朝日ラバー(5162) 回復傾向に注目 修正を行った計画から変更なし

2024/03/28

 

 

 

渡邉 陽一郎 社長

株式会社 朝日ラバー(5162)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ゴム製品(製造業)

代表取締役社長

渡邉 陽一郎

所在地

埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2

決算月

3月

HP

https://www.asahi-rubber.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

545円

4,560,391株

2,485百万円

4.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.7%

32.94円

16.5倍

1,077.92円

0.5倍

*株価3/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
* BPS、ROEは、2023年3月期決算短信、DPS、EPSは、2024年3月期第3四半期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

EPS

配当

2020年3月(実)

7,489

325

346

126

27.91

30.00

2021年3月(実)

6,487

-92

18

113

25.06

10.00

2022年3月(実)

7,024

291

313

238

52.56

20.00

2023年3月(実)

7,205

185

194

203

44.75

20.00

2024年3月(予)

7,109

155

170

150

32.94

20.00

*2020年3月期の内訳は、普通配当20円、記念配当10円。
*単位:百万円、円。

 

(株)朝日ラバーの2024年3月期第3四半期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2024年3月期第3四半期決算概要
4.2024年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 24/3期第3四半期は前年同期比4.0%の減収、同38.4%の経常減益。売上面では、プレフィルドシリンジ用ガスケットなど診断・治療向けの製品の受注が増加した医療・衛生用ゴム事業で増加したものの、自動車向けの受注が減少した工業用ゴム事業で減少した。利益面では、売上高の減少により工業用ゴム事業で減少した他、製品の販売構成や試作コストの増加などにより、医療・衛生用ゴム事業でも減少した。 
  • 第3四半期が終わり、2023年11月9日に業績予想の修正を行った計画から変更なし。24/3期の会社計画は、前期比1.3%の減収、同12.7%の経常減益の見込み。工業用ゴム事業は自動車向けゴム製品の受注が回復しているものの、通期では前期を下回る見込みである。医療・衛生用ゴム事業は引き続き受注が堅調に推移する見込みである。配当予想も、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。 
  • 上期は苦戦したものの、第3四半期(10-12月)の業績は回復が確認された。これは、プレフィルドシリンジ用ガスケット、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなど診断・解析向けゴム製品と卓球ラケット用ラバーの受注が引き続き堅調に推移する中、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注が回復傾向となったことが寄与したものである。収益性の高いASA COLOR LEDの売上高の拡大は、同社の収益力の改善に直結する。ASA COLOR LEDの受注が、第4四半期に更に回復傾向を強めるのか注目される。 

1.会社概要

小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

 

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社Asahi Crosslink Corporation、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。

 

事業系統図

(同社決算説明会資料より)

 

生産拠点

(同社決算説明会資料より)

 

(同社ウェブサイトより)

 

連結業績の推移

 

【中期事業分野】

事業分野

主要製品

方針

光学事業 ASA COLOR LED

ASA COLOR LENS

白色シリコーンインキ

「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と

感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進める。

医療・ライフ

サイエンス事業

プレフィルドシリンジ用ガスケット

採血用・薬液混注用ゴム栓

ARチェックバルブ

診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。
機能事業 自動車スイッチ用ゴム

卓球ラケット用ラバー

F-TEM(フレキシブルサーモ

エレクトリックモジュール)

ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。
通信事業 RFIDタグ用ゴム製品

やわらか保護カバー

自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。

 

【事業内容と主要製品】

事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、24/3期第3四半期累計の売上構成比は、それぞれ78.9%、21.1%。今後は、RFIDタグ用ゴム製品、ASA COLOR LENS、医療回路製品用ゴム部品などの販売拡大が期待される。

 

◎ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、青色LEDに蛍光体を配合したキャップを被せた高品質LED。シリコーンゴムキャップ内の蛍光体を調合する事で多彩な色度を創りだすことができる。色度座標をはじめ、相関色温度、色温度偏差で色度規格を設定し、顧客の要望に沿った規格を提案している。すべて日本国内で生産しており、販売開始から19年で売り上げ数23億個を突破。これまで自動車メーカー 計19社(日本9社、欧州7社、北米3社)、150車種以上に採用されている。高品質な色合わせ技術が武器で、①実機を元に、最適な色と明るさのLED選定を手伝う「色合わせ」サービス、②実機の発光面周辺の塗装色や発光面積を加味した、目視による色合せ、③顧客の設計スケジュールに合わせたスピーディーな対応、が可能である。LEDを波長ランクごとに分類・選別しており、ランクに合わせた色のキャップを被せることで色・光度のばらつきを低減。自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。顧客に要求される均一な色を実現している。

同社決算説明会資料より

 

