ショーケース(3909) 日本テレホン子会社化が売上に貢献

2022/10/06

 

 

 

 

森 雅弘  会長

 

 

永田 豊志  社長

株式会社ショーケース(3909)

 

 

 

企業情報

市場 東証スタンダード市場
業種 情報・通信
代表取締役会長 森 雅弘
代表取締役社長 永田 豊志
所在地 東京都港区六本木1丁目9−9 六本木ファーストビル14F
決算月 12月末日
HP https://www.showcase-tv.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

377円

8,569,100株

3,230百万円

2.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00

-49.49円

254.51円

1.5倍

*株価9/26終値。発行済株式数、DPSは22年12月期第2四半期決算短信より。EPSは22年9月13日公表の業績予想修正リリースより。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年12月(実)

2,002

352

323

16

2.48

0.00

2019年12月(実)

1,508

92

-14

-183

-27.02

5.50

2020年12月(実)

1,530

45

58

25

3.75

6.00

2021年12月(実)

1,594

12

77

59

6.98

6.50

2022年12月(予)

4,624

-510

-520

-424

-49.49

0.00

*単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

 

株式会社ショーケースの2022年12月期第2四半期決算概要等をご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年12月期第2四半期決算概要
3.2022年12月期業績予想
4.今後の成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • コアバリューを「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」とし、徹底したマーケット・インの発想でクラウド型SaaSシステムの開発・提供を中心にビジネスを展開。2019年12月期を「第二創業」と位置付け、新たなビジネスコンセプトとして「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」を掲げ、企業のDX推進を支援する。「優良な顧客基盤」「豊富なSaaS 開発技術と運用ノウハウ」「高い顧客満足度」などが強み。 
  • 22年12月期第2四半期の売上高は前年同期比198.2%増の21億78百万円。22年1月に子会社化した日本テレホン株式会社(東証スタンダード:9425)が売上高を押し上げた。SaaS事業は微増収、広告・メディア事業、クラウドインテグレーション事業、投資関連事業は減収。営業利益は1億58百万円の損失(前年同期は67百万円の損失)。売上総利益も増加したが、日本テレホン株式会社子会社化によるコスト増加に加え、開発人件費・新メディア開発・広告宣伝及びアライアンス関連費用の増加を吸収できなかった。日本テレホンの損益計算書は22年の第2四半期より組み込まれている。 
  • 22年2月時点では日本テレホンとの資本業務提携が与える影響を含む合理的な予想が困難として非開示としていた今期予想を2022年3月に公表したが、2022年9月に、業績予想を下方修正した。 
  • 売上高は前期比190.0%増も、前回予想を17億48百万円下回る46億24百万円、営業損失は、損失幅が前回予想よりも94百万円拡大し、5億10百万円と予想。子会社化した日本テレホン社のリユースモバイル事業において、端末の調達量が減少するほか、SaaS事業、広告・メディア事業においても想定を下回る見込み。配当は無配の予定。2023年12月期の復配を目指す。リユースモバイル事業は調達方法の見直しを図り、復調傾向にある。日本テレホンではオフィス移転による経費抑制に努める。年末にかけ、ショーケースと日本テレホンの共同事業のサービス開始を複数予定している。 
  • 「今後の成長戦略」に記載の通り、同社では「下降トレンドであったNaviCastシリーズのトレンド転換を実現したほか、成長エンジンであるProTech ID Checker(eKYC)サービスの創出と投資による成長を実現した」と考えており、「今後(2022-2024年)は、対象マーケットを拡大するおもてなしSuiteシリーズ創出による拡大戦略を推進し、2024年には、 ProTech ID Checker(eKYC)とおもてなしSuiteシリーズの新サービスで、 SaaS事業セグメント内売上高の約5割を目指す」としている。 
  • 新たな中期経営計画目標2024年12月期「売上100億円以上、過去最高営業利益更新」を実現するためにも「NaviCastシリーズのトレンド転換」「ProTech ID Checker(eKYC)とおもてなしSuiteシリーズの拡大」は大きなカギとなろう。第3四半期以降の推移を注視していきたい。また日本テレホン株式会社の子会社化については、シナジーの創出と共に、PMIの進捗にも注目していきたい。下方修正により株価は上場来安値近辺まで下落している。市場からの信頼回復に向け、まずは下方修正後の予想に対し、どれだけ上積みできるかも注目したい。 

     

1.会社概要

コアバリューを「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」とし、徹底したマーケット・インの発想でクラウド型SaaSシステムの開発・提供を中心にビジネスを展開。2019年12月期を「第二創業」と位置付け、新たなビジネスコンセプトとして「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」を掲げ、企業のDX支援推進を支援する。「優良な顧客基盤」「豊富なSaaS 開発技術と運用ノウハウ」「高い顧客満足度」などが強み。

 

【1-1 沿革】

1996年、販売促進・広報活動の支援を目的とする有限会社フューチャーワークス設立。1998年に株式会社へ組織変更後、2005年には、事業拡大及び経営資源の効率化を図るため株式会社フューチャーワークスを存続会社とし、インターネット、Web動画等を活用したプロモーション事業を手掛ける株式会社スマートイメージを吸収合併し、商号を「株式会社ショーケース・ティービー」に変更。それまでのマーケティングのための販促物の制作受託から、自ら製品・サービスを生み出すスタイルへとビジネス・モデルを変革した。
そうした中、クライアントの意見を参考に開発した現在の主力サービスである入力フォームの最適化サービス「フォームアシスト」が高く評価される。当初は、ECサイト、不動産会社などの導入も多かったが、同社の高水準の保守運用体制を魅力と考える金融機関の顧客数が増加し現在の安定した顧客基盤が形成されていく。これに伴い業績も順調に拡大し、2015年に東証マザーズに上場、2016年には東証1部へ市場変更した。
しかし、その後、2015年から採用したM&Aによる多角化路線が想定していたシナジーを生まず、2019年12月期第1四半期には大幅な減収で減損損失を計上。そのような中で、同期を「第二創業」と位置付け、創業以来副社長として事業を牽引してきた永田豊志氏が2019年1月、新代表取締役社長に就任した。同年4月には「株式会社ショーケース」へ商号変更するとともに組織改革を実行し、新経営執行体制による更なる飛躍を目指している。
2022年4月、市場再編に伴い東証スタンダード市場に移行。
日本テレホン株式会社が連結子会社となったため、グループ経営体制の強化を目指し、2022年4月より代表取締役会長森雅弘氏、代表取締役社長永田豊志氏の2名代表体制とした。

