(3673)株式会社ブロードリーフ メイン商材変更 更なる成長計る
大山 堅司 社長 |
株式会社ブロードリーフ(3673) |
企業情報
市場 | 東証1部 |
業種 | 情報・通信 |
代表取締役社長 | 大山 堅司 |
所在地 | 東京都品川区東品川四丁目13-14 グラスキューブ品川 8階 |
決算月 | 12月 |
HP | https://www.broadleaf.co.jp/ |
株式情報
株価 |
発行済株式数(期末) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
345円 |
97,896,800株 |
33,774百万円 |
8.6% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
未定 |
– |
-56.62円 |
– |
296.77円 |
1.2倍 |
*株価は2/25終値。各数値は2021年12月期決算短信より。
業績推移
決算期 |
売上収益 |
営業利益 |
税引前利益 |
当期利益 |
EPS |
DPS |
2018年12月(実) |
21,285 |
4,115 |
4,105 |
2,656 |
30.36 |
12.00 |
2019年12月(実) |
22,586 |
4,525 |
4,486 |
3,093 |
35.40 |
13.00 |
2020年12月(実) |
21,162 |
4,135 |
3,820 |
2,465 |
28.16 |
13.20 |
2021年12月(実) |
20,652 |
3,395 |
3,233 |
2,173 |
24.72 |
8.70 |
2022年12月(予) |
12,300 |
-4,800 |
-4,800 |
-5,000 |
-56.62 |
未定 |
*予想は会社側予想。IFRS対応。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。
株式会社ブロードリーフの2021年12月期決算概要、2022年12月期業績予想、中期経営計画(2022-2028)などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2021年12月期決算概要
3.2022年12月期業績予想
4.中期経営計画(2022-2028)
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 21年12月期の売上収益は前期比2.4%減の206億52百万円。DXの積極化を背景に、顧客における業務ソフトウェア等の IT サービス投資が堅調に推移した一方、中長期的な売上収益の安定と成長のために進めている業務ソフトウェア販売における月額サブスクリプション契約への転換が売上収益の押し下げ要因となり減収となった。営業利益は同17.9%減の33億95百万円。クラウドソフトの償却費が増加した一方、仕入高は減少したため売上原価が減少したが、クラウドソフトやプラットフォーム型サービスの多様化に備えた稼働基盤の強化拡張によるサービス基盤更新費の増加、人件費が一過性要因で増加したことなどで販管費が増加した。売上収益、利益とも21年7月に公表した修正予想を超過。
- 22年12月期の売上収益は前期比40.4%減の123億円、営業利益は48億円の損失を予想。配当予想は、現時点では「未定」。中期経営計画の進捗状況と、内部留保の推移に鑑み、配当予想額を決定する。公表が可能となり次第、速やかに公表する。配当性向については概ね35%以上を目処としている。
- 大幅な減収とそれに伴い損失計上を見込んでいるが、今期もユーザー数は増加傾向にあり好調を継続する。今期からソフト販売のメイン商材を、新しいクラウドソフト「.cシリーズ」中心に変更し、従来ソフト「.NSシリーズ」を使用している顧客には5-6年のリース契約が満了となるタイミングで「.cシリーズ」の提供へ切り替えていく。「.NSシリーズ」は複数年分一括の売上計上方式であったが、「.cシリーズ」は月次での売上計上となる。大幅な減収は売上計上方法の変更によるものであり、同社収益の実態が悪化するものではない点を投資家は理解しておく必要がある。
- 中期経営計画(2022-2028)を発表した。成長戦略は「①クラウドの浸透」と「②サービスの拡張」。主力サービスであるクラウドソフト「.cシリーズ」の導入率を向上させるとともに、クラウドソフトを核として、顧客の事業運営に不可欠となるITサービスを充実させる。「お客様のデジタルトランスフォーメーションを推進する」「データエクスチェンジャーとして提供サービスを高付加価値化する」という「2つのDX」の観点で施策を推進し、持続的な競争力の向上と成長を目指す。
- 2022年12月期をボトムに、2024年12月期黒字回復、2026年12月期過去最高業績を更新。その後も売上のストック化が進み増収を継続する。全ての顧客において主力商品クラウドソフト「.cシリーズ」への移行が完了する2028年12月期には売上収益325億円、営業利益率40%、当期利益80億円を目標としている。
