WASHハウス(6537) 収益構造の転換に期待 出店状況にも注目

2024/06/27

 

 

児玉 康孝 社長

WASHハウス株式会社(6537)

 

 

企業情報

市場

東証グロース、福証Q-Board

業種

サービス業

代表取締役社長

児玉 康孝

所在地

宮崎県宮崎市新栄町86番地1

決算月

12月末日

HP

https://www.wash-house.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

304円

6,925,400株

2,285百万円

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

6.31円

52.3倍

243.19円

1.4倍

*株価は3/8終値。2023年12月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年12月(実)

2,182

-124

-90

-128

-18.65

0.00

2021年12月(実)

2,132

-140

-142

-176

-25.62

0.00

2022年12月(実)

1,921

-54

61

11

1.70

0.00

2023年12月(実)

1,914

13

26

-33

-4.83

0.00

2024年12月(予)

2,505

36

26

43

6.31

0.00

*単位:百万円。

 

WASHハウス株式会社の2023年12月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年12月期決算概要
3.2024年12月期業績予想
4.今後の事業展開
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 23/12期の売上高は前期比0.4%減の19億14百万円。FC部門の新規出店は当初計画35店舗に対して2店舗にとどまった。一方。リニューアルは概ね計画通り推移。店舗運営部門は、コロナ禍中に自粛していた継続的な販売促進キャンペーンを再開するなど、積極的な店舗運営を実行した。不照日が少なく厳しい気象条件だったが、既存店売上は前期比8%増。アプリのダウンロード数も約2ヶ月前倒し達成。営業利益は13百万円(前期は54百万円の損失)。利益面では、売上総利益率が改善、販管費が減少したことにより黒字に転じた。 
  • 24/12期は売上高が前期比30.9%増の25億5百万円、営業利益は同177.5%増の36百万円を計画する。「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」をさらに成長させる考え。FC部門では、メディア事業においても大きな飛躍をもたらす新しいランドリー機器を下期から新店舗に投入する計画。店舗運営部門については、前期を超える販売促進キャンペーンを計画している。上期は営業活動を中心に取り組み、下期から新規出店を加速させていく。 
  • 23/12期は出店用の物件の確保が困難となり、11月には減額修正となった。こうした中、既存店の売上はしっかり伸ばして営業黒字は確保した。アプリのダウンロード数も計画を前倒しで達成しており、減額修正にみるほど苦戦している訳ではない。こうした中、これまで取り組んできた成果が24/12期にいよいよ発揮されそうだ。オリジナルランドリー機器の投入や中国での展開は同社の収益構造を大きく変えることとなり、今後の出店状況は注目したい。17年以降、長期にわたり株価は低迷しているが、オリジナルランドリー機器の投入とともに描いていた通りに収益構造の転換が進めば株式市場の評価も大きく変わりそうだ。まずは上期に予定されている試作機の開発状況とその後の発表会への動きに注目したい。 

     

     

1.会社概要

コインランドリー業界のグローバルスタンダードの創造を目指し、FCを中心にコインランドリー店舗を展開。
全店舗一括管理運営方式によるクオリティ統一化という今までにない新たなFCビジネスの仕組みを創り出し、FC本部と加盟店の共栄を実現。ストック型の安定した収益構造なども大きな強み。
大阪、東京への進出を契機に全国展開を本格化へ。将来は海外展開も視野に入れている。
2023年12月現在、1都1府23県に597店舗(FC533店舗、直営64店舗)を出店。

 

【1-1 上場までの沿革】

児玉社長が起業するにあたり、少子高齢化や人口減少が確実な時代に永続的に売上・利益を伸ばしていくためにはどうしたらよいか、社会的意義がある事業か、先行事業者がいるか、競争に勝てるか、容易に真似されないか、ストック型の事業にできるかなど様々な観点から事業を検討した結果たどり着いたのがコインランドリー事業だった。

 

事業規模拡大のためにはFC展開が適しているが、FC本部と加盟店との対立というFCビジネスの問題点解決のために24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポートなどからなる「全店舗一括管理運営方式」をいち早く導入しFC加盟店の負担を大きく低減。働く女性の増加に伴うニーズの拡大も追い風となりビジネスは順調に成長していった。
創業の地、宮崎県を含む九州地区中心から、出店エリアを順次拡大し、2015年12月大阪、2016年7月には東京へも進出。
2016年11月、東証マザーズ、福証Q-Boardに同時上場した。2022年4月に東証グロース市場に移行。