ASACOLOR LEDは、主に自動車の内装に採用されている。用途としては、スピードメーター照明・ナビコントロール関連・スイッチ関連・オーディオ関連となっている。

(同社ウェブサイトより)

 

◎医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。素材変性技術による安全性の高い材料と表面改質技術による摺動性の向上により、医療ミス防止などの安全性向上に貢献している。

 

プレフィルドシリンジ向けガスケット(左)とARチェックバルブ(右)

(同社決算説明会資料より)

 

・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のRFIDを提供。取り付ける対象がどのようなものかを記憶し、認識させる機能で、今後成長が期待される認証・認識ビジネスに対応。ゴムという弾性体の特徴を生かして、RFIDが使用できなかった用途への利用が可能に。さらに応用し市場拡大を進める。

 

RFIDタグ用ゴム製品のイメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・卓球ラケット用ラバーのイメージ
球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

(同社決算説明会資料より)
*同社では、製造委託のみを行っており、卓球ラケット用ラバーの販売は行っていない。

 

【コア技術と事業領域】
同社は、独自の競争力の源泉である「色と光のコントロール技術」「表面改質及びマイクロ加工技術」「素材変性技術」の3つのコア技術に、「制御と感性」を成長のキーワードを追加し、人の健康を含めた環境問題の解決に役立つ商品、新たなグリーン市場を創出する画期的な商品にとって、なくてはならないパーツを創り、顧客の期待にクオリティと経済性で応えている。

(同社ウェブサイトより)

 

【強み】
同社は、固有の技術力をさらに深化させ、組み合わせることで更なる特徴を生み出すと同時に、市場の広がりと顧客ニーズを分析し、製品の将来性を考慮した市場ターゲット戦略と価格戦略を組み立て、最も効率の良い生産体制を整えている。

 

(同社ウェブサイトより)

 

【サステナビリティビジョン2030】

同社は、「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」とするサステナビリティビジョン2030を定めた。ゴムには無限の可能性が秘められている。同社はさまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続ける。

(同社ウェブサイトより)

 

また、SDGs/ESGへの関心が高まるなか、改めて社会における自社の存在意義を見直した。その結果、会社は社会のためにあるべきものであり、「人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社」という将来像を見据えた、2030年までの長期ビジョン「AR-2030VISION」を定め、SDGs/ESGを経営の軸に置くことをより明確にした。
また、世界共通の目標であるSDGs達成のためにはさまざまなパートナーとの共創が不可欠と考え、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」という行動指針を定めた。そして、「サステナビリティビジョン2030」実現のため、環境・社会に関する各種基本方針の下、取り組むべき環境・社会目標、KPIを設定した。目標、KPIに関する進捗は毎年報告する。

 

◎環境(方針・実績/KPI)
環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境保全と社会への貢献を目指して活動する。

(同社ウェブサイトより)

 

◎社会(方針・実績/KPI)
働きがいのある職場環境で従業員一人ひとりが生き生きと活躍することで、顧客が満足できる製品を提供し続ける。

(同社ウェブサイトより)

 

◎SDGsへの貢献
同社は、「AR-2030VISION」で掲げたビジョン「社会に貢献する企業として成長し続ける」ために、まず社会ニーズを認識し事業の方向性を定めることが必須と考えている。サステナビリティビジョン2030を策定するにあたり、同社が得意とするコア技術で期待されるイノベーションが、どのSDGsに貢献できるかを整理した。そしてさまざまなステークホルダーとの対話やパートナーとして事業を推進することで価値を共創していく。

 

(同社ウェブサイトより)

 

2.中期経営計画

同社は、中期経営計画を策定するにあたり、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、朝日ラバーらしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描くため、2030年を見据えたビジョン「AR-2030VISION」を定めた。具体的な内容は、以下の通り。

 

【AR-2030VISION】
弾性無限の創造で持続的な価値向上がつながる社会に貢献する企業へと成長し続ける
【経営基盤】
SDGs/ESG経営へ ―グローバルな社会課題に挑戦する企業へと邁進しますー
【行動指針】
ステークホルダー・エンゲージメントを高めること
【技術基盤】
制御&感性へ -ゴムが有する無限の可能性に感性技術を加えてQOL向上を目指します-
独自の競争力の源泉となるコア技術は、色と光のコントロール技術、素材変性技術、表面改質およびマイクロ加工技術としている。それらコア技術に対して新たに感性技術を融合させ、現実世界・サイバー空間がシームレスにつながる世界において、それぞれの事業分野における「人と機械(システム)のつながり」を成長の視点と捉え、新たな価値の創造をもって社会課題の解決に挑む。
【事業基盤】
重点4事業分野へ -事業価値を高め続けて10年後にありたい姿の実現を目指します-
これまでの重点3事業分野(車載・照明事業、医療・ライフサイエンス事業、その他事業)について社会が求める2030年の環境から見つめ直すとともに、将来に「実装化」が想定されるテクノロジーを見通しながら、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の重点4事業分野に集中して10年後にありたい姿の実現を目指す。

