ブランドの情報発信を行い、顧客による同社の業態を超えた回遊性を高めるべくアプリの内容充実を進め、顧客接点強化に注力している。

 

【2-3 財政状態と

キャッシュ・フロー】

◎財政状態

 

23年4月

24年4月

増減

 

23年4月

24年4月

増減

流動資産

7,223

7,580

+357

流動負債

15,674

9,411

-6,262

現預金

3,659

2,761

-898

仕入債務

700

756

+55

売上債権

1,720

1,609

-110

短期借入金

12,299

6,049

-6,249

棚卸資産

1,287

2,121

+833

固定負債

7,089

12,319

+5,230

固定資産

18,081

17,530

-551

長期借入金

5,268

10,806

+5,537

有形固定資産

13,779

13,673

-105

負債合計

22,763

21,730

-1,032

無形固定資産

114

137

+23

純資産

2,541

3,379

+838

投資その他の資産

4,187

3,718

-469

利益剰余金合計

-1,201

-180

+1,020

資産合計

25,304

25,110

-194

負債・純資産合計

25,304

25,110

-194

*単位:百万円、短期借入金は1年以内返済予定の長期借入金を含む。

 

24/4期末の資産合計は、前期末比1億94百万円減少し251億10百万円となった。これは主に、棚卸資産が8億33百万円、流動資産その他が5億32百万円増加し、現預金が8億98百万円、投資有価証券が6億38百万円減少したことによるもの。
負債合計は、前期末比10億32百万円減少し217億30百万円となった。これは主に、借入金の総額が7億11百万円減少したことによるもの。純資産は、前期末比8億38百万円増加し33億79百万円となった。これは主に、当期純利益10億20百万円の計上、並びに普通株式及びA種優先株式の配当等により資本剰余金が1億62百万円減少したことによるもの。
自己資本比率は前期末9.9%から13.4%へ向上した。

 

◎キャッシュ・フロー

 

23/4期

24/4期

増減

営業CF

956

690

-265

投資CF

-844

-132

+711

フリーCF

111

557

+445

財務CF

-2,949

-934

+2,014

現金同等物残高

3,316

2,939

-377

*単位:百万円

 

 

24/4期末における現金及び現金同等物は、前期末比3億 77百万円減少し29億39百万円となった。
営業CFは6億90百万円の収入(前期は9億56百万円の収入)となった。収入が減少した主な要因は、税金等調整前当期純利益が14億99百万円増加し、棚卸資産の増減額が5億23百万円、助成金の受取額が5億85百万円減少したこと等によるもの。投資CFは1億32百万円の支出(前期は8億44百万円の支出)となった。前期に比べ支出が減少した主な要因は、投資有価証券の売却による収入が7億11百万円増加したことによるもの。財務CFは9億34百万円の支出(前期は29億49百万円の支出)となった。前期に比べ支出が減少した主な要因は、短期借入金の純増減額が20億20百万円、長期借入れによる収入が2億29百万円増加し、長期借入金の返済による支出が1億26百万円減少したことによるもの。

 

3.2025年4月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

24/4期

構成比

25/4期(予)

構成比

前期比

売上高

29,816

100.0%

30,250

100.0%

+1.5%

営業利益

819

2.7%

906

3.0%

+10.6%

経常利益

739

2.5%

727

2.4%

-1.6%

当期純利益

1,020

3.4%

420

1.4%

-58.8%

*単位:百万円

 

25/4期は、前期比1.5%増収、10.6%営業増益を見込む
25/4期は売上高が前期比1.5%増の302億50百万円、営業利益は同10.6%増の9億6百万円を見込む。
新型コロナウイルス感染症は収束しているが、ウクライナ情勢の長期化及び中東地域の情勢並びに為替相場の円安傾向の長期化による原材料価格と光熱費の高止まりが継続している。加えて人手不足等、先行き不透明な状況が続くことが予想される。こうした中、物価上昇の影響を考慮して賃上げを実施、賃金上昇の好循環に対応するために販売価格改定及び生産性の向上に取り組む。また、同社グループ以外へ自社製品の販売を強化し、セントラルキッチンの生産性向上と収益向上にも注力する。生産者との共存共栄に取り組むとともに、引き続き社会活動及び環境問題に取り組む考え。
配当は前期と同額の10.00円/株(うち上期末5.00円/株)を予定する。

