(4849)エン・ジャパン株式会社 国内求人サイトと海外で回復牽引
鈴木 孝二 社長 |
エン・ジャパン株式会社(4849) |
|
会社情報
市場 |
東証プライム市場 |
業種 |
サービス業 |
代表者 |
鈴木 孝二 |
所在地 |
東京都新宿区西新宿 6-5-1 |
決算月 |
3月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(自己株式を控除) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
2,000円 |
44,920,623株 |
89,841百万円 |
17.2% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
70.10円 |
3.5% |
47.20円 |
42.4倍 |
903.89円 |
2.2倍 |
*株価は5/24終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*BPS、ROEは22年3月期実績。数値は四捨五入。
*DPS、EPSは23/3期の会社予想。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属 する当期純利益 |
EPS |
DPS |
2019年3月(実) |
48,733 |
11,661 |
11,834 |
8,144 |
178.97 |
62.80 |
2020年3月(実) |
56,848 |
11,005 |
11,057 |
7,125 |
156.23 |
74.80 |
2021年3月(実) |
42,725 |
7,771 |
7,939 |
3,502 |
78.19 |
37.10 |
2022年3月(実) |
54,544 |
9,633 |
10,138 |
6,628 |
147.71 |
70.10 |
2023年3月(予) |
62,000 |
3,085 |
3,086 |
2,118 |
47.20 |
70.10 |
* 単位:百万円、円
エン・ジャパンの2022年3月期決算と2023年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画(23/3期~27/3期)
3.2022年3月期決算
4.2023年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 22/3期の業績は、売上高が前期比27.7%の増収、営業利益が同24.0%の増益。売上高の面では、国内求人サイトと海外事業が回復を牽引した。engageにおいても有料利用社数と有料求人数がともに大きく伸長するとともに広告宣伝費の先行投資も奏功し、売上が大幅に増加した。一方、 engage・AMBIへの先行投資を積み増したことにより、営業利益は期初計画を若干下回った。
- 23/3期の会社計画は、売上高が前期比13.7%の増収、営業利益が同68.0%の減益。engageとAMBIに対して広告宣伝費を中心に積極的に投資するとともに、 既存事業においても一定の投資を行い、今後の成長基盤を構築する。これらの積極投資の影響により前期比増収減益となる見込みである。1株当たりの配当は、前期と同額の70.1円を予定。投資先行期間である3年間は、前期水準の安定配当を実施する。
- 同社は、23/3期よりengageとAMBIからなる投資事業への積極投資を本格化する。engageにおいては、総アカウント数、公開求人数、有料利用社数、有料求人数、会員数、MAU数が、AMBI・ミドルの転職においては、利用社数、求人数、会員数がKPIであり、今後の成長の鍵を握る。今後の積極投資が、これらKPIにどの様なインパクトを与えるのか注目される。
1.会社概要
企業理念
同社のパーパス (存在意義)は、誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする~Inner Calling & Work Hard~である。自社が大切にしている考え方、価値観「価値観」が昇華し、社会における自社の存在意義(目的)「パーパス」を実現し、自社の目指したい、周りから見られたい将来像(目標)「ビジョン」の達成により、本業を通じた社会への貢献へつながるとの経営理念を持っている。
主要事業モデル |
|
求人サイト |
求職者と求人企業をオンラインサイト上でマッチング。正社員を中心に派遣スタッフ・アルバイトサイトも展開。課金モデルは企業からの掲載課金および成功報酬。 |
人材紹介 |
求職者と求人企業を当社コンサルタントがマッチング。若手ポテンシャルからハイクラス層までを幅広くカバー。課金モデルは企業からの成功報酬。 |
海外 |
インド・ベトナムを中心に展開。インドは3,000人を超える技術者が強みのIT派遣事業。 ベトナムは国内トップシェアの求人サイト・人材紹介を展開。 |
HR-Tech |
国内42万社が利用する、採用HP・求人作成サービス「engage」。 100万件を超える優良な求人案件により、日本全国の企業と求職者をマッチング。フリーミアムモデル。 |
(同社決算説明資料より)
ビジョン:Good to Great Worldwide |
|
Great Companyの条件 |
同社 |
① 地球規模で消える事のない足跡を残し、世界全般で尊敬されている |
世界で最も正直詳細な求人情報の提供 転職を煽らない「入社後活躍」を創業時から展開 |
② 不変の基本的価値観と単なる金もうけを超えた目的をもっている |
|
③ 最高経営責任者(CEO)が世代交代している |
2022年4月、二人代表制から一人代表制へ移行 (現社長の鈴木氏が代表取締役) |
④ 当初の主力商品のライフサイクルを超えて繁栄している |
engageおよび人財プラットフォーム事業を強化し、採用市場に大きな変化を起こすチャレンジ |
(同社決算説明資料を参考にインベストメントブリッジ作成)
主なグループ企業
会社名 (*は非連結子会社) |
事業内容 |
エンワールド・ジャパン(株) |
グローバル企業向け人材紹介・人材派遣 |
Future Focus Infotech Pvt.Ltd.(インド) |
IT人材派遣 |
Navigos Group, Ltd.(ベトナム) |
ベトナムNo.1の求人サイト運営及び人材紹介 |
(株)ゼクウ |
派遣会社向け採用管理システムでシェアトップ |
(株)ブロカント |
フリーランス向け案件検索サイ |
エン婚活エージェント(株) |
オンライン婚活支援サービス |
(株)インサイトテック(*) |
人工知能を利用したデータ解析受託 |
国内求人サイト
|
内容 |
特徴 |
顧客企業 |
エン転職 |
総合転職情報サイト |
・一般事業会社直接募集原稿は、1社1社独自に取材・撮影 |
一般事業会社 |
・求職者の立場に立った正直かつ詳細な求人情報 |
|||
ミドルの転職 |
人材紹介会社集合サイト |
・ミドル層の転職に強い500社以上の人材紹介会社及び求人情報を掲載 |
人材紹介会社 一般事業会社 |
・コンサルタントの得意領域、実績などに加えユーザーからの評価を公開 |
|||
AMBI |
20代ハイクラス特化型求人サイト |
・20代×年収500万円以上の案件が中心 |
人材紹介会社 一般事業会社 |
・一般事業会社、人材紹介会社によるスカウトに軸を置いたサイト設計 |
|||
エンジニアHub |
Webエンジニアに特化した求人サイト |
・若手Webエンジニア向け情報メディア「エンジニアHub」による求人サイト ・メガベンチャーやスタートアップなど、エンジニアの成長に繋がる求人を厳選 |
一般事業会社 |
エン派遣 |
人材派遣会社集合サイト |
・人材派遣会社の情報及び求人情報を掲載 |
人材派遣会社 |
・ユーザーが直感的に操作しやすい検索機能 |
|||
エンバイト |
アルバイト求人情報サイト |
・ユーザーの閲覧履歴からお勧めバイトを提案する等、ユーザーの希望にあったバイト探しをサポート ・主に人材派遣会社が保有するアルバイト求人情報を掲載 |
人材派遣会社 |
ウィメンズワーク |
女性向け求人情報サイト |
・正社員として働くことを希望する女性向け求人サイト |
人材派遣会社 |
・「正社員または正社員登用あり」の求人のみ掲載 |
|||
・オフィスワーク系職種を多数掲載 |
|||
