エクストリーム(6033) 新規・既存案件とも受注好調に推移
佐藤 昌平 代表取締役社長CEO |
株式会社エクストリーム(6033) |
企業情報
市場 |
東証グロース市場 |
業種 |
サービス業 |
代表者 |
佐藤 昌平 |
所在地 |
東京都豊島区西池袋1-11-1 メトロポリタンプラザビル21F |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
1,210円 |
5,501,508株 |
6,656百万円 |
21.9% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
26.00円 |
2.1% |
129.06円 |
9.4倍 |
948.81円 |
1.3倍 |
*株価は5/28終値。
*発行済株式数は発行済株式数から自己株式を控除。
*数値は24年3月期決算短信より。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主帰属利益 |
EPS |
DPS |
2021年3月(実) |
6,230 |
703 |
750 |
491 |
90.14 |
18.00 |
2022年3月(実) |
7,231 |
592 |
714 |
452 |
82.61 |
17.00 |
2023年3月(実) |
8,816 |
1,024 |
1,174 |
814 |
148.18 |
30.00 |
2024年3月(実) |
10,217 |
1,097 |
1,448 |
1,034 |
188.02 |
38.00 |
2025年3月(予) |
11,000 |
1,000 |
1,050 |
710 |
129.06 |
26.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。
(株)エクストリームの2024年3月期決算の概要と2025年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2024年3月期決算概要
3.2025年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 24/3期は前期比15.9%増収、7.1%営業増益。デジタル人材事業では、企業のDX推進などによる技術ソリューションに対する旺盛な需要を背景に、新規・既存案件とも受注が好調に推移。受託開発事業では、企業のデジタル施策への投資拡大を背景に受注獲得が順調に進み増収を牽引。利益面ではデジタル人材事業はIT技術社員の採用競争の激化にも直面し減益、受託開発事業では受注増加や案件規模の拡大で大幅増益。配当は38.00円/株の期末配当を実施。
- 25/3期は前期比7.7%増収、8.9%営業減益を計画する。デジタル人材事業は引き続き非エンターテインメント系顧客の拡大、既存顧客への深耕営業により事業拡大を計画する。受託開発事業はグループ再編による影響で減収計画も高収益な事業構造の維持を目指す。利益面では投資の本格化による販管費増により減益見通し。来期以降の成長に必要な投資として実施する予定。配当は1株当たり26.0円の期末配当を予定。
- 24/3期は上方修正を経て期初予想を上回り16%増収、7%営業増益。特に受託開発事業においての改善が顕著に表れており、ベトナム子会社が本格的に軌道に乗っている。14年の新規上場時に目標とした売上高100億円を24/3期についに達成。営業利益についても14/3期の2百万円、15/3期の1.8億円から大きく伸ばした。IPOから10年、設立から20年が迫り、25/3期はさらなるステップアップの1年になりそうだ。もっとも、受託開発事業におけるグループ再編の影響や人材投資の拡大により1桁増収、減益予想。ただし、特に利益面については24/3期に見られたように保守的である可能性が高い。四半期決算発表ごとに顕在化していくのではないだろうか。25/3期が減益予想だったこともあり株価は軟調に推移している。いくつかの一時的要因などはあるものの、中期的な基調は2桁増収増益と見ている。PERは10倍を割り込んでおり、会社予想が保守的であることが顕在化するにつれて株価の見直しが進むと見ている。
1.会社概要
