バーチャレクス・ホールディングス(6193) 売上高、営業利益は上場来最高を更新

2023/06/29

 

 

 

丸山 栄樹 社長

バーチャレクス・ホールディングス株式会社(6193)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

サービス業

代表取締役社長

丸山 栄樹

所在地

東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル8階

決算月

3月

HP

https://www.vx-holdings.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,192円

2,989,753株

3,563百万円

46.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

15.00円

1.26%

150.28円

7.9倍

546.81円

2.2倍

*株価は6/9終値。各数値は23年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

20年3月(実)

5,948

-192

-191

-519

-179.59

0.00

21年3月(実)

5,632

164

181

110

38.42

0.00

22年3月(実)

6,223

519

543

364

126.37

0.00

23年3月(実)

6,798

576

497

635

217.74

15.00

24年3月(予)

7,150

610

610

439

150.28

15.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

バーチャレクス・ホールディングス株式会社の会社概要、成長戦略、業績動向などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.成長戦略
3.2023年3月期決算概要
4.2024年3月期業績予想
5. トピックス
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 2023年3月期の売上高は前期比9.2%増の67億98百万円、営業利益は同10.8%増の5億76百万円と、共に上場来最高を更新しての着地となった。アウトソーシング事業を中心にコロナ禍の影響からの脱却が鮮明となった一年だった。 
  • 2024年3月期の売上高は、前期比5.2%増の71億50百万円、営業利益は同5.8%増の6億10百万円を計画。増収効果などにより、セグメント利益は同17.6%増の17億20百万円を見込んでいるが、引き続き人材採用等への積極的投資を行うため、売上高営業利益率は前期並みの水準に抑える計画となっている。 
  • 2024年3月期を最終年度とした中期3ヵ年目標(合計連結経常利益目標18億円以上)に対し、過去2期実績に今期会社計画を加算した数値は61百万円未達の状況。同社からは、連携プレーヤーとの提携再加速、人材拡充の早期化等、現行計画を更に前倒しすることで、達成水準を目指すとの見解が示された。 
  • 同社グループのクライアントとなり得る企業群は、顧客ニーズに対応して、顧客毎に最適なタイミング、チャネル、コンテンツを選択してアプローチしうるCRMの再構築を行い、顧客満足度と顧客価値の最大化を図ることが必要不可欠になっている。そのため、同社グループが持つCRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービスへのニーズは今後一層高まっていくことが予想される。外的環境の追い風に加え、内的要素の成長加速によって、中期計画達成確度は高まっていくことが想定される。今後の進捗に注目していきたい。 

     

1.会社概要

1999年の創業以来、「コンサルティング」「テクノロジー」「オペレーション」の3つのコアスキルを融合し、クライアント企業のCRM領域をドメインに一気通貫サービスを提供してきた。現在では、「Digital & AI」で「SX(Sustainable Transformation)」を実現するという事業ビジョンのもと、クライアント事業のSuccession(=成功の連続)に向けた伴走支援を行っている。

 

【1-1沿革】

実力主義の世界で自分の力を試そうと考えた丸山 栄樹氏(現 バーチャレクス・ホールディングス株式会社 代表取締役社長)はコンサルティングファームであるアクセンチュアに入社すると、コンサルタントとして実績を積み、高い評価を得ていった。
そうした中、次は会社の看板無しに自分で何ができるかを試したいと考えた丸山社長は、「一般的にコンサルティングの成果物は提案書やレポートであり、その計画をクライアントが実行しない限りは結果を見ることができないが、そうではなく、始めから最後までクライアントと共に伴走し、結果を提供したい」と考え、1999年6月、株式会社バーチャレクス(現 バーチャレクス・ホールディングス株式会社)を創業した。
企画・提案までを主体とする「コンサルティング」に加えて、その実現手段である「テクノロジー」と業務遂行自体を支援する「アウトソーシング」をワンストップに提供することを理念とする同社は、大手証券会社グループを初めての顧客とすると、独自のスタイルが評価され、紹介で大手小売企業や大手EC企業など顧客数は着実に増大し、業容も拡大。2016年6月に東証マザーズに上場した。2022年4月、市場再編に伴い、東証スタンダード市場に移行。

 

 

【1-2 グループ企業理念】

以下のような企業理念を掲げ、全てのステークホルダーとの共栄を目指している。

 