キャリアバイト |
大学生向けインターン情報サイト |
・時間の切り売りではなく「成長できる有給インターン」を目的とした大学生向けサイト ・インターンシップサイトのパイオニアであり、国内最大級の実績、求人件数 |
一般事業会社 |
FREELANCE START |
フリーランスエンジニア案件検索エンジンサイト |
・フリーランスエージェントの案件情報をまとめて検索・エントリーが可能 ・国内最大級のフリーランス案件検索エンジンサイト |
フリーランスエージェント |
doocy Job |
副業・フリーランスのエンジニア向け求人情報サイト |
・有名企業やベンチャー、スタートアップ企業などの副業・フリーランス求人案件を掲載 ・企業との直接契約により、中間マージンや手数料がなく、高単価で魅力的な案件が豊富 |
一般事業会社 |
国内人材紹介
|
内容 |
|
特徴 |
顧客企業 |
エンワールド・ジャパン |
人材紹介 |
・ |
日本国内に営業・サービス・製造などの拠点を設けている外資系企業及びグローバルな展開を行っている日系企業がクライアント。グローバル人材の中間管理職~エグゼクティブレベルの案件を取扱う |
外資系企業 日系企業 |
・ |
グローバル人材の紹介領域において、国内トップクラスのシェア |
|||
エン エージェント |
人材紹介 |
・ |
エン・ジャパンが持つ求職者データベース及び企業顧客と取引実績を活用した人材紹介サービス。 |
日系企業 |
海外事業
|
国 |
内容 |
|
特徴 |
顧客企業 |
NEW ERA |
インド |
人材紹介 |
・ |
インドで事業を行う現地企業及びグローバル企業がクライアント |
現地企業 グローバル企業 |
・ |
高年収層の案件を中心に取り扱っており、IT関連に強み |
||||
Future Focus Infotech |
IT人材派遣 |
・ |
IT派遣で20年の実績があり、代表的なIT企業を数多く顧客に持つ |
現地企業 グローバル企業 |
|
・
・ |
AIやIoTなど先端技術への投資・教育に力を入れている 米国やUAEなど、インド以外からのオフショア 開発も受託 |
||||
Navigos Search |
ベトナム |
人材紹介 |
・ |
ベトナムにおいてNo.1の人材紹介 |
現地企業 グローバル企業 日系企業 |
・ |
現地企業・グローバル企業に対し、管理職レベルの人材を紹介。日系企業も強化 |
||||
VietnamWorks |
総合求人 情報サイト |
・ |
ベトナムにおいてNo.1の求人サイト |
現地企業 グローバル企業 日系企業 |
|
・ |
主に現地の人材と現地企業・グローバル企業が顧客対象。日系企業も強化 |
||||
英才網聯(北京)科技有限公司 |
中国 |
求人サイト |
・
・ |
2004年に設立。建築・不動産領域に強みをもつ求人サイトを運営 近年では建築・不動産以外の領域も強化 |
現地企業 グローバル企業 |
HR-Tech_募集・採用事業募
|
内容 |
|
特徴 |
顧客企業 |
engage |
採用・入社後の活躍を目的としたデジタルプラットフォーム |
・ |
フリーミアムモデルの採用支援ツール |
一般事業会社 |
・ |
高クオリティな企業の採用ホームページ、求人募集を簡単かつスピーディーに作成可能 |
|||
・ |
作成した求人は自動で「indeed」や「googleしごと検索」等に連携 |
|||
・ |
有料プランの利用により、より多くの応募獲得を顧客企業に提供し、採用強化をサポート |
|||
・ |
適性テストやリテンション対策ツール等、関連サービスもengage上に搭載等 |
HR-Tech_ATS・テスト事業(主要サービス)
ZEKU 株式会社ゼクウ |
採用管理システム 業務管理システム |
・
・ |
求人情報、面接者、応募対応、効果測定などの各種管理を一元化 採用後のスタッフや求人募集案件を一元管理 |
人材派遣会社 一般事業会社 |
3Eテスト |
活躍できる人材を発見する、見極める適性テスト |
・ |
学歴や役職などの肩書では判断が難しい知的能力・考え方・価値観などを検査 |
一般事業会社 |
・ |
短時間、スマホ等のオンラインで受講可能 |
|||
・ |
企業が求める人材の発見とミスマッチを防止 |
|||
ASHIATO |
入社後活躍までを見据えたリファレンスレポートサービス |
・
・ |
約15万社の採用支援実績・ノウハウをもとに、独自のアンケートを実施し、候補者の活躍ぶりをヒアリング。選考に活用できる面接アドバイスをレポート オンラインを中心としたサービスにより、スピーディーなレポートを実現。導入しやすい価格で提供 |
一般事業会社 |
HR-Tech_入社後フォロー・組織活性化事業(主要サービス)
en-college |
社員向け オンライン研修サービス |
・
・ |
新人社員から経営層向けまで400以上の講座を提供するオンライン研修サービス 派遣会社のスタッフ教育として、「派遣スタッフ版エンカレッジオンライン」も提供 |
一般事業会社 人材派遣会社 |
HR OnBoard |
リテンション対策ツール「HR OnBoard」の開発・販売 |
・
・
|
入社後の離職リスクを可視化するオンラインアンケートツール 月1回、対象者へのアンケートにより離職リスクを簡単に可視化 離職防止への素早い行動が可能に |
一般事業会社 |
国内その他事業・子会社事業
iroots |
新卒学生向けスカウトサイト |
・ ・ |
新卒学生向けの逆求人型就活スカウトサービス プロフィールや適性診断に基づき、企業が直接新卒学生にスカウトすることができるサービス |
一般事業会社 |
pasture |
フリーランスマネジメントサービス |
・
・ |
フリーランスへの発注、進捗、請求を一元管理できるクラウドサービス 受発注情報を全てデジタル化、CRMや会計ソフトなど他Webサービスとの連携も |
一般事業会社 |
O.W.L.S |
Webサイト及びアプリケーションのデザイン・開発受託 |
・ |
UI×UXグロース事業を展開。デザインだけではなく、ユーザーがサイトやアプリを通じて得る適切な体験までを設計・コンサルティングの上でサービスを提供 |
一般事業会社 |
その他新規事業 ※非連結子会社
|
内容 |
|
特徴 |
顧客企業 |
Insight Tech |
マーケティングリサーチ AIを活用したデータ解析 |
・ |
消費者から買い取った「不満」をDB化~解析し、商品開発に役立つ商品として企業へ販売 |
一般事業会社 |
・ |
高度なデータ解析技術を元に企業が保有するデータを解析。課題解決のソリューション提供 |
|||
エン婚活エージェント |
オンライン婚活支援サービス |
・ |
「結婚後の幸せ」をゴールとした新しいコンセプトの婚活サービス |
一般消費者 |
(同社決算説明資料より)
同社の強み
人材・企業DBとその活用力 |
・1,000万名を超える人材データベースと15万社超との取引実績。 ・「人」「企業」の両面で充実したデータベースの保有に加え、その活用力にも強み。 ・文章解析AIなどテクノロジーの力を駆使し、精度の高いマッチングを効率的に実現。 ・DX 関連事業などの新事業に、既存の営業網を活用することも可能。 |
HR×Web領域の知見と開発 |
・1995年に国内初の求人サイトを立ち上げて以来、Web領域における知見を蓄積。 ・サイト構築・運用やWebマーケティングなど、デジタル活用に強み。 ・近年ではAIなどの活用も強化。 ・入社後の活躍まで実現するHR領域のノウハウと掛け合わせることで、競合優位性のある独自のプロダクトを開発。(HR OnBoard、engage、ASHIATOなど新サービスを継続的にリリース)。 |
変化に即応できる組織力 |
・新型コロナウイルス拡大の初期段階で在宅勤務に移行。 ・リモートを基本とし、オフィスを大幅に縮小。 ・訪問ではなくリモートで営業活動を行なう「インサイドセールス」を先駆的に実践していた素地もあり、生産性に影響はなし。 ・書類を介していた手続きも大半を電子化。 |
主観正義性と収益性の両立 |
・主観正義性とは「世の中のあるべき姿を独自に考え、その実現に尽力する」姿勢を指す同社独自の考え方で、HR 以外も含めた全事業に共通する考え方。 ・収益性のみに偏ることなく、世の中をより良く変えていくスタンスが独自性と信頼に直結。 ・この結果、運営サービスはオリコン顧客満足度®調査など外部調査で高評価を獲得。 |