 

 

【1-2 企業理念など】

コアバリューは「おもてなしテクノロジーで人を幸せに」
創業以来、人(=ユーザー)を起点とした課題解決および価値創造を目指し、導入が手軽で使いやすい、おもてなしの心を持つテクノロジーを手段として「人の幸せ」を中心としたビジネス・サービスを展開している。

 

また、「第二創業」にあたり、2020年に新たなビジネスコンセプトとして「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」を掲げ、同社の事業領域を投資家に向けて明確に発信している。

 

【1-3 市場環境】

(1)急成長が予想されるDX市場と「2025年の崖」
経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」(デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会)によれば、

 

「あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている」一方で、下記の問題も指摘している。

 

既存のITシステムがビジネス・プロセスに密結合していることが多いため、既存システムの問題を解消しようとすると、ビジネス・プロセスそのものの刷新が必要となり、これに対する現場サイドの抵抗が大きい。
既存のITシステムを巡る問題を解消しない限りは、新規ビジネスを生み出し、かつ俊敏にビジネス・モデルを変革できない、すなわち、DXを本格的に展開することは困難である。
既存システムの運用、保守に多くの資金や人材が割かれ、新たなデジタル技術を活用するIT投資にリソースを振り向けることができない。
これを放置した場合、今後、ますます運用・保守コストが高騰する、いわゆる技術的負債の増大とともに、既存システムを運用・保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスクが高まることも懸念される。

 

 

中でも、「複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025年までに予想されるIT人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある」と指摘しており、これを「既存ITシステムの崖(2025年の崖)」と呼んでいる。

 

多くの企業が生き残りをかけて「DX」に取り組むことでDX市場は急成長が予想されるが、「2025年の崖」を乗り越えるサービス、ソリューションを提供できるか否かが、サービスベンダーの成長の分水嶺となるだろう。

 

(同社資料より)

 

(2)急成長が予想される「eKYC」
新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣籠り需要の拡大もあり、本格的なオンライン手続き/非対面取引の時代を迎え、オンラインによる非対面での本人確認手段である、「eKYC」の普及が進んでいる。
eKYC とは、 electronic Know Your Customer の略で、「オンライン上で行う本人確認」のこと。

 

麻薬組織やテロリストといった犯罪組織への資金供給を断つための国際的なマネーローンダリング(資金洗浄)対策のため、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯収法)に従って金融機関などは口座開設時、取引時に顧客が本人と一致しているか、取引目的等について確認する義務がある。
不正送金事件による被害額は2019年度で約25億円にも上り、金融機関には一段と厳しい確認義務が要請されている。

 

しかし一方で、従来の郵便を使った非対面における本人確認手続きは以下のような課題が指摘されている。
*金融機関毎に郵送による書類提出が必要なため、年間170万人が途中で口座開設を諦めている。
*金融機関における本人確認業務の煩雑さから、そのコストは年間約2兆円。
*確認ができた顧客に本人限定郵便を郵送する国内金融機関の負担額は年間約40億円。
*口座が開設できても取引時には、金融機関毎に個別のIDでログインしなければならない。

 

利用者にとっては利便性が低く、金融機関にとってもコストが巨額であることに加え機会損失も大きいため、より迅速かつ効率的な本人確認作業が必要となり、普及が進んでいるのが「eKYC」である。

 

2018年11月に改正された犯収法では、利用者は本人確認書類及び本人容貌画像をインターネットで送信する「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法」が追加された。2023年までは猶予期間で、従来の紙とオンラインの併用が認められているが、以降はオンラインによる本人確認が義務付けられる。
本人確認郵便が必要なくなるため、利用者の利便性は上がり、金融機関のコスト削減も期待できることから今後一段と普及すると見られている。
また、本人確認は金融関係のみならず、様々な業種・業態で行われているため、保険、クレジットカード、通信キャリア、古物商(リサイクル)など、利用シーンは大きく広がることが予想されている。
事実、2020年に起こった大手通信キャリアにおける不正アクセス事件もオンライン本人確認であれば未然に防止できた案件であり、2023年の猶予期間終了を待たず、オンライン本人確認利用が一気に広がることは確実であろう。

 

同社資料によれば、eKYCサービスの市場規模は2019年の4.8億円から2024年には44億円へ拡大。年平均成長率は55.8%という高成長が見込まれる。

 

【1-4 事業内容】

(1)事業形態
ユーザビリティの高いSaaS開発技術を活用し、社会の「不」を解消する価値の高いサービスを提供している。
加えて、新たなビジネスコンセプトとして「企業と顧客をつなぐDXクラウドサービス」を掲げ、企業と顧客をつなぐインターフェース周りのSaaSおよびプラットフォーム開発や、協創型DX支援開発を通じて「2025年の崖」を超えるサービスを展開していく。

 