クリエイティブな開発スキルを有するデジタルクリエイター(プログラミングやグラフィックの開発スキルを持ったクリエイター&エンジニア)のプロダクションである。法人向けにゲーム・スマートフォンアプリ・Web・IT企業等へソフトウエア開発サービスを派遣契約または請負契約にて提供するデジタル人材事業、デジタル人材事業またはグループ各社の顧客から持ち込まれるスマートフォンアプリまたはWEB開発案件、大規模会員向けプラットフォームシステムの構築~導入~運用などの案件を持ち帰り形式にて受託・納品する受託開発事業、同社またはグループ会社が保有するゲーム・キャラクター等の知的財産を活用し、様々な事業を展開するコンテンツプロパティ事業を展開している。
グループは、同社の他、連結子会社に(株)EPARKテクノロジーズ(出資比率58.3%)、オフショア開発拠点を活用したITサービスの開発等を行う(株)エクスラボ(同100%)及びEXTREME VIETNAM Co., LTD.(同100%、ベトナム国ハノイ市)。23/3期に新規連結した、(株)角川ゲームスから吸収分割承継を受けた(株)Dragami Games(同93.3%)、及びゲーム開発・組込システム開発を行うエス・エー・エス(株)及び子会社の酒田エス・エー・エス(株)(同51.3%)。なお、(株)EPARKテクノロジーズは株式譲渡により25/3期から連結範囲から除外される予定。持分法適用関連会社には、(株)ネクストン及び子会社の(株)ウーガ(同15.0%)。(株)ネクストンはPC向けゲームソフトの開発・販売を行っており、TVアニメ化された「恋姫†無双」などの著名IPを保有する。
1-1 沿革
(同社資料より)
【企業コンセプトと行動指針】
企業コンセプトは、「まじめに面白いを創る会社。未来の楽しいを造る会社。」。行動指針を、「スピード×クオリティ×チャレンジ」としている。スピード。常にフルスピードを意識する。今日できる事は今日やる。今出来る事は今やる。後回しにしない。クオリティ。妥協せず常に最高のクオリティを目指す。量は質に転化する。多くのアイデア、多くの成果、多くの挑戦など、多くを生み出すことが、クオリティの高いものに結実する。全ての成果はお客様のためにある。お客様が満足するクオリティを目指す。チャレンジ。失敗を恐れずに前に踏み出す。現状に満足せず、常に改善を心がける。
1-2 事業の概要
事業は、デジタル人材事業、受託開発事業、及びコンテンツプロパティ事業に分かれる。各事業の概要は次の通り。
24/3期 セグメント別売上高・利益
売上高 |
構成比 |
営業利益 |
利益率 |
|
デジタル人材事業 |
5,898 |
57.7% |
874 |
14.8% |
受託開発事業 |
3,903 |
38.2% |
664 |
17.0% |
コンテンツプロパティ事業 |
416 |
4.1% |
286 |
68.9% |
合計 |
10,217 |
100.0% |
1,097 |
10.7% |
* 単位:百万円、営業利益には調整額674百万円があり、合計額と一致しない
【ビジネスモデル】
・デジタル人材事業
技術材派遣または準委任契約により対価を得るビジネスモデル。
・受託開発事業
開発案件を受託(請負契約)し、対価を得るビジネスモデル。
・コンテンツプロパティ事業
知的財産のライセンス許諾、ゲームソフト販売などを通じて対価を得るビジネスモデル。
(同社資料より)
デジタル人材事業
ゲーム・スマートフォンアプリ・WEB・IT企業等に対し、ソフトウエア(プログラミングやグラフィック等)開発サービスを派遣契約または請負契約にて提供する。
主要顧客
エンターテインメント・WEB・ITの幅広い企業と取引。
(同社資料より)
デジタル人材事業の強み
クリエイター&エンジニアを持続的に強化・拡充していく事ができる自社養成システム(研修・教育システム)を有し、登録型派遣会社とは異なり、タレント性や独自スキルを持った人材を柔軟に供給する事ができる事が強み(⇒競合他社が少ない)。
-人材活用モデル-
●研修・教育の実施により取引先企業に対して同社は社員の技術力を企業として担保
●同社社員は営業マンとしての側面も持ち、顧客先での取引拡大にも寄与
●デバイスの流行り廃りに左右されない盤石な経営基盤
顧客分布の推移
20/3期 |
21/3期 |
22/3期 |
23/3期 |
24/3期 |