海外進出の状況
同社は、2006年に求人情報サイトを運営する中国企業「英才網聯」に出資を行なって以来、アジアを中心に海外展開を進めており、現在は特に著しい経済成長が見込まれるベトナムとインドに注力している。ベトナムでは、国内の求人サイトおよび人材紹介事業で圧倒的なシェアを有する「Navigos Group」を2013年4月に子会社化。国内No.1のHR 企業として成長を続けている。今後は、更なる需要拡大が見込まれる管理職クラス向けのサービスや教育事業も強化し、マーケットへの影響力をより高めていく計画である。また、インドでは、2019年にインドの「Future Focus Infotech Pvt.Ltd.」を子会社化。IT エンジニア人材派遣において20年の実績があり、3,000名を超えるエンジニアを有するインド国内で大きなシェアを持つ企業。今後も高い需要と成長が見込まれる「IT領域」を軸に事業拡大を進める方針である。
(同社統合報告書2021より)
ESGの取り組み状況
社会をより良く変えていくことができる企業経営の形を模索してきた同社にとって、ESG は極めて重要なテーマだと考えている。同社は、設立以来「ビジネスを通じた社会課題の解決」に取り組んでいる。慈善・文化支援活動ではなく、影響力と継続性を兼ね備える「本業」の中で、業界、ひいては社会全体をより良く変革していくとの信念を貫いてきた。メイン事業のHRビジネスは雇用創出・生産性向上・仕事人生の充実などに通じる、極めて社会性の高い領域であり、真摯に本業と向き合うことが最大の社会貢献だとの考えのもと事業を推進している。最も大切にしているのは、本業において「主観正義」を貫くことであり、まだ社会的に問題とされていないことでも、独自の問題意識をもって解決に取り組んである。そのため、むやみに転職を煽るのではなく、「入社後活躍の実現」まで徹底的にこだわった就転職支援サービスを提供することで、業界の変革を促してきた。
【環境(Environment)】
同社は、事業モデル上、環境へのインパクトは少ないが、継続的なCO2排出量削減を実施している。環境基本方針を設定し、事業における環境負荷軽減や社員に対する教育・啓発活動を実施している。主な取組みとしては、リモートワークの推進による電気使用量の削減や業務におけるペーパーレス化推進による紙使用量の削減などが挙げられる。
(同社統合報告書2021より)
【社会(Social)】
社会への取り組みにおいては、「誰かのため、社会のために懸命になる人を増やし、世界をよくする」との同社のパーパスに基づいた事業を推進している。また、「共創型理念経営」で社員の意見を反映した理念のアップデートを行った他、新たな業績連動報酬の導入等、社員のインセンティブの向上を図った。更に、職種コース別の新卒採用を拡充し、早期のキャリア形成を促進するとともにコース変更・社内異動等、柔軟なキャリアモデルを採用した。加えて、リモートワーク主体の勤務体制を推進しヴァーチャルオフィス等、コミュニケーションの充実などを図った。
【ガバナンス】
同社は、取締役会の監督機能強化により、経営の客観性・透明性を高めている。 監査役会設置会社から、監査等委員会設置会社へ移行し、社外取締役比率も半数以上とした。
(同社決算説明資料より)
2.中期経営計画(23/3期~27/3期)
同社は、2022年5月12日に新中期経営計画(23/3期~27/3期)を公表した。生産年齢人口が今後も減少する中、働き方の変化・成長産業への労働移動など、流動性が高まる可能性が高く、構造的な人手不足が予想される。これまで雇用市場は、終身雇用・総合職が一般的であったが、企業の寿命縮小と社会変化に対応する人材需要の増加により、雇用流動性の高まりとプロフェッショナル職・マネジメント職需要の増加によるジョブ型雇用が主流になる可能性が高い。また、企業が求職者を選ぶ時代から、生産年齢人口の減少により、求職者が企業を選ぶ時代へ変化するものと予想される。更に、人材会社が採用を担う環境から、D2C等採用手法の多様化により、ダイレクトリクルーティングなど事業会社が自ら採用を行う環境へ変化する可能性が高い。 こうした中、新たな採用手法が普及しTech化が進展しているが、同社では今後も更に採用手法のTech化が加速すると予想しており、これに対応した積極的な先行投資が必要と考えている。
中期経営計画の基本方針は、「投資事業を既存事業と並ぶ規模にする5年間」である。「engage」と「AMBI」を投資事業と位置づけ積極的な投資により次なる事業の柱にする。また、既存事業へも一定の投資を行い、高収益な事業として継続する。更に、成長を支える「人材」への投資や「ガバナンス」を一層強化する。中期経営計画の最終年度である27/3期の数値目標は、売上高1,200億円、営業利益240億円であり、22/3期の売上高と営業利益の2倍強の水準となる。
数値計画(連結業績)
|
22/3期 (実績) |
23/3期 (中計) |
24/3期 (中計) |
25/3期 (中計) |
26/3期 (予想) |
27/3期 (予想) |
5年 CAGR |
売上高 |
545 |
620 |
700 |
850 |
1,000 |
1,200 |
17% |
営業利益 |
96 |
31 |
41 |
99 |
175 |
240 |
20% |
営業業利益率 |
18% |
5% |
6% |
12% |
18% |
20% |
- |
* 単位:百万円
セグメント区分の変更
(変更前)
セグメント名 |
国内求人サイト |
国内人材紹介 |
海外 |
HR-tech |
その他 |
主要構成サービス |
・エン転職 ・ミドルの転職 ・AMBI ・エン派遣、 エンバイト 他 |
・EWJ ・エンエージェント |
・FFI(インド) ・Navigos (ベトナム) ・英才(中国) ・NewEra(インド) |
・engage ・ATS、適性テスト ・入社後フォローサービス |
・iroots (新卒サービス) ・アウルス ・新規事業(Pasture) 他 |
↓
(変更後)
セグメント名 |
投資 |
既存 |
||
HR-tech engage |
人財プラットフォーム |
国内 |
海外 |
|
主要構成サービス |
・engage |
・AMBI ・ミドルの転職 他 |
国内求人サイト ・エン転職 ・エン派遣、エンバイト他 国内人材紹介 ・EWJ ・エンエージェント 国内その他 ・ATS、適性テスト ・入社後フォロー サービス ・新規事業開発 他 |
・FFI(インド) ・Navigos(ベトナム) ・英才(中国) ・NewEra(インド) |
数値計画(連結業績)
|
22/3期 (実績) |
23/3期 (中計) |
24/3期 (中計) |
25/3期 (中計) |
26/3期 (予想) |
27/3期 (予想) |
||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
19 |
32 |
50 |
85 |
130 |
180 |
営業利益 |
-4 |
-37 |
-47 |
-20 |
20 |
45 |
||
営業利益率 |
-23% |
-115% |
-94% |
-24% |
16% |
25% |
||
人財プラット フォーム |
売上高 |
44 |
54 |
69 |
85 |
105 |
133 |
|
営業利益 |
8 |
-13 |
-2 |
11 |
16 |
25 |
||
営業利益率 |
19% |
-24% |
-3% |
14% |
15% |
19% |
||
既存 |
国内 |
売上高 |
378 |
403 |
449 |
502 |
566 |
635 |
求人サイト |
258 |
274 |
292 |
310 |
334 |
359 |
||
人材紹介 |
97 |
99 |
112 |
130 |
152 |
174 |
||
その他 |
23 |
29 |
44 |
61 |
80 |
102 |
||
営業利益 |
93 |
79 |
91 |
111 |
136 |
166 |
||
営業利益率 |
24% |
20% |
20% |
22% |
24% |
26% |
||
海外 |
売上高 |
110 |
135 |
143 |
182 |
216 |
258 |
|
営業利益 |
9 |
9 |
11 |
20 |
28 |
37 |
||