 

上期予想は以下の通り。

 

24/4期 上期

構成比

25/4期 上期(予)

構成比

前年同期比

売上高

14,071

100.0%

14,328

100.0%

+1.8%

営業利益

43

0.3%

14

0.1%

-67.3%

経常利益

-1

-83

四半期純利益

287

2.0%

-78

*単位:百万円

 

なお、同社は忘新年会、おせち、歓送迎会、節分等の季節イベントに伴い、売上・利益とも下期偏重の傾向がある。

 

【3-2 セグメント別見通しと戦略】

外食事業
売上高174億68百万円、営業利益8憶83百万円を見込む。
出店は梅の花サービス1店舗、三協梅の花1店舗を予定。また、さくら水産は2店舗で業態変更を計画する。
■高付加価値の店舗展開
・「豆腐と湯葉の店 梅の花」と「かに料理専門店 かにしげ」を融合した高価格帯の業態の開発
・「熊本あか牛しゃぶしゃぶ 甲梅」の多店舗化
■既存店の回復と付加価値
・「海鮮居酒屋 さくら水産」の総合居酒屋から新鮮魚介類を中心とした店舗へリニューアル
・付加価値の高いメニュー展開の実施

 

テイクアウト事業
売上高106億4百万円、営業利益3億90百万円を見込む。
出店は古市庵業態で1店舗を予定。また、梅の花業態で1店舗、古市庵業態で4店舗のリニューアルを計画する。
・主力百貨店へ、古市庵・梅の花、両ブランドの出店での相乗効果
・駅ビル、駅ナカ及び商業施設への店舗展開
・付加価値の高いメニューの販売を強化
・季節イベント等の企画商品の開発と販売強化

 

外販事業
売上高22億78百万円、営業利益16百万円を見込む。
■外販
・新規取引先の開拓
・既存商品の販売を強化し、セントラルキッチンの生産性を向上
・顧客ニーズにあった商品の提案を行い販路の拡大
■丸平商店
・広島県産のカキフライを中心に、小売り及び飲食事業者への販路拡大
・新商品のスチーム牡蠣を販売
・牡蠣原料の安定した確保
■通販
・オンラインショップをリニューアルし、顧客の利便性を向上
・顧客ニーズに合わせた商品開発とラインナップの充実

 

その他の事業の取り組み
ストック事業
~REISE~ 「ライゼボックス」「ライゼホビー」「ライゼパーク」は、「株式会社ライゼ」が提供しているサービス。
同社グループが所有する土地・建物を他社へ賃貸を行う等の資産有効活用及び収益確保を目的としたストック事業。大阪セントラルキッチンを取り壊した跡地に賃貸物件の建設を行い、賃貸事業を開始。

 

大阪セントラルキッチン跡地 森小路南ライゼボックス

(同社資料より)

 

今後の取り組み

海外展開 タイ王国以外のアジアへ進出

「豆腐と湯葉の店 梅の花」ブランド以外の業態を海外で展開

ブランディング 企業イメージ及び、企業価値向上を目的としたリブランディング

第1弾として同社ロゴマークの変更とホームページリニューアルによるポータルサイトの制作

DX 情報システムの再構築を含めたDXを推進し、コスト削減と生産性の向上を行い、収益改善に取り組む 各業態の顧客情報をグループ全体の顧客情報として一元化し相互送客へつなげる
うめのあぷり 外食事業、テイクアウト事業の情報発信を行い、顧客によるグループの業態を超えた回遊性を高めるアプリ内容の充実を進め、顧客接点強化に注力

 