 

【1-2 経営理念など】

経営理念として、「全ての発想をお客様の立場で考えることを基準とし、真に社会から必要とされる存在であり続ける。」を掲げている。
この経営理念の下、従来のような「単にコインランドリー機器を販売し、それを購入したオーナーが運営するコインランドリー」ではなく、出店後における店舗の完全管理を行うことを目的として、FCオーナーに代わり店舗利用者に気持ち良く利用してもらえるようなサービスを提供し続けることを目指し、「コインランドリー業界のグローバルスタンダードの創造」に取り組んでいる。

 

【1-3 市場環境】

◎成長続くコインランドリー市場
2013年度の全国のコインランドリーの施設数は16,693か所(厚生労働省「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」)。厚生労働省の調査では日本のコインランドリー店舗数は毎年5%前後の伸び率で増えており、2016年の同社上場後にはセルフランドリー出店ブームが起きたこともあり2022年には25,000店舗前後に達し、現在はそれも超えてセルフランドリーを使う習慣は明らかに拡大している。

 

 

(2014年以降はWASHハウス推定)

 

◎成長を支えるもの
こうした成長の背景としては
*共働きの増加による「洗濯時間を減らしたい」という働く女性のニーズ
*花粉症などアレルギー対策
*良品廉価の衣料品の増加によるクリーニング利用の減少
*清潔意識の向上
などがあげられている。

 

また、これら外部要因に加えて同社を始めとする事業者がユーザーの利便性を考慮した様々なサービスを提供していることも「利用者の拡大 → 店舗の増大」というサイクルに繋がっている。
児玉社長によれば、店舗を中心とした半径2km内の全世帯のうち何世帯がコインランドリーを利用しているかを示す「利用率」は、10年程前は全国平均で3%程度だったものが、現在では5~8%に上昇しているということであり、今後も利用率の上昇が見込まれている。

 

◎プレーヤー
詳細な情報は得にくいが、コインランドリー市場のメインプレーヤーは同社を含め4~5社と言われており、同社は最多の同一ブランド管理店舗数を有し、かつ、唯一の上場企業である。
また多くの企業が成長(出店数増)のためにFCビジネスで事業展開しているが、同社は徹底したオペレーションの効率化とクオリティの統一化を追求した「全店舗一括管理運営方式」という他に類を見ない新たなFCビジネスの仕組みを構築している。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照。)

 

【1-4 事業内容】

1.部門構成
22/12期から部門が「FC部門」、「店舗管理部門」、「直営その他部門」の3部門から「FC部門(旧FC部門)」、「店舗運営部門(旧店舗管理部門+旧直営その他部門)」の2部門に変更。

 

 

①FC部門
他社にはない独自のオペレーション受託型FC事業を創出している。
同社が出店候補地を選定し、FCオーナーとの間で「WASHハウス」ブランドの店舗の設計、内装工事、機器の設置等をパッケージ化した「WASHハウスコインランドリーシステム一式」を販売するほか、オープン時の広告等開業準備費用、FC加盟金を受領している。

 

FC加盟店開拓に関しては、テレフォンアポインターが取ったアポイント先に営業担当者が訪問するという分業制を採用している。この分業制により営業担当者は新規開拓電話の心理的負担から解放され、より積極的な営業活動に専念することができる。また、シミュレーション算出や契約書作成等の作業も営業担当から切り離し、「動く作業」に専念できる環境を提供している。
加えて、金融機関等とのビジネスマッチング契約を締結することにより、出店場所やオーナー候補の情報を増やし、出店数拡大につなげるという「仕組み」作りに注力している。

 

長年にわたり蓄積してきた「営業担当者の経験年数とFC店舗開発実績」の相関関係データを基に毎期の新規開店計画を立てている。

 

