テー・オー・ダブリュー(4767) 減収減益も案件の大型化進行

2023/04/27

 

 

 

村津憲一 代表取締役社長

株式会社 テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

サービス業

代表取締役社長

村津 憲一

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル3F

決算月

6月

HP

https://www.tow.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

321円

40,272,344株

12,927百万円

5.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

14.40円

4.5%

7.01円

45.8倍

231.21円

1.3倍

*株価は2/17終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは22/6期実績、EPS、DPSは23/6期予想。数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年6月(実)

16,278

1,995

2,017

1,345

29.94

14.50

2020年6月(実)

19,325

2,316

2,332

1,584

35.26

16.75

2021年6月(実)

12,209

655

698

455

10.14

12.90

2022年6月(実)

11,134

883

924

598

13.22

14.00

2023年6月(予)

12,000

1,076

1,100

289

7.01

14.40

*単位:百万円、円。予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。

 

 

テー・オー・ダブリューの2023年6月期第2四半期決算と2023年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.23/6期アクションプラン
3.2023年6月期第2四半期決算
4.2023年6月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23/6期2Qは前年同期比6.3%減収、14.3%経常減益。広告市場全般としては力強さを欠いた中、伸長するデジタル広告市場を背景に、同社の主戦場である企業のプロモーション業務は回復傾向。一方で、新型コロナ第7波の影響および東京2020オリンピック・パラリンピックの反動影響等もあり減収となった。利益面では、売上総利益率の低下を主因に経常利益率が低下した。退任役員に対する功労金及び特別功労金6億47百万円を特別損失に計上し、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比96.7%減となった。会社予想との比較では、売上高、各段階利益とも期初のレンジ予想の上限を上回った。配当は、期初の予想通り1株につき7.20円を実施する。
  • 通期予想は7.8%増収、19.0%経常増益。期初の時点ではレンジによる連結業績予想だったが、今回はほぼレンジ予想の上限に修正した。引き続き事業を取り巻く環境に不透明な状況にあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和された。このため、現時点で入手可能な情報や予測等に基づき修正した。経済活動の回復傾向、生活者行動の変化、および伸長するデジタル広告市場を背景に、リアルイベント領域、オンライン領域双方の伸長を目指す。利益面では、専門人材の提供価値のマネタイズおよび発注適正化による収益確保を引き続き推進する。販管費においては、費用コントロールによる抑制をしながらも、採用活動強化及び、事業成長に向けたソリューション開発への投資も行う。配当予想も修正なく、期末配当金は7.20円、年間で14.40円とする予定。
  • 23/6期2Qは減収減益ながら売上高・各段階利益とも期初のレンジ予想の上限を上回り、順調なスタートを切ったといえるだろう。官公庁・団体における東京2020オリンピック・パラリンピック関連の大型案件の反動が主因で減収となったが、官公庁・団体を除くと2.6%増収。また、2,000万円~1億円の案件が大幅に伸びており、官公庁・団体を除く案件の大型化が進んでいるようだ。半導体供給不足を主因に同社の主力業種である自動車の落ち込みが大きいが、自動車メーカーは挽回生産を進めており、来期以降には受注にも寄与しそうである。国内では移動制限が緩和されイベントは活性化、入国制限も緩和されて外国人観光客も急増している。今後もさらに事業環境は追い風となるだろう。 

1.会社概要

広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1、上場市場は東証プライム。記者発表会、PRイベント、展示会、文化・スポーツイベントの、企画・制作・運営を強みに事業規模を拡大。リアルで培ったプロデュース力に加え、2000年代初期からデジタル分野に取り組み、オフライン、オンラインを問わず、「体験価値※」をコアにしたプランニング力とプロデュース力を駆使し、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化につなげることに成功してきた。
顧客の成長に貢献する『TOW体験デザインモデル』の開発に取り組み、提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『体験価値をコアに、成果をデザインするプロダクション』を目指している。
グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ(以下、T2C)の連結子会社1社(22年12月末現在)。

 

尚、「インタラクティブ・プロモーション(IP)」とは、デジタル技術とアイディアで感動体験を創りだし、その体験を情報拡散・共感させるプロモーションである。

 

 

【事業内容】

イベント及びプロモーションの企画から実施まで
イベント及びプロモーションは、主催者や広告主が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。
同社は、主催者や広告主よりその目的についての説明を受け、分析や調査を経て戦略や企画の作成に入り、その後、幾度かのミーティングを繰り返すことにより、当初の企画から基本計画、実施計画、詳細計画へと段階的に移行し、最終的には手法に応じた成果物となり、各種資料に従って準備を進め、イベント及びプロモーションを実施する。