「Success for the people, organization and society.」

私たちは生活者・消費者(顧客)、クライアント企業やパートナー企業の皆様、当社の株主やグループ従業員とその家族など、共に歩むすべての人たちの成功に向かいます。
私たちはクライアント企業・団体、パートナー企業、グループ企業の成功に向かいます。
私たちは社会・環境の持続的な成功に向かいます。
私たちはこのような想いのもと、議論し、判断し、行動します。

 

【1-3 事業ビジョン・ビジネスドメイン・事業環境】

 

コンタクトセンター運営に関するコンサルティング及び運営受託からスタートした同社は、事業領域をCRM、デジタルマーケティングへと拡張してきたが、社会の大きな変化に伴い、今後は「Digital & AI」を用いた持続的な変革(SX:Sustainable Transformation)の実現を通じ、ビジネスドメインを更に拡張していく考えだ。

 

(同社資料より)

 

Digital(DX)およびAIはどちらも急速な市場拡大が見込まれる成長分野であり、積極的な投資により需要を取り込み、売上・利益の拡大を追求する。

 

(同社資料より)

 

【1-4 事業内容】

(1)グループ体制
持株会社バーチャレクス・ホールディングス株式会社及び、子会社6社(連結子会社4社、非連結子会社2社)でグループを構成。グループ一体となってサービスを提供している。

 

企業名

事業内容

バーチャレクス・ホールディングス株式会社 グループ経営戦略・経営管理
バーチャレクス・コンサルティング株式会社 企業と顧客接点に関するコンサルティングとアウトソーシングおよびソフトウェアの提供
バーチャレクス九州株式会社 アウトソーシングサービスおよびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの運営拠点
VXアクト株式会社 オンサイトチームエンジニアリング(OTE)、オフショア開発、ITオペレーションアウトソーシング等のITサービスの提供
株式会社タイムインターメディア Webシステム、文教・教育ソリューションの提供およびソフトウェアの研究・開発(AI等)
Virtualex (Thailand) Co., Ltd. アウトソーシングサービスおよびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの運営拠
Virtualex U.S.A., Inc. ITソリューションの調査・研究

*バーチャレクス・コンサルティング株式会社、バーチャレクス九州株式会社、VXアクト株式会社、株式会社タイムインターメディアが連結子会社。

 

(2)セグメント
セグメントは、「IT&コンサルティング事業」と「アウトソーシング事業」の2つ。
【1-5 特長・強み・競争優位性】で後述する「ワンストップサービス」が同社事業の大きな特徴である。

 

①IT&コンサルティング事業
バーチャレクス・コンサルティング株式会社、株式会社タイムインターメディアおよびVXアクト株式会社が行っている。
具体的なサービス内容は、「コンサルティングサービス」「CRM製品提供」「ストック型ITサービス」からなる。

 

*コンサルティングサービス
創業当初から行っているコールセンター構築をはじめとする企業の事業戦略、CRM戦略、IT戦略、及びマーケティング戦略等の立案から、それらの実現・導入に向けた業務やシステムの設計・構築の支援を行う。

 

サービス

内容

事業戦略・CRM戦略の立案 企業の事業活動やCRM活動を向上させるための戦略作りや計画作りを支援する。
IT戦略の立案 CRM活動を向上させるためのIT基盤の在り方についての戦略作りや計画作りを支援する。
CRM製品の提供に伴うカスタマイズ CRMパッケージ製品「inspirX(インスピーリ)」を提供するにあたって、クライアント企業のニーズに基づくカスタマイズ開発を行う。
CRMコールセンターの構築・変革支援 CRM向上に寄与する役割や業務の在り方を踏まえたコールセンターの構築や変革の支援を行う。
コールセンターCALL削減 コールセンターにおけるCALL分析により、無駄な問合せを削減するための様々な施策を打ち、それぞれのチャネルの最適化を図ることで、コールセンターの運営コストの低減を図る。

 

CEM領域で培ったノウハウを、デジタルマーケティングやビジネス・アナリティクスといったマーケティング領域に融合展開し、サービス領域及び提供価値の拡充を図っている。

 

サービス

内容

マーケティングデータ分析 企業のマーケティング活動に有益な種々のデータ(ビッグデータ)の分析を行い、マーケティング戦略作りを支援する。
マーケティングプロセス設計 策定したマーケティング戦略を実践するためのプロセス設計(業務・システム)を行う。
マーケティングプラットフォーム構築 マーケティング活動に必要となるITプラットフォームの構築を行う。