さらに、株主及び取引先との接点の強化にも取り組んでいる。株主との接点について、商品、サービス、経営等に対する意見を聞くことを目的とした外食事業及びテイクアウト事業における試食会、京都セントラルキッチンの見学会を継続する。取引先との接点については、相互発展を目指した協力及び親睦と交流を図ることを目的として、「梅の花 グループ共栄会」の発足に向けた準備を進めている。

 

4.本多社長へのインタビュー

 

本多裕二社長に、経営方針や競争優位性、今後の成長戦略と事業展開、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。

 

本多社長は1952年8月生まれ。81年に三角石油ガス(現Misumi)に入社し、95年に取締役に就任。2001年に同社へ入社し、同年に専務取締役へ就任。子会社の代表取締役も経て18年に同社の代表取締役社長兼COOに就任した。なお、創業者である故梅野重俊氏は22年1月に71年の生涯に幕を閉じた。

 

 

Q:創業者である故梅野重俊氏の経営方針や理念をお聞かせいただければと思います。

 

基本的に経営方針は、経営理念であり梅野が座右の銘としていた「人に感謝、物に感謝」がベースになっております。加えて、親切、責任、協力など、いくつかの会社の社是があります。01年に私が専務に就任して以来、会社の運営は梅野と私の二人三脚で行ってきました。梅野は店舗展開などを担当し、私は財務戦略などを担当しておりました。

 

 

Q:本多社長が梅野氏から受け継ぎたいことや、変革・発展させていきたいことを教えてください。

 

やはり、おいしいものと健康なもの。これは外れることがないです。ずっと継続していきます。変革・発展についてはM&Aにより規模を大きくしたいと思います。M&Aを通じて収益構造を変えていかないと、梅の花だけでは持たないという思いが強かったです。外食でも客単価が4千円台だけでも厳しいかもしれない。まずはテイクアウトなどを広げ、そして客単価の低い店をM&Aの対象として視野に入れたいと思っています。

 

 

Q:コロナ禍を経て、新型コロナ流行前と比較して変わったことがあれば教えてください。

 

梅野の病状が悪化したこともあり、18年に社長に就任しました。コロナ禍を経て企業は儲かればいいというものでもなく、世の中の役に立つべきだと意識するようになりました。収益構造を多角化していこうという思いは変わりませんが、そうした中で循環型農業の生産者や従業員に喜んでもらえるようになりたいという思いです。
また、コロナ禍においてコスト削減や物流改革を実行しました。これにより、より収益性の高い体質に変わったといえるでしょう。24/4期に会社予想を上回る実績を示せたのもこのためです。

 

 

Q:競争優位性や特徴、強み、差別化などについてお聞かせください。

 

他社との差別化については、商品開発力にあると思っています。また、健康と味に対する執着はかなり強いほうではないかと思います。一方で、優位性は見方を変えると弱点でもあります。こうした中で今考えている重要なことは工場の生産効率を上げることだと思っています。テイクアウトだけではなく外販もしっかり伸ばしていくことで生産効率を上げ、今後は強みに繋げていきたいと思っております。

 

 

Q:「資本コストや株価を意識した経営に向けた対応」についての考え方をお聞かせください。

 

コロナ禍前の株価は2,600円程度。コロナ禍を過ぎて業績が回復してもその水準に株価が戻らない背景にはコロナ流行発生時とも重なる20年3月に発表した株主優待券の廃止があると思われます。また、金融機関がかなり売却しました。今後は業績が株価にしっかり反映されるように、まずはIRの強化に取り組むことにいたしました。中期計画も策定し発表していく考えです。また、しっかり業績を上げていくことで配当にもしっかりと反映させていきたいと思っています。

 

 

Q:最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。

 

株主からは株主優待券の復活を望む声もありますが、簡単には踏み込めません。ただし、利益が出れば配当は出せます。ROEを向上させるとともに収益構造の構築に努め、まずは財務体質を改善させていきたいと思います。そして配当性向や内部留保の充実等を総合的に勘案して配当を実施する方針です。

 

 

 