 

同社の業務範囲
上述の企画から実施までを受注し、「分析・調査」・「戦略立案・コンセプト策定」・「企画提案」・「実施制作」・「効果検証」並びにそれに付帯する業務を行うが、それぞれの課題に応じて多くの手法がある。
リアルイベント、オンラインイベント、動画制作、SNSキャンペーン、デジタル広告運用、デジタルメディア運用、SNSアカウント運用、デジタルサービスUX設計、PR、SP等、それぞれの領域の専門業者を外注先として業務ごとに発注し、プロモーション全体をトータルにプロデュース、ディレクションすることで主催者や広告主の意図することを生活者に伝えることが同社の業務である。
なお、株式会社ティー・ツー・クリエイティブは、このうちイベントの「制作」・「運営」・「演出」を主として行っている。

 

パーパス
同社の普遍的な強みである「体験価値」を軸にしながら顧客・生活者・社会に貢献したい、という想いを込めてパーパスを制定。
 

(同社資料より)

 

持続的成長に向けた取り組み

 

環境配慮への取組み

持続可能な社会の実現への貢献に向けて環境に配慮したイベント実施の指針「サステなイベントガイドライン」を策定

 

イベント制作の過程を点検し、環境負荷を低減できるアクションプランを設定し、
イベントの目的や主催者の要望に応じて、最適な対策を提供していく。

 

(同社資料より)

 

国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた取り組みの一環として当ガイドラインの策定を行っている。
詳細はコチラ
https://tow.co.jp/sustainaevents/

 

人的資本の取組み
成長ドライバーである社員の力をより引き出すために、働きがい・働きやすさ、多様な活躍ができる環境づくりを様々な形で進めてきた。

 

(同社資料より)

これからも、更に成長を重ねていくために、取り組みを強化していく。

 

 

2.23/6期アクションプラン

期初の方針

生活者の意識や生活行動の変化・活発化も見込まれる中で、

「体験価値を軸とした顧客体験設計」により、

生活者に感動や共感やワクワクを届け、企業の成果に貢献する。

 

行動意識の変化・人流回復の機を捉え

リアル領域の復活・拡大を目指す

×

今後も成長するデジタル市場の流れを捉え

更なるオンライン領域拡張を推進

 

(同社資料より)

 

中長期的な成長を見据え、3カテゴリーを強化していく

 

方針実行のキーワード=「拡張」と「事業貢献」

拡張

顧客体験設計の統合プロデュースによる対応領域の拡張行動意識の変化・人流回復の機を捉えた、多様なかたちでのリアルイベントの実施重点領域「SNS」「動画」「デジタル広告」による領域拡張

事業貢献

成長ビジョン「体験価値をコアに、成果をデザインする」による事業貢献点✕線の体験デザインを通じて、クライアントの顧客獲得・顧客育成に貢献

 

 

2023年6月期 第2四半期 レビュー

 

街頭プロモーションや飲食を伴うイベントが回復し、リアル回帰を牽引

人流回復や生活行動の変化に伴い、リアル回帰を象徴する「屋外」・「飲食」に関するイベントが大幅に回復。
社会及び生活者の活性化にも寄与。

 

(同社資料より)

 

 

SNSキャンペーンや動画を軸にオンライン領域を引き続き推進

顧客育成につながるSNSアカウント運用や顧客獲得を目的としたデジタル広告運用、コミュニケーションのコアとなる動画など、オンライン領域における新たな領域拡大が進んだ。

 

(同社資料より)

 

「新しい時代の体験を創る」独自ソリューションも貢献

イベント企画・制作の知見と、新たな発想を掛け合わせた独自ソリューションを活用した営業・提案活動が活発化、点✕線の体験デザインを実現、クライアントの顧客獲得、顧客育成、顧客活性化に貢献した。

 

(同社資料より)

 