営業利益率 |
8% |
7% |
8% |
11% |
13% |
14% |
||
全社調整 |
売上高 |
-6 |
-4 |
-11 |
-3 |
-17 |
-6 |
|
営業利益 |
-9 |
-8 |
-13 |
-23 |
-25 |
-34 |
||
連結 |
売上高 |
545 |
620 |
700 |
850 |
1,000 |
1,200 |
|
営業利益 |
96 |
31 |
41 |
99 |
175 |
240 |
||
営業利益率 |
18% |
5% |
6% |
12% |
18% |
20% |
* 単位:百万円
【投資事業】
◎HR-Tech- engage –
engageは、従来の求人メディアとは異なるユニークなサービスである。他社にない多彩な求人ネットワークとの連携が武器であり、有料プランへ加入すると、更に連携が増え露出もアップする仕組みとなっており、利用者のニーズに合わせ応募課金と掲載課金が選択される。企業側は、採用ページ・求人を簡単に作成でき、40万社、100万件の求人が掲載されている。求職者側は、膨大な求人数により選択肢が広がり、AI活用により最適な求人マッチングが可能となっている。
ターゲットなる27/3期の予想市場規模は、従来型求人メディアの領域であり約4,000億円と機会が大きい。engageは、5年後に現状より10倍(CAGR60%)の売上高、営業利益率25%を目指す(長期的には更なる向上を図る)。企業側のKPIが順調に積み上がり、高成長へ向けた絶好の機会となっている。こうした中、プロモーション投資を強化し求職者の急拡大を図る計画である。
企業側のKPI |
|
総アカウント数 |
42万社、国内企業数の約12% |
公開求人数 |
約100万件、ハローワーク正社員求人数と同等の規模 |
有料利用社数 |
9,500社、前年同期比約1.7倍 |
有料求人数 |
15万件、前年同期比約5倍 |
求職者側のKPI |
|
会員数 |
110 万人 |
MAU数(2022年1~3月の平均値) |
33万人 |
* データは2022年3月期末時点
◎人財プラットフォーム(AMBI・ミドルの転職)
AMBI・ミドルの転職は、ハイクラス人材と企業をサイトでマッチングするツールである。企業側は、一般企業と人材紹介会社であり求人掲載とスカウトを行い、求職者側は求人の閲覧、応募、スカウト返信などを行う。250万人以上のハイクラス会員数を抱える。AMBIは若手優秀人材に特化したダイレクトフィッティングサービが特徴であり、メガベンチャーや大手企業などが利用している。
ターゲットなる27/3期の予想市場規模は約5,000億円で、人材紹介市場が拡大し、中でもハイクラス領域の拡大余地が大きい。人財プラットフォームは、5年後に現状より3倍(CAGR25%)の売上高、営業利益率19%(長期的には更なる向上を図る)。AMBIを中心に一定のポジションを構築しているが、今後高成長する市場で強固なポジションを築くため、プロモーション投資と営業人員体制を強化する計画である。
企業側のKPI |
|
利用社数 |
2,900社、前年同期比+1,300社 |
求人数 |
21.4万件、前年同期比+2.6万件 |
求職者側のKPI |
|
会員数 |
257万人、前年同期比+35万人 |
* データは2022年3月期末時点
【既存事業】
◎国内
既存事業の国内は、求人サイト・人材紹介を中心に5年で利益を大幅に増加し、利益率の向上も図る。
◆求人サイトは、最終年度に利益率30%以上を計画。高収益事業、利益創出の軸としての位置づけは変わらない。コロナ禍により営業人員を絞り込み営業生産性は既にコロナ前の水準となっており、今後人員の増強を図り利益の大幅な増加を見込む。
◆人材紹介は、最終年度に利益率20%以上を計画。課題となった人員増強・システム投資を図り、着実に利益率を向上させる。
◆その他は、最終年度に利益率10%以上を計画。新規事業投資により中計前半はコスト先行となるものの、SX(Sales Tech)の伸長等により、後半に利益貢献を見込む。
◎海外
既存事業の海外は、インド・ベトナムともに規模の拡大と収益性の向上を図り、5年で売上高2倍と利益 4倍を目指す。
◆インドは、利益率を現状の一桁前半から、10%近くまで向上させる。 IT人材需要の高まりは、長期的にも不変であり、追い風となっている。こうした中、インドにおいては高付加価値案件の拡充を図るとともに、収益性の米国企業の事業強化を推進する。
◆ベトナムは、国内トップシェア、求人サイトの強みを活かし、30%以上の利益率を計画。単価向上による営業生産性拡大と人材紹介事業の利益率向上を図る。
財務基本方針と株主還元(配当計画)
【財務基本方針】
保有資金は成長投資(M&A)を優先しつつ、状況により更なる株主還元を検討する。また、先行投資の強化の3年間は、22/3期水準の配当を維持(70.1円)する方針である。
現預金 |
用途 |
方針 |
単年 P/L |
事業 |
◆中期的な高成長に向けた、広告宣伝を強化。 ◆事業モデル上、投資は単年度P/L内で収まる。 |
B/S 2/3 |
M&A |
◆資金の有効な使途として、成長投資につながるM&Aでの使用を優先。 ◆手元資金優先だが、非効率な現金滞留は避ける。規模により、借入も検討。 |
還元 |
◆配当は当面(3年)安定配当(前期水準)を実施。その後、配当性向50%。 ◆自己株式取得はM&Aの進捗状況を踏まえ、機動的に実施を検討する。 |
|
B/S 1/3 |
有事保有 |
◆保有資金の1/3程度を基準として保持。 ◆柔軟なコストコントロールはするが、固定費の3か月分を有事資金として保持。 |
【株主還元(配当計画)】
投資先行期間は固定配当とし、利益が大きく伸びる26/3期以降は、配当性向を50%へ高める方針。
(同社決算説明資料より)
3.2022年3月期決算
(1)2022年3月期連結業績
|
21/3期 |
構成比 |
22/3期 |
構成比 |
前期比 |
売上高 |
42,725 |
100.0% |
54,544 |
100.0% |
+27.7% |
売上総利益 |
34,159 |
80.0% |
43,043 |
78.9% |
+26.0% |
販管費 |
26,387 |
61.8% |
33,409 |
61.3% |
+26.6% |
営業利益 |
7,771 |
18.2% |
9,633 |
17.7% |
+24.0% |
経常利益 |
7,939 |
18.6% |
10,138 |
18.6% |
+27.7% |
親会社に株主に帰属する 四半期純利益 |
3,502 |
8.2% |
6,628 |
12.2% |
+89.3% |
* 単位:百万円
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
売上高は前期比27.7%増収、営業利益は同24.0%増益
売上高は前期比27.7%増の545億44百万円。売上高の面では、国内求人サイトと海外事業が回復を牽引した。engageにおいても有料利用社数と有料求人数がともに大きく伸長するとともに広告宣伝費の先行投資も奏功し、売上が大幅に増加した。
一方、総費用は、インドのIT派遣事業の増収に伴い原価が増加したこと、求人需要の回復に連動した国内求人サイトへの広告宣伝強化及びengageやAMBIなど注力事業へ広告宣伝費を先行投資したことなどから前期比28.5%増の449億11百万円となった。この結果、営業利益は前期比24.0%増の96億33百万円となり、期初計画を若干下回った。売上総利益率は前期比1.1ポイント下落の78.9%、売上高対販管費比率は同0.5ポイント低下した。その結果、売上高営業利益率は17.7%と前期比0.5ポイントの低下となった。その他、営業外収益で計上した投資事業組合運用益が前期比で2億50百万円増加したことや、特別損失で計上した投資有価証券評価損が前期比13億48百万円減少したことなどにより、経常利益及び税金等調整前当期純利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。
売上原価の主な費用
22/3期第4四半期(1-3月期)の売上原価は、前年同期比で60.2%増加した。主にIT派遣のFFI社(インド)で売上高が増加したことにより、業務委託関連の費用が増加した。
販管費の主な費用
22/3期第4四半期(1-3期)の販管費は、前年同期比で45.8%増加した。国内求人サイトとengageにおいて広告宣伝費が増加した。