|
エンタメ系顧客 |
51.0% |
55.8% |
48.9% |
49.2% |
46.5% |
スマーフォンアプリ |
81.4% |
74.1% |
77.5% |
74.0% |
73.6% |
家庭用ゲーム |
9.8% |
11.0% |
10.5% |
14.5% |
15.0% |
オンラインゲーム |
7.4% |
10.1% |
7.1% |
5.5% |
8.0% |
遊戯機器 |
1.0% |
0.0% |
2.3% |
1.7% |
1.6% |
業務用ゲーム他 |
0.4% |
4.8% |
2.6% |
4.3% |
1.8% |
非エンタメ系顧客 |
49.0% |
44.2% |
51.1% |
50.8% |
53.5% |
IT |
53.9% |
45.4% |
41.6% |
48.5% |
48.8% |
Web |
46.1% |
54.6% |
58.4% |
51.5% |
51.2% |
21/3期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、20/3期まで伸びてきた非エンタメ系顧客の新規開拓が停滞した。エンタメ系既存顧客への深堀り営業(単価アップ施策)が主体となったことから、若干エンタメ系顧客へのウェイトが増加した。
22/3期には再び非エンタメ系顧客が増加に転じ、初めて50%を上回った。23/3期、24/3期も非エンタメ系顧客がエンタメ系顧客を上回った。尚、当該セグメントの売上高は順調に伸びており、エンタメ系顧客への売上高が低下したわけではなく、非エンタメ系顧客からの受注割合が増加していることを示している。
ゲーム市場では、ゲーム専用機からスマホへのシフトに伴い利用者の裾野が広がったことで、技術力だけではなく、企画力も必要な時代に入る。パブリッシャーは企画・宣伝に注力。一方で、1タイトル当たりの開発費は膨張する。このため、プロフェッショナル集団に対するアウトソーシング需要の増加が予想される
今後も、ゲーム等のエンタメ開発で培った視覚表現力、演出力などのクリエイティブな開発スキルをセールスポイントとして、市場規模が大きいネットビジネス・WEBサービス事業者などへ応用的に展開させ、事業規模を拡大させていく方針。
受託開発事業
主に大規模プラットフォームに関わる各種開発・保守、ナショナルクライアントからのシステム開発・保守・追加案件などの受託開発を行う。
子会社(株)EPARKテクノロジーズが手掛けるEPARKプラットフォームに関わる各種開発・保守、(株)エクストリームのテックファンド事業本部とベトナムのオフショア子会社を活用して開発を行う(株)エクスラボによるナショナルクライアントからのシステム開発・保守・追加案件等の受託開発(持ち帰り型の開発)を手掛けている。ナショナルクライアント向けでは、ビッグデータ分析での分析基盤の設計開発及び分析、AIを活用したシステム開発、リアルタイムコミュニケーションを実現する技術を活用した映像配信プラットフォーム開発、遠隔地にある設備をデバイス上の操作で支援するオペレーション支援システムの開発等を手掛けている。下記エス・エー・エスは23/3期から子会社化。
受託開発事業の子会社
(株)EPARKテクノロジーズ | WebやIoT技術とAR/VR、AI(機械学習)など最新のデジタルテクノロジーを活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスの企画立案、データの検証、PoC、開発、運用まで一気通貫で提供。 |
(株)エクスラボ | 主にベトナム子会社と連携し、受託開発事業におけるオフショア開発拠点として、品質の高い技術サービスを適切な価格で提供。また、クライアントの要望に応じ、柔軟な開発体制を構築する「ラボ型サービス」も展開。 |
EXTREME VIETNAM Co., Ltd. | 日本人技術者の他、開発、安定運用の実績が豊富な現地技術者含め、約150名が在籍。主に日本からの法人顧客による受託開発業務を高品質 品質・低価格で提供。 |
エス・エー・エス(株) | エンターテイメント事業及びシステムソリューション事業の2事業を展開する受託開発会社。ゲーム等の受託開発事業においては、大手ゲームパブリッシャーを主な取引先として、40年を超える取引実績があり、業界内でも老舗として名が通った企業。子会社にエス・エー・エス(株)より業務を受託する酒田エス・エー・エス(株)。 |