3.2023年6月期第2四半期決算

(1)連結業績

22/6期 2Q

構成比

23/6期 2Q

構成比

前年同期比

会社予想

予想比

売上高

6,820

100.0%

6,392

100.0%

-6.3%

6,084

+5.1%

売上総利益

1,208

17.7%

1,075

16.8%

-11.1%

販管費

439

6.4%

411

6.4%

-6.5%

営業利益

769

11.3%

663

10.4%

-13.7%

538

+23.4%

経常利益

790

11.6%

677

10.6%

-14.3%

549

+23.4%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

523

7.7%

17

0.3%

-96.7%

-266

*単位:百万円。数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。会社予想はレンジ予想の平均値。

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成
*費用項目の▲は、費用の増加を表す

 

前年同期比6.3%の減収、同14.3%の経常減益
売上高は前年同期比6.3%減の63億92百万円。資源価格の高騰、世界的なインフレや金融引き締めによる景気減速の影響もあり、広告市場全般の動きとしては力強さを欠いた。22年7月から8月にかけての新型コロナウイルス第7波の収束以降は、行動意識の変化や人流回復により、リアルイベント回帰への動きが見られた。伸長するデジタル広告市場を背景に、オンラインプロモーション領域は堅調で、同社の主戦場である企業のプロモーション業務は回復の傾向にある。一方で、第7波の影響および東京2020オリンピック・パラリンピックの反動影響等もあり減収となった。
カテゴリーごとの売上高は以下の通り。

 

 

22/6期 2Q

23/6期 2Q

売上高

構成比

売上高

構成比

前年同期比

リアルイベント

2,441

35.8%

3,454

54.0%

+41.5%

オンラインイベント

2,319

34.0%

714

11.2%

-69.2%

オンラインプロモーション

1,972

28.9%

2,060

32.2%

+4.5%

その他

87

1.3%

163

2.6%

+86.2%

合計

6,820

100.0%

6,392

100.0%

-6.3%

*単位:百万円。

 

①リアルイベント・・・41.5%増の34億54百万円。新型コロナウイルス感染症第7波の影響はあったものの、人流回復や生活行動の変化に伴い、街頭プロモーションや飲食を伴うイベントの回復もあり大幅増収となった。
②オンラインイベント・・・69.2%減の7億14百万円。オンラインイベントからリアルイベントへの転換に加え、前年同期に実施した大型イベントが減少したことにより減収となった。
③オンラインプロモーション・・・4.5%増の20億60百万円。SNS・動画活用プロモーション・デジタル広告等の各種オンラインプロモーション施策の引き合いが堅調に増加した。
④その他・・・86.2%増の1億63百万円。官公庁・団体からの案件を受注した。

 

営業利益は前年同期比13.7%減の6億63百万円。利益面では、専門性の高い人材の提供価値のマネタイズ、発注の適正化による収益の確保、販管費の制御等の費用コントロールを引き続き推進した。販管費は減少したものの、売上総利益率が前年同期17.7%から16.8%に低下したことにより営業利益率は前年同期11.3%から10.4%へ低下した。営業外収益では受取配当金の減少などがあり、経常利益は前年同期比14.3%減の6億77百万円。退任役員に対する功労金及び特別功労金6億47百万円を特別損失に計上したことにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比96.7%減の17百万円となった。
会社予想との比較では、売上高、各段階利益とも期初のレンジ予想の上限(売上高63億44百万円、営業利益5億85百万円、経常利益5億97百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失2億23百万円)を上回った。

 

配当は、期初の予想通り1株につき7.20円を実施する。

 

業種別売上高
プラットフォーマー等の新たな主力業種の開発で、次なる成長領域の拡張へ

 

 

22/6期 2Q

構成比

23/6期 2Q

構成比

前年同期比

情報・通信

1,416

20.8%

1,859

29.1%

+31.3%

自動車

1,282

18.9%

690

10.8%

-46.2%

食品・飲料・嗜好品

592

8.7%

851

13.4%

+43.7%

化粧品・トイレタリー・日用品

536

7.9%

591

9.3%

+10.3%

官公庁・団体

1,062

15.6%

491

7.7%

-53.7%

金融

201

3.0%

300

4.7%

+49.1%

交通・レジャー

575

8.4%

470

7.4%

-18.3%

精密機器その他製造

670

9.9%

195

3.1%

-70.9%

流通・小売

262

3.9%

434

6.8%

+65.5%

その他

197

2.9%

493

7.7%

+149.7%

合計

6,798

100.0%

6,379

100.0%

-6.2%

上記のうち、ゲーム案件

668

9.9%

762

11.9%

+14.1%

 

*企画売上総利益を除く
*単位:百万円

 

