(7191)株式会社イントラスト 家賃債務保証の新規契約 大幅増

2022/06/23

 

 

桑原 豊 社長

株式会社イントラスト(7191)

 

 

企業情報

市場

東証プライム

業種

その他金融業(金融・保険業)

代表者

桑原 豊

所在地

東京都千代田区麹町1-4

決算月

3月

HP

https://www.entrust-inc.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

547円

22,357,364株

12,229百万円

18.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

13.00円

2.4%

40.70円

13.4倍

198.93円

2.7倍

*株価は6/2終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*BPS、ROEは22年3月期実績。数値は四捨五入。
*DPS、EPSは23/3期の会社予想。

 

非連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

3,136

842

840

564

25.44

7.00

2020年3月(実)

3,626

1,021

1,026

687

30.93

9.00

2021年3月(実)

4,203

1,149

1,153

760

34.07

11.00

2022年3月(実)

4,943

1,184

1,179

779

34.88

12.00

2023年3月(予)

6,200

1,450

1,450

910

40.70

13.00

*予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

(株)イントラストの2022年3月期決算概要などについてお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画(2022年-2024年)~Road to the higher~
3.2022年3月期決算概要
4.2023年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22年3月期の売上高は前期比17.6%増の49億43百万円、営業利益は同3.0%増の11億84百万円。売上面では、家賃債務保証の新規契約が大幅に増加し、増収に寄与した一方、医療費用保証については、特に上期において新型コロナウイルス感染症拡大の影響による営業活動の制約等により減収となった。利益面では、家賃債務保証の成長に伴う代位弁済の増加により貸倒コストが増加したことに加え、センター開設及び横浜ソリューションセンター閉設に係る一過性の費用の発生が影響した。 
  • 23年3月期の売上高は前期比25.4%増の62億円、営業利益は同22.4%増の14億50百万円の予想。売上面はストックの積み上げ及び月次更新型契約の増加などによる家賃債務保証の増加が売上高の伸びを牽引する。利益面では家賃債務保証の増収効果に加え、保証契約増加への体制整備により貸倒コストの増加率が一巡することに加え、センター開設に伴う一過性の費用の減少が寄与する。配当は、中間、期末それぞれ6.50円/株の年間合計13.00円/株(前期比1.00円/株増)を予定。予想配当性向は31.9%。 
  • 全国に医療費の未収が発生している多数の医療機関が存在する環境下、医療費用保証市場の拡大への期待が大きい。未だ新型コロナウイルス感染症拡大の影響は残るものの、アフターコロナを見据え23/3期はこれまで以上に営業活動が活発化することが予想される。営業活動の強化により、今後どれ位の規模の新規提携医療機関を獲得できるのか注目される。 

1.会社概要

総合保証サービス会社として、賃貸住宅における家賃債務保証を中心に、病院における医療費用保証、介護施設における介護費用保証等、連帯保証人に置き換わる各種保証商品を幅広く展開。保証から派生したサービス商品の提供(ソリューション事業)にも力を入れており、保証を通じた社会への貢献を目指している。本社を東京に置き、仙台、秋田、富山、浜松、名古屋、大阪及び福岡に拠点を有する。社名のイントラストは「責任・任務を信頼して任せる、金銭を預ける、仕事等を人に委ねる」という意味を持つ英語の“Entrust”に由来する。「総合保証サービス会社として、あらゆる分野においてお客様から全面的な信頼を得て業務をお預かりすることで、ご満足いただけるサービスを提供できる企業を目指す」という思いが込められている。
尚、東証プライム市場に上場する(株)プレステージ・インターナショナル(4290)のグループ会社であるPrestige International(S) Pte Ltd.(シンガポール)が発行済株式数の56.84%を保有している。

 

(1)経営理念

クライアント企業に三つの価値(喜び、安心、信頼)を提供する事を経営姿勢として掲げ、五原則(感動、挑戦、自覚、品格、活躍)に従って会社運営を行っている。また、会社の成長と社員の幸せがリンクしている会社を目指しており「社員全員がそれを実感できるのであれば、会社は必ず成長する」という考えの下、日々の仕事において、三つのモットー(明るく、楽しく、真剣に)を尊重している。