②店舗運営部門
すべてのFC店舗について店舗管理を受託しており、店舗収支を含む運営状況を月次でFCオーナーに報告し、月次の売上金から差し引くことによりFCオーナーからコインランドリー管理収入を受領している旧店舗管理部門事業と、コインランドリー「WASHハウス」を直営店として展開し、店舗利用者から洗濯機、乾燥機の利用料を受領している。WASHハウスアプリによる収入等。

 

●旧店舗管理部門
同社は店舗の「安心・安全・清潔」を維持する為に、
*24時間365日受付のコールセンター
*管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート
*毎日の点検・清掃
*洗剤の補充
*メンテナンス巡回
*広告活動
などのサービスを加盟店に提供している。
店舗管理手数料、システムメンテナンス料、洗剤販売、清掃受託費、広告分担金などが売上の内訳となる。

 

FCオーナーは店舗管理業務から解放されるため、初期投資コストさえ負担できれば複数の店舗を保有し、収益拡大と共に地域分散による収益変動リスクを低減することが容易である。

 

●旧直営店その他部門
コインランドリー「WASHハウス」を直営店として展開し、店舗利用者から洗濯機、乾燥機の利用料を受領している。
直営店は、主に新規エリアへの進出時に出店しており、「安心・安全・清潔」なコインランドリーとしての「WASHハウス」ブランドのローカル認知度を高めるとともに、コインランドリー潜在ユーザーへの利用喚起、FCオーナーと土地オーナー(不動産の有効利用を検討している個人・法人)への店舗モデルの提供など、アンテナ店としての役割を担っている。
その他、コインランドリーの経費精算業務等に伴う業者からの事務手数料収入などの収益を受領している。
WASHハウスアプリによる収入等。

 

2.店舗展開
2023年12月現在、1都1府23県に597店舗(FC533店舗、直営64店舗)を出店。今後も全国展開を進めていく。

 

 

【1-5 特長と強み】

①新たなFCビジネスの仕組みを創造
同社を最も特徴づけているのが、同社独自のFC事業モデルだ。

 

一般的なFC事業では、FC本部と加盟店の間に対立が生じやすいという問題が指摘されている。
加盟店がFC本部に加盟金や売上ロイヤリティを支払う対価として、FC本部はブランド名の使用を許可するほか、加盟店にノウハウを提供したり、商品を卸したりするが、店舗の運営、人材の確保などは加盟店がその責任において行わなければならない。
店舗の運営管理は加盟店にとっては相当の負担であり、事業が好調な際は良いが、売上が上がらなくなると、加盟店は「本部の仕組みが悪い」、FC本部は「加盟店の教育が悪い」などと互いのせいにしがちで、苦情に留まらず訴訟にまで進むケースも多い。

 

これに対し同社では、「全店舗一括管理運営方式」を導入し、前述のように、24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート、毎日の点検・清掃、洗剤の補充、メンテナンス巡回、広告活動といった、店舗運営・管理に必要な活動を全て同社が提供しており、加盟店の店舗運営に関する負担を実質ゼロにしている。

 

これに加え、同社は月商100万円以上となる物件を基準としているため、地域の人口、年齢分布、収入状況などについてきめ細かい市場調査を実施し、優良物件を開拓するノウハウが蓄積されている。
店舗の完全管理システムと優良物件開拓力、この2つが相まって、加盟店の満足度は極めて高く、これまで業績不振による撤退がゼロという群を抜いた実績に結び付いている。

 

 

②明るく清潔な店舗。使いやすさにも配慮。
コインランドリーというと、「暗い・怖い・汚い」というイメージを持つのが一般的だが、同社が提供するコインランドリー「WASHハウス」は、女性や小さい子供のいるファミリー層をターゲットとする「安心・安全・清潔」な店舗を統一ブランドで提供している。

(同社HPより)

(同社HPより)

 

以前は「家事の手抜き」の一つにも数えられたコインランドリーの利用だが、女性就労率の増加や高層マンションの普及、ライフワークの変化などから、自宅の洗濯機よりも一度に大量にかつ洗濯・乾燥の時間を短縮できるコインランドリーへの関心が高まっており、特に健康志向の高まりのなかで、ダニやアレルギー対策として布団やじゅうたんなどの大物洗いの利用が注目されている。
また、子供のスニーカーを洗濯・乾燥できる機器を備えるコインランドリーへのニーズが高まりつつある。