(2)事業セグメント
報告セグメントは従来の「SaaS事業」「広告・メディア事業」「クラウドインテグレーション事業」「投資関連事業」の4つに加え、日本テレホン株式会社を子会社化したことにより、2022年12月期第1四半期より「情報通信関連事業」を報告セグメントに追加した。日本テレホン株式会社の損益計算書は第2四半期より組み込み。

 

 

①SaaS事業
主力事業である入力フォームの最適化技術によりコンバージョン率(成約率)を高めるクラウドサービス「Form Assist(フォームアシスト)」を中心に、成長エンジンであるセキュリティ関連のクラウドサービス「ProTechシリーズ」の提供、そして、同社が戦略商品として位置付ける企業と顧客がデジタルでつなぐプラットフォームサービス「おもてなしSuite」を提供している

 

◎Form Assist(フォームアシスト)
ECサイトを始めとするWebサービスの運営者は、自社サイトを訪問したユーザー(潜在顧客)が、サイト内の情報を閲覧するだけではなく、自身の情報を入力したり、問合せしたりすることで、最終的に製品やサービスの購入に結び付けることを意図している。そのためには、ユーザーがWebページの入力フォーム・問合せフォームまで辿り着いたにも関わらず、入力のしづらさや煩わしさが原因でページから離れてしまうことは極力避けなければならない。
こうした機会損失を低減させ、成果の最大化を図るために入力率を向上させる施策を「EFO(Entry Form Optimization):入力フォーム最適化」と呼ぶ。

 

同社のEFOツールForm Assist(フォームアシスト)は、国内で初めてサービス化したEFOツール。
導入フォーム数は5,000を超え、様々なニーズに対応しているほか、10年以上の実績から蓄積した独自ノウハウを提供している。
中心顧客である金融機関においては大手メガバンクを始めとして大手地銀、損害保険会社などが導入、EFO市場における金融業界でもシェアNo.1を誇っており、入力フォーム最適化市場において7年連続シェアNo.1を獲得している。(※1)
※1:ITR「ITR Market Vieメール/Webマーケティング市場2021」より

 

(同社資料より)

 

ユーザーの入力を楽にする40種類以上のアシスト機能や、大規模な改修は不要で、タグの設置のみで入力フォームを最適化できる機能を有する。
こうした手軽さが高く評価されているほか、特に金融機関においては個人情報を外部に持ち出す必要が無い点も、導入のハードルを下げる大きな評価ポイントとなっている。

 

また、ウェブ解析士(WACA認定)の資格をはじめ、豊富なWebマーケティングの知識・スキルを保有した専任担当者が、更なるコンバージョンアップのための分析を行い、Webサイト上の課題を明確にするほか、他社にはない蓄積された成功事例や失敗事例を元に、顧客のゴールに適した施策を提供している。
導入企業のコンバージョンは平均して確実に向上し、特にUI改善に不慣れな企業の場合は10%以上の改善に繋がっているという。
大手の金融機関は自社グループにシステム開発会社を有しているケースが多く、EFO導入に際しては競合する場合もあるが、そうしたシステム開発会社にはWebマーケティングのノウハウは乏しく、その面でも同社は強力な競争優位性を有している。

 

◎オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker(プロテック アイディー チェッカー)」
「ProTech シリーズ」は、Webサイトにおける不正なログインやなりすまし、入力ミスによる機会損失などの防止やセキュリティ強化などに特化し、顧客のコンバージョン(成約)獲得のベネフィットを最大化するクラウドサービス。
スマートフォンで運転免許証を撮影し、OCR技術により個人情報を入力フォームに反映する「License Reader(ライセンスリーダー)」に加え、2019年にリリースしたオンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker(プロテック アイディー チェッカー)」を同社では今後の成長ドライバーと位置付け販売拡大に注力している。
「市場環境」の項で触れたように、eKYC は金融機関のみだけではなく、幅広い業種・業態での導入が進むとみられる。
同社の「ProTech ID Checker」も、本人確認書類と自身の容貌写真を撮影するだけでオンラインによる本人確認が終了する。また、EFO同様、必要な作業はタグの埋め込みのみと導入が容易で、新型コロナウイルス感染拡大による非対面取引ニーズの急拡大と口座不正利用問題の社会的な課題を解決するサービスとして注目されている。「日経×TECH EXPO AWARD 2019準グランプリセキュリティ賞」を受賞するなど、業界からも高く評価されている。
また、2021年にゼネラルリサーチ株式会社が行ったサイト比較イメージ調査において、「導入が簡単だと思うeKYCソリューション」「消費者が選ぶ本人確認サービス 使いやすさ」「eKYCソリューション 価格満足度」の3項目において1位を獲得した。
2020年から、非対面・オンライン取引の需要増加に伴い幅広い業種で導入企業数が増加しており、士業・古物商・レンタルショップなど多岐にわたっている。

 

現在、改正犯罪収益移転防止法に対応した「ProTech ID Checker」の提供に加え、2021年3月には、医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限に対応した本人確認時における保険証の自動マスキングサービス「ProTech AI Masking」をリリースし、2021年5月にはSMSを用いた多要素認証サービス「ProTech MFA by SMS」をリリースした。今後も法改正や不正防止などの社会的潮流に合わせてサービスラインナップを増やす予定である。
2022年7月には、「ProTech ID Checker」において、本人確認システムプログラムなどの特許を取得した。

 

 

(同社資料より)

 

◎「おもてなしSuiteシリーズ」
企業と顧客をつなぐあらゆるユーザーインターフェース作成と業務システムへのデータ連携を一気通貫で実現するプラットフォーム。21年11月にマルチチャネルコンタクトツールとしてチャット機能を、22年1月にはオンライン手続きローコードツールとして入力フォーム機能をリリースした。
2022年5月11日に発表された、株式会社ALBERT(証券コード 3906、東証グロース)の 「AI・高性能チャットボット スグレス」の事業譲受を決議し、事業譲渡契約を締結。2022年7月より「おもてなしSuite」のラインナップとして追加予定。譲受事業の2021年12月期の売上高は1億26百万円としており、今後は同社の売上高に組み込まれる予定である。