受託開発事業の強み
(同社資料より)
・ビッグデータ分析での分析基盤の設計開発および分析、AIを活用したシステム開発
・リアルタイムコミュニケーションを実現する技術を活用した映像配信プラットフォーム開発
・遠隔地にある設備をデバイス上の操作で支援するオペレーション支援システムの開発
受託開発事業の事業戦略
以下の売上区分でパイプラインを構成し、それぞれがグループ内シナジーを生むよう効率的な運営で受注拡大と高利益体制を今後構築して行く。
フロー売上高からストック売上高へ、ベトナム子会社の活用も今後積極的に展開。
(同社資料より)
コンテンツプロパティ事業
ゲームタイトルやキャラクターに関するIPを保有し、これらIPを利用したゲームサービスやライセンスサービスを行っている。 また、ソリューション事業において蓄積した技術力を活かし、ゲームタイトルの制作・開発・配信を行っている。
(同社資料より)
1980年代より家庭用ゲームにおいて100タイトル以上リリースし人気を博したゲームブランド「メサイヤ」に係るゲームタイトルの著作権を保有している。
ライセンスサービスをはじめ、スマートフォンアプリ配信、キャラクター事業などマルチユース展開を行っている。
(同社資料より)
グループ会社のドラガミゲームスでは、自社においてゲームソフトの企画・開発・販売を行い、パブリッシャーとして自社サービスを展開している。
(同社資料より)
株式会社DRAGAMI GAMES
22年6月「角川ゲームス」の保有する知的財産権(著作権・商標権・ゲームデータ・ソースコードなど)の譲渡を受け、会社設立とともに主要ゲームタイトルの権利を取得。全世界累計120万本を超える販売本数を誇る「LOLLIPOP CHAINSAW」、アメリカで映画化された「√Letter ルートレター」など、多数のヒット作を保有。
(同社資料より)
2.2024年3月期決算概要
2-1 連結業績
23/3期 |
構成比 |
24/3期 |
構成比 |
前期比 |
会社予想 |
予想比 |
|
売上高 |
8,816 |
100.0% |
10,217 |
100.0% |
+15.9% |
10,100 |
+1.2% |
売上総利益 |
2,504 |
28.4% |
2,896 |
28.4% |
+15.7% |
– |
– |
販管費 |
1,480 |
16.8% |
1,799 |
17.6% |
+21.5% |
– |
– |
営業利益 |
1,024 |
11.6% |
1,097 |
10.7% |
+7.1% |
1,050 |
+4.5% |
経常利益 |
1,174 |
13.3% |
1,448 |
14.2% |
+23.3% |
1,260 |
+15.0% |
親会社株主帰属利益 |
814 |
9.2% |
1,034 |
10.1% |
+27.0% |
825 |
+25.4% |
* 単位:百万円
前期比15.9%の増収、同7.1%の営業増益
売上高は前期比15.9%増の102.1億円。デジタル人材事業では、企業のDX推進などによる技術ソリューションに対する旺盛な需要を背景に、新規・既存案件とも受注が好調に推移して前期比17.3%増収。受託開発事業では、企業のデジタル施策への投資拡大を背景に受注獲得が順調に進んだことにより同19.2%増収。コンテンツプロパティ事業は同19.0%減収。「ラングリッサー」のゲーム販売額に応じたロイヤルティ収益が発生した他、同社保有の知的財産権のライセンスアウトによる収益が発生している。また株式会社Dragami Gamesのゲーム販売の収益も発生している。
営業利益は前期比7.1%増の10.9億円。デジタル人材事業は国内におけるIT技術者不足に起因する技術社員の採用競争の激化にも直面しており、外部協力会社の開発要員への依存度が高まりつつあり同7.8%減益。一方、受託開発事業では受注増加や案件規模の拡大が開発リソースの効率化に寄与し同72.2%の大幅増益。コンテンツプロパティ事業は依然として高い利益率を維持するも減収により同21.1%減益となった。
配当は38.00円/株の期末配当を実施。期初予想は23.00円、2月に30.00円へ増額修正し、さらに増額して着地。