 

こうしたなかで同社は、以下のような設備を備え消費者ニーズに対応している。
*布団の丸洗いも可能な最大22㎏までの洗濯機や最大25㎏に対応する乾燥機(標準的店舗)
*スポーツシューズや通学用のスニーカー等が洗えるスニーカーランドリー
*無料で使用できるシミ抜き用の機器(スポットリムーバー)

 

さらに全ての店舗において管理カメラで24時間店舗をモニターで管理しているほか、本社から遠隔操作でランドリー機器をコントロールできる IoT型ランドリー機器を導入するなど、無人店舗でありながら、有人店舗であるようなリアルタイムのサポートを提供しており、ユーザーが安心して利用することのできる仕組みを構築している。

(同社HPより)

 

加えて、使用している洗剤の成分表示や乾燥機の温度表示を明示することで、安心して消費者が利用できるよう配慮しているほか、清潔な店舗を維持するため乾燥機のフィルター清掃や洗濯機の消毒など店舗の清掃を毎日行っている。

 

また、20年4月にはコインランドリー用スマホ決済アプリ「WASHハウスアプリ」をリリースした。
同アプリは、「プラットフォームとしてのコインランドリー事業」を強化することを目的とし、キャッシュレス決済機能やお得なクーポンなどの情報配信機能を搭載したもので、20年5月末にWASHハウス全店舗への導入を完了した。
他にも多種多様な業種とのコラボレーションを生み出す機能を組み込んでおり、ユーザーに対して、生活に密着した有意義な情報を届けたり、利便性が高いサービスを提供したりすることで今後もユーザーに必要とされる店舗作りに取り組んでいく考えだ。

 

③ストック型の安定した収益構造
店舗運営部門における売上高は、1店舗当たり月額で店舗管理手数料 5万円、システムメンテナンス料 1万円、広告分担金3万円、清掃費約4万円等から成っており、合計約13万円/月。

 

(同社資料より)

 

このように、店舗運営部門売上高は、その期以前からの継続店舗からの売上高をベースに、その期中の新規店舗からの売上高がオンされるという形で、期を追うごとに着実にストックが積み上がっていく。
一方、現在まで事業不振による閉店はゼロという実績が示す通り加盟店の満足度は極めて高く、店舗数が減少する可能性は低い。
WASHHOUSEフィナンシャルからの収入もストック型収益であり、同社の安定した収益構造は一段と強固なものとなっている。

 

④業界健全化に向けた取り組み
成長が続くコインランドリー市場ではあるが、児玉社長によれば課題も山積しているのが現状だという。
その一つが法令順守の問題。

 

例えば、コインランドリーは乾燥機で大量のガスを使用するため安全性の観点から排気ダクトの材質や取り付け方などが消防法や建築基準法などで詳細に規定されているが、実態は違法な設置が多く見られるという。
また、コインランドリー業者の中には差別化を図り、ユーザーにアピールするために「洗濯代行サービス」を謳っているものもあるが、クリーニング業法に抵触し違法である可能性が極めて高い店舗が多い。

 

1950年に施行されたクリーニング業法は、国民の公衆衛生を保護する観点から下記の様な規定を設けている。

 

(クリーニング業法 抜粋)

条項

条文

意味

第2条

2

この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。

手たたみを行う者もクリーニング業営業者となる。

3

この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。

クリーニング業を行うにはクリーニング師の免許を取らなければならない。

4

この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう。

クリーニング所を開設する時は、都道府県知事に届出をしなくてはならない。また、クリーニング所は、都道府県知事の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。

クリーニング所には、クリーニング師を置かなくてはならない。

 

同法の趣旨や運用を要約すると意味するところは以下の通りとなる。
*コインランドリー業者がクリーニング師の免許を取得しても、クリーニング所ではないコインランドリー施設で洗濯物の出し入れ、たたみ仕上げ等のサービスを行うことはできない。
*クリーニング所として届け出た施設内の洗濯・乾燥機はクリーニング業営業者が使用するためのものであり、衛生上の観点から他者(コインランドリーの場合のユーザー)に利用させることはできない。

 