 

前中期経営計画(第13次三ヵ年中期経営計画)の振り返り
23/3期を最終年度とする第13次三ヵ年中期経営計画は、売上高目標80~90億円が実績72億円、営業利益率目標8%以上が実績2.6%と残念ながら未達成に終わった。

 

【4事業の振り返り】

光学事業  23/3期目標売上高 40億円⇒実績 26億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向けのASA COLOR LEDの売上高が減少したが、2022年前半は世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆2022年後半から半導体不足等の影響を受けて受注が減少し、中期最終年度で未達となった。

医療・ライフサイエンス事業  23/3期目標売上高 15億円⇒実績 14.8億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向けのASA COLOR LEDの売上高が減少したが、2022年前半は世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆2022年後半から半導体不足等の影響を受けて受注が減少し、中期最終年度で未達となった。

機能事業  23/3期目標売上高 21億円⇒実績 24.7億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向け製品の受注が減少したが、 2022年から世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆卓球ラケット用ラバーの市場回復傾向に加え、顧客の新製品の受注を獲得しさらに増加傾向が続く。

通信事業  23/3期目標売上高 12億円⇒実績 6.3億円

◆新型コロナの影響を受け、RFIDタグ用ゴム製品の受注が減少、一時期回復の兆しがあるもコロナ前の水準には戻っていない。

◆開発案件の中止、延期などの影響から実績が計画から乖離したが、新たな案件への取り組みが進行中。

新中期経営計画(第14次三ヵ年中期経営計画)
同社は、AR-2030VISIONの実現に向けて、第2のステージの2026年3月期までの2024年4月~2026年3月を第14次中期三ヵ年として、中期経営計画を策定した。中期経営方針、テーマ、スローガン、中期経営戦略、及び数値目標は、以下の通りである。

 

<中期経営方針:魅力を高めて新たな価値を提供しよう>
<テーマ:後継・Well-being>
<スローガン 「新しいカタチ」に向かって 挑戦>
<中期経営戦略>
①事業活動の深化・進化・新化
②スマートファクトリーの実績
③Well-beingを高める
④地域社会貢献

 

<26/3期数値目標>

売上高 85億円以上
営業利益率 5%以上

 

また、第14次三ヵ年中期経営計画では、エンゲージメント強化により、EX(従業員体験)を通じて従業員やステークホルダーの価値向上を図るとともに、CX(顧客体験)を通じて顧客の価値向上を実現する。更に、単品からモジュールへ、更には完成品へ売上構成の転換を図り、生産のみを行うOEM企業から、設計・生産まで行うODM企業への進化を図る。自らが価値「価格」をコントロールすることが目的であり、同社の独自の技術による付加価値を、ゴム単品の配合・成形からモジュールや完成品を提供できるように進化させることで、「弾性無限」の可能性を製品に表現した新たな価値をもって市場参入機会を増やし、社会に貢献していく。

 

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

(1)重点事業分野の取り組み

◎光学事業  23/3期の連結売上高約26億円に対し、26/3期の売上高は30億円を計画
「再構築と挑戦」をキーワードに光の可能性を追求した高付加価値向上で市場に貢献する。
◆車載照明のみならず、通信・セキュリティ、機能性照明、殺菌用途などで標準製品の付加価値向上と複合モジュールの開発を展開する。

 

◎医療・ライフサイエンス事業  23/3期の連結売上高約15億円に対し、26/3期の売上高は20億円を計画
「第二の柱へ成長させる」 をキーワードに、同社らしさで世界の医療現場と患者のQOL向上に貢献する。
◆ODM設計・複合デバイスやシステム機器へ挑戦する。また、診断・治療機器を製造販売する企業を目指し、診断治療機器と診断治療デバイスへ貢献するとともに、新事業を開拓する。

 

◎機能事業  23/3期の連結売上高約25億円に対し、26/3期の売上高は29億円を計画
「新たな柱を創る」をキーワードに、ラストワンマイルを安心・安全につなぐ制御で貢献する。
◆サーモモジュールの開発を推進し、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社との販売連携活動を進める。
<F-TEMの事業展開>
サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。同社では、サーモモジュールに使用される素子をゴムで覆うことで、“やわらかく曲げられる”サーモモジュールを開発・販売している。従来のサーモモジュールは固いセラミックスを使用しており、曲げることができなかった。市場が変化する中で、「曲げることができれば良いのに」という顧客の声を受け、F-TEMの開発が始まった。同社は、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社と販売特約店契約を締結し、今後F-TEMを製造するとともに、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社製サーモモジュールの販売を行う。
◆風力発電分野において、施設や設備の完工後に、保守操業を実施するO&M(Operation and Maintenance)を事業化する。