 

Web領域、文教・教育ソリューション領域にも事業ドメインを拡大しているほか、遺伝的アルゴリズム(進化計算)をベースとしたAIの利活用、デジタルトランスフォーメーション支援、分散コールセンターやマザーセンターの技術基盤構築など、ソリューション領域を拡張しビジネスを成長させている。

 

*CRM製品提供
コンサルティングやプロセス運営で培った知見をITソリューションとして形にしたCRMパッケージ製品「inspirX(インスピーリ)」をライセンス販売している。

 

CRMパッケージ製品「inspirX」は、長年にわたるコールセンター運営の経験を活かして自社開発した顧客対応履歴管理ソフトウェア。電話、FAX、メール、SMS、LINE等のマルチチャネルに対応しており、同製品の導入により、顧客からの問い合わせ、意見、クレーム、受発注情報などのやりとりや実際の訪問など、あらゆる顧客とのコミュニケーションを統合的に管理することが可能となる。

 

*ストック型ITサービス
企業のCRM基盤を戦略的かつ効率的に支援している。
近年急速にニーズが高まっている「inspirX」のクラウド型サービスを中心に、オンプレミス型導入後の保守サービス、他社(パートナー企業)製品の代理店型サービスなども提供している。

 

②アウトソーシング事業
バーチャレクス・コンサルティング株式会社、バーチャレクス九州株式会社が行っている。

 

創業以来、クライアント企業のCRM推進の中心的な役割を果たすコールセンター業務等の受託運営を行ってきた。
コールセンターの受託運営は、大別すると、同社グループセンターで同社のグループ要員が業務を遂行するサービス形態と、クライアント企業のセンターで同社のグループ要員がクライアント社員と共同で業務を遂行するサービス形態とがあり、クライアントの要望に合わせてサービスを提供している。
近年では、通常の問い合わせセンターや受発注センターの運営のみならず、同社グループのコンサルティング力を活かすことによって、業務標準(KPI、プロセス)構築や新規取り組みを実施(仮説検証)するマザーセンターの運営、デジタルマーケティングのバックオフィス業務のアウトソーシング受託(Marketing Process Outsourcing)等のサービスを展開している。

 

サービス

内容

マザーセンターのアウトソーシング コンサルティング、テクノロジー、アウトソーシングのノウハウを集約し、コールセンターのベストプラクティスを追求するラボ(実験)機能を有するセンターの運営を行う。
CALL削減のための一部業務の運営 顧客からの問い合わせ内容を分析することにより、問い合わせ原因を解消したり、自己解決に導いたり、対応チャネルを効率化させることを目的としたセンターの運営を行う。
新規顧客獲得業務の代行・共同運営 マーケティングデータ分析やマーケティングプロセス設計に基づいた新規顧客獲得業務の代行や共同運営を行う。
広告・ソーシャルチャネルの運用 デジタルマーケティングによる広告やソーシャルチャネルを利活用したマーケティング業務の運用を行う。
キャンペーンマネジメント業務の運用 マーケティング計画やマーケティングプラットフォームに基づくマーケティングキャンペーン活動等のマネジメント業務を行う。
マーケティングデータ管理・レポーティング マーケティング活動で蓄積されるデータの管理や分析レポートの作成を行う。
マーケティングプラットフォームの運用 より効果的なマーケティングを実践するためのプラットフォームを構築した上で、そのプラットフォームの運用を代行する。

 

【1-5 特長・強み・競争優位性】

(1)CRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービス
企業がより有効なCRMを実践するには、店舗や営業マンなどの「対面チャネル(接点)」と、コールセンターやインターネットなどの「非対面チャネル」の両者を通じた顧客接点全体の再構築を行い、それらをCRMプロセスとして導入する必要がある。
企業がこれらの再構築やプロセス導入を行う際には、広告代理店、コンサルティング会社、SIベンダー、テレマーケティング会社など様々な会社に支援を求めることが必要となる。

 

一方、「コンサルティング(=戦略や計画の策定力)」「テクノロジー(=ITソリューションの開発力)」「アウトソーシング(=業務の実行力)」の3つのノウハウを合わせ持つ同社グループでは、この3つの力を活用することで、多様化する顧客との接点を通じた企業のCRM再構築を、ワンストップでトータルに支援している。

 