こうした法律があるにもかかわらず、保健所からの指導を逃れるために、店内にカウンターを設けて、その中に洗濯機を設置し、「この洗濯機で洗濯しています。」と説明しながらも、実際にはその洗濯機を使わず、カウンターから外に出てクリーニング所として届け出ていないコインランドリー機器でユーザーの洗濯物を預かって洗濯したり、手たたみサービスを行なったりしているケースも見られるという。

 

こうした状況に対し児玉社長は、コインランドリーの利用を普及促進させるためには、自社においては「安心・安全・清潔」なコインランドリー作り等に取り組むと共に、業界の健全化を進めることが不可欠と考え、一般社団法人全国コインランドリー管理業協会を2003年12月に設立した。

 

同協会は、法令等に準拠した設備と衛生管理についての運営基準を定め、現時点では同社の直営店及びFCオーナーの加盟店が店舗単位で加入しており、業界の健全化と一般消費者への啓蒙活動(コインランドリー利用の有用性告知など)を担っている。

 

 

【1-6 事業展開】

 

2016年、WASHハウスの上場後、セルフランドリー出店ブーム!
2万店舗だった店舗数が現在2万5千店舗超へ、セルフランドリーを使う習慣は明らかに拡大している。
こうした中、同社は創業以来、『洗濯屋のつもりはない!』と唱えてきた。
将来、「無料」で洗濯・乾燥を提供することを視野に入れていたためである。
そしてついに無料化実験を実施し広告を収益化することができた。
「無料」で洗濯・乾燥ができ、「無料」でコーヒーも飲めて、宮崎牛や鰻も当たる!! しかも家で洗うよりも安い!
更にお得な情報や商品が購入できる!
洗濯の概念を変えていく。
同社では22年前から無料化への準備を進め、洗剤工場、自社洗濯機・乾燥機、自社基幹システムで価格競争になることを想定し、徹底したコストダウンを追求してきた。グローバル展開も見据えたWASHハウス完全オリジナルの洗濯機・乾燥機・システムを研究・開発し洗濯機・乾燥機のサイネージ化を図ってきた。

 

セルフランドリー(プラットフォーム事業)を核として、一つの事を派生的に一気に何倍にも広げる考え。

 

・外国人の雇用と消費・ニーズ対応

 

・海外市場への進出!

 

・越境EC・ライブコマース

 

・物流・貿易

 

(同社資料より)

 

第1ステージ メディアとして発信するための店舗網の拡大、収益基盤の拡大
第2ステージ 実現するためのソフト・ハード機器等の開発
第3ステージ 広告事業・越境EC事業・物流・貿易事業

 

収益構造が変わる、本物のDX

(同社資料より)

 

2.2023年12月期決算概要

(1)業績概要

22/12期

構成比

23/12期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

1,921

100.0%

1,914

100.0%

-0.4%

1,974

-3.1%

売上総利益

668

34.8%

732

38.2%

+9.5%

販管費

723

37.6%

718

37.5%

-0.7%

営業利益

-54

13

0.7%

3

+321.4%

経常利益

61

3.2%

26

1.4%

-57.3%

15

+74.1%

当期純利益

11

0.6%

-33

8

*単位:百万円。

 