 

◎通信事業  23/3期の連結売上高約6億円に対し、26/3期の売上高は6億円を計画
「基礎基盤を固める」をキーワードに、伝える・伝わる価値でつながる社会に貢献する。
「モノ・センサ・通信規格・情報処理アプリケーション」を駆使し、新たな社会価値への取り組みに参画してスマート社会の発展に貢献する。病院向けでは施設内のIoT機器などを、交通インフラ向けでは保護・施工管理などを、環境センシングでは農業スマート化、発電設備の故障検知などを対象とする。

 

(2)EX(従業員体験)の取り組み

EXの推進により、成長基盤を構築し、社員全員で「好きのカタチ」を築く。

成長エンジン  

<スマートファクトリーの実践>

◆ものづくりの自動化・合理化・省人化

◆内外作政策の促進

◆設計技術、生産技術の強化

◆知的財産力を高める

地球と太くつながる  

<地域社会貢献>

◆地域の方々との交流

◆地域活性化への支援

来たくなる会社  

<well-beingの向上>

◆従業員の声を聞き反映させていく環境と体制整備

◆ワークライフバランスの向上

◆健康、福利厚生活動の充実

◆ITを利用した業務改善と働く環境整備

無形資産価値の向上  

<非財務情報の向上・開示>

◆人材育成計画に基づく活動

◆労働環境の整備

◆温室効果ガス削減活動

◆コンプライアンス実行力を高める

 

3.2024年3月期第3四半期決算概要

(1)連結業績

23/3期

第3四半期累計

構成比

24/3期

第3四半期累計

構成比

前年

同期比

売上高

5,470

100.0%

5,250

100.0%

-4.0%

売上総利益

1,365

25.0%

1,214

23.1%

-11.0%

販管費

1,152

21.1%

1,099

20.9%

-4.6%

営業利益

212

3.9%

114

2.2%

-46.0%

経常利益

218

4.0%

134

2.6%

-38.4%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

171

3.1%

127

2.4%

-25.5%

*単位:百万円

 

前年同期比4.0%の減収、同38.4%の経常減益
売上高は、前年同期比4.0%減の52億50百万円となった。売上面では、工業用ゴム事業において、自動車向けの受注が回復傾向にあるものの在庫調整等の影響により、内装照明用光源のASA COLOR LEDなどの売上高が減少した。一方、卓球ラケット用ラバーは前期からの受注の増加傾向が続き売上高は増加した。これにより、工業用ゴム事業の売上高は、前年同期比6.0%減の41億42百万円となった。一方、医療・衛生用ゴム事業は、引き続き診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓や医療用逆止弁などの売上高が増加した。これにより、医療・衛生用ゴム事業の売上高は、前年同期比4.3%増の11億8百万円となった。
利益面では、経常利益が前年同期比38.4%減の1億34百万円となった。工業用ゴム事業のセグメント利益は、売上高の減少等により前年同期比36.7%減の2億26百万円となった。また、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益は、製品の販売構成や試作コストの増加等により前年同期比20.1%減の83百万円となった。売上総利益率は、23.1%と前年同期比1.9ポイント低下。コストダウンの実施などにより販管費が同4.6%減少し、売上高販管費率が同0.2ポイント低下。以上により、営業利益は前年同期比46.0%減の1億14百万円となった。一方、営業外収益で保険解約返戻金が9百万円発生したことや特別利益で投資有価証券売却益が56百万円発生したことなどにより、経常利益と四半期純利益の減益率は営業利益の減益率よりも縮小した。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

 

四半期業績の推移

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/3期第3四半期(10-12月)は、前年同期比で、売上高はほぼ横ばいながら営業利益は増益となった。前四半期(7-9月)との比較では増収と営業増益となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

23/3期

第3四半期累計

構成比

24/3期

第3四半期累計

構成比

前年同期比

工業用ゴム事業

4,408

80.6%

4,142

78.9%

-6.0%

医療・衛生用ゴム事業

1,062

19.4%

1,108

21.1%

+4.3%

連結売上高

5,470

100.0%

5,250

100.0%

-4.0%

工業用ゴム事業

357

77.3%

226

73.0%

-36.7%

医療・衛生用ゴム事業

104

22.7%

83

27.0%

-20.1%

全社費用

-250

-195

連結営業利益

212

100.0%

114

100.0%

-46.0%

*単位:百万円 

 

事業別売上高(中期事業分野別)