 

チャット機能
企業と顧客がブラウザ上のチャットや「LINE」「+メッセージ」を通じて、「企業と顧客をつなぐ」円滑なテキストコミュニケーションを可能とするサービス。AIチャットボットの自動応答機能から、有人チャットにおける機能も充実しており、タグの設置のみで導入が可能。

 

入力フォーム機能
オンライン手続きから既存システムへのデータ連携がすぐにスタートできるフォーム作成サービス。プログラミングやWeb制作などの専門的な知識が無くても、直感的な操作でフォーム作成が可能なローコードツール。今後は、SFA・CRMツールなどの外部システムとの広範囲な連携と、eKYCやOCRなどの各機能をアドオンで提供予定。

 

「おもてなしSuite」はTVCMやタクシー広告配信を開始しており、今年度の広告宣伝費を大きく投じて認知度向上に向けた活動を実施している。

 

(対象マーケットの拡大)
同社がこれまでターゲットとしてきた主要な市場は、EFO市場(約14億円)、eKYC市場(約40億円)。「おもてなしSuite」では、約1,900億円と言われるクラウドで顧客管理を行う成長性の高いCRM市場を対象とし、強みを活かしたユニークなポジションで成長を目指す。新機能を順次追加し、企業と顧客をつなぐ全ての場面に必要な機能をワンストップで提供できるプラットフォームを目指す。

 

(同社資料「2022.03.23 当社の経営戦略に関するお知らせ」より)

 

②広告・メディア事業
オウンドメディアの運用と広告関連サービスの提供を行っている。

 

◎オウンドメディア運営
スマートフォン関連メディア「bitWave」を主軸コンテンツとして成長している。ドコモやauなど国内主力キャリアのオンライン契約への送客元として国内有数。日本テレホンの連結子会社化で、同社のリユースモバイル事業とのシナジー効果が期待される。
また、SaaS事業において構築した金融機関の顧客基盤を活かして、クレジットカード会社への送客など、アフィリエイト収入の拡大に取り組んでいる。新たにお金に関わる情報をわかりやすく伝える金融関連情報メディア「金融Lab.」をスタートした。お得なクレジットカード情報、株式投資、資産運用、保険やローンなどの情報を発信している。
他に、光回線・格安SIM・Wi-Fi・ホームルーターを比較しておすすめを紹介する「ひかりチョイス」、仮想通貨(暗号資産)、FX、ネット証券など資産運用に必要な情報を丁寧に解説する「MoneyPitch」なども運営している。
2022年8月現在、動画メディアのチャンネル登録者数は6.6万人を超えている。今後もスマートフォン関連と金融商品の2つの領域で積極投資を進めていく方針である。

 

◎広告関連サービス
従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービスを提供している。

 

③クラウドインテグレーション事業
これまでに蓄積してきたSaaSプロダクト開発ノウハウと大手企業の業務ノウハウを融合した業界特化型DX支援開発事業を提供している。
様々な業界を対象にSaaS事業を積極的に展開し、市場構造改革が起こり始めたDX市場において、企業の情報システムのクラウド化を支援する。

 

「市場環境」の項で触れたように、多くの企業が生き残りをかけて「DX」に取り組むことでDX市場は急成長が予想されるが、「2025年の崖」という課題が横たわっている。
同社は、これまで培ってきた技術とノウハウを活かして、DXにかかわる企業のシステム担当者の手間を大きく低減するプラットフォームをリリースし、企業、自治体のDX推進実現に貢献する考えだ。

 

(同社資料より)

 

(具体的な取り組み①:広報・PR業界のDX支援)
PR大手の株式会社プラップジャパン(東証スタンダード:2449)との合弁会社 プラップノード株式会社が運営する広報・PR支援クラウドツール「PRオートメーション」は、2020年9月のサービス開始から1年間で導入企業数が300社を超え、日本PR協会が主催する「PRアワードグランプリ2021」において奨励賞を受賞した。導入企業数・サービス認知度ともに成長を続けている。機能の追加開発により広報・PR業界のDX支援を拡大している。

 

(具体的な取り組み②:金融業界のDX支援)
横浜銀行の目的別ローンにおける契約内容の確認手続きをクラウド化し、オンラインで手続きの確認ができるクラウドシステムを開発した。

 

④投資関連事業
連結子会社 株式会社Showcase Capitalが、事業会社やベンチャー・キャピタル、コーポレート・ベンチャー・キャピタルとスタートアップ企業をオンラインでマッチングするマッチングプラットフォームサービス「SmartPitch」を運営している。登録スタートアップは2022年8月現在、390社を超え、事業会社など投資家は160社以上となっている。
2021年12月には株式会社ANAP(東証スタンダード:3189)の資金調達支援として、新株予約権割当契約を締結し、2022年1月に引受けるなど、上場企業等の資金調達支援も行っている。

 

⑤情報通信関連事業
連結子会社日本テレホン株式会社が中古スマートフォンの販売を中心としたリユース関連事業、キャリアショップを中心とした移動体通信関連事業の2事業を展開している。
リユース関連事業では、BtoB市場に軸足を置き、移動体通信関連事業では、収益力のあるドコモショップ、auショップに経営資源を集中している。

 

(3)収益モデル
①SaaS事業
サイト運営企業へ月額課金(サブスクリプション)でWebサイト支援を提供するストック型モデルである。
KPIは、「アカウント数」「顧客単価」「継続率」。
マーケティング強化によるアカウント数増加とカスタマーサクセスによる単価向上施策を推進中で、パートナー販売網の強化により、今後、アカウント数の拡大を目指している。