5.今後の注目点

24/4期はコロナ禍からの回復の延長線上にあった。こうした中で利益率が大幅に改善されていることが目を引く。売上高は前期比8.6%増だったが営業利益は同812.5%増、期初の会社予想5億91百万円を4割近く上回った。原材料価格高騰や賃上げの影響などはあったものの、販売価格の改定に加えコロナ禍で実行してきた様々な施策が功を奏したといえるだろう。25/4期においても利益率は改善する見通し。説明会で本多社長は幾度か強調していたが、今後は外販事業を強化していくことでセントラルキッチンの効率化をさらに進めていく考えである。
新型コロナの影響により損失が続いたため80億円超あった純資産が24/4期末には33億円に減少、自己資本比率は前期末9.9%から改善されたとはいえ13.4%にとどまる。収益体質が強化され、さらなる向上も見込まれる中、まずは財務体質の強化を図りたいところ。
本多社長はインタビューの中で、「本当は社長になるつもりはなかった」と述べたが、創業者の梅野氏の体調が悪化する中で適任であったと思えた。何より、会社の現状を良く知っていて、今後どのように戦略を打っていくべきかを熟知している印象を持った。派手さはなく控え目な社長ではあるが、社会貢献するとともに従業員や顧客満足度を高めることに対しては非常に熱心である。
なお、同社が本格的にIR活動を実施するのは初めて。今後は業績を回復から成長につなげるとともに株式市場における知名度の向上が進むであろう。業績動向と合わせて、まだ発表されていない「資本コストや株価を意識した経営に向けた対応」や「中期計画」などのリリースにも注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査等委員会の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 10名、うち社外4名
監査等委員会 4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年9月12日)
基本的な考え方
当社は、下記基本方針に基づき、また「人に感謝、物に感謝」の企業理念のもと、経営の健全性・透明性を確保しつつ、当社を取り巻く環境の変化に迅速に対応し、社会貢献及び持続的成長を通じて、企業価値の向上を図ることにより、株主、顧客及び従業員の満足、並びに地域社会及び取引先等との共栄を目指すことがコーポレートガバナンスの基本と考えております。
<基本方針>
(1)株主の権利・平等性の確保
(2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働
(3)適切な情報開示による透明性の確保
(4)経営と監督の分離による透明性の確保
(5)株主との積極的対話

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【補充原則4-1② 中期経営計画の実現に向けた最善の努力及び未達の場合の対応、次期計画への反映】
取締役会は、経営戦略及び経営計画が株主に対するコミットメントの一つであるとの認識に立ち、その実現に向けて最善の努力をし、当該計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、その分析を次期以降の計画に反映させることに取り組んでまいります。分析結果につきましては、必要性を勘案して、株主への開示を検討してまいります。

 

【補充原則4-2② 取締役会による自社のサステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針の策定、経営戦略の配分や事業ポートフォリオ戦略の実行の監督】
当社は、サステナビリティについては、取締役会において基本的な方針を定めることは行わず、所管部門において最適と考える、補充原則3-1③に記載する取組みを行っております。
取締役会は、経営戦略と経営計画の承認、実施状況の確認を通じて、サステナビリティを巡る取組みについて実効的に監督を行ってまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4.政策保有株式】
・政策保有株式に関する基本方針
当社は、取引関係の維持・発展によって得られる当社の利益等を総合的に勘案したうえで、その投資可否を判断した企業の株式を保有しております。
・検証の基本方針
当社は、政策保有株式について個別の保有適否を、取締役会にて年1回検証しております。
保有に伴う取引先企業との関係維持・事業上のメリット等を考慮し、保有意義の有無を判断して、保有の継続及び処分を決定いたします。
・議決権行使の基本方針
政策保有株式の議決権行使につきましては、その議案の内容を精査し、株主価値の向上に資するものか否か、また、当社との取引関係に支障をきたす内容でないか等を総合的に検討の上、賛否判断いたします。