●情報・通信は、デジタルプラットフォーマーの伸長もあり、拡大
自動車は、世界的な半導体供給不足の影響もあり、減少
●食品・飲料は、オンラインプロモーションに加え、リアルイベントの回復もあり増加
●化粧品・トイレタリー・日用品は堅調
●官公庁・団体は東京2020オリンピック・パラリンピック案件の影響もあり、減少
ゲーム関連は引き続き堅調

 

価格帯別案件数
中規模案件を中心に案件本数が増加

 

22/6期 2Q

23/6期 2Q

前年同期比

金額

件数

金額

件数

金額差

案件数増減率

~1,000万円

1,307

482件

1,413

553件

+105

+14.7%

1,000万円~2,000万円

1,121

79件

1,154

83件

+32

+5.1%

2,000万円~5,000万円

1,222

39件

1,850

60件

+627

+53.8%

5,000万円~1億円

687

10件

1,399

20件

+711

+100.0%

1億円~

2,458

13件

562

4件

-1,896

-69.2%

合計

6,798

623件

6,379

720件

-419

+15.6%

案件単価

10.9

8.8

-2.0

*企画売上高を除く。金額の単位は百万円

 

●案件数が増加:前年比+15.6%
●中規模案件本数が伸長し売上を後押し
2~5,000万円の案件数:前年比+53.8%
5,000万~1億円の案件数:前年比+100%
●大型案件本数及び案件単価については東京2020オリンピック・パラリンピックの反動影響等で減少

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

22年6月

22年12月

22年6月

22年12月

現預金

8,590

5,786

仕入債務

1,087

1,872

売上債権

2,132

3,379

短期借入金

840

840

未成業務支出金

131

77

未払法人税等

267

84

未収入金

528

757

退職給付負債・役員退職慰労金

454

290

前払費用

97

148

負債

3,219

3,529

流動資産

11,537

10,186

純資産

10,544

8,530

投資その他

2,005

1,670

負債・純資産合計

13,764

12,059

固定資産

2,226

1,872

有利子負債合計

840

840

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23/6期2Q末の総資産は、自己株式の取得を行ったことから前期末比(以下同)17億4百万円減少し、120億59百万円となった。
流動資産は、13億50百万円減の101億86百万円。これは主に、売上債権が12億46百万円、未収入金が2億29百万円増加したが、現預金が28億4百万円減少したこと等によるもの。
固定資産は、3億54百万円減の18億72百万円。固定資産のうち有形固定資産は、15百万円減の1億76百万円、無形固定資産は3百万円減の25百万円。いずれも主に減価償却等によるもの。投資その他の資産は、3億34百万円減の16億70百万円。これは主に、保険積立金が1億94百万円、投資有価証券が1億26百万円減少したこと等によるもの。
流動負債は、5億75百万円増の31億74百万円。これは主に、未払法人税等が1億82百万円減少したが、仕入債務が7億85百万円増加したこと等によるもの。
固定負債は、2億65百万円減の3億54百万円。これは主に、役員退職慰労引当金が1億73百万円、繰延税金負債が1億1百万円減少したこと等によるもの。
純資産は、20億14百万円減の85億30百万円。これは主に、自己株式の取得等により16億26百万円、利益剰余金が3億円、その他有価証券評価差額金が87百万円減少したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比5.8ポイント減の70.6%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

22/6期 2Q

23/6期 2Q

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

211

-998

-1,209

投資キャッシュ・フロー

-39

206

+246

フリー・キャッシュ・フロー

171

-791

-963

財務キャッシュ・フロー

-244

-2,012

-1,767

現金及び現金同等物期末残高

7,507

5,786

-1,721

-22.9%

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23/6期2Q末の現金及び現金同等物の残高は前期末比17億21万円減少し、57億86百万円となった。
営業CFは9億98百万円の支出(前年同期は2億11百万円の収入)となった。これは主に、特別功労金の支払額が6億47百万円、法人税等の支払額が3億22百万円あったこと等によるもの。
投資CFは2億6百万円の収入(前年同期は39百万円の支出)となった。これは主に、保険積立金の解約による収入が2億19百万円あったこと等によるもの。
財務CFは20億12百万円の支出(前年同期は2億44百万円の支出)となった。これは主に、自己株式の取得による支出が16億94百万円、配当金の支払額が3億18百万円あったこと等によるもの。

 