(2)セグメント別動向
国内求人サイト【エン転職、ミドルの転職、AMBI、エン派遣、エンバイト、キャリアバイト、Brocante、その他関連商品等】
<累計比較>
|
21/3期(2020.4~2021.3) |
22/3期(2021.4~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
21,774 |
– |
29,460 |
– |
+7,686 |
+35.3% |
営業利益 |
8,346 |
38.3% |
8,180 |
27.8% |
-166 |
-2.0% |
<四半期比較>
|
21/3期4Q (2021.1~2021.3) |
22/3期4Q実績 (2022.1~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
6,322 |
– |
8,582 |
– |
+2,260 |
+35.8% |
営業利益 |
2,526 |
40.0% |
2,336 |
27.2% |
-191 |
-7.6% |
【第4四半期(1-3月)の状況】
エン転職は、IT派遣、製造派遣、製造業など中心に、採用需要は堅調に回復した。採用活動を再開する企業の増加もあり、広告件数は大幅に増加した。AMBIとミドルの転職は、若手ハイクラス層に特化するAMBIの会員数と利用企業数が増加し、高成長が継続したAMBIにおいて高成長が継続した他、プロモーションの強化による会員データベースの増加と営業体制の強化により営業生産性が向上した。エン派遣とエンバイトは、大手派遣会社の出稿増加により売上高が想定を上回ったものの、回復傾向は緩やかとなる見通しである。こうした環境下、ユーザー獲得強化のため広告宣伝投資を強化したことにより、前年同期並みの営業利益での着地となった。
国内人材紹介【エンワールド・ジャパン、エン エージェント、 その他関連商品販売等】
<累計比較>
|
21/3期(2020.4~2021.3) |
22/3期(2021.4~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
9,385 |
– |
9,649 |
– |
+264 |
+2.8% |
営業利益 |
517 |
5.5% |
1,347 |
14.0% |
+830 |
+160.4% |
<四半期比較>
|
21/3期4Q (2021.1~2021.3) |
22/3期4Q実績 (2022.1~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
2,278 |
– |
2,410 |
– |
+132 |
+5.8% |
営業利益 |
185 |
8.1% |
395 |
16.4% |
+210 |
+113.6% |
【第4四半期(1-3月)の状況】
エン エージェントは、製造業中心に採用需要が増加した他、需給逼迫を背景に未経験者採用も増加傾向となった。生産性向上に加えて、ミドル層の決定人数増加による単価上昇を受け、売上が前年同期比で増加した。EWJは、ハイクラス層の需要の高さもあり、営業生産性が高水準を維持した。コロナ禍前と比較して人員数が減少したが、今後は人員増加と育成に注力する方針である。こうした環境下、営業生産性向上と人員減による人件費減少により、営業利益は前年同期比で増加した。
海外事業【ベトナム、インド、中国(求人サイト、人材紹介、IT技術者派遣)】
<累計比較>
|
21/3期(2020.4~2021.3) |
22/3期(2021.4~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
8,011 |
– |
10,975 |
– |
+2,963 |
+37.0% |
営業利益 |
551 |
6.9% |
934 |
8.5% |
+383 |
+69.5% |
<四半期比較>
|
21/3期4Q (2021.1~2021.3) |
22/3期4Q実績 (2022.1~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
1,998 |
– |
3,381 |
– |
+1.383 |
+69.2% |
営業利益 |
196 |
9.8% |
267 |
7.9% |
+71 |
+36.5% |
【第4四半期(1-3月)の状況】
海外子会社の業績は、3ヶ月遅れて取り込まれた数値となっている。インドは、世界的なIT需要の高まりに伴い、インド・アメリカのIT派遣事業が大きく伸長し前年同期比で約2倍の売上規模に拡大した。ベトナムは、9月までロックダウンの影響で第3四半期の売上高が前年割れとなったものの、10月以降は需要が回復傾向となり第4四半期は前年同期を上回った。
国内その他事業・子会社【教育評価商品、新卒採用商品、アウルス、 新規事業開発他】
<累計比較>
|
21/3期(2020.4~2021.3) |
22/3期(2021.4~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
2,694 |
– |
976 |
– |
-1,718 |
-63.8% |
営業利益 |
67 |
2.5% |
-229 |
-23.5% |
-297 |
– |
<四半期比較>
|
21/3期4Q (2021.1~2021.3) |
22/3期4Q実績 (2022.1~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
709 |
– |
221 |
– |
-489 |
-68.9% |
営業利益 |
72 |
10.2% |
-89 |
-40.4% |
-161 |
– |
【第4四半期(1-3月)の状況】
今期からのセグメント再編により売上と営業利益が減少した。こうした影響を除いても前年同期比で減収減益となった。新卒向けスカウトサービス「iroots」は、新卒採用を再開する企業の増加や採用活動の早期化もあり売上が大幅に増加した他、SaaS型フリーランスマネジメントシステムの「Pasture」も順調にアカウント数が増加した。
HR-Tech【engage、ATS・テスト事業⇒ ㈱ゼクウ、3Eテスト、ASHIATO、入社後フォロー・組織活性化事業⇒
en-college(エンカレッジ)、HR OnBoard】
<累計比較>
|
21/3期(2020.4~2021.3) |
22/3期(2021.4~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
1,215 |
– |
3,920 |
– |
2,705 |
+222.6% |
営業利益 |
-937 |
-77.1% |
149 |
3.8% |
1,087 |
– |
<四半期比較>
|
21/3期4Q (2021.1~2021.3) |
22/3期4Q実績 (2022.1~2022.3) |
前期比 |
|||
|
(百万円) |
利益率 |
(百万円) |
利益率 |
増減額(百万円) |
増減率 |
売上高 |
375 |
– |
1,164 |
– |
+789 |
+210.2% |
営業利益 |
-88 |
-23.4% |
-327 |
-28.1% |
-239 |
– |
【第4四半期(1-3月)の状況】
募集・採用事業(engage)は、売上高が通期累計で19億45百万円となった有料利用社数と有料求人数が大幅に増加した他、広告宣伝の先行投資が奏功し、売上が大幅に増加した。ATS・テスト事業は、売上高が通期累計で15億80百万円となった。応募管理SaaS「ゼクウ」が引き続き堅調に推移した。入社後フォロー・組織活性化事業は、通期累計で売上高が3億94百万円となった。各種サービス売上が順調に増加した。こうした中、engageの先行投資により第4四半期は前年同期比で赤字幅が拡大した。
有料求人数が大幅に増加し、engageの第4四半期(1-3月)の売上高は前年同期比で72%増加した。
広告宣伝の先行投資により、engageの第4四半期(1-3月)は営業損失となったが、今後も積極的な投資を継続する予定である。
(同社決算説明資料より)