具体的には、戦略策定や計画策定等の上流工程及び継続的な業務実施・運用を支援する「コンサルティングサービス」、コンサルティングやプロセス運営で培った知見をITソリューションとして形にした「CRM製品提供」、企業のCRM基盤を戦略的かつ効率的に支えるための「CRM ITサービス」、さらには実際の顧客接点業務を企業と共同あるいは請け負って実行する「CRMプロセスサービス」を、継ぎ目なくシナジーを発現しながら提供している。

 

同社グループが事業展開のドメインとする「企業と顧客の接点」は、かつては店舗や訪問での対面チャネルが中心だったが、その後コールセンターのような非対面チャネルに広がり、近年では、インターネットが普及し、e-コマースやe-メール、スマートフォンアプリの利用が浸透したことで、企業と顧客の接点も多様化や複雑化など飛躍的な変革が生じている。
例えば、企業の製品やサービスを利用した消費者は、問題や欲求を解決する際に、電話やe-メール等を介してコールセンターに問合せをするのではなく、スマートフォンやタブレット端末等でホームページやソーシャルメディアを検索して解決しようとする傾向が強まっている。

 

企業はこうした変革や顧客ニーズに対応して、顧客毎に最適なタイミング、チャネル、コンテンツを選択してアプローチしうるCRMの再構築を行うことで、顧客満足度と顧客価値の最大化を図ることが必要不可欠になっている。
このため、同社グループが持つCRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービスへのニーズは年々高まっており、自社の強力な競争優位性であると考えている。

 

 

 

(同社資料より)

 

(2)ストックビジネス化による安定収益構造
自社製品やITソリューションの導入に伴う保守サービスや拡張サービスの提供、自社ITサービスの提供による月額利用料の収受といった一般的なリカーリングのみではなく、コンサルティングにおける同社の特長である伴走型サービス、アウトソーシングサービスについてもストックビジネス化を進め、安定収益構造構築を図っている。

 

(同社資料より)

 

(3)ビジネスモデルはビジネスの【ストック化】と実績・ノウハウの【自社製品化】
前述した3つのスキルによって顧客企業を支援する中で培った実績やノウハウをソリューション化、自社製品・サービス化しストックビジネスとして安定的な収益を確保しながら利益を再投資することで、持続的な成長を目指すのが同社のビジネスモデルである。

 

(同社資料より)

 

2.成長戦略

【2-1 成長戦略】

良好な事業環境の中で、「DIGITAL & AI」をテーマに、成長のための3つの戦略「AI関連ビジネスの拡大」「デジタルマーケティングの案件サイズ拡大」「個別事業毎の成長」を展開する。

 

(1)AI関連ビジネスの拡大
同社グループでは「進化計算:TENKEI」」を用いてAI関連ビジネスの拡大を目指している。

 

AIシステムでは機械学習やディープラーニングの名を耳にすることが多いが、進化計算はこれらとは一線を画すAIシステムである。機械学習やディープラーニングが大量のデータを学習することで法則を導き出すのに対し、「進化計算」は、大量の学習データを必要とせず、与えられた条件をもとに課題の最適解を求めることが可能である。問題・課題の答えを一つの「個体」とし、生物が進化しながら長い年月を通じて環境に適応していく過程、生物の進化の仕組みをアルゴリズム化したものであることから、進化計算は「遺伝的アルゴリズム」とも呼ばれる。

 

同社グループでは、この進化計算をベースに独自の最適化AIプラットフォーム「TENKEI」を開発した。
「TENKEI」は「組み合わせの複雑さ」が生み出す課題を解決するDX推進アプリケーションであり、与えられた条件をもとに、特に人間では到底処理することができない無限に近い組み合わせの数の中から最適な答えを素早く導き出すことを得意としている。
2018年に「TENKEI」を用いて世界最大のナンプレ(数字パズルの一種)を作成し、ギネスを取得してその実力を証明した。
研究開発の継続の過程で、論文が国際会議に採択された。

 

現在では、「工場の生産ラインの最適化」「介護事業所毎のシフト計画管理」「在庫と発注の最適化」「時間割の自動生成」「各種スケジューリングの最適化」など、大企業とのプロジェクトが複数立ち上がり実績を着実に積み上げている。
直近では、某大企業の新規事業の根幹に「TENKEI」が導入されたほか、ASKULの在庫配置の進化計算を電通大学と共同実施した。三井不動産では「動くお店MIKKE」に「TENKEI」が導入された。
また、より大きな売上を実現すべく、TENKEIプラットフォームをSI(開発型)から、横展開が可能なツール(SaaS)型に進化させていく。初期導入も行われており、今後も事例公開による更なる認知度向上も目指す。