23/3期

第3四半期累計

構成比

24/3期

第3四半期累計

構成比

前年同期比

光学事業

2,052

37.5%

1,846

35.2%

-10.1%

医療・ライフサイエンス事業

1,100

20.1%

1,133

21.6%

+2.9%

機能事業

1,798

32.9%

1,938

36.9%

+7.8%

通信事業

518

9.5%

332

6.3%

-35.8%

売上高合計

5,470

100.0%

5,250

100.0%

-4.0%

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

光学事業は、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注が、半導体不足による顧客の在庫調整が長引いたことにより、売上高が前年同期比10.1%減となった。医療・ライフサイエンス事業は、プレフィルドシリンジ用ガスケット、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなど診断・解析向けの製品の受注が増加したことにより、売上高が同2.9%増となった。機能事業は、自動車のスイッチ向け製品の受注回復が遅れたものの、卓球ラケット用ラバーの増加が貢献し、売上高が同7.8%増となった。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注が回復傾向となったものの前年同期比では減少し、コネクター製品の受注も在庫調整で減少したことにより、売上高が同35.8%減となった。

 

国内・海外別売上高

 

23/3期

第3四半期累計

構成比

24/3期

第3四半期累計

構成比

前年同期比

国内

4,115

75.2%

3,874

73.8%

-5.8%

海外

1,355

24.8%

1,376

26.2%

+1.5%

アジア

1,258

23.0%

1,280

24.4%

+1.8%

北米

88

1.6%

83

1.6%

-6.1%

欧州

8

0.2%

12

0.2%

+48.5%

合計

5,470

100.0%

5,250

100.0%

-4.0%

*単位:百万円

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

国内売上高は前年同期比5.8%の減収となった。海外売上高は規模の大きいアジアの増加が寄与し、同1.5%の増収となった。

 

 

(3)主力製品の売上推移

 

23/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

24/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

会社予想

ASA COLOR LED

608

630

646

502

531

535

609

631

医療用ゴム製品

330

357

365

370

372

357

368

376

卓球ラケット用ラバー

149

166

144

163

171

175

177

160

RFIDタグ用ゴム製品

72

115

123

75

83

89

83

92

*単位:百万円

 

ASA COLOR LEDの第3四半期累計の売上高は、前年同期比11.1%減の16億75百万円となった。半導体不足による自動車のサプライチェーンでの在庫調整が終息し、第3四半期(10-12月)は受注が回復傾向となった。医療用ゴム製品の第3四半期累計の売上高は、同4.3%増の10億98百万円となった。新型コロナ以降、一部製品で受注の時期ズレがあるが、高い水準が続いている。卓球ラケット用ラバーの第3四半期累計の売上高は、同13.6%増の5億24百万円となった。顧客の市場シェア向上にあわせて既存製品と前期からスタートしている新製品とも受注は好調で、四半期で過去最高を更新中である。RFIDタグ用ゴム製品の第3四半期累計の売上高は、同17.8%減の2億55百万円となった。北米市場での受注が回復傾向にはあるものの、変動が大きく新型コロナ以前の水準には戻っていない。

 

(4)財政状態

財政状態

 

23年3月末

23年12月末

 

23年3月末

23年12月末

現預金

1,988

2,385

仕入債務

275

299

売上債権

1,641

1,536

短期有利子負債

790

1,040

棚卸資産

1,151

1,110

流動負債

2,367

2,480

流動資産

5,073

5,445

長期有利子負債

1,111

919

有形固定資産

3,353

3,354

固定負債

2,129

1,989

無形固定資産

63

65

純資産

4,889

5,016

投資その他

897

621

負債・純資産合計

9,387

9,487

固定資産

4,313

4,042

有利子負債合計

1,902

1,959

*単位:百万円。有利子負債=借入(リース債務含まず)

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23年12月末の総資産は前期末比1億円増の94億87百万円。資産サイドでは、現預金が主な増加要因となり、売上債権、投資有価証券売却による投資その他の資産のその他などが主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは、短期有利子負債、為替換算調整勘定などが主な増加要因となり、電子記録債務、長期有利子負債などが主な減少要因となった。同社グループは、各事業の受注状況に基づき、生産能力を検討し設備投資を実施、また新たな事業分野への研究開発投資を積極的に実施している。その必要資金については財政状態の良化を鑑みながら、主に売上代金及び金融機関からの借入金による調達を基本としている。23年12月末の自己資本比率は、52.9%と前期末から0.8ポイント上昇した。

 