4.2023年6月期業績予想

連結業績

22/6期 実績

構成比

23/6期 予想

構成比

前期比

期初予想

売上高

11,134

100.0%

12,000

100.0%

+7.8%

11,200~12,200

営業利益

883

7.9%

1,076

9.0%

+21.8%

907~1,076

経常利益

924

8.3%

1,100

9.2%

+19.0%

930~1,100

親会社株主に帰属する

当期純利益

598

5.4%

289

2.4%

-51.6%

95~254

*単位:百万円

 

23/6期予想は期初のレンジ予想上限近辺、増収・経常増益を見込む
通期予想は売上高が120億円(前期比7.8%増)、営業利益10億76百万円(同21.8%増)、経常利益11億円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億89百万円(同51.6%減)を計画する。期初の時点ではレンジによる連結業績予想をしていたが、売上高・各利益とも概ねレンジ予想の上限近辺に修正した。引き続き事業を取り巻く環境は不透明な状況にあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和された。このため、現時点で入手可能な情報や予測等に基づき修正した。経済活動の回復傾向、生活者行動の変化、および伸長するデジタル広告市場を背景に、リアルイベント領域、オンライン領域双方の伸長を目指す。利益面では、専門人材の提供価値のマネタイズおよび発注適正化による収益確保を引き続き推進する。販管費においては、費用コントロールによる抑制をしながらも、採用活動強化及び、事業成長に向けたソリューション開発への投資も行う。
配当予想も修正なし。前期に引き続き連結配当性向換算で50%を上限とするという方針を一時的に撤廃し、決算発表日の前日(22年8月8日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14.4円が最低配当金となる予定。従って、期末配当金は7.20円、年間で14.40円とする予定。

 

23/6期の受注の進捗

 

22/6期(22/2/3現在)

23/6期(23/2/3現在)

前期差

官公庁・団体以外の案件 受注残高(A・B・松の合計)

8,436

8,942

+506

竹・梅の合計

891

747

▲144

官公庁・団体

案件

受注残高(A・B・松の合計)

1,266

915

▲351

竹・梅の合計

75

90

+15

合計 受注残高(A・B・松の合計)

9,702

9,857

+155

竹・梅の合計

966

838

▲128

*単位:百万円

 

A:規模(金額)、実施時期等が決定している案件

B:受注決定だが、金額・実施時期等に不確定要素のある案件

松:同社がほぼ受注する見込みにある案件(80%以上の確度)

竹:企画・提案案件のうち、同社が受注する確度の高い案件(50%以上の確度)

梅:企画・提案中の案件

 

 

●受注は第2四半期累計での前年同期比マイナスから転じ、受注残高、進捗率ともに前年比でプラスへ
●受注残高(直近の受注状況の進捗)は企業のプロモーションを中心に昨対プラスに転化
●受注残高合計の通期業績予想に対する進捗率は82.1%(前年同期78%)
●官公庁・団体は、前年同期の大型案件が無く、減少。なお、官公庁・団体案件に、東京2020オリンピック・パラリンピック業務 の一部が含まれる

 

第3四半期以降の方針

 

2021年2月発表の成長戦略を引き続き推進。

“クライアントの拡張” “体験デザイン領域の拡張”の『2軸の拡張』戦略に取り組む。

 

(同社資料より)

 

第3四半期以降の重点アクション

 

回復基調にある“リアルイベント”を起点に “縦”と“横”にオンラインを拡張し、効果・成果の最大化を目指す

 

(同社資料より)

 

強みである「統合プロモーションプランニング」を武器に、受注領域を拡大

5月8日新型コロナ「5類」移行による変化を早期に捉えて、統合プロモーションを加速。
リアルを皮切りに、オンラインなど多領域を受注し、トップライン伸張を目指す。

 

OOH・・・Out Of Homeの略。中吊りや駅構内などの交通広告、看板や大型ビジョンなどの屋外広告など、家庭以外の場所で展開するメディアの総称。

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

23/6期2Qは減収減益ながら売上高・各段階利益とも期初のレンジ予想の上限を上回り、順調なスタートを切ったといえるだろう。官公庁・団体における東京2020オリンピック・パラリンピック関連の大型案件の反動が主因で減収となったが、官公庁・団体を除くと2.6%増収。また、2,000万円~1億円の案件が大幅に伸びており、官公庁・団体を除く案件の大型化が進んでいるようだ。半導体供給不足を主因に同社の主力業種である自動車の落ち込みが大きいが、自動車メーカーは挽回生産を進めており、来期以降には受注にも寄与しそうである。国内では移動制限が緩和されイベントは活性化、入国制限も緩和されて外国人観光客も急増している。今後もさらに事業環境は追い風となるだろう。引き続き、コロナの影響がないレベルの収益19.6期(売上高162億78百万円、経常利益20億17百万円、EPS29.94円)を取り戻すまでにもそれほど時間を要しないとの考え。尚、昨年9月には発行済株式数の12.1%、550万株にのぼる大規模な自己株式の取得を行った。配当だけでなく、株主還元はより強化されている。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外4名(独立社外取締役4名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2022年9月30日
基本的な考え方