 

(2)事業概要

総合保証サービスの単一セグメントの下、事業は、保証事業とソリューション事業に分かれる。保証事業では、同社が連帯保証人として契約に係る各種費用の滞納リスクをカバーするとともに、不動産管理会社等に対して、申込審査、督促回収、法対応支援、債権管理等、関連するサービスを提供する。
一方、ソリューション事業では、連帯保証はせず、関連サービスのみを提供する。このため、保証事業は賃借人からの保証料と不動産管理会社等からの手数料が主な収入となり、ソリューション事業では不動産管理会社等からの手数料が主な収入となる。両サービスともに売上は新規契約に伴う新規売上と既存契約の更新・ランニング売上(ストック売上)に分かれ、年々、ストック売上の比率が上昇している(利益成長とともに収益基盤の強化も進んでいる)。

 

◎保証事業(22/3期売上高構成比61.8%)
主力の家賃債務保証と医療費用保証・介護費用保証・養育費保証を提供している。賃貸住宅分野の家賃債務保証の付帯率は80%程度で、まだ市場の成長は続く。家賃債務保証では、賃貸不動産の賃貸借契約において、同社が賃借人の連帯保証人となり、賃料等の滞納リスクを引き受ける。一方、医療費用保証では、医療機関の入院手続きにおいて、同社が連帯保証人となり、入院費用自己負担分等の支払いに係る滞納リスクを引き受ける。また、介護費用保証では介護施設の入居契約において同社が連帯保証人となり、介護施設の利用料等の滞納リスクを引き受ける。養育費保証では養育費を支払う方の連帯保証人となり、養育費の未払いリスクを引き受ける。
家賃債務保証及び介護費用保証では保証委託契約時及び保証委託契約更新時に対価を受け取り、対価は保証期間内の月数に応じて按分され売上計上される。医療費用保証では主に対象月ごとに売上計上される。また、家賃債務保証及び養育費保証では、引き受け前の審査と滞納発生時の回収(コンプライアンス重視)によりリスクを最小限に抑え、収益の安定化を実現している。一方、医療費用保証及び介護費用保証においては、基本的に損害保険会社と保険契約を締結し、滞納リスクをヘッジしている。

 

(同社決算説明資料より)

 

拡大する家賃債務保証に加えて、今後は医療費用保証の成長が期待される。同社の調べでは、1病院当たりで平均約450万円の医療費の未収が発生している模様である。民法改正、訪日外国人の増加、医療費の窓口負担の増加など外部環境の変化が後押しとなり、今後医療費用保証マーケットの拡大が期待される。同社では、精神科を除く全国の有床医療機関約8,300病院をターゲットに、大手損保会社との提携を通じて、医療費用保証の病院への導入を加速させる方針である。

 

ソリューション事業(22/3期売上高構成比38.2%)
C&O(コンサル&オペレーション)サービス、保険デスクサービス及びDoc-onサービスに分かれる。C&Oサービスは、家賃債務保証で培ったノウハウを受託サービスとして提供するもので、審査業務、滞納管理、未入金案内など賃貸不動産の入居者等を対象としたサービスをフルラインもしくは個別に不動産管理会社等に提供。スコアリングモデルに基づく独自の審査システムや自社コールセンター等、各種関連業務を柔軟に提供できる体制が整備されている。
保険デスクサービスは、損害保険会社や少額短期保険業者と連携し、賃貸住宅の入居者向け火災保険の募集や付保促進等、不動産管理会社の業務を総合的に支援する。具体的には、火災保険の案内、コールセンターによる問合せ対応、契約締結及び契約後の異動等に係る事務を代行し、不動産管理会社へ報告する。2016年5月施行の保険業法の改正をきっかけに、不動産管理会社が抱える諸問題(①保険募集の厳格化による業務負荷の増大②保険付保率の向上③コンプライアンス上の善管注意義務への対応)を解決するサービスとして評価を得ている。サービス提供には、専門的な知識・ノウハウ、専用システム、そしてオペレーション体制を整備する必要がある。
Doc-onサービスは、SMS(ショートメッセージサービス)、クレジットカード決済サービス、コールセンターサービス(SMSリスト管理、メッセージ作成、配信量管理、受電対応、入金確認、レポート管理等のコールセンターサポートといった各種のサービスをトータルで提供)をパッケージにしたサービス。強みとして、①国内大手SMS通信事業者の通信網を利用した「高い安全性」、②紙媒体の郵送案内と比較した場合のコンタクトに要するコスト削減及び③葉書やEメールなどの従来の連絡手段と比較した場合の開封率の高さ、の3点を挙げる事ができる。