(5)24/3期上期の活動実績

◎医療・ライフサイエンス事業-手技シミュレータ関係

大腸内視鏡シミュレータ

mikoto

穿刺トレーニング

レベラップ

心臓の血管位置を学ぶ

CAトレーナー

大腸の内視鏡手術をトレーニング

するためのシュミレータ。内視鏡のリアルな挿入感と術中の様子を

採点できる機能によって、手技レベル向上を図ることができる。

採血など穿刺を練習するためのトレーニングモデル。実際の注射器を使用し、穿刺~採血までの流れを一通りトレーニングすることがでる。

X線画像では分かりにくい心臓の

周りの血管を学ぶための学習用

ツール。このモデルと実際のX線

撮影画像を照らし合わせることで、どの血管がどこにあるのかを正しく理解することができる。

鳥取大学発ベンチャー R0社と

共同開発

近畿大学、タナック社と

共同開発

国際医療看護福祉大学校と

共同開発

 

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

 

◎通信事業-やわらか保護カバー

やわらか保護カバーRFIDタグ

やわらか保護カバーEnOcean

やわらか保護カバーRFIDタグは、単品では屋外での使用が制限されるRFIDタグをやわらか保護カバーで保護することで、工事現場や物流など過酷な屋外での使用を可能にした。中身のRFIDタグの種類を変えることで、様々な種類のRFIDタグを屋外向け仕様に

することができる。

EnOceanは、独EnOcean社が開発したバッテリー不要の無線通信規格。EnOceanデバイスの正規代理店である丸紅情報システムズ社と共同で、EnOceanを

「やわらか保護カバー」で保護し、防塵防水機能を追加した製品をラインナップした。

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

4.2024年3月期業績予想

(1)連結業績

23/3期

構成比

24/3期

構成比

前期比

売上高

7,205

100.0%

7,109

100.0%

-1.3%

売上総利益

1,758

24.4%

1,663

23.4%

-5.5%

販管費

1,573

21.8%

1,508

21.2%

-4.2%

営業利益

185

2.6%

155

2.2%

-16.3%

経常利益

194

2.7%

170

2.4%

-12.7%

親会社株主に帰属する当期純利益

203

2.8%

150

2.1%

-26.1%

*単位:百万円

 

24/3期は、前期比1.3%の減収、同12.7%の経常減益予想
第3四半期が終わり、2023年11月9日に業績予想の修正を行った計画から変更なし。24/3期の会社計画は、売上高が前期比1.3%減の71億9百万円、経常利益が同12.7%減の1億70百万円。第2四半期までの自動車向け製品の受注減の影響から24/3期は減収減益となる見込みであるものの、第3四半期から回復傾向となっており、第3四半期累計よりも減益幅は縮小する見込みである。工業用ゴム事業は自動車向けゴム製品の受注が回復しているものの、通期では前期を下回る見込みであり、前期比2.4%減の減収予想。医療・衛生用ゴム事業は引き続き受注が堅調に推移する見込みであり、同3.1%の増収予想。
売上総利益率は、前期比1ポイント低下の23.4%、売上高対販管費率は、同0.6ポイント低下の21.2%の予定。この結果、営業利益は前期比16.3%減の1億55百万円となる見込みである。売上高営業利益率は、前期比0.4ポイント低下の2.2%の予想。その他、営業外収益における保険解約返戻金の発生などにより、経常利益の減益率は営業利益の減益率よりも改善する見込みである。一方、前期に計上した補助金収入、関係会社株式売却益、受取保険金などの減少を見込み当期純利益の減益率は営業利益の減益率よりも悪化する見込みある。
また、配当予想は、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。連結配当性向は60.7%となる。

 

第4四半期(1-3月)は、前年同期比で増収増益の見込みである。自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注が回復することに加え、医療用ゴム製品でも診断・治療向け製品の受注が引き続き堅調に推移する見込みである。

 

(2)セグメント別売上高

(中期事業分野別)の見通し

23/3期

実績

構成比

24/3期

会社計画

構成比

前期比

光学事業

2,607

36.2%

2,523

35.5%

-3.2%

医療・ライフサイエンス事業

1,483

20.6%

1,526

21.4%

+2.9%

機能事業

2,474

34.3%

2,566

36.1%

+3.7%

通信事業

639

8.9%

492

7.0%

-23.0%

売上高合計

7,205

100.0%

7,109

100.0%

-1.3%

*単位:百万円

 

光学事業は、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注が、回復傾向となる見込みである。医療・ライフサイエンス事業は、プレフィルドシリンジ用ガスケット、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなど診断・解析向けゴム製品の受注が引き続き堅調に推移し、過去最高の売上高を更新する見込みである。機能事業は、卓球ラケット用ラバーの受注が引き続き堅調となり、自動車のスイッチ向けゴム製品の受注も回復傾向となる見込みである。一方、通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注が堅調となるものの市場に不透明感が残る他、コネクター製品の受注も低水準となる見込みである。今後やわらか保護カバーの市場供給を進める方針である。