 

(同社資料より)

 

(2)デジタルマーケティングの案件サイズ拡大
顧客企業はDXによってお客様中心・お客様起点でのマーケティング・セールス・カスタマーサクセスの実現を目指しており、同社グループはコンサルティングサービス、テクノロジー導入サービス、伴走サービスの各領域で顧客企業を支援していく考えで、超上流から実行・定着までワンストップで伴走するパートナーを目指している。

 

そうした中、受注件数が増大するとともに、案件規模も拡大しており、個別の案件サイズは平均120%に拡大している。
また、単発支援型から一気通貫型サービスへと拡張しているほか、博報堂を始めとした他社との連携・提携による総合的マーケティング戦略支援の体制づくりも進捗している。
加えて、Salesforceビジネスの実績・案件規模拡大を足掛かりに、サービス・支援範囲を拡充する。特に、DX人材が不足する中、顧客企業内におけるDX人材の育成サービスを展開することでビジネスの拡大スピードを加速させる。

 

(同社資料より)

 

(3)個別事業毎の成長
人手によるBPOにテクノロジーをかけ合わせ、ヒトとテクノロジーを融合したハイブリッドな業務オペレーションであるスマートBPOや、AIを導入したAI-BPOの更なる拡大を図るほか、CRMパッケージ関連のストック化にも取り組んでいる。(株)LIXILなど、大規模プロジェクトの受注が進展している。
スマートBPO関連コンサルは拡大が続いている。

 

また、AWS(Amazon Web Service)内のサービスであるAMAZONコネクト(※)をプラットフォームとして、同社グループがメール対応、ソフトフォン、顧客対応、顧客管理、他システム連携といった業務に関する拡張機能を付加した独自サービスである「コネクトレック」の強化にも取り組んでいる。

 

(同社資料より)

 

※AMAZONコネクト
数回のクリックでコンタクトセンターの設定や変更が可能なAWSのサービス。従来のコンタクトセンターソリューションと比較して、最大 80%のコスト削減が可能。

 

【2-2 中期3か年目標】

21年3月期決算発表時に公表した「3年間の合計連結経常利益目標18億円以上」に対する進捗は、23/3期までの実績+24/3期会社計画を元にすると61百万円未達の状況。なお、23/3期に営業外費用として計上した運用評価損89百万円の影響は排除している。理由は投資組合の適用会計基準変更に伴う未実現の一時的な事象であるため。
18億円という目標に対する未達分61百万円(今期会社計画達成を前提とした場合)は、連携プレーヤーとの提携再加速、人材拡充の早期化等、現行計画をさらに前倒しして実現することによる達成を目指す。

 

(同社資料より)

 

3.2023年3月期決算概要

【3-1業績概要】

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

予想比

売上高

6,223

100.0%

6,798

100.0%

+9.2%

+4.6%

売上総利益

1,625

26.1%

1,754

25.8%

+7.9%

販管費

1,105

17.8%

1,178

17.3%

+6.6%

営業利益

519

8.3%

576

8.5%

+10.8%

+0.8%

経常利益

543

8.7%

497

7.3%

-8.5%

-13.0%

当期純利益

364

5.8%

635

9.3%

+74.6%

+27.2%

*単位:百万円。

 

売上高、営業利益は会社計画を僅かながら上回り、上場来最高を更新。
売上高は前期比9.2%増の67億98百万円。コロナ禍での事業影響がマイナスからプラスに転じたことで、期初から堅調に推移した。
営業利益は同10.8%増の5億76百万円。人材採用育成を積極的に行った結果全社費用は同8.7%増となったものの、増収効果により、売上高営業利益率は前期8.3%から8.5%に上昇した。ただし、4Qに新規事業領域の不採算プロジェクトに対し引き当て処理を行ったことから、会社計画水準での着地に留まった。
経常利益は同8.5%減の4億97百万円。営業外費用に投資事業組合運用損89百万円が計上されたため減益となったが、評価方法変更に伴う一時的なものであり、キャッシュアウトも伴っていない点は認識しておきたい。
当期純利益は同74.6%増の6億35百万円となった。こちらは特別利益に投資有価証券売却益3億31百万円が計上された影響が大きい。

 