微減収・営業利益は黒字に転換
売上高は前期比0.4%減の19億14百万円。
FC部門は新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴った行動制限の解除等を契機に、飲食店等の他業種による新規出店数が大幅に増加したことにより、コストパフォーマンスの高い出店用の物件を確保することが困難となった。このため、FC新規出店数は当初計画35店舗に対し2店舗(前期6店舗)にとどまった。一方、既存店の洗濯機・乾燥機等を増設する店舗リニューアルは店舗売上高の伸張を背景に、概ね計画通り推移した。店舗運営部門は、コロナ禍中に自粛していた継続的な販売促進キャンペーンを再開するなど、積極的な店舗運営を実行した。WASHハウスアプリを利用することで宮崎牛が総数500名に当たる全店キャンペーンや、WASHハウスアプリ限定の無料営業など、数多くの無料キャンペーンを実施し、顧客へランドリーサービス以外の価値も併せて提供し続けた結果、店舗売上高(既存店ベース)は前期比8%増と大きく伸張した。23/12期は全般的に晴れの日が多く、セルフランドリー店舗の売上高に強い影響を与える天候要因である不照日(1日の日照時間が0.1時間に満たない日数の累計)は対平年比78%。セルフランドリー運営には厳しい気象条件であったにもかかわらず、既存店の売上8%増は積極的な販売促進キャンペーンを再開したことと、お得なクーポン配信機能などのダイレクトマーケティングを可能にする、WASHハウスアプリの利用率向上が大きく寄与している。また、WASHハウスアプリの機能面としては、「洗濯機・乾燥機の予約サービス」を全店舗で使えるように新しい機能を開発し提供を開始した。来店前に洗濯機を予約することで確実にランドリーサービスを利用できるようになり、顧客の利便性がより高まることに加え、店内の混雑緩和にも大きく寄与する機能となっている。23/12期はWASHハウスアプリの累計ダウンロード目標数を50万ダウンロードと計画したが、多くの顧客の利用があり、約2ヶ月間前倒して11月3日に計画値を達成した(23/12期末累計54万ダウンロード)。この節目において、メディア事業部では独占的にWASHハウス全店舗を広告場所として使用できる、新しい広告プラン「WASHハウス全店JACK」の提供を開始し、メディア事業として広告主に高い付加価値を提供できる体制作りを継続している。このような積極的な店舗運営を進めたことから、WASHハウスアプリの利用者は着実に増加し、店舗売上高の増加に加え、アプリから得られる広告収入や、洗剤の自社生産から得られるセルフランドリー関連事業収入も堅調に成長した。
営業利益は13百万円(前期は54百万円の損失)。利益面では売上総利益率が前期34.8%から38.2%に改善、販管費は減少したことにより黒字に転じた。
なお、期初予想は売上高24億81百万円、営業利益54百万円。昨年11月にそれぞれ減額修正した。

 

(2)部門別動向

 

22/12期

構成比

23/12期

構成比

前期比

売上高

         

FC部門

309

16.1%

199

10.4%

-35.5%

店舗運営部門

1,612

83.9%

1,714

89.6%

+6.4%

合計

1,921

100.0%

1,914

100.0%

-0.4%

売上総利益

 

 

 

 

 

FC部門

90

29.4%

63

31.6%

-30.0%

店舗運営部門

577

35.8%

668

39.0%

+15.8%

合計

668

34.8%

732

38.2%

+9.5%

*単位:百万円。売上総利益の構成比は売上総利益率。

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

①FC部門
売上高1億99百万円(前期比35.5%減)、売上総利益63百万円(同30.0%減)。
FC新規出店2店舗及びリニューアル16店舗を行った。新規出店数が前連結会計期間と比較して4店舗減少の2店舗となったことから減収となったものの、売上総利益率は31.6%で前期比2.2ポイント改善した。

 

②店舗運営部門
売上高17億14百万円(前期比6.4%増)、売上総利益6億68百万円(同15.8%増)。
店舗売上高の継続的な増加に伴い各種収入が増加した。経費抑制効果等により売上総利益率は39.0%で前期比3.2ポイント改善した。

 

(3)財務状態と

キャッシュフロー

◎主要BS

 

22年12月末

23年12月末

 

22年12月末

23年12月末

流動資産

2,488

2,405

流動負債

1,245

1,246

現預金

1,097

1,013

預り金

406

401

売上債権

124

139

固定負債

1,248

1,118

営業貸付金

969

923

預り保証金

798

770

固定資産

1,794

1,723

借入金残高

865

834

有形固定資産

1,251

1,156

負債合計

2,494

2,365

無形固定資産

132

141

純資産

1,788

1,764

投資その他の資産

409

425

株主資本

1,688

1,654

資産合計

4,282

4,129

負債純資産合計

4,282

4,129

*単位:百万円。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23/12期末の資産合計は、前期末比(以下同)1億53百万円減少の41億29百万円となった。これは主に、原材料及び貯蔵品が25百万円、建設仮勘定が 23百万円増加した一方で、現預金が83百万円、営業貸付金が46百万円、有形固定資産の建物が62百万円、機械及び装置が46百万円減少したこと等によるもの。なお、直営店舗8店舗の固定資産に関して50百万円の減損処理を実施した。負債合計は1億29百万円減少の23億65百万円となった。これは主に、短期借入金が50百万円増加した一方で、長期借入金が80百万円、預り保証金が28百万円、長期未払金が14百万円減少したこと等によるもの。純資産合計は24百万円減少の17億64百万円となった。これは、当期純損失33百万円を計上したこと等によるもの。