 

(同社資料より)

 

②広告・メディア事業
自社運営メディアからの送客による大手キャリアや金融機関を広告主とした成功報酬型広告サービスを展開している。
KPIは「送客数」「成果報酬単価」。
国内有数の送客力を誇るスマホニュースメディアに続き、金融商品比較メディアを展開している。運営メディア数を倍増させるなど、送客数を増やして成長を図る。

 

(同社資料より)

 

【1-5 特長と強み】

(1)優良な顧客基盤
SaaS事業で構築した金融機関を中心とした累計8,000以上の優良な顧客基盤は、信用力という点で目に見えない資産として高い価値を有している。また、広告・メディア事業における金融メディアのマネタイズにも繋がっている。

 

(2)豊富なSaaS開発技術と運用ノウハウ&マーケット・インの発想による高い顧客満足度
豊富なSaaS開発技術と運用ノウハウを蓄積している。また、マーケット・インの発想により、顧客ニーズに対応する開発スピードの速さ、低コストでありながらも高品質なプロダクトを提供できる点を顧客は高く評価しており、強力な競争優位性に繋がっている。
こうした優位性を活かし、新たに立ち上げたクラウドインテグレーション事業において企業や行政のDX推進を強力に支援する。

 

(3)多数の技術特許を保有
日本・米国・シンガポールなどで多数の特許を保有している。
2022年7月に、「ProTech ID Checker」において、本人確認システムプログラムなどの特許を取得した。
今後も技術特許取得を目指し技術開発を積極的に推進する。

 

(同社資料より)

 

【1-6 事業戦略】

以上のような製品ラインアップと競争優位性を有する同社は、以下の成長エンジンで売上・利益の拡大を追求する。

 

◎成長エンジンⅠ【本人確認(eKYC)サービス】
前述のような強力な社会情勢の変化の下、導入が容易な利点を生かし、拡販を図る。

 

◎成長エンジンⅡ【新プラットフォーム構想】
あらゆるデータの入り口を提供するフロントエンドの新プラットフォームとして、企業と顧客をつなぐあらゆるユーザーインターフェースをSaaSとして実現するプラットフォーム「おもてなしSuiteシリーズ」を21年11月にリリースした。
同社のコア技術や特許技術、SaaS開発ノウハウや本人確認技術を有力な企業やサービスと連携し、ユーザーとクライアント企業をつなぎ、利用企業を増加させる。同社は、社運をかけた戦略商品と位置付け、営業人員の強化や広告宣伝を強化し「おもてなしSuiteシリーズ」の販売強化を行う姿勢を見せている。2022年6月からはTVCMを放映し、認知度の拡大に努めている。

 

(同社資料より)

 

【1-7 ROE分析】

 

16/12期

17/12期

18/12期

19/12期

20/12期

21/12期

ROE(%)

14.8%

1.0%

1.4%

-17.2%

1.7%

2.7%

 売上高当期純利益率(%)

12.86

0.65

0.84

-12.14

1.69

3.75

 総資産回転率(回)

1.02

0.92

0.78

0.63

0.59

0.57

 レバレッジ(倍)

1.13

1.62

2.14

2.24

1.66

1.29

 

多くの資産を保有しない事業形態ではあるが、収益性、資産効率性の低さから、ROEは低水準で推移している。
中期経営戦略では2023年の売上高営業利益率は20%を目標としており、ROE改善に向けては、eKYCツール「ProTech ID Checker」のさらなる成長と、戦略商品である「おもてなしSuite」の拡大により収益性向上を実現できるかがカギとなる。

 

2.2022年12月期第2四半期決算概要

(1)連結業績概要

21/12期2Q

対売上比

22/12期2Q

対売上比

前年同期比

売上高

730

100.0%

2,178

100.0%

+198.2%

売上総利益

544

74.5%

765

35.2%

+40.7%

販管費

611

83.7%

924

42.4%

+51.1%

営業利益

-67

-158

経常利益

-34

-168

四半期純利益

-36

-140

*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。

 

増収、損失計上
売上高は前年同期比198.2%増の21億78百万円。22年1月に子会社化した日本テレホン株式会社が売上高を押し上げた。SaaS事業は微増収、広告・メディア事業、クラウドインテグレーション事業、投資関連事業は減収。
営業利益は1億58百万円の損失(前年同期は67百万円の損失)。売上総利益も増加したが、日本テレホン子会社化によるコスト増加に加え、開発人件費・新メディア開発・広告宣伝及びアライアンス関連費用の増加を吸収できなかった。
*日本テレホンの損益は第2四半期より組み込まれている。

 

 

(2)セグメント別動向

 

21/12期2Q

22/12期2Q

前年同期比

SaaS事業

460

462

+0.4%

広告・メディア事業

202

199

-1.4%

クラウドインテグレーション事業

60

50

-17.0%

投資関連事業

5

65

+1026.3%

情報通信関連事業

1,400

その他

0

0

-18.9%

セグメント売上高

730

2,178

+198.2%

SaaS事業

296

202

-31.7%

広告・メディア事業

18

23

+28.2%

クラウドインテグレーション事業

-15

-1

投資関連事業

-8

0

情報通信関連事業

-35

その他

9

5

-43.8%

調整

-368

-354

セグメント利益

-67

-158

*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。

 

◎SaaS事業
売上高は前年同期並み、減益。
KPIとしているリカーリングレベニュー比率は引き続き75%程度で推移しており、安定的な収益基盤を確保している。

 

(同社資料より)

 