 

(同社決算説明資料より)

 

(3)保証事業における強み

保守事業において利益を生み出すためには、延滞率の抑制と延滞回収率の向上が鍵を握る。同社は、優良な顧客との取引や適正な審査により滞納率をコントロールするとともに、滞納に対して適切な回収を行い、その多くを回収している。これら保証業務において同社が保有する以下の3つの強みが、利益を生み出すドライバーとなっている。

評価

◆的確なリスク評価による緻密な運営

◆無理な拡大ではなく、優良な貸主と借り手を選択していくことで、経済性が向上(高利益率)

◆顧客層拡大の好循環が生まれる

回収

◆コンプライアンス重視の回収(上場時も厳しく審査され証明)

◆正当な法的処理を着実に実行

◆専門スタッフによる効率的な回収スキームとそれらを支えるITインフラ

専門性

◆審査や回収ノウハウ(専門性)の積み上げ

◆クライアント(不動産管理会社・病院など)のスタッフを不慣れな業務から解放

◆ソリューション提案によるニーズの解決

 

2.中期経営計画(2022年-2024年) ~Road to the higher~

同社は、2021年5月14日に、22/3期~24/3期の3ヵ年を対象期間とする中期経営計画を公表した。

 

(1)目標値

2024年3月期「売上高80億円、営業利益20億円」を目指す。

 

2021年3月期

(実績)

2024年3月期

(目標)

伸び率

売上高

4,203

8,000

1.90倍、CAGR23.9%

営業利益

1,149

2,000

1.74倍、CAGR20.3%

営業利益率

27.4%

25.0%

配当性向

32.3%

30-40%

ROE

20.8%

20.0%

*単位:百万円。CAGRは(株)インベストメントブリッジが計算。

 

(2)第2次中期経営計画で実現すること

第2次中期経営計画は、「第1次中期計(2019~2021/3)  Zero to One 常に『ゼロからイチ』を実現します」を、三段跳びのホップとすれば、ステップにあたるもの。
副題を「Road to the higher Let’s Go! 100億」としているように、2024年3月期の売上高目標を80億円と置いているが、更に高みを目指し、ジャンプにあたる第3次中期経営計画において売上100億円を達成するための準備の3年間との位置づけである。

 

具体的には以下のような施策に取り組む。

従来/新規の両軸成長 従来マーケット(賃貸不動産分野) 成長へのギア・チェンジ、更なる拡大
新規マーケット(医療・介護分野) 加速成長へのフル・アクセル
ゼロ⇒イチの精神

新規事業の挑戦・育成

事業育成(養育費分野など) BtoCの顧客と直接つながる事業を育成する
新規創造 新たな新保証の創造に挑む

 

従来マーケットでは、賃貸不動産分野の更なる拡大のために家賃債務保証において新たな商品を導入する。
新規マーケットでは成長に向けたビジネスモデルが確立できた医療分野に注力する。
新規事業については、これまでのBtoBビジネスのみではなく、BtoCビジネスの可能性を追求する。また、これまでに培ってきたノウハウを横展開することで、「保証」の仕組み・商材を拡大し総合保証サービス会社としての成長を目指す。

 