セグメント別売上高・利益
23/3期 |
構成比・利益率 |
24/3期 |
構成比・利益率 |
前期比 |
|
デジタル人材事業 |
5,027 |
57.0% |
5,898 |
57.7% |
+17.3% |
受託開発事業 |
3,275 |
37.1% |
3,903 |
38.2% |
+19.2% |
コンテンツプロパティ事業 |
513 |
5.8% |
416 |
4.1% |
-19.0% |
連結売上高 |
8,816 |
100.0% |
10,217 |
100.0% |
+15.9% |
デジタル人材事業 |
949 |
18.9% |
874 |
14.8% |
-7.8% |
受託開発事業 |
385 |
11.8% |
664 |
17.0% |
+72.2% |
コンテンツプロパティ事業 |
363 |
70.7% |
286 |
68.9% |
-21.1% |
調整額 |
-674 |
– |
-728 |
– |
– |
連結営業利益 |
1,024 |
11.6% |
1,097 |
10.7% |
+7.1% |
* 単位:百万円
* 各セグメントの売上高は構成比、営業利益は営業利益率。
* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
2-2 デジタル人材事業の動向
* 月次売上高推移には、セグメント間の内部売上高または振替高が含まれている。
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)
期首に対し14.8%の単月売上高の増加、下期以降の単月売上高は5億円超を維持。
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)
通期の累計プロジェクト稼働数は9,000件を突破、プロジェクト平均単価も順調に向上。
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)
クライアント数は順調に増加。
稼働プロジェクトの属性では、非エンターテインメント系のプロジェクトが初めて50%を超える。
2-3 受託開発事業の動向
ストック売上高が順調に積み上がり、安定的な事業基盤を構築。
2-4財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
デジタル人材事業における堅実なビジネスモデル及びラングリッサー関連のロイヤルティ収益等により、営業CFは7億円超の黒字を確保した。有利子負債は、短期借入金が8.5億円(前期末比2.0億円増)となり1.6億円増加した。24/3期末のキャッシュポジションは前期末比11.8億円増加した。現預金及び流動性の高い投資有価証券(高格付外債等)を合わせた保有残高は52.9億円。自己資本比率は61.5%(前期末59.4%)と引き続き財務基盤は盤石。
財政状態
23年3月 |
24年3月 |
|
23年3月 |
24年3月 |
|
現預金 |
3,207 |
3,935 |
未払金 |
868 |
1,030 |
流動資産 |
5,011 |
6,243 |
有利子負債 |
741 |
903 |
無形固定資産 |
274 |
257 |
負債 |
2,293 |
2,666 |
投資その他 |
1,757 |
1,901 |
純資産合計 |
4,825 |
5,821 |
固定資産 |
2,107 |
2,243 |
負債・純資産合計 |
7,118 |
8,487 |
* 単位:百万円
* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
キャッシュ・フロー(CF)
23/3期 |
24/3期 |
前期比 |
||
営業キャッシュ・フロー(A) |
1,006 |
761 |
-245 |
-24.4% |
投資キャッシュ・フロー(B) |
-855 |
407 |
+1,263 |
– |
フリー・キャッシュ・フロー(A+B) |
151 |
1,169 |
+1,017 |
+670.1% |
財務キャッシュ・フロー |
414 |
-42 |
-457 |
– |
現金及び現金同等物四半期末残高 |
2,346 |
3,532 |
+1,185 |