 

主要製品の売上見通し

 

23/3

実績

24/3

会社計画

前提・方針

ASA COLOR LED

2,388

2,306

◆受注が回復傾向となり当初計画通りの見込み。

◆受注に合わせた生産体制の整備を進める。

医療用ゴム製品

1,423

1,473

◆診断・治療向け製品の受注は引き続き堅調に推移する見込み。

◆新規開発製品の取り組みを進める。

卓球ラケット用ラバー

625

683

◆受注は堅調に拡大する見込み。

◆さらに生産体制の増強に向けて準備を進める。

RFIDタグ用ゴム製品

386

347

◆市場は回復しつつあるものの、市場環境の不透明さが

続く見込み。

◆やわらか保護カバーRFIDタグの標準品、カスタム品を

販売開始。

*単位:百万円

 

(3)設備投資と減価償却費の計画

連結ベースの24/3期の設備投資額は4億38百万円、減価償却費は4億33百万円を計画。設備投資計画は、期初計画から39百万円の増加となった。

事業分野

設備投資額(単位:百万円)

内訳

光学事業

153.5

ASA COLOR LEDの設備他

医療・ライフサイエンス事業

123.2

回路製品の生産設備他

機能事業

110.1

開発製品の生産設備他

通信事業

9.6

タグ関係生産設備

その他

42.0

 

法人

設備投資額(単位:百万円)

分野

朝日ラバー

421.7

全事業

東莞朝日精密橡膠制品

16.9

機能事業、その他

 

光学事業はASA COLOR LEDの生産効率化投資を実施する。その他、機能事業の開発製品である車載スイッチ製品、F-TEM(サーモモジュール)、風力発電関係の開発・生産投資を実施する。

 

(4)進捗率

 

23/3期第3四半期累計 実績

24/3期 会社計画

進捗率

売上高

5,250

7,109

73.9%

営業利益

114

155

73.9%

経常利益

134

170

79.0%

当期純利益

127

150

85.0%

*単位:百万円

 

売上高、各段階利益とも概ね会社計画通りの進捗となっている。

 

5.今後の注目点

同社の24/3期第3四半期決算は、前年同期比4.0%減収、同38.4%経常減益の厳しい内容となった。一方、第3四半期(10-12月)のみでは、前年同期比で売上高が横ばいとなる中、経常利益は同33.8%の増益となった。また、前四半期(7-9月)との比較では、11.6%の増収で経常利益は7.9倍となった。上期決算は苦戦したものの、第3四半期(10-12月)の業績は回復が確認された。これは、プレフィルドシリンジ用ガスケット、採血用・薬液混注用ゴム栓、ARチェックバルブなど診断・解析向けゴム製品と卓球ラケット用ラバーの受注が引き続き堅調に推移する中、自動車内装照明用のASA COLOR LEDの受注が回復傾向となったことが寄与したものである。収益性の高いASA COLOR LEDの売上高の拡大は、同社の収益力の改善に直結する。一方、同社の第4四半期(1-3月)の会社計画は、第3四半期(10-12月)に比べ、売上高は概ね横ばいながら経常利益が大幅に減少する保守的な予想となっている。第3四半期に回復が始まったASA COLOR LEDの受注が、第4四半期に更に回復傾向を強めるのか、また今期の会社計画の経常利益をどれ位超過することができるのか注目される。
また、同社は今期に、機能事業の開発製品であるF-TEM(サーモモジュール)や風力発電関係の開発・生産投資を実施する予定である。F-TEM(サーモモジュール)や風力発電関係など開発製品が今後いつの時期から業績拡大に寄与するのか注目される。更に、同社はやわらか保護カバーRFIDタグの標準品とカスタム品の販売を開始した。加えて、丸紅情報システムズ社との共同販売であるやわらか保護カバーEnOceanの販売拡大も目指している。
苦戦が続いているRFIDタグ用ゴム製品においても今後回復傾向を示せるのか注目される。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 6名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年11月9日

 

<基本的な考え方>
当社及び当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「継続的な成長を通して、企業価値を高めていくという経営の基本方針を実現するために、経営の透明性・健全性を高め、コンプライアンス経営を徹底する」であり、経営上の重要な課題のひとつと位置付けております。

 