(3)成長戦略

成長分野

事業セグメント

21/3期 実績

24/3期 中計

成長倍率

売上高

構成比

売上高

構成比

従来市場

賃貸不動産分野

家賃債務保証&ソリューション

3,815

90.8%

6,400

80%

1.7倍

新規市場

医療分野

医療費用分野

341

8.1%

1,370

17%

4.0倍

介護分野

介護費用保証

36

0.9%

130

2%

3.6倍

新規創造・育成

新規事業

養育費保証(B2C)

その他新規事業

10

0.2%

100

1%

9.5倍

 

4,203

100%

8,000

100%

1.9倍

*単位:百万円

 

◎家賃債務保証&ソリューション
家賃債務保証は、成長する上位管理会社をターゲットとし、顧客の課題を解決するオーダーメイド商品を提供する。ソリューションから売上単価の高い保証へのシフトを通じて売上単価の上昇を図る。また、賃借人クレカ決済保証など様々な新商品の投入を通じて、同社のシェアアップを実現する。

 

◎医療費用保証
医療費用保証は、病院の未収金問題が未解決のまま残り、アフターコロナにおいて成長が期待できる。競合のプレイヤーは少なく、同社が創出した市場においてノウハウの蓄積が進んだ。今後事業連携強化により成長の加速を目指す。病院負担型保証「スマホス」では、損保会社との提携を強化し、患者負担型保証・入院セットでは、リネン事業者との提携を積極化する。精神科を除く有床の医療機関約8,300病院がターゲットであるが、現状の約2.9%のシェアを中計最終年度に5.3%まで高める計画である。

 

◎介護費用保証
介護費用保証は、積極投資を行い、フロントランナーとして市場の開拓と活性化を進める。現時点で最も優れたオーダーメイド型保証商品を武器に、大手施設事業者への保証提案を行い、保証の拡大を進める。

 

◎養育費保証
同社は、養育費保証においてもフロントランナーであり、ネット事業者と提携しB2C事業として取組んである。今中計の3か年での事業化を確立すべく、保証商品の改良とプロモーションの実行、マーケティング・セールス・WEBシステムへの投資、ブランディング強化による認知と顧客学習の促進を行う。

 

◎新規事業創造
その他、破壊的イノベーションの創造を目指して、医療、介護、養育費に続く、新事業の創造に挑戦する。住宅ローン保証、
奨学金保証など新保証とサービスの開発を強化するとともに、ベンチャー企業との提携・出資やM&Aも検討する。

 

(4)成長を支える投資方針&財務戦略

3年間で15-20億円を目安に以下のような成長投資を計画している。
将来の成長をサポートするDX投資においては新ソリューションセンター(コールセンター)の構築、審査におけるAIの導入、省人化・BtoC事業のシステム投資など。
新事業育成については、総合保証サービス会社としての認知を広めるため、新たな保証商品を開発する。
また、アライアンスやM&Aも積極的に展開するほか、事業拡大や新卒採用増のためにはコーポレートブランディング向上が重要と考え、プロジェクトチームを設けてウェブサイトのリニューアルを始めとした取り組みを進める。

 

(同社中期経営計画より)

 

今回の中計期間3年間で生み出す営業CF25億円を「15-20億円の成長投資」と「30-40%の配当性向による株主還元」に配分する。前期末で約30億円のキャッシュを有しているが、状況によっては銀行借入なども検討する。
また、ROEに関しては、成長により得られるCFを再投資に振り向けて成長スピードを高め、20%以上を維持する。

 

(5)ESG/SDG’sの取組の推進

保証は人と人との間に安心を提供する新たなパートナーシップである。安心の提供は、機会不平等の緩和、公正な取引の拡大、社会変化に伴う新たなパートナーシップ実現などを促進する。同社は、各種の保証事業を通じて社会課題の解決に貢献している。

 

同社の保証が実現する社会課題の解決の一例

家賃債務保証

高齢者向け保証では、定期的な見守りサービスを付帯し、貸し手の不安を解消し、高齢者の賃借機会の拡大を実現している。

医療費用保証

連帯保証人が確保できない入院患者や、医療未収金を抱える医療機関の課題に対し保証を通じて解決し、入院患者の入院機会の確保、医療経営の安定に貢献している。

介護費用保証

連帯保証人が確保できない高齢者に、介護施設へ入居する機会の拡大を実現している。介護費用保証の普及に伴い、賃貸人のリスク軽減、入居時の保証金の軽減が進むことも期待される。