+50.5% |
* 単位:百万円
* 株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
3.2025年3月期業績予想
3-1 通期連結業績
24/3期 実績 |
構成比 |
25/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
10,217 |
100.0% |
11,000 |
100.0% |
+7.7% |
営業利益 |
1,097 |
10.7% |
1,000 |
+9.1% |
-8.9% |
経常利益 |
1,448 |
14.2% |
1,050 |
+9.5% |
-27.5% |
親会社株主帰属利益 |
1,034 |
10.1% |
710 |
+6.5% |
-31.4% |
* 単位:百万円
前期比7.7%の増収、同8.9%の営業減益を見込む
25/3期は売上高が前期比7.7%増の110億円、営業利益は同8.9%減の10億円を計画する。
デジタル人材事業の売上高は前期比19.5%増の73億18百万円を見込む。引き続き非エンターテインメント系顧客の拡大、既存顧客への深耕営業により事業拡大を計画する。受託開発事業の売上高は前期比11.3%減の34億76百万円を見込む。連結子会社の異動(株式譲渡)があり、グループ再編による影響で減収計画ではあるものの、高収益な事業構造の維持を目指す。コンテンツプロパティ事業の売上高は前期比77.2%増の7億37百万円を予想。ロイヤルティ収益を保守的に見込む一方、ドラガミゲームス自社製品売上高の寄与を計画する。
利益面では、昨今のIT技術者不足に伴う市場環境の競争激化に際し、社員採用やフリーランス人材の獲得を目的とした投資を本格化する。販管費増大に伴い営業利益及び営業利益率は低下するが来期以降の成長に必要な投資として実施する予定。経常利益は前期比27.5%減の10億50百万円、親会社株主帰属利益は前期比31.4%減の7億10百万円を見込む。
配当は1株当たり26.0円の期末配当を予定している(予想配当性向20.1%)。同社は、配当性向20%を目安として株主還元を実施していく方針。
セグメント別売上高(連結調整後)見通し
|
24/3期 実績 |
構成比 |
25/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
デジタル人材事業 |
5,898 |
57.7% |
7,318 |
66.5% |
+19.5% |
受託開発事業 |
3,903 |
38.2% |
3,476 |
31.6% |
-11.3% |
コンテンツプロパティ事業 |
416 |
4.1% |
737 |
6.7% |
+77.2% |
連結売上高 |
10,217 |
100.0% |
11,000 |
100.0% |
+7.6% |
* 単位:百万円
3-2 成長戦略
デジタルクリエイター&ITエンジニアプロダクションとしての機能を活かし、事業間シナジーを最大化、売上・利益の拡大・成長を目指す。
(同社資料より)
①デジタル人材事業
人材戦略 |
顧客戦略 |
|
IT人材流動化に対応する採用強化 ・コンテンツプロパティ事業など自社プロダクトを通じた採用 ・フリーランス人材などの活用 ・採用部門、採用活動への積極投資 ・社員ケア、サポートシステムによる定着率向上 |
× |
エンタメ系既存顧客の深堀り ・ゲーム系顧客は、1社当たりの取引額を拡大させる ・技術社員が顧客の他部門案件を当社へフィードバック ・実績の積み上げによるチーム常駐の拡大 ・IT技術者をゲーム開発プロジェクトへ参画 |
教育・研修制度の拡充による人材力強化 ・独自の研修システムによる人材力の相対的強化 ・バディシステムの活用(※) ※顧客先にて先輩社員が後輩社員をケア |
WEB業界など対象顧客の多様化 ・ゲーム開発で培った技術(UI/UX)を他業界へ展開 ・WEBサービスのアプリ化に伴う開発需要の取り込み ・単純派遣ではない、企画提案型開発ソリューションの提供 |
|
外国人技術者の活用 ・ベトナム人材の将来的な活用 ・日本からベトナムへの技術支援制度の構築 |
提供サービス(職種)の多様化 ・開発工程だけではなく、プロモーション、データサイエンティスト、デバッグなど周辺業務の提供 ・進出する業界によっては、更に専門性の高い職種への展開 |