【実施をしないコード:その主な原則と理由】

原則

実施しない理由

【補充原則1-2④】 当社の株主構成で機関投資家また外国人株主の比率が低いため、議決権電子行使プラットフォームや決算資料および招集通知の英訳は実施しておりません。それぞれ一定程度の株主構成比率になった場合または要望が多くなった場合に検討いたします。
【補充原則2-4①】 当社では、必要に応じて適材適所での人員配置とすることを基本方針としているため、女性、外国人等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方等は定めておりませんが、今後も、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針であります。
【補充原則3-1②】 海外投資家、外国人投資家の株主構成比率は少ないため、英語での決算情報など開示資料の公開は行っておりません。
【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】 女性取締役や外国人取締役は在籍しておりません。当社では女性の管理職が6名、また現場でのリーダーは26名でございます。いろいろな考え方を尊重して、多様性を高めた人事を進めていきたいと考えています。当社では、出産や育児のあとも短時間勤務制度を利用しながら継続して働いている女性社員が増えてきており、こうした方たちが、将来、活躍できるように体制を整えてまいりたいと考えております。財務・会計に関する十分な知見を有している取締役は1名で、旧大蔵省での財務・会計業務を長年にわたって携わられてきたことによる豊富な知識と弁護士としての幅広い見識を、当社の監査業務やコンプライアンス活動等に活かしていただくため、社外取締役に指定しております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】

原則

開示をしている主な原則

【原則1-4.政策保有株式】 方針として、中長期的な企業価値向上を図ることを基本とし、その保有の合理性を得られない場合は保有いたしません。政策保有株式の目的は取引関係の強化、情報収集などが主な目的であり、それぞれの目的が効果をあげているかの状況等を検討して、適宜判断しております。

当社が保有している法人の株式については、その簿価と株価とを比較し、また当該会社の事業状況等も踏まえて、保有するか売却するかの判断を行っております。

特に定量的な数値指標はございません。取引状況、情報収集状況、また相手先の会社の経営状況等を総合的に判断して、議決権を行使してまいります。

【原則3-1.情報開示の充実】 ⅰ)会社の社訓、経営基本方針を会社ホームページにて開示しております。また中期経営計画を策定し、説明会を開催して公表して会社ホームページにて開示しております。

ⅱ)当社は、当社グループ全体の企業価値の最大化を図るためにはコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しており、経営の透明性と健全性の確保、適時・適切な情報開示を行うことに努めています。また、「内部統制システムに係る基本方針」に基づき、当社および子会社の内部統制システムを整備し運用しております。

ⅲ)当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としております。決定の手続きについては、他社水準及び対従業員給与とのバランスを考慮しながら総合的に勘案して、取締役会で了承された方法により決定いたします。

ⅳ)取締役候補者の選任について、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人物を役員とすることを基本方針とし、経営の意思決定および業務執行の監督に携わる者としてふさわしい経歴、能力、リーダーシップ、中長期的視野および高い倫理観を持つ者の中から、人格、経験を総合的に勘案し、取締役候補者といたします。その手続きは、候補者を代表取締役社長が監査等委員会に提案し、監査等委員会で確認後、取締役会で候補者を決定し、取締役の選任に関する議案を株主総会に提出いたします。執行役員の選解任については、代表取締役社長が取締役会に提案し、取締役会でその提案について審議し、決定いたします。

ⅴ)役員等の候補者選定の手続きについては、管理部門が候補者の経歴書、推薦書等の資料を準備し、監査等委員会にて面談を実施し、審議、取締役会への答申内容を決定し、取締役会で審議結果を答申し決定いたします。

【補充原則3-1③】 当社では「サステナビリティビジョンとして「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」を掲げ、ゴムの無限の可能性を追求し、さまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続けます。

当社事業におけるSDGsの各ゴールの設定と環境・社会の課題に対するKPIを定め、従業員の働く環境に関する施策の実施状況とあわせて、ホームページにて活動を報告しております。

https://www.asahi-rubber.co.jp/company/sustainability/

知的財産の基本的な考え方と知財戦略について、当社は、研究開発活動の成果を知的財産として、権利化したりノウハウとすることにより、経営計画、経営戦略の一環として推進し、中長期経営戦略の事業の企画・戦略と知的財産を結びつけた知財戦略とすることを基本としています。知的財産をけん引する組織としては、知的財産グループが主導して各工場(事業)に知財実行委員を配置し、営業部門も参加する知財実行委員会を開催し、事業戦略に基づいた知財戦略について、部門横断的な連携がとれる体制としています。さらに、特許出願の職務発明報奨制度により、社員の出願インセンティブを高めることで、積極的な知的財産の創出を図っています。一方、他社の知的財産権に対しては、これを尊重し係争を未然に回避するため、テーマ提案・事業化・仕様変更などの事業開発の節目および継続的に特許調査を実施し、知財実行委員会で討議し、設計段階において工程全体のパテントクリアランスの確保に努めております。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】 IR活動を強化し、頻度をあげております。外部からの意見もいただきながら、問い合わせ窓口を広げてまいります。今後も株主の皆様や投資家の皆様のご意見をいただきながら、体制を整備していきたいと考えております。
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