 

◎キャッシュフロー

 

22/12月期

23/12月期

増減

営業CF

-10

95

+105

投資CF

-29

-131

-102

フリーCF

-39

-36

+3

財務CF

194

-56

-250

現金同等物残高

1,097

1,013

-84

*単位:百万円。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

営業CFのプラス幅は増加したものの、投資CFのマイナス幅が拡大し、フリーCFは横這い。短期借入金増加額の減少により財務CFはマイナスに転じた。キャッシュポジションは減少した。

 

3.2024年12月期業績予想

連結業績予想

23/12期

構成比

24/12期(予)

構成比

前期比

売上高

1,914

100.0%

2,505

100.0%

+30.9%

営業利益

13

0.7%

36

1.4%

+177.5%

経常利益

26

1.4%

26

1.0%

+1.1%

当期純利益

-33

43

1.7%

*単位:百万円。

 

24/12期は売上高が前期比30.9%増の25億5百万円、営業利益は同177.5%増の36百万円を計画する。
「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」をさらに成長させる考え。FC部門では、かねてより中国子会社(WASHHOUSE(Shandong)CO.,LTD.)で開発中の新しい洗濯機・乾燥機(ランドリー機器)を下期から新店舗に投入する計画。このランドリー機器は大型タッチモニターを搭載し、顧客の操作性向上に資することはもとより、タッチモニターは広告配信の場所にもなることから、メディア事業においても大きな飛躍をもたらす機器となっている。また、オーナーにとっては従来と比較して新規出店コストも抑えられるため、投資効率向上の効果も期待される。店舗運営部門については、前期を超える販売促進キャンペーンを計画している。景品等が当たるキャンペーン企画はもとより、お得に買い物ができる情報なども提供する。ランドリーサービス以外の価値も併せて提供し、店舗の価値をさらに高める考え。23/12期に発生した飲食店等の店舗出店ラッシュも、現在では落ち着きを見せ始めている。このため、上期は出店用地を開発する営業活動を中心に取り組み、下期から新しいランドリー機器を設置した店舗の新規出店を加速させていく。
出店はFCで30店舗を計画、期末店舗数は直営64、FC563の計627店舗となる見通し。

 

4.今後の事業展開

◎令和6年能登半島地震で支援
令和6年能登半島地震では国土交通省からの依頼でランドリー機器を提供した。断水による地域のランドリー需要を支える。当初は1ヶ月の予定だったが、水道の普及状態の遅れから3月まで提供を延長。

 

 

(同社資料より)

 

◎オリジナルランドリー機器
オリジナルランドリー機器の開発が進展。3月には最終調整・システム確認を行い7月に完成させ、東京で発表会、量産化を目指す。その後はまず宮崎と福岡にモデル店舗を出店する見通し。

 

◎広告サービスの状況
新たな媒体を創る! そのためのタッチパネル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(同社資料より)

 

 

広告サービスの仕組み
様々なタイミングにアプリ内で広告配信

(同社資料より

 

セルフランドリーの洗濯・乾燥時に必ず発生する待ち時間にヒット率の高い広告を配信

 

WASHハウスの実績例(アプリ広告)
セルフランドリー利用者の生活シーンに合わせ、様々なスポンサーが活用

(同社資料より)

 

◎無料化へ向けた本格的取り組みへ
21年からこれまで無料化実験を計4回実施

 

 

無料化宣言ポスター

(同社資料より)

 

第一弾:21年11月19日~21日、23店舗(宮崎県・福岡県)
第二弾:22年7月29日~31日:84店舗(宮崎県・福岡県・熊本県)
第三弾:23年4月21日~23日:150店舗(1都16県)
第四弾:23年9月22日~24日:260店舗(1都1府19県)
全店統一戦略に基づき、管理体制・ノウハウ・IT・メディアをフル活用しより質の高いサービスや価値ある情報を提供し続けることで、洗濯の無料化を目指す。
店舗をサイネージ化!!
結果の出る広告を掲載、広告収入により無料化の実現を図る。
アプリDL数が広告枠(商品在庫額)のカギ

 

WASHハウスアプリ ダウンロード数の推移
58万ダウンロードを突破
月間約1万6千ダウンロードのペースで増加中、85万ダウンロードを目指す

(同社資料より)

 

WASHハウスアプリ 決済金額の推移
月間1億円を突破!!
最高1億3千万円!!