*「おもてなしSuite」シリーズ
2021年11月にリリースし、順調に販売を拡大。販売拡大に向け2022年6月より、同社として初の試みとなるTVCMの放送を開始した。
2022年7月に株式会社ALBERT(東証グロース: 3906)より譲受した「AI・高性能チャットボット スグレス」が、戦略商品おもてなしSuiteのラインナップとして追加された。既存のおもてなしSuiteのチャット機能が拡充され、ユーザー毎に最適化されたコミュニケーションを実現することが可能となった。

 

*「ナビキャストシリーズ」
入力フォームの最適化サービス「フォームアシスト」は堅調に推移している。コンサルタントによるきめ細やかな提案もあり、解約率は1%未満で推移している。

 

*オンライン本人確認/eKYCサービス「ProTech ID Checker」
導入企業数は前年同期比155%増。MRR(Monthly Recurring Revenue、月次経常収益)も同168%増と成長を続け、シェアを拡大しつつある。販売先は金融機関以外にも、士業・古物商・レンタルショップなど多岐にわたっている。
2022年7月に「顔認証技術」が特許を取得した。

 

◎広告・メディア事業
減収増益。
KPIである送客数、成果報酬単価は前年同期を上回っている。これまでに培ったメディア運営ノウハウを横展開し、高い集客力を持つメディアを複数展開し成長を目指している。

 

(同社資料より)

 

(広告関連サービス)
従来から提供してきた運用広告関連サービスに加え、顧客のニーズに合わせたSNS広告運用サービス等の提供により、安定的に売上を計上している。

 

(オウンドメディア)
主力となるスマートフォン関連ニュース系メディア「bitWave」・「スマホのススメ」、新メディアであるプログラミングスクール紹介メディア「cody」が堅調に推移している。
新メディアとして、仮想通貨関連メディア「Money Pitch」など、複数のメディアを開設した。
日本テレホン社との共同事業の第一弾として、光回線・格安SIM・Wi-Fi・ホームルーターの総合メディア「ひかりチョイス」をスタートした。口コミや評判、比較したおすすめ情報をまとめることで、企業と顧客の間に潜む「不」を取り除き、便利な情報社会を目指す。注力事業としてメディア数を増加しチャネルを拡大させていくことで、送客数を伸ばし、業績への貢献を図っている。

 

◎クラウドインテグレーション事業
減収、損失縮小。
株式会社プラップジャパンとの合弁会社であるプラップノード株式会社が有する広報・PR支援SaaS「PRオートメーション」において、安定的な追加開発を行い、業績に貢献している。
その他の受託開発案件の納品等もあったが減収。引き続き、各界のリーディングカンパニーとのDX推進を積極的に展開する。

 

◎投資関連事業
増収、利益計上。
事業会社やベンチャー・キャピタル、コーポレート・ベンチャー・キャピタルとスタートアップ企業をオンラインでマッチングするプラットフォーム「SmartPitch(スマートピッチ)」の登録数は22年8月末時点で、スタートアップ企業側が390社超、事業会社等の投資家側も160社を超えた。
2021年12月には株式会社ANAPの資金調達支援として、新株予約権割当契約を締結し、2022年1月に引受けた。第1四半期に引き続き、第2四半期も新株予約権の一部の売買が成立し業績に貢献した。

 

◎情報通信関連事業
日本テレホン社の損益計算書を組み込んだ。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

21/12月末

22/6月末

増減

 

21/12月末

22/6月末

増減

流動資産

2,179

3,683

+1,503

流動負債

374

822

+448

 現預金

1,875

2,627

+751

 仕入債務

25

120

+95

 売上債権

223

462

+238

 短期借入金

210

341

+131

固定資産

504

764

+260

固定負債

129

857

+728

 有形固定資産

80

107

+26

 長期借入金

84

748

+664

 無形固定資産

163

442

+279

負債合計

504

1,680

+1,176

 投資その他の資産

259

214

-45

純資産

2,180

2,768

+588

資産合計

2,684

4,448

+1,764

負債純資産合計

2,684

4,448

+1,764

        有利子負債残高

294

1,090

+795

*単位:百万円。

 

現預金の増加などで資産合計は前期比17億64百万円増加し44億48百万円。借入金の増加により、負債合計は同11億76百万円増加し16億80百万円。利益剰余金が減少した一方で、非支配株主持分が増加し純資産は同5億88百万円増加し27億68百万円。
自己資本比率は前期末から36.6ポイント低下し44.6%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

21/12期2Q

22/12期2Q

増減

営業CF

14

-92

-107

投資CF

-9

641

+650

フリーCF

4

548

+543

財務CF

-87

203

+290

現金同等物残高

2,115

2,627

+511

単位:百万円

 

連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入により投資CFはプラスに転じた。長期借入れによる収入で財務CFはプラスに転じた。キャッシュポジションは上昇した。

3.2022年12月期業績予想

(1)連結業績予想

21/12期

対売上比

22/12期(予)

対売上比

前期比

修正額

売上高

1,594

100.0%

4,624

100.0%

+190.0%

-1,748

営業利益

12

0.8%

-510

-94

経常利益

77

4.9%

-520

-104

当期純利益

59

3.7%

-424

-8

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

業績予想を下方修正
22年2月時点では日本テレホンとの資本業務提携が与える影響を含む合理的な予想が困難として非開示としていた今期予想を2022年3月に公表したが、2022年9月に、業績予想を下方修正した。
売上高は前期比190.0%増も、前回予想を17億48百万円下回る46億24百万円、営業損失幅は前回予想よりも94百万円拡大し、5億10百万円となる見込み。
営業損失については、前回予想時には日本テレホンの人件費4億20百万円のほか、戦略商品「おもてなしSuite」や広告・メディア事業の金融商品比較メディアなどでの営業人員及び開発人員の増員により人件費が 4億95百万円増加するほか、広告宣伝費が3億30百万円増加する見通しであったが、下記の要因等により損失幅が拡大する。