 

同社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えている。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現していく。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<実施しない主な原則とその理由>

 

【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】  同社は、多様性を確保するため、中途採用者等を積極的に中核人材として登用している。また、女性社員の管理職への登用に関しては、2021年6月末現在で12名、全管理職の13.6%。多様性の確保についての方針、目標、環境整備については、今後検討を進めていく。

 

【補充原則3-1-2 英語での情報開示・提供】
 同社は英語版の事業報告書を作成するとともに開示しているが、今後は、同社の株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、決算説明会資料、招集通知記載内容等についても英語での情報提供を検討していく。

 

【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み】 
【補充原則4-2-2 サステナビリティを巡る取組みに関する方針の策定】 同社のサステナビリティに関する方針、取り組みについて、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響の開示については、会社の適正規模を踏まえ業界動向に鑑み、TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づき実施できるよう、取締役会を中心として必要に応じて今後の検討を進めていく。

 

 

【補充原則4-1-2 中期経営計画に対するコミットメント】
【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
同社は、単年度の業績目標の達成を最重要課題としており、また事業環境の不連続性から中期経営計画の策定は現在凍結しているが、2021年6月期 第2四半期決算説明会において事業成長ビジョンを策定、公表している。なお、持続的な成長を実現していくためにも、中期的な視点に立った経営ビジョンの策定や戦略立案が重要であると考えており、業界環境の動向、施策の効果検証の確信がもてた段階で中期経営計画を公表する。

 

【原則4-8 独立社外取締役の有効な活用】  同社の取締役の構成は、2021年定時株主総会終了時点で、取締役10名(監査等委員である取締役3名を含む)のうち、3名の独立社外取締役を含む社外取締役4名で監督する体制となっている。独立社外取締役を含む取締役を選任するにあたっては取締役会が全体として保有する、企業経営、財務会計、法務・リスク管理、業界の知見等の知識のバランスを考慮し取締役の構成を検討していく。
【補充原則4-10-1任意の諮問委員会設置による独立社外取締役の適切な関与・助言】
 取締役等の指名・報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するために、指名・報酬等の検討に際しては、独立社外取締役との連携を深める等、より公正で、透明性の高い検討と手続きが実施できることを目指した体制整備の検討を進める。なお、任意の諮問委員会については、必要性に応じ検討していく。

 

【原則4-11 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】  同社では、取締役は、経営・リスク管理・営業・デジタル等の各分野において専門的知識と豊富な経験を有した者で構成されており、取締役会としての役割・責務を実効的に果たすための適正規模で構成していると認識している。また、同社の監査等委員は財務・会計、法務に関する豊富な経験と高い知見を有している。ジェンダーや国際性の面を含む多様性については、適正規模を考慮した上で構成されるよう努めていく。

 

 

<開示している主な原則>

 

【補充原則1-2-4 議決権の電子行使対応等】  株主における機関投資家や海外投資家の比率などの動向を踏まえ、第46期定時株主総会に向けて、電子投票制度および議決権電子行使プラットフォームの導入を進めていく。

 

【原則1-4 政策保有株式】
 同社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしている。 政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告する。

 

【原則2-3 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】 同社の取締役会は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応を重要な経営課題であると認識し、環境管理委員会をはじめとする各委員会でこれらの課題に積極的に取り組んでいる。特に環境課題については2000年から取り組みを継続しており、同社ホームページにも情報を開示している。https://tow.co.jp/iso/

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
 社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としている。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
 同社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2021年9月24日現在10名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮している。スキルマトリックスは、株主総会招集通知にも開示している。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
 同社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより同社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、同社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けており、このような考えに基づき、以下のような施策を実施する。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
 経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括する。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
 IR担当部署でもある総務チームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っている。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
 株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、同社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめる。
また、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめる。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
 株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備する。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
 株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とし、当該方針に基づき、同社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめる。

 

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