(同社資料より)

 

◎年間キャンペーン計画

(同社資料より)                                                               *予告なく変更する場合あり

 

「無料」で洗濯しに来て
抽選で宮崎牛が当たる!!
『WASHハウス定期便』 !?
「無料」に「無料」を重ねていく!!
WASHハウスに行くと「何かお得!!」
圧倒的なバリューの創造!!
WASHバリュー!!

 

 

◎中国への展開を進める
19年にWASHHOUSE(Thailand)及びWASHHOUSE(Shandong)を設立した。20年にコロナ第一波、中国・タイへ渡航できない状況となり、出店もできなかった。しかし23年7月には中国へ渡航し、設計最終確認。24年2月にはオリジナル洗濯機・乾燥機の試作1号機を確認。本格展開の準備を進める。

 

中国のセルフランドリー市場
セルフランドリー数
中国全土で「自助洗衣」約1,079店舗(クリーニング店含む)
状況

店舗数 中国の市場規模に対して少ない店舗数 認知 一部地域のサービスとなっている為、認知が低い
価値観 洗濯は家でするものという価値観 信頼 公共のモノ、場所への衛生に対しての抵抗感

セルフランドリーは上海や北京で徐々に増えているが、人口に比べて店舗数が少なく中国全土に浸透するのに時間を要する

 

世界と中国のセルフランドリー市場の比較と中国市場の可能性

(同社資料より)

 

中国は約28万店舗(日本の11倍)市場の可能性

 

中国での出店は最初から『無料セルフランドリー』として出店する見通し。現在試作機1号機が完成したオリジナル洗濯機・乾燥機により24年内にテスト出店20店舗、25年以降に10,000店舗の出店を目指す。
中国には無料化に必要な「利用者・アプリ・広告」全てにおいて大きな市場を有している。中国での店舗網が完成すると日中双方向でのECが可能となり、ポテンシャルは大きい。

 

中国の市場規模

(同社資料より)

5.今後の注目点

23/12期は出店用の物件の確保が困難となり、11月には減額修正となった。こうした中、既存店の売上はしっかり伸ばして営業黒字は確保した。アプリのダウンロード数も計画を前倒しで達成しており、減額修正にみるほど苦戦している訳ではない。こうした中、これまで取り組んできた成果が24/12期にいよいよ発揮されそうだ。特に下期からはオリジナルのランドリー機器を相次いで投入、新規出店も積極化する。やや話は早いかもしれないが、25/12期は中国での事業も本格化しそうである。オリジナルランドリー機器の投入や中国での展開は同社の収益構造を大きく変えることとなり、今後の出店状況は注目したい。
16年に新規上場し、17年以降長きにわたり株価は低迷、現在上場時の公開価格(遡及修正後で1,150円)の4分の1程度。しかし、オリジナルランドリー機器の投入とともに描いていた通りに収益構造の転換が進めば株式市場の評価も大きく変わりそうだ。まずは上期に予定されている試作機の開発状況とその後の発表会への動きに注目したい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 6名、うち社外1名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年3月30日

 

<基本的な考え方>
当社は、法令を遵守し、公正かつ透明性のある企業活動を推進し、会社の成長を通じて地域社会に貢献するとともに、企業を取り巻く株主、顧客、従業員、取引先、地域社会等、全てのステークホルダー(利害関係者)からの信頼が得られる企業であるよう努め、将来に向けグローバルな事業活動を展開していく方針であります。
また、経営の透明性と公正性の向上および環境変化への機敏な対応と競争力の強化を目指して、当社の成長に応じたコーポレート・ガバナンス体制の構築に努め、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「基本原則の全てを実施してまいります」と記述している。

 

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