 

(下方修正の要因)

日本テレホンの主たる事業分野であるリユースモバイル事業において、世界的な半導体不足と急激な円安進行により、主力商品である高品質なリユースモバイル端末の調達量が減少し、同事業の売上高が前回予想比 15億88 百万円減少する見込み。
SaaS事業において初期費用の発生するカスタマイズ案件が計画を下回る見込み。
広告・メディア事業において、今期より新たに展開を開始している一部の金融メディアでの投資の費用対効果が想定を下回る見込み。

 

配当は無配の予定。2023年12月期の復配を目指す。

 

(現状及び今後の対応)
リユースモバイル事業は調達方法の見直しを図り、復調傾向にある。
日本テレホン社ではオフィス移転による経費抑制に努めている。
年末にかけ、ショーケースと日本テレホンの共同事業のサービス開始を複数予定している。

 

4.今後の成長戦略

(1)成長戦略

中期的な企業価値の向上と株主還元のため、以下の3点を成長戦略としている。

 

①中核事業の戦略商品へ積極投資で事業成長
◎SaaS事業
2020-2021年は、下降トレンドであったNaviCastシリーズのトレンド転換を実現したほか、成長エンジンであるProTech ID Checker(eKYC)サービスの創出と投資による成長を実現した。
コロナ禍に営業販売チャネル転換でデジタルマーケティングを強化した。

 

今後(2022-2024年)は、対象マーケットを拡大するおもてなしSuiteシリーズ創出による拡大戦略を推進する。
2024年には、 ProTech ID Checker(eKYC)とおもてなしSuiteシリーズの新サービスで、売上高の約5割を目指す。

 

(同社資料「2022.03.23 当社の経営戦略に関するお知らせ」より)

 

◎広告・メディア事業
収益性の高いスマートフォン関連ニュース系メディアを軸に新しいメディアを展開する。
培ったメディア運営ノウハウと高い集客力のあるメディアを創出し成長を目指す。

 

具体的な成長戦略としては、広告宣伝費を投下し、集客力を向上させ売上成長を実現する。
2022年は新メディアの構築と成長に投資するため収益性は低いものの、2023年以降、売上成長とともに収益率が高まると見込んでいる。

 

 

②有力パートナー企業との積極的なアライアンス
◎自前販売主義からの転換:セールスチャネルを複線化し、成長を加速
販路拡大、DX支援を加速させるために、有力パートナーとのアライアンスを積極的に展開する。
TIS INTECグループの株式会社ネクスウェイがeKYCツール「ProTech ID Checker」の販売パートナーに、株式会社KDDIエボルバが「おもてなしSuite」+ eKYCツール「ProTech ID Checkerの販売パートナーに、北都銀行がDX支援パートナーとなった。

 

◎資本業務提携・合弁事業:共同開発プロジェクトや事業の共同運営
AI inside株式会社(東証グロース:4488)とは、デジタル入力部分に関する共同開発プロジェクトが進行している。 AI inside社の主力商品であるAI OCRの「DX Suite」についての販売パートナー契約を締結している。
販売体制を強化し成果創出を目指す。
株式会社プラップジャパン(東証スタンダード:2449)はプラップノード株式会社を設立し、広報・PR支援SaaS「PRオートメーション」をリリースし、サービス導入企業数は350社を超えた。
日本PR協会が主催する「PRアワードグランプリ2021」において奨励賞を受賞した。

 

(同社資料より)

 

③非連続事業成長をめざすM&A
日本テレホン株式会社(東証スタンダード:9425)を子会社化した。
ショーケース社のSaaS(ソフトウェア)ノウハウ、メディアの集客力、マーケティングノウハウといった強みと、年間10万台以上のハードウェアの調達力と販売力という日本テレホン株式会社の強みを掛け合わせ、以下のような取り組みを推進する。

オンライン本人確認(eKYC)を活用したスマートフォンのオンライン買取サービス、AIを利用した自動査定・買取システム構築・導入
スマートフォンニュースメディアと連携したマーケティング・集客支援
ソフトウェアによる付加価値をつけた新たな法人向けスマートフォンレンタル事業
リユースモバイル事業のDX化推進

 

(2)数値目標

2021年3月に公表した中期経営計画を見直した。
22年12月期は中核事業の成長とM&Aにより日本テレホン社が連結子会社化し売上高が急拡大する。
新規事業の成長を加え高い成長を目指すが、成長投資のため短期的には赤字を計画している。
中核事業である SaaS 事業及び広告・メディア事業の成長投資や、日本テレホン株式会社との事業シナジーによって創出される事業成長等により、2024年12月期には「売上100億円以上、過去最高営業利益更新」を新たな中期経営計画目標として定めている。

 

 

 

5.今後の注目点

今期は日本テレホン株式会社の子会社化で大幅増収も、同社人件費などのコスト追加と成長投資で5億円の損失を計上する見込みだ。一方、日本テレホン株式会社を除いたベースの当上期売上高は前年同期比6.5%の増加にとどまっている。下方修正により株価は上場来安値近辺まで下落しており、市場からの信頼回復に向け、まずは下方修正後の予想にどれだけ上積みできるかも注目したい。

 

「今後の成長戦略」で触れたように、同社では「下降トレンドであったNaviCastシリーズのトレンド転換を実現したほか、成長エンジンであるProTech ID Checker(eKYC)サービスの創出と投資による成長を実現した」と考えており、「今後(2022-2024年)は、対象マーケットを拡大するおもてなしSuiteシリーズ創出による拡大戦略を推進し、2024年には、ProTech ID Checker(eKYC)とおもてなしSuiteシリーズの新サービスで、売上高の約5割を目指す」としている。

 