engageの総利用社数は41万社を超え、利用企業数国内No.1の求人サービスとなっている。総利用社数が急拡大している背景としては、顧客企業側の利便性の高さがあげられる。engageは、テンプレートを用いて洗練されたデザインの採用サイトを最短5分で作成することが可能である他、応募管理など他機能も豊富に準備されている。また、職種別のテンプレートなども豊富に準備されており、簡単に求人を作成することができる。加えて、他社求人サービスとの連携も可能であり、求人を作成するだけで他社サービスにも自動で掲載が開始されるなど顧客企業側の運用の手間が省ける仕組みとなっている。
engageの四半期平均の公開求人数(engageに公開された無料+有料の求人数)は、22/3期第4四半期(1-3月)に前年同期比86%増の95万件となり、ハローワークの正社員有効求人数と同等程度の規模に拡大した。また、営業体制の強化に加え、広告宣伝により応募効果が高まり、engageの四半期合計の有料利用社数は、22/3期第4四半期(1-3月)に前年同期比69%増加し9,535社となった。更に、engageの四半期合計の有料求人数(engageの有料サービスに申込んだ求人数)は、有料利用社数の増加に加え、大口企業の開拓も進み、22/3期第4四半期(1-3月)に前年同期比約5倍まで増加し154,391社となった。
(3)engageのサービス概要
同社は、engageを通じて質の高い求人を創出し、より多くの「企業」と「求職者」の質の高いマッチングを増やすことを目指している。engageは、利用企業に対し企業採用サイトの作成、求人掲載、応募者管理機能などの採用支援ツールを無料で提供している。利用企業は、プログラミング不要で簡単に自社採用ページを作成することが可能であり、スマホ表示で最適化もなされる。また、正社員・アルバイトなど何件でも無料で求人作成が可能であり、複数の求人検索エンジンに自動連携し、応募を集めることができる。同社は、現在有料プランの利用推進を通じてマネタイズの強化を図っている。企業は有料プランの利用により、様々な求人サービスの有料枠への掲載が可能となる。求人の露出が大幅にアップし、スピーディーな応募の増加・採用確率の向上が期待される。また、応募課金モデルで効果が分かりやすく、低リスクの課金設計となっていることが強みである。
日本に約330万社の法人企業数がある中、engageの利用企業は約41万社(利用率約12%)であり、今後地方および中小企業を中心に拡大余地が大きい。
(同社決算説明資料より)
(同社決算説明資料より)
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
|
21年3月 |
22年3月 |
|
21年3月 |
22年3月 |
現預金 |
26,374 |
33,849 |
仕入債務 |
434 |
1,063 |
売上債権 |
4,347 |
5,466 |
未払法人税等 |
955 |
1,189 |
有価証券 |
2,031 |
2,000 |
流動負債 |
8,260 |
13,501 |
流動資産 |
33,724 |
42,301 |
固定負債 |
1,527 |
1,553 |
有形固定資産 |
621 |
634 |
負債 |
9,788 |
15,054 |
無形固定資産 |
6,999 |
6,888 |
純資産 |
36,856 |
41,160 |
投資その他 |
5,299 |
6,392 |
負債・純資産合計 |
46,644 |
56,215 |
固定資産 |
12,920 |
13,914 |
有利子負債合計 |
0 |
0 |
* 単位:百万円
※ 有利子負債=借入金(リース債務含まず)
22/3月末の総資産は前期末比95億71百万増加の562億15百万円。資産サイドでは、現預金、売上債権、投資有価証券、関係会社株式等が、負債・純資産サイドでは買掛金や未払金、前受金、利益剰余金等が主な増加要因となった。総資産の約75%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も72.2%と、高水準を維持している。
キャッシュ・フロー
|
21/3期 |
22/3期 |
前期比 |
|
営業キャッシュ・フロー |
5,652 |
11,453 |
5,801 |
+102.6% |
投資キャッシュ・フロー |
-2,150 |
-3,086 |
-936 |
– |
フリー・キャッシュ・フロー |
3,502 |
8,367 |
4,865 |
+138.9% |
財務キャッシュ・フロー |
-4,983 |
-1,813 |
3,170 |
– |
現金及び現金同等物の期末残高 |
26,835 |
33,389 |
6,554 |
+24.4% |
* 単位:百万円
CFの面から見ると、税金等調整前当期純利益、未払金、前受金の増加などにより営業CFのプラス幅が拡大した。定期預金の預入による支出や関係会社株式の取得による支出の増加などにより投資CFのマイナス幅が拡大したものの、フリーCFのプラス幅も拡大した。その他、自己株式の取得による支出が減少する一方、配当金の支払額が減少したことなどにより財務CFのマイナス幅は縮小した。以上により、期末のキャッシュ・ポジションは前期比24.4%増加した。
4.2023年3月期業績予想
(1)連結業績予想
|
22/3期 |
構成比 |
23/3期 予想 |
構成比 |
前期比 |
売上高 |
54,544 |
100.0% |
62,000 |
100.0% |
+13.7% |
売上総利益 |
43,043 |
78.9% |
46,850 |
75.6% |
+8.8% |
販管費 |
33,409 |
61.3% |
43,765 |
70.6% |
+31.0% |
営業利益 |
9,633 |
17.7% |
3,085 |
5.0% |
-68.0% |
経常利益 |
10,138 |
18.6% |
3,086 |
5.0% |
-69.6% |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
6,628 |
12.2% |
2,118 |
3.4% |
-68.0% |
(単位:百万円)
23/3期連結累計期間の業績予想は、前期比13.7%増収、同68.0%営業減益
22/3期の会社計画は、売上高が前期比13.7%増の620億円、営業利益が同68.0%減の30億85百万円の予想。同社は、今後の戦略方針に沿い23/3期より、HR-Tech engageと人財プラットフォームからなる投資事業と国内と海外からなる既存事業へセグメント区分の変更を行う。engage・AMBIに対して広告宣伝費を中心に積極投資を行うとともに、既存事業においても一定の投資を行い、今後の成長基盤を構築する。こうした積極強化の影響により、前期比で増収減益となる見通しである。
売上高の面では、HR-Tech engage、人財プラットフォーム、国内、海外の全てのセグメントで売上高が増加する見込みである。HR-Tech engageにおいては、求職者獲得のプロモーション投資を強化し、サービス認知の拡大を図る。また、主要求人サイトの利用企業にもターゲットを広げ、正社員採用マーケットでのシェアを拡大する。人財プラットフォームにおいては、 AMBIを中心に求職者獲得のプロモーション投資を強化し、ハイクラス領域での強固なポジションを構築する。
費用の面は、プロモーション強化に加え、インドIT派遣の売上増に伴う原価増により費用が大幅に増加する見込みである。売上原価が前期比31.7%増加し、売上高総利益率は前期比3.3ポイント低下の75.6%を予定。また、販管費も同31.0%増加し、売上高対販管費比率は同9.3ポイント上昇の70.6%を計画している。広告宣伝・販促費は174億54百万円と前期から65億30百万円(前期比59.8%増)増加し、人件費は149億80万円と前期から21億9百万円(前期比16.4%増)増加する見込みである。この結果、売上高営業利益率は5.0%と前期比で12.7ポイント低下する予想となっている。
1株当たりの配当は、投資先行期間であるため前期と同額の70.1円を予定している。
23/3期のセグメント別売上高・営業利益(会社計画)
|
22/3期 (実績) |
23/3期 (会社計画) |
増減 |
増減率 |
||
投資 |
HR-Tech engage |
売上高 |
19.5 |
31.7 |
+12.2 |
+63.0% |
営業利益 |
-4.4 |
-36.6 |
-32.1 |
– |
||
営業利益率 |