【3-2 セグメント動向】

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

 IT&コンサルティング事業

3,658

58.8%

3,931

57.8%

+7.5%

 アウトソーシング事業

2,565

41.2%

2,867

42.2%

+11.8%

売上高合計

6,223

100.0%

6,798

100.0%

+9.2%

 IT&コンサルティング事業

815

22.3%

796

20.2%

-2.4%

 アウトソーシング事業

519

20.2%

666

23.2%

+28.4%

調整

-815

-886

セグメント利益合計

519

8.3%

576

8.5%

+11.0%

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

(1)IT&コンサルティング事業
前期比7.5%増収、2.4%営業減益。コロナ禍によるマイナス影響が22/3期下期からプラスに転じてきたが、その流れが期初から継続して推移した。上期からパッケージ売上が堅調に推移したうえ、大型コンサル案件の受注も継続的に獲得した。上期は増収効果に加え、低採算プロジェクトや未稼働人員コストの減少により、プロジェクト利益率およびセグメント利益率が上昇したものの、4Qに新規事業領域の大規模ソリューション導入において不採算プロジェクトが発生し、引き当て処理を行ったことから、下期の利益率は前期に比べ低下しての着地となった。

 

(2)アウトソーシング事業
前期比11.8%増収、28.4%営業増益。マザーセンター案件などコンサルティング支援事業から継続してアウトソーシング業務委託に繋がる案件が増加。単価引き上げなどによるプロジェクト利益率上昇に加え、コロナ禍特需の案件受注もあり、営業利益率は前期比3.0ポイント上昇の23.2%となった。

 

【3-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

22年3月末

23年3月末

増減

 

22年3月末

23年3月末

増減

流動資産

1,515

2,672

+1,157

流動負債

1,215

1,423

+208

 現預金

292

1,340

+1,048

 仕入債務

116

162

+46

 売上債権

1,116

1,214

+98

 短期借入金

233

390

+157

固定資産

1,337

771

-566

固定負債

490

397

-93

 有形固定資産

99

89

-10

 長期借入金

415

385

-30

 無形固定資産

126

209

+83

負債合計

1,706

1,821

+115

 投資その他の資産

1,112

472

-640

純資産

1,146

1,623

+477

資産合計

2,853

3,444

+591

 利益剰余金

65

701

+636

       

負債純資産合計

2,853

3,444

+591

*単位:百万円

 

利益剰余金の増加に加え、投資有価証券の売却により、現預金が前期末比10億48百万円増加。投資有価証券売却により投資その他の資産は同6億40百万円減少したが、総資産は同5億91百万円増の34億44百万円となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

22/3期

23/3期

増減

営業CF

+274

+443

+169

投資CF

-64

+467

+531

フリーCF

+210

+910

+700

財務CF

-365

+137

+502

現金同等物残高

292

1,340

+1,048

*単位:百万円

 

税金等調整前当期純利益の拡大などで営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。
短期借入金が純減から純増に転じたこと、長期借入金の返済による支出が減少したことから、財務CFはプラスに転じた。
その結果、現金同等物は前期比10億48百万円増となり、期末残高は13億40百万円となった。

 

4.2023年3月期業績予想

【4-1 業績予想】

 

23/3期

構成比

24/3期(予)

構成比

前期比

売上高

6,798

100.0%

7,150

100.0%

+5.2%

営業利益

576

8.5%

610

8.5%

+5.8%

経常利益

497

7.3%

610

8.5%

+22.6%

当期純利益

635

9.4%

439

6.1%

-31.0%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

増収増益を予想、中期計画達成に向け、前倒しでの進捗に取り組む
売上高は前期比5.2%増の71億円50百万円、営業利益は同5.8%増の6億10百万円の予想。
引き続き人材育成には積極的に投資をしていくため、全社費用は同25.2%増の11億10百万円となる計画だが、IT&コンサルティング事業が増収効果によってセグメント利益率が前期実績20.2%から25.3%に上昇することで、全体利益率を維持する考え。
修正後の3ヵ年中期計画に対し、現時点では61百万円未達の状況。これに関しては、今後連携プレーヤーとの提携再加速、人材拡充の早期化等、現行計画をさらに前倒しして実現することで達成に持っていく考え。

 

 

23/3期

構成比

24/3期(予)