養育費保証

養育費保証という安心のインフラを広く普及させ、ひとり親世帯のより良い生活と子どもの健やかな成長に貢献している。

 

3.2022年3月期決算概要

(1)非連結業績

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

売上高

4,203

100.0%

4,943

100.0%

+17.6%

売上総利益

2,126

50.6%

2,398

48.5%

+12.8%

販管費

976

23.2%

1,214

24.6%

+24.4%

営業利益

1,149

27.4%

1,184

24.0%

+3.0%

経常利益

1,153

27.4%

1,179

23.9%

+2.3%

親会社に株主に帰属する

当期純利益

760

18.1%

779

15.8%

+2.5%

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)

 

前期比17.6%増収、同3.0%営業増益
売上高は前期比17.6%増の49億43百万円。売上面では、家賃債務保証の新規契約が大幅に増加し、家賃債務保証の売上高が前期比43.3%増加した。一方、医療費用保証については、特に上期において新型コロナウイルス感染症拡大の影響による営業活動の制約等により減収となった。
営業利益は同3.0%増の11億84百万円。利益面では、家賃債務保証の成長に伴う代位弁済の増加により貸倒コストが増加したことに加え、センター開設及び横浜ソリューションセンター閉設に係る一過性の費用の発生が影響した。売上高総利益率は、前期比2.1ポイント低下の48.5%となった。また、売上高販管費率は前期比1.3ポイント上昇の24.6%となった。この結果、売上高営業利益率は、前期比3.4ポイント低下の24.0%となった。その他、営業外損益は、営業外費用で計上した固定資産除却損9百万円(前期比は計上なし)が大きなものであった。また、特別損益の計上はなかった。

 

四半期の業績推移

 

四半期ベースでも前期比、前年同期比とも増収増益となった。

 

営業利益の増減益要因

21/3期 営業利益

1,149

  保証売上の増加

+758

  ソリューション売上の減少

-18

  業務委託手数料の増加

-281

  保険料(保証関連)の減少

+79

  貸倒+保証履行の増加

-137

  人件費の増加

-100

  その他費用の増加

-266

22/3期 営業利益

1,184

*単位:百万円

 

家賃債務保証の成長及び事業成長を見据えた基幹システム、センター開設に費用を投下した。来期以降の業務改善効果が期待される。業務委託手数料が家賃債務保証の増収に連動して増加し前期比2億81百万円増加した。また、保険料(保証関連原価)は、医療費用保証における保証料調整により同79百万円減少した。その他、人件費が前期比1億円増加した他、家賃収納決済手数料、債権回収関連費用、センター開設関連費用などのその他費用が同2億66百万円増加した。

 

(2)事業別動向

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前年同期比

売上高

4,203

100.0%

4,943

100.0%

+17.6%

 保証事業

2,294

54.6%

3,053

61.8%

+33.1%

 ソリューション事業

1,909

45.4%

1,890

38.2%

-1.0%

期末の家賃分野保有件数(件)

385,833

100.0%

407,512

100.0%

+5.6%

 保証事業(件)

113,283

29.4%

146,885

36.0%

+29.7%

 ソリューション事業(件)

272,550

70.6%

260,627

64.0%

-4.4%

*単位:百万円、22/3期の家賃分野保有件数は概算の数値。

 

◎保証事業
保証事業は、家賃債務保証の新規契約の増加と保有件数の積み上がりによる更新保証料の増加が寄与し売上高が増加した。
一方、医療費用保証については、特に上期において新型コロナウイルス感染症拡大の影響による営業活動の制約等により売上高が減少した。コロナ禍の影響を受けつつも下期は営業活動を活発化したことなどにより、提携医療機関が引き続き増加し、
新規顧客の開拓により、第4四半期は既存顧客の保証料低下を吸収した。