(同社資料より)
②受託開発事業
・主に大規模プラットフォームに関わる各種開発・保守実績を踏まえ、ナショナルクライアントから直接案件を受注し、開発ノウハウを海外含めグループ内に蓄積していくことで業容拡大を目指す。
・大規模プラットフォームをメインとしたソリューション提供は、運用型サービスがセットとなるケースが多く、新規受注〜保守・運用開発〜追加開発と安定的な受注が獲得できるサービスラインを構築する。
(同社資料より)
③コンテンツプロパティ事業
・100タイトル超のゲームタイトルやキャラクターに関するIPをベースに、ゲームサービスやライセンスサービスなど収益源をマルチに展開し、利益率の高いプロジェクトを積み上げていく。
・他社IPとの相互連携、事業提携なども視野に入れ、知的財産活用機会を積極的に広げていく。
・同事業は、事業環境・景気動向などによって業績の変動が大きいため、状況に応じた事業戦略を立案しスピーディに実行していく方針。
【ゲームサービス】
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【ライセンスサービス】
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(同社資料より)
4.今後の注目点
24/3期は上方修正を経て期初予想を上回り16%増収、7%営業増益。特に受託開発事業においての改善が顕著に表れており、ベトナム子会社が本格的に軌道に乗っている。14年の新規上場時に目標とした売上高100億円(14/3期の売上高は13.3億円、15/3期は16.6億円)を24/3期についに達成。営業利益についても14/3期の2百万円、15/3期の1.8億円から大きく伸ばした。IPOから10年、設立から20年が迫り、25/3期はさらなるステップアップの1年になりそうだ。もっとも、受託開発事業におけるグループ再編の影響や人材投資の拡大により1桁増収、減益予想。ただし、特に利益面については24/3期に見られたように保守的である可能性が高い。四半期決算発表ごとに顕在化していくのではないだろうか。
近年、デザインの需要が高まっている。例えば、SIerはプログラムをつくることはできるが、画面でどう表現していくか、言い換えると、UI・UXに関する部分は苦手だ。一方、同社の強みは、ゲームを通じて、取扱説明書がなくても使うことができるソフトウエアを開発してきたこと。ゲームは遊びながら使い方を理解できるような作り方をしないといけないが、スマートフォンも同じ。ただ、今の日本にはこうした技術を持つ企業は必ずしも多くない。UI・UXに対するニーズが高まっているということは、同社が持っている技術に対するニーズが高まっているということであり、ライバルも少ない。同社が、非エンタメ系(ITやWeb関連)の売上を伸ばしている背景には、時代のニーズと同社の強みが合致しているためだ。
25/3期が減益予想だったこともあり株価は軟調に推移している。いくつかの一時的要因などはあるものの、中期的な基調は2桁増収増益と見ている。PERは10倍を割り込んでおり、会社予想が保守的であることが顕在化するにつれて株価の見直しが進むと見ている。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 4名、うち社外1名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年6月29日)
基本的な考え方
当社グループは、企業活動を支えるあらゆるステークホルダーの利益を重要視しており、長期的、継続的また効率的な株主価値の最大化を実現する上でも、コーポレート・ガバナンスの確立を重要な経営課題であると認識しております。企業の社会的責任については、株主のみならず、多くのステークホルダー、また直接的な利害関係者でない社会全般に対してもコーポレート・ガバナンスを基盤として会社全体で使命を共有し、事業の根幹たる「お客様を幸せにする」においてたゆまぬ付加価値創造に注力すべく、従業員に対し基本的な心構え・指針となるよう「社内規程」の整備・徹底を図っております。
<実施しない主な原則とその理由>
当社グループはコーポレートガバナンス・コードの基本原則を実施しております 。