構成比

前期比

 IT&コンサルティング事業

3,931

57.8%

4,150

58.0%

+5.5%

 アウトソーシング事業

2,867

42.2%

3,000

42.0%

+4.6%

売上高合計

6,798

100.0%

7,150

100.0%

+5.2%

 IT&コンサルティング事業

796

20.2%

1,050

25.3%

+31.9%

 アウトソーシング事業

666

23.3%

670

22.3%

+0.5%

 調整

-886

-1,110

セグメント利益合計

576

8.5%

610

8.5%

+5.8%

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

5.トピックス

同社は通期決算発表後の5月末に、RevOps実態調査(国内)及びカスタマーサクセス実態調査の結果を公表した。ここでは、双方の調査結果サマリーをお伝えする。

 

<RevOps実態調査(国内)2023年版第一弾「認知&取り組み状況編」結果>
売上規模 3,000 億以上の企業では 4 社に 1 社がマーケティング、セールス、カスタマーサクセスの部門連携による一体的な取り組みを行っていると回答

 

「Rev」はレベニュー(収益)、「Ops」はオペレーションのことで、RevOps(レブオプス=レベニューオペレーション、以下「RevOps」)とは、「企業が稼ぐ力」を最大化するための仕組みをつくり、それを運用することを意味する。コロナの影響で企業の収益が下がったことにより、米国を中心に急速に広まっている概念である。RevOps 実態調査とは、全国の 20 歳以上の「経営者・役員」、「会社勤務(正社員・管理職)」、「会社勤務(正社員・一般社員)」および、「勤務先の従業員規模 500 人以上」に該当する 9,798 人を対象に、RevOps の認知度や部門横断の取り組み状況や部門横断の取り組みに関連する内容を聴取し分析した実態調査となる。

 

調査結果によると、RevOpsの認知度は全体で1割程度に留まっており、国内における認知度はまだまだ低い状況。一方で、役職別認知度では、本部長・事業部長、会長・社長・経営者・CEO、取締役・役員、所属部署別認知度では、人事、経営企画、情報システムが上位を占めており、部門横断で日常業務に従事している方々の認知度は、国内でも一定程度浸透している状況だと見受けられる。
マーケティング、営業、カスタマーサクセスにおける部門横断の取り組み状況については、部門横断の取り組みを行なっている国内企業は全体として17.5%、特に売上規模が大きくなる程高くなる傾向が見られた。従業員規模1万人以上、売上規模1千億円以上では2割を超えている。
企業の資本構成別においては、国内資本のみよりも外国資本ありの方が部門横断的な取り組みを行なっている企業割合が高い傾向(28%)にある。RevOpsがある程度浸透しているグローバル側の意向に影響されていることが要因として考えられる。

 

<カスタマーサクセス実態調査2023年版第二弾結果公開>
「カスタマーサクセス効果」創出には体制整備と社内理解必須 非サブスク企業においても一定の取り組み効果あり

 

(第一弾調査結果ハイライト)
対象:全国の 20 歳から 65 歳の有職者 29,237 人
■「カスタマーサクセスとは何かをよく知っている人(=認知度)」は全体の 2.2%で、昨年より減少
■「カスタマーサクセス」という言葉を聞いた事すらないという人は全体の 82.5%
■「カスタマーサクセスに取り組んでいる部署/担当者がある/いる」割合は昨年からの微増で 50.3%
■従業員規模別では 10 人未満規模の企業では 3.6 ポイント、100 人~499 人規模の企業においては 4.3 ポイントと、取り組んでいる企業が大きく増加
■「カスタマーサクセス」が何かを少しでも理解していると答えた 4,604 人に聞いたところ、サブスクリプション型商材を扱っている系企業での取り組み率は 76.6%、取り扱いがない企業でも 40.0%の企業がカスタマーサクセスに取り組んでいると回答

 

 