 

【提携先データ】

連帯保証人代行制度スマホス

73医療機関(前期末比+17)、病床数19,608

医療費用保証付き入院セット及びその他商品

172医療機関(同+14)、病床数34,404

介護費用保証

205介護事業者(同+6)

 

*同社決算説明資料をもとに(株)インベストメントブリッジが作成

 

◎ソリューション事業
ソリューション事業、保証事業へのシフトが鮮明となり売上高が減少したものの、保険デスクサービスにおいては、少額短期保険における募集サービスが好調に推移した。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー

◎財政状態

 

21年3月

22年3月

 

21年3月

22年3月

現預金

3,075

3,268

前受収益・契約負債

946

1,182

立替金

1,537

2,011

保証履行引当金

102

111

流動資産

4,677

5,310

流動負債

1,551

1,774

有形固定資産

51

95

固定負債

59

96

無形固定資産

239

250

負債

1,611

1,871

投資その他

575

669

純資産

3,933

4,454

固定資産

866

1,015

負債・純資産合計

5,544

6,325

*単位:百万円

 

22/3月末の総資産は前期末比7億80百万円増加の63億25百万円。資産サイドでは、現預金、立替金、前払費用、投資その他の資産等が、負債・純資産サイドでは、契約負債(前事業年度は、前受収益)、保証履行引当金、その他固定負債、当期純利益の計上による利益剰余金等が主な増加要因となった。総資産の約84%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も70.3%と、高水準を維持している。

 

◎キャッシュ・フロー

21/3期

22/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー

551

618

67

+12.2%

投資キャッシュ・フロー

-267

-169

97

フリー・キャッシュ・フロー

284

449

165

+58.2%

財務キャッシュ・フロー

-225

-257

-31

現金及び現金同等物の期末残高

3,075

3,268

192

+6.2%

* 単位:百万円

 

CFの面から見ると、税金等調整前当期純利益、減価償却費、貸倒引当金の増加などにより営業CFのプラス幅が拡大した。また、有形及び無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出の減少などにより投資CFのマイナス幅が縮小し、フリーCFのプラス幅が拡大した。その他、配当金の支払額の増加などにより財務CFのマイナス幅は拡大した。以上により、期末のキャッシュ・ポジションは前期比6.2%増加した。

 

4.2023年3月期業績予想

(1)業績予想

22/3期

構成比

23/3期 予想

構成比

前期比

売上高

4,943

100.0%

6,200

100.0%

+25.4%

営業利益

1,184

24.0%

1,450

23.4%

+22.4%

経常利益

1,179

23.9%

1,450

23.4%

+22.9%

当期純利益

779

15.8%

910

14.7%

+16.7%

*単位:百万円

 

前期比25.4%増収、同22.4%営業増益
売上高は前期比25.4%増の62億円、営業利益は同22.4%増の14億50百万円の予想。
売上面では、C&Oサービスにおいて保証サービスへの切り替わりが継続するソリューション事業が減少するものの、家賃債務保証においてストックの積み上げ及び月次更新型契約の増加により更新保証料が大幅に増加することにより保証事業は増加する。
利益面では、保証事業における増収効果に加え、保証契約増加への体制整備による貸倒コストの増加率の一巡とセンター開設による一過性の費用の減少が寄与する。
配当は、中間、期末それぞれ6.50円/株の年間合計13.00円/株(前期比1.00円/株増)を予定。予想配当性向は31.9%。

 

営業利益の増減益要因

22/3期 営業利益

1,184

  保証売上の増加

+1,486

  ソリューション売上の減少

-228

  業務委託手数料の増加

-445

  保険料(保証関連)の増加

-47

  貸倒+保証履行の増加

-90

  人件費の増加

-85

  その他費用の増加

-322

23/3期 営業利益

1,450

*単位:百万円

 