-22.8% |
-115.3% |
– |
– |
||
人財プラットフォーム |
売上高 |
44.1 |
54.2 |
+10.1 |
+22.9% |
|
営業利益 |
8.1 |
-13.0 |
-21.1 |
– |
||
営業利益率 |
18.4% |
-24.0% |
– |
– |
||
既存 |
国内 |
売上高 |
378.4 |
403.3 |
+24.9 |
+6.6% |
求人サイト |
258.4 |
274.4 |
+16.0 |
+6.2% |
||
人材紹介 |
96.6 |
99.4 |
+2.8 |
+2.9% |
||
その他 |
23.4 |
29.5 |
+6.1 |
+26.2% |
||
営業利益 |
92.5 |
78.9 |
-13.7 |
-14.8% |
||
営業利益率 |
24.5% |
19.6% |
– |
– |
||
海外 |
売上高 |
109.8 |
135.3 |
+25.5 |
+23.3% |
|
営業利益 |
9.3 |
9.5 |
+0.1 |
+1.5% |
||
営業利益率 |
8.5% |
7.0% |
– |
– |
||
全社調整 |
売上高 |
-6.2 |
-4.5 |
+1.8 |
– |
|
営業利益 |
-9.2 |
-7.9 |
+1.3 |
– |
||
連結 |
売上高 |
545.4 |
620.0 |
+74.6 |
+13.7% |
|
営業利益 |
96.3 |
30.9 |
-65.5 |
-68.0% |
||
営業利益率 |
17.7% |
5.0% |
– |
– |
* 単位:百万円
売上高の面では、HR-Tech engageにおいて、企業KPIが順調に拡大している中で、プロモーション投資の強化により会員数も増加し、売上高が前期比63.0%増加する見込みである。人財プラットフォームでは、プロモーション投資の強化により売上高が同22.9%増加する見込みであり、ハイクラス領域での強固なポジションを構築する。国内既存事業においては、採用需要の回復に伴い採用需要の回復に伴い、国内求人サイトを中心に売上高が同6.6%増加する見込みであり、海外既存事業においても、インドのIT派遣事業を中心に売上が大幅に増加し、ベトナムでも求人サイトを中心に回復にする見込みであり、売上高が同23.3%計画となっている。
営業利益の面では、プロモーション投資と人材投資の拡大により、HR-Tech engageと人財プラットフォームで赤字となる他、国内既存事業でも前期比減益が見込まれる、その他売上高の回復により、海外既存事業は概ね前期並みの利益を計画している。
23/3期の費用計画
|
22/3期 |
23/3期計画 |
増減 |
増減率 |
原価 |
115.0 |
151.5 |
+36.5 |
+32% |
販管人件費 |
128.7 |
149.8 |
+21.1 |
+16% |
広宣販管費 |
109.2 |
174.5 |
+65.3 |
+60% |
その他販管費 |
96.1 |
113.3 |
+17.2 |
+18% |
総費用 |
449.1 |
589.1 |
+140.0 |
+31% |
(単位:億円)
プロモーション強化に加え、インドIT派遣の売上増に伴う原価増で総費用は前期比31.2%の大幅増加となる。売上原価の増加は、IT派遣のインドFFI社の売上回復に伴う人件費の増加によるものであり、派遣スタッフ関連費用も増加する。販管人件費の増加は、エン・ジャパン単体を中心に採用強化人材への投資を目的とした給与アップなどによるものであり、売上に占める割合も上昇する。広告宣伝費の増加は、engage、AMBIのプロモーション投資の強化によるものであり、広告宣伝費は過去最高水準となる。また、既存事業も売上に連動して増加する。その他販管費は、採用強化に伴い従業員採用費が増加する他、システム投資に伴い減価償却費も増加する見込みである。
5.今後の注目点
同社の23/3期会社計画は、前期比13.7%増収、同68.0%減益の驚きの内容であった。これは、新中期経営計画に基づき5年先の売上高と営業利益を現在の2倍強の水準まで引き上げるために、前半3年間に積極的な先行投資を実施する影響である。engageとAMBIからなる投資事業への積極的な投資を通じて、投資事業を既存事業と並ぶ規模へ拡大し、次なる事業の柱へ育成することを狙ったものである。企業側のKPIが順調に積み上がる中、高成長に向けた絶好の機会と捉え、求職者獲得のためのプロモーション投資と営業人員体制を強化するものである。先行投資の規模に驚きはあるものの、中期的な成長加速に向けて避けては通れない先行投資と評価される。こうした積極投資が、同社が重視するKPIにどの様な好影響をもたらすのか注目される。engageにおいては、総アカウント数、公開求人数、有料利用社数、有料求人数、会員数、MAU数が、AMBI・ミドルの転職においては、利用社数、求人数、会員数がKPIであり、今後の成長の鍵を握る。これらKPIが今後どの様な成長スピードとなるのか、また、それを反映した売上高が会社計画以上の伸長を示すことができるのか注目される。
また、投資事業以外の既存事業においても、主力エン転職や人材紹介などにおいても市況が本格回復する中で、強固なポジショニング維持のために人員の増強や一定のプロモーション投資を実施する。更に、海外においても、インドの順調な拡大とベトナムの回復が期待される。これら、既存事業の業績動向にも注目したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
<組織形態および取締役・監査役の構成>
組織形態 |
監査役設置会社 |
取締役 |
8名、うち社外3名 |
監査役 |
3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日: 2022年1月28日
<基本的な考え方>
当社は、その事業を通じて、株主やクライアント等様々なステークホルダーをはじめ、広く社会に役立つ存在でありたいと考えております。そのために、当社グループ全体として経営環境の変化に対応できる組織体制を構築することを重要な施策と位置付けており、当社グループの健全な成長のため、コーポレート・ガバナンスの強化と充実を図り、公正な経営システム作りに取り組んでおります。
また、役職員の倫理観・誠実さを高めることは、様々なステークホルダーの真の信頼を得るうえで、基本的な前提となると考えております。今後もコンプライアンスに関する教育の徹底等内部管理体制の更なる整備を進め、これを適正に機能させることによって、健全な経営を確保してまいります。
<【コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【補充原則5-2 ①】
事業ポートフォリオの見直しについては、取締役会で議論の上、必要に応じて、開示する予定です。
なお、事業ポートフォリオに関する基本的な方針は、今後検討を進めてまいります。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>
【原則1-4】
上場株式を保有しないことを原則としますが、業務提携その他経営上の合理的な目的に基づき上場株式を保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認し、中長期的な視点で保有目的にそぐわないと判断した企業の株式については、株価や市場動向等を考慮して売却いたします。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に中長期的な視点での企業価値向上、株主還元向上につながるかどうか等の視点に立って判断しますが、対象会社の企業価値を毀損するおそれがある議案については特に留意して判断します。
【原則1-7】
当社は、関連当事者取引の範囲の把握及び取引を適切に管理するためのフローを明確にするため、「関連当事者取引管理ガイドライン」を制定しております。関連当事者の範囲については、総務部が作成及び年一回更新する「調査票」により把握しており、関連当事者取引が発生する場合には、その重要性によって事前に取締役会による決議もしくは「稟議・申請規程」に基づく決裁を必要としております。実施した関連当事者取引については、管理本部長がその重要性を「関連当事者開示にする会計基準適用指針」に基づき判断したうえで、その概要を有価証券報告書等において開示しております。