【原則3-1.情報開示の充実】
当社は、法令に基づく開示を適切に行うことに加え、当社の意思決定の透明性・公正性を確保し、実効的なコーポレート・ガバナンスを実現するとの観点から、以下の事項について情報発信を行っております。
(i)企業理念は創業者メッセージとしてウェブサイトにおいて開示しております。
https://www.umenohana.co.jp/company/message.html
経営戦略と経営計画については今後作成・開示してまいります。
(ii)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針
当報告書の「1.基本的な考え方」をご参照ください。
(iii)取締役及び監査等委員の報酬等の決定に関する方針と手続き
取締役(監査等委員を除く)の報酬の決定については、企業価値の持続的な向上を図るとともに、役位、職責及び在任年数等を考慮しながら適正な水準とすることを基本方針とし、他社水準及び従業員給与の水準をも考慮しながら総合的に勘案して決定するものとしております。取締役(監査 等委員を除く)の報酬は、金銭による月例の固定報酬のみであり、固定報酬が個人別の報酬等の全部を占めるものとしております。個人別の報酬額につきましては、取締役会決議に基づき代表取締役社長がその具体的内容について委任を受けるものとし、代表取締役社長による権限行使が適切に行われるための措置として、代表取締役社長は株主総会において決議された報酬限度額の枠内にて作成した原案について監査等委員会に意見を求め、当該意見を勘案して適切に決定するものとしております。今後は業績に連動した株式報酬の導入を検討してまいります。
また、取締役(監査等委員)の報酬につきましては、当該報酬限度額の範囲内で、監査等委員会で協議の上、決定しております。
(iv)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行うに当たっての方針と手続き
取締役会は、「取締役選任方針」にそって、社外取締役を含めた取締役会での意見交換により、経営の遂行・監督責任を担うに相応しい人格、見識及び業務・専門職の経験などの当社が必要とするスキルを総合的に検討した後、監査等委員会の意見を踏まえ、取締役の選解任を審議し、株主総会に上程しております。
なお、取締役として求める資質や職務遂行能力を満たさない場合、不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実の疑義がある場合は、取締役会にて審議するものとします。
(v)取締役会が上記(iv)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明
取締役会が選任した取締役候補者につきましては、株主総会招集通知の参考書類に個々の選任・指名についての説明を記載しております。

 

【補充原則3-1③ サステナビリティ】
当社は、サステナビリティについて以下の取組みを行っております。
1.地球環境問題への配慮
・他社との共同配送によるエネルギー使用の低減
・太陽光発電の導入、LED照明への切替え、電力制御
・配送回数の減少及び配送資材をリサイクル可能なコンテナとドライアイスから高性能保冷剤への変更
・おからの商品化、残渣(ざんさ)の資源化
・プラスチックの利用削減(紙ストロー及び木製スプーンの使用)、廃油の再生利用、印刷物削減による資源の保護
2.人権の尊重
・女性管理職の登用、外国人労働者の積極雇用による、ジェンダー・国籍差別の廃止
3.従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇
・DX、作業の見直しによる労働環境改善
4.取引先との公正・適正な取引
・下請法、不正競争防止法等の関係法令の遵守
5.自然災害等への危機管理
・セントラルキッチンの分散化による事業継続
人的資本への投資については、経営戦略・経営課題に応じた適切な配分を行っており、所属部門・子会社ごとの人員数を有価証券報告書にて開示しております。知的財産への投資については、生産性向上・顧客接点の増加を図るべく基幹業務システムなど業務システム全体の刷新を検討しております。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社のIR活動においては、ポジティブまたはネガティブに関わらず、タイムリーに透明性、正確性、一貫性のある情報を株主に提供することを基本姿勢としております。
当社では、代表取締役社長を中心として、経営計画室が担当部門となり、この基本姿勢に基づくIR活動を推進しております。IR活動に必要な情報は、各事業部門、管理部門から情報を収集し取りまとめております。また、株主からの対話(面談)の申込みがあった場合、合理的な範囲内で真摯に対応し、対話を通じて株主から得られた要望等の情報の共有を図ってまいります。
【IR活動の内容】
・定時株主総会                 年1回
・決算発表                    年2回
・株主様限定公開試食会、工場見学会  年6回程度(変動)
・当社ウェブサイトを通じた情報発信    随時

 

 

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