業務委託手数料が、家賃債務保証の増収に連動し前期比4億45百万円増加する見込み。また、保険料(保証関連原価)が、医療費用保証における保証料調整の一巡により同47百万円増加する。その他、貸倒と保証履行が同90百万円増加する見込みも、立替増加への体制整備により貸倒コストの増加率は一巡する。加えて、決済手数料の増加などにより、その他費用が同3億22百万円増加する見込みである。

 

(2)事業別見通し

 

22/3期

23/3期(予)

前期比

保証事業

3,053

4,538

+48.6%

ソリューション事業

1,890

1,660

-12.2%

売上高合計

4,944

6,200

+25.4%

* 単位:百万円

 

◎保証事業
家賃債務保証は、前期比52.4%の増収を見込んでいる。ストックの積み上げ及び月次更新型契約の増加により更新保証料が大幅に増加する予定である。
保証新分野などでは、前期比19.9%の増収を予定。
医療費用保証では、保証料の低下が一巡する中、22/3月期をベースにコロナ禍の影響を計画に反映している。
介護費用保証では、コロナが収束傾向となる中、販売拡大向けた取り組みを活発化する。
養育費保証では、商品内容を改良し、事業基盤を確立する。

 

売上高

22/3期

23/3期(予)

前期比

家賃債務保証

2,696

4,110

+52.4%

保証新分野など

356

427

+19.9%

保証事業合計

3,053

4,538

+48.6%

*単位:百万円

 

◎ソリューション事業
ソリューション事業は、前期比12.2%の減収を計画している。
C&Oサービスでは、保証サービスへの切り替わりが継続する見込みで、同15.0%の減収を予定。
保険デスクサービスでは、少額短期保険を中心に販売拡大を進め同27.2%の増収を見込む。
Doc-onサービスは、前期比若干の減収を計画。

 

売上高

22/3期

23/3期(予)

前期比

C&Oサービス

1,726

1,467

-15.0%

保険デスクサービス

114

145

+27.2%

Doc-onサービス

49

48

-2.0%

ソリューション事業合計

1,890

1,660

-12.2%

*単位:百万円

 

5.今後の注目点

同社の23/3期は、前期比25.4%増収の会社計画となった。中でも主力の家賃債務保証の売上高が同52.4%増加する積極的な計画となっている。ストックの積み上げ及び月次更新型契約の増加により更新保証料が大幅に増加することが拡大の背景にある。家賃分野の保有件数の着実な積み上がりは、更新保証料の増加につながり同社の収益基盤の安定化と中長期の成長力の向上に貢献する。続く23/3期上期において、どれ位の規模で家賃分野の保有件数を積み上げることができるのか注目される。
また、新型コロナウイルス感染症拡大による上期の営業制約が影響し、前期は売上高が計画未達成となった医療費用保証ではあるが、下期は営業活動が活発化し新規の提携医療機関の開拓が進んだ。未だ新型コロナウイルス感染症拡大の影響は残るものの、アフターコロナを見据え23/3期はこれまで以上に営業活動が活発化することが予想される。全国に医療費の未収が発生している多数の医療機関が存在する環境下、医療費用保証市場の拡大への期待は大きい。営業活動の強化により、今後どれ位の新規提携医療機関を獲得できるのか注目される。
加えて、新規事業創造の動きにも注目したい。同社では中期経営計画をもとに、医療、介護、養育費に続く、新事業の創造に挑戦している。住宅ローン保証、奨学金保証など新保証とサービスの開発を強化する方針であり、ベンチャー企業との提携・出資やM&Aも検討している。中長期的な話ではあるが、これら新保証とサービスの開発状況についても期待を込めて注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 9名、うち社外3名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年12月17日)
基本的な考え方
当社は、「お客様にどれだけ喜んでいただけるか。」「お客様にどれだけ安心していただけるか。」「お客様にどれだけ信頼していただけるか。」を経営姿勢とし、事業拡大を図っていく中で、「コンプライアンスの維持と株主の利益を最大化すること」を重視し、コーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【原則4-11. 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】 当社の取締役会は、当社の各業務の分野に精通した社内取締役、親会社の代表取締役としてプレステージ・インターナショナルグループの経営全般に関与している取締役及び他の会社の取締役として豊富な経験と知識を有する社外取締役により構成されております。取締役会における活発な審議と迅速な意思決定に資するとの判断から、定款において取締役の員数は10名までと定めております。なお、外国人の取締役はおりませんが、当社は事業範囲が国内に限られており、現在の人数及びバランスは確保されていると判断しております。監査役については、財務・経理に関する専門的な知見を有していないものの、監査役監査に必要な知見については、外部のセミナーや会計監査人との情報共有等により確保されております。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4.政策保有株式】 当社は、事業上の連携強化など、企業価値の向上に資すると判断される場合には、政策保有株式の保有を検討いたします。保有する株式については、取引の状況や資本コスト等を踏まえた採算性を精査し、継続保有の可否について評価の結果を勘案し、保有目的に合致しない株式については、縮減を進めます。なお、現在保有している株式については、保有により想定される利益額に基づき採算性を算出し、資本コスト等との比較を実施した結果、保有を継続いたしております。また、議決権の行使にあたっては、議案の内容を精査した上で、株式の保有目的の達成状況及び保有先の経営状況等を勘案し、賛否を決定いたします。