(第二弾調査結果概要)
対象:第一弾の調査対象である29,237 人の中で、カスタマーサクセスを「自身が担当している/社内に取り組んでいる部署、または担当者がおり、自身もかかわっている」と答えた 500 人
■カスタマーサクセス取り組みの効果としては、昨年より減少しているものの、半数以上の 55.2%の人が「効果を感じている」と 回答。「効果を感じていない」人は昨年とほぼ同様の 1 割強。
■カスタマ―サクセス取り組み期間別で見てみると、取り組み期間 1 年未満で「効果を感じている」人の割合が昨年より微増しているものの、それ以外のセグメントでは軒並み昨年を下回る結果となった。「効果を感じていない」わけではないものの、「ど ちらとも言えない」と感じている人の割合が増えており、取り組みを長く続けていくにつれて何かしらの課題や悩みが出てきている可能性がある。
■カスタマ―サクセス担当者人数別で見てみると、カスタマーサクセス担当者が 16 人以上いると答えたところで最も割合が高く、72.2%の人が効果を感じていると回答。担当者が 1~2 人と少ないところでは、約半数の人が効果を感じている反面、どちらとも言えないと回答している人が約 4 割と、人数が少ないがゆえの課題が垣間見える結果となった。
■「カスタマーサクセスの効果を感じている」 人に対して、最初は課題に感じでいたが、現在は解決済みだという課題について聞いてみると、4 割近くの人が「何から手を付けたらいいのか分からない」、約 3 割の人が「人材・組織体制が不十分」とも答えており、多くの人が手探りで取り組み始めたことが推察される。また、「経営層/上層部の理解が得られない(27.2%)」、「社内現場の理解が得られない(26.1%))」、「進め方や相談する人がいない(25.7%)」という課題が続いており、効果創出のためには社内の理解と組織体制が非常に重要であることがわかる。
■カスタマーサクセスの「効果を感じていない」、「どちらとも言えない」と回答した人は、半数近くの人が「人材・組織体制」についての課題に取り組んでいることがわかる。以降「ツールがない」、「進め方や相談する人がいない」、「やっていることが正解なのかわからない」という課題を挙げている人がいずれも 3 割強という結果になった。
■カスタマーサクセスの取り組みは小さく立ち上げて大きく広げていくというケースが多いとされている。社内での協力者が少なかったり、進んでいる方向が正しいのかがわからず悩んだり、といったことが多かれ少なかれ出てくることが想定され、そのような場合には外部の専門家にアドバイスを求めることも選択肢のひとつとして検討するとよいだろう。同社ではそのような悩みを持つ企業に対し、カスタマーサクセス導入や運用をサポートする様々なサービスを提供している。
▶ワークショップ(経営者向け/社員向け等、カスタマーサクセスについての理解促進をサポート)
▶コンサルティングサービス(ショット/スポット型でのレビューや戦略立案等)
▶テクノロジーサービス(ツールやデータプラットフォームの導入/構築や利活用支援)
▶オペレーションサービス(カスタマーサクセスプロセス伴走支援)

 

6.今後の注目点

バーチャレクスホールディングスが展開するビジネスは、コンタクトセンターが原点となっており、「顧客の成功こそが自社成長の鍵である」というカスタマーサクセスの考え方にもとづき、”Succession with You” ― 一度きりの成功の「Success」ではなく、連続する成功という意味の「Succession」を、「for You」ではなく、伴走するという意味で「with You」していくことを企業として掲げている。現在では顧客企業のCRM領域の DX・デジタルシフトを、コンサルティング、テクノロジー、オペレーションのコアスキルを融合させ、ワンストップ伴走型でサービスを展開している。昨今、クライアント(潜在的クライアントも含む)は顧客ニーズに対応して、顧客毎に最適なタイミング、チャネル、コンテンツを選択してアプローチしうるCRMの再構築を行い、顧客満足度と顧客価値の最大化を図ることが必要不可欠になっている。そのため、同社グループが持つCRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービスへのニーズは今後高まっていくことが予想される。24/3期を最終年度とする中期計画にはまだ未達要素が残されてはいるものの、外的要因の追い風に加え、内的要素の成長加速によって、達成確度は高まっていくことが想定される。今後の進捗に注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 5名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名)
監査役 3名、うち社外監査役2名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2022年6月29日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主の利益を最大化するためには、「当社の企業としての成長」「より良い社会作りへの貢献」「クライアント企業への結果での貢献」が不可欠と考え、以下の企業理念を掲げております。

 

Success for the people, organization and society.

 

・私たちは生活者・消費者(顧客)、クライアント企業やパートナー企業の皆様、当社の株主やグループ従業員とその家族など、共に歩むすべての人たちの成功に向かいます。
・私たちはクライアント企業・団体、パートナー企業、グループ企業の成功に向かいます。
・私たちは社会・環境の持続的な成功に向かいます。

 

私たちはこのような想いのもと、議論し、判断し、行動します。

 

当社グループは、これらの企業理念を達成するために、コーポレート・ガバナンスの強化充実を重要な経営課題と認識しており、経営の健全性、機動性及び透明性を確保する体制の構築に取り組んでまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を、全て実施しております。

株式会社インベストメントブリッジ
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