【補充原則2-4 ①】
当社グループでは、画一的な視点や従来からの固定観念にとらわれないイノベーティブな事業創造のために、「多様な人材の活躍」が必要不可欠であると考えています。従来より注力している女性活躍推進に加え、グローバル人材紹介を手掛けるエンワールド・ジャパン株式会社を中心とした海外人材の採用、既存社員のキャリアパス多様化、LGBTフレンドリーな制度整備、障がい者雇用の促進など様々な施策を通じ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。
なお、当社では女性役員2名、女性管理職者比率が22%、中途採用者の管理職者比率46%(いずれも2021年10月1日現在)でありますが、「チャレンジ管理職制度」等の施策を通じ、それぞれの管理職者比率を現状より増加させるよう、取り組んでおります。
また、当社グループでは外国人役員8名(2021年10月1日現在)の他、複数の外国人管理職者が在職しておりますが、在職者数を現状の維持又はより増加するように取り組んでまいります。
【原則2-6】
当社は、企業年金の制度がございません。従いまして、本件に関しまして当社の財政状況に対するリスクが生じることはありません。 将来、導入を検討する場合がございましたら運用に対する十分なスキルを有した人材の配置を検討いたします。
【原則3-1】
(ⅰ)当社は、「『人間成長』の実現」として、「『より多くの人が、働くことを自らの成長のステージと捉え、心技一体のプロとして、心物両面で豊かになる』世界をつくる」を基本理念としております。
(ⅱ)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を当社ホームページに記載しております。
(ⅲ)当社の役員の報酬等の額は、株主総会で決議された報酬枠の範囲内で支給し、毎月の定期同額給与(基本報酬)によって構成されております。
取締役の報酬に関しては、社外役員を主要な構成員とする任意の指名報酬委員会が、確認・検証を行っており、その答申結果を踏まえ、取締役会により決定しております。
各監査役の報酬に関しては監査役会の協議により決定しております。また、取締役に関しては、基本報酬の他に業績連動報酬(現金賞与)も定めております。
これは、株主の皆様と業績向上によるメリット及び業績下落によるリスクを経営陣が共有する仕組みであり、事業年度ごとの業績向上に対する意識を高め、持続的な企業価値の上昇を図るインセンティブを有する報酬として位置付けております。なお、中長期的なインセンティブ報酬としての新たな業績連動型株式報酬に関しては、経営状況を総合的に勘案したうえで、2022年を目途に導入する予定となります。
(ⅳ)社内取締役の選任については、当社の経営理念を共創し,その実現に向け,日々注力できていることを前提として,担当分野において高度な専門性を有するのみならず、経営環境の変化に対して迅速、柔軟且つ的確に対応できる効率性の高い経営システムを推進していくにふさわしい人材を指名しております。
社外取締役の選任については、当社の経営理念に共感し,経営陣や特定の利害関係者の利益に偏ることなく、客観的な立場から独立性をもって経営を監視することが可能で、且つ幅広い見識をもった人材を指名しております。
社外監査役の選任については、経営陣や特定の利害関係者の利益に偏ることなく、会社が社会において果たすべき役割及び責任を認識し、且つ幅広い見識をもった人材を指名しております。
社外を含めた取締役の解任については、職務の執行について善管注意義務・忠実義務を適切に果たしていないと認められる場合や当社の持続的な利益成長と企業価値向上に貢献していないと認められる場合等取締役としての資質に疑義が存在する場合は解任を検討することとし、不正または重大な法令違反等があった場合は、解任することとしております。
取締役候補の指名に際しては、社外役員を主要な構成員とする任意の指名報酬委員会の意見を踏まえた上で取締役会で検討し、決定しております。また、監査役候補の指名に際しては、社外取締役の意見を踏まえ、且つ監査役会の同意を得た上で代表取締役が提案した内容について検討し、決定しております。
(ⅴ)社内取締役の選任理由は以下の通りです。なお、社外役員の選任理由については有価証券報告書にて開示しております。
・代表取締役会長執行役員 越智 通勝
1983年に㈱日本ブレーンセンターを設立後、2000年に当社を立上げ、創業者として経営を牽引しております。
・代表取締役社長執行役員 鈴木 孝二
㈱日本ブレーンセンターに新卒入社した後、2000年の当社立上げに伴い、5年間の勤務実績と、営業力、マネジメント能力を高く評価していたことから取締役に選任され、2008年より代表取締役として経営を担っております。
・常務取締役執行役員 河合 恩
㈱日本ブレーンセンターに中途入社した後、2000年の当社立上げに伴い、10年間の勤務実績と、新規サービスの開発能力を高く評価されて取締役に選任されて以後、長年にわたり経営に携わっております。
・取締役執行役員 寺田 輝之
2002年に当社に新卒入社した後、中途採用支援の法人営業を経て、WEBサイトの企画・開発、マーケティングを手掛ける現部署の本部長に就任しております。その後も「エン転職」「エンバイト」「engage」など当社を代表する多数のWEBサービスの新規立ち上げ・リニューアルを牽引しております。
・取締役執行役員 岩﨑 拓央
2003年に当社に新卒入社した後、中途求人メディア事業部の営業マネジャー等を歴任した後、2014年に企画部長に就任し「エン転職」大型リニューアルを牽引、同リニューアルを成功させました。2016年4月、中途求人メディア事業部長に就任した後は長年にわたり、同事業全体を統括しています。
【補充原則3-1 ③】
当社グループのサステナビリティについての取組みや人的資本、知的財産への投資等については、2021年3月に統合報告書で開示しております。
なお、TCFD提言での気候関連リスクについて、移行リスク(低炭素社会への移行に関するリスク)については、当社に与える影響は軽微であると考えているため、特段の開示はしておりませんが、物理的リスク(気候変動による物理的変化に関するリスク)については、当社が認識するリスク内容について、有価証券報告書の「事業等のリスク(重要なリスク)(2)大規模自然災害、ネットワーク障害等について」に記載しております。
なお、当社では、気候変動緩和策・適応策として環境基本方針を定めており、環境負担軽減への取り組みとともに当社ホームページに記載しております。
【原則4-8】
当社は、独立社外取締役を2名選任しております。なお、社外取締役井垣 太介は、東京証券取引所の有価証券上場規定第436条の2に規定する独立役員の要件をすべて満たしており、候補者と一般株主との間に利益相反を生じるおそれがないと判断しておりますが、候補者の所属する法律事務所の方針に従い、独立役員として指定、届け出は行っておりません。
【原則4-9】
当社は、独自の「社外役員の独立性判断基準」を定め、第21期有価証券報告書において開示しております。
独立社外取締役候補者の選定にあたっては、会社法や東京証券取引所が定める基準に加え、当社独自の基準を満たす候補者を選定しております。
【補充原則4-11 ①】
当社における取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス及び多様性等に関する考え方は、取締役候補の指名に関する考え方とほぼ一致しており、3-1(iv)に記載のとおりです。これらについては、コーポレートガバナンスに関する報告書において開示しております。
なお、当社は取締役の員数を10名以内と定款で定めておりますが、効率性の高い経営システムを推進していくための適正な規模を考慮して、現在は8名の取締役(社内取締役5名、社外取締役3名)を選任しており、各役員の知識・経験・能力等を一覧化したスキル・マトリックスについては第21期招集通知において開示しております。
なお、独立社外取締役村上佳代及び坂倉亘は、他社での経営経験を有しております。
【原則5-1】
当社では、代表取締役を中心としたIR体制を整備しており、経営企画室をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に1回開催するとともに、逐次、スモールミーティングや国内外において個別ミーティングを実施しております。