当社は、関連当事者間の取引について、その取引が当社の経営の健全性を損なっていないか、合理的判断に照らし合わせて有効であるか、及び取引条件が他の外部取引と比較して著しく相違していないこと等を充分に確認のうえ実行することとしております。また、関連当事者間取引は、法令及び取締役会規程等の社内規程に則り、必要に応じて取締役会の承認を経るものとしております。取締役会での承認にあたっては、社外取締役が当該審議に加わるとともに、監査役が必要に応じて意見を述べることで、より客観的な立場から、取引内容の公正性、妥当性を検討することにより、当社及び株主共同の利益が損なわれないよう十分な審議を行っております。併せて、定期的に役員及び執行役員に対して、「関連当事者取引調査票」の提出を求めており、関連当事者との取引の有無を把握しております。

【原則3-1.情報開示の充実】 (1)経営理念について、コーポレート・ガバナンス報告書、有価証券報告書のほか、当社ホームページにおいて開示しております。具体的な経営戦略、経営計画につきましては、2021年5月14日付けで開示しております「中期経営計画」をご参照下さい。

(2)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方については、コードの各原則を踏まえ、コーポレート・ガバナンス報告書、有価証券報告書のほか、当社ホームページにおいて開示しております。

(3)取締役の報酬は、株主総会において承認された範囲内において、社外取締役が過半数を占める任意の指名・報酬委員会において審議した後、取締役会において決議いたします。また、業務執行取締役については、決定された報酬のうち、3か月分を上限として、株式報酬型ストックオプションに配分することができます。また、営業利益を指標とし、予想営業利益を10%以上超過した場合に、固定報酬額の1か月相当を上限に、一定の係数を乗じた額を賞与として支給する業績連動報酬を合わせて導入いたしております。

(4)執行役員の選解任並びに取締役・監査役の候補者の指名及び解任決議案の起案にあたっては、候補者等の経験、知見、能力、人格、実績等を総合的に検討した上で、執行役員の選解任については取締役会において検討を行い、取締役候補者の指名及び解任決議案の起案については、指名・報酬委員会にて審議の後、取締役会において決議を行い、監査役については、監査役会の協議及び同意を得た上で、取締役会の承認を受けて決定しております。

(5)執行役員の選解任並びに取締役・監査役の候補者の指名及び解任決議案の起案にあたっては、取締役会において、その理由を説明いたします。また、取締役及び監査役の指名にあたっては各候補者の経歴等及び社外取締役候補者及び社外監査役候補者の選任理由並びに取締役及び監査役の解任についての理由等につきましては、株主総会招集通知に記載することとしております。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】 IR活動については、代表取締役及び取締役経営管理部長の指示のもと、株主との対話の補助を社長室が行っております。株主との対話については、その重要性に鑑み、求めに応じて代表取締役が臨むことを基本方針としております。また、決算説明会を原則として年2回、個人投資家向け説明会を随時開催する方針であります。

 

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