新たな中期経営計画目標2024年12月期「売上100億円以上、過去最高営業利益更新」を実現するためにも「NaviCastシリーズのトレンド転換」「ProTech ID Checker(eKYC)とおもてなしSuiteシリーズの拡大」は大きなカギとなろう。第3四半期以降の推移を注視していきたい。
また日本テレホン株式会社の子会社化については、シナジーの創出と共に、PMIの進捗にも注目していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態 監査役設置会社
取締役 7名、うち社外3名(うち独立役員2名)
監査役 3名、うち社外3名(うち独立役員3名)

 

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2022年4月4日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の効率性及び透明性を高めながら、株主をはじめとした多くのステークホルダーの利益を最大化し、企業価値を向上させるために、コーポレート・ガバナンスの確立が重要な経営課題の一つであると考えております。
そのような状況を踏まえ、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しながら、関係諸法令を遵守し、経営組織体制を整備運用してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>

原則

実施しない理由

(補充原則3-1-2) 当社は、英語版の当社ホームページを開設し、当社の事業内容を広く世界に開示しています。

(英語版ホームページ:https://www.showcase-tv.com/en/corporate/)また、決算説明資料、株主総会招集通知その他四半期決算概要等については、今後、外国人株主比率の動向を見極め、費用対効果も勘案し、当社株主構成の外国人比率が一定程度を上回った際に、英訳等、英語での情報開示・提供について検討してまいります。

(補充原則3-1-3) 当社は、サステナビリティをめぐる課題対応を経営戦略の重要な要素と認識しております。それに伴い人的資本・知的財産への投資を含む社会課題に対する取り組み強化のため、これまでの体制の見直しや目標の進捗管理・施策の審議等、施策の落とし込みを行い、具体的達成内容の評価報告を取締役会に適宜行うことにより取締役会の監督の実効性を高めてまいります。
(補充原則4-1-3) 当社取締役会は、後継者計画の策定・運用に対しては主体的な関与を行っておりませんが、取締役・執行役員等経営陣幹部の選任に際して取締役会が決定するというプロセスをもって、代表取締役による後継者計画が適切に策定・運用されていることを監督しております。
(原則4-11) 当社取締役会は、その役割・責務を実行的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、多様性と適正規模を両立させる形で構成すべきと考えております。当社の取締役会は、経営・財務・マーケティング・システム等の各分野において専門的知識と豊富な経験を有したもので構成されており、取締役会全体の構成をバランスがとれたものにしております。また、監査役には、公認会計士、税理士がおり、財務会計に関する適切な知見を有しております。しかしながら、ジェンダー、国際性、職歴、年齢などの面における多様性という点では課題があると認識しております。今後、多様な取締役人材の確保に向けた検討を進めてまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

(補充原則 1-4-1)

(補充原則 1-4-2)

当社は現在政策保有株式を保有しておりません。

当社は、取引先、業務提携先との安定的・長期的な取引関係の構築や事業活動上の連携強化などの観点から、資本コストに見合っていると判断される場合、上場株式を保有することがあります。また、直近事業年度末の状況に照らし、保有の意義が希薄と考えられる政策保有株式については、出来る限り速やかに処分・縮減していく基本方針のもと、保有する上での中長期的な経済合理性や取引先、業務提携先との総合的な関係の維持・強化の観点から保有効果等について検証し、取締役会にて決議を行います。また、当該上場株式に係る議決権につきましては、株主総会議案の内容を精査し、当該上場会社の企業価値の向上及び株主共同の利益に資することを確認した上で、適切に行使いたします。

(補充原則2-4-1) 当社グループは現状人数規模が比較的小さく、母集団としては限られることから、中核人材の登用等における多様性の確保にかかる目標値を定めてはおりませんが、2021年12月現在で、女性の管理職は全体の13%と、中途採用者の管理職は全体の73%と、現時点でも既に実績がございます。現時点で外国人の管理職登用については実績はございませんが、当社は国籍、性別等に囚われずその能力・成果に応じた人事評価を行うことを基本方針としつつ、今後の事業ドメインの拡大及び企業規模の拡大に応じて、多様性が確保、強化された組織の運営を目指してまいります。

また中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性は認識しており、当社の中核人材として女性・外国人・中途採用者の管理職比率が高まるよう人材育成および社内環境の整備を検討してまいります。

(補充原則4-11-3】 当社では、取締役会の実効性を検証すべく、内部監査室において全取締役及び全監査役に対して取締役会の構成や運用状況に関するアンケートを実施し、それらの結果に基づき、取締役会の運営状況、審議状況等の実効性について評価を行いました。その結果、取締役会の構成、運用状況や審議状況は、取締役会が監督機能を発揮する体制が整備されており、また取締役会において出席者が積極的に発言し、闊達な議論が行われる風土が定着しているとの評価が得られました。一方、取締役会の実効性をさらに向上させるためには、取締役・監査役に対する更なる情報提供の充実を図る事が重要とみております。当社は、こうした認識に基づき、今後とも継続的に取締役会の実効性向上に取り組んでまいります。
【原則5-1】 当社は、会社の継続的な成長と中長期的な企業価値向上を目的とし、株主との建設的な対話を促進するために株主専用ダイヤルイン、メールでの窓口を設けることにより、IR担当部門が株主からの対話に対応します。窓口は当社Webサイト内で開示をしております。

https://www.showcase-tv.com/ir/inquiry/

株式会社インベストメントブリッジ
ブリッジレポート   株式会社インベストメントブリッジ
個人投資家に注目企業の事業内容、ビジネスモデル、特徴や強み、今後の成長戦略、足元の業績動向などをわかりやすくお伝えするレポートです。
Copyright(C) 2011 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。 また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。 当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。 本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。 投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

このページのトップへ