- 今期の大幅な減収および損失計上予想に対し、クラウドソフトの導入そのものに否定的な意見を持つ一部の投資家もあるようだが、クラウドソフトの利用は、今後のカーアフターマーケット市場を含めたオートモビリティ産業の将来像を見据えた上での、売上の安定と更なる成長を追求するための戦略であることも理解しておくべきであろう。特に、事業者数の減少が予想される中で、ライセンスの付与形態が、事業者・店舗単位から、従事者単位に変更されることも、重要なポイントと思われる。会社側は投資家の不安を十分理解した上で、事業進捗に関わるKPIの将来時点の設定値の開示と、実績の公表を予定している。短期、中長期双方の視点でこれらKPIおよび業績計画の進捗・達成状況をウォッチしていきたい。
1.会社概要
オートモビリティ産業事業者の業務を支えるITネットワークや、業務アプリケーションで高シェア。同社の強みは自動車部品商、整備工場、鈑金工場、リサイクル事業者など異なる商流を統合しプラットフォーム化している点にある。産業のDXを推進の一環としてクラウドソフトの提供や、部品の顧客間取引を電子化する受発注プラットフォーム(トランザクション)の拡大に注力。
同社が独自に自動車部品に発番するBLコードは業界のデファクトスタンダードとなっており、事業者が部品を特定する上で欠かせないものとなっている。新たにMaaS事業者向けサービスの提供も推進。更なる成長を追求するためにパッケージベンダーからプラットフォーマーへの進化を目指している。
【1-1 沿革】
2005年12月に自動車部品商、自動車整備業、自動車鈑金塗装業などの各種システムを販売する「パッケージソフトウェア事業」の営業権を取得した。
形式上の存続会社である同社は、米国のプライベート・エクイティ・ファンドであるカーライル・グループの支援の下、2009年9月に、実質的な存続会社である「旧株式会社ブロードリーフ」の経営陣によるマネジメント・バイ・アウト(MBO)のための受皿会社として、シー・ビー・ホールディングス株式会社の商号で設立された。
その後、シー・ビー・ホールディングス株式会社は同年11月に株式譲渡により旧株式会社ブロードリーフを完全子会社化。2010年1月1日に旧株式会社ブロードリーフを吸収合併することで営業活動を全面的に継承すると同時に、商号を株式会社ブロードリーフに変更し、現在に至っている。
【1-2 企業理念】
同社は、「感謝と喜び」の心を根本に、幅広い業種・業界に特化した業務アプリケーションを開発し、 より良い製品・サービスを提供することにより、お客さまの事業創造に貢献することを企業理念掲げている。
「感謝と喜び」という人や企業が深く結びつくために欠かせない“心”を大切に、お客様とともに繁栄するビジネスを進めております。私たちの商品やサービスがお客様の事業に貢献する時、お客様に「ブロードリーフとつきあって、よかった」と感じていただけるでしょう。
そして事業が日々成長する実感に、喜びが生まれることでしょう。そんなお客様の心を受けて、私たちにも「感謝と喜び」が生まれ、 よりよい商品やサービスにつながっていきます。 「感謝と喜び」をわかちあいながら、お客様とともに成長していく。それがブロードリーフの企業理念であり、ビジネスの「心」なのです。 |
(同社HPより)
この企業理念を全社員に浸透させ、より実践的なものとするため、毎年初、全社員が集合する「経営方針説明会」において大山社長が前年の総括と今年の方針を話すと共に、企業理念の確認を行っている。
全社員はクレドカード(※)を常に携帯し、行動規範などを全員で唱和している。
また、企業理念を理解・実践した社員を社員間投票で表彰し、社員同士でも感謝の気持ちを伝えるといった取り組みを行っている。
※クレド:「信条」を意味するラテン語で、「企業の信条や行動指針を簡潔に記したもの」を指す。従業員の自主的な行動を促すためのツールとして利用している企業が多い。
(社名について)
「ブロードリーフ(Broadleaf)」とは広葉樹を意味します。
広葉樹の多くは、春から夏にかけて、葉に日光を受けて成長し、冬には葉を落として土に養分を還し、他の植物と共生します。 ビジネスの大地にしっかりと根を張り、葉を生い茂らせ、実をつけて、お客様とともに未来へ向かって成長し続けたい。そんな気持ちが込められた社名です。 |
(同社HPより)
【1-3 市場環境】
(1)概観
同社の現在の主要な顧客は、カーオーナーが自動車を購入した後の、給油、自動車アクセサリーの購入、車検、点検、部品交換、自動車の売却、廃棄処理など「カーアフター産業」と呼ばれる市場である。
(2)カーアフター産業を取り巻く環境
①自動車保有台数
若者の自動車離れも言われているが、軽自動車を含む自動車保有台数(乗用車)は2021年3月末で約6,192万台と増加が続いている。ストックである同台数は、平均使用年数の長期化もあり今後も増加が継続するものと予想される。
②乗用車の平均使用年数
乗用車が初度登録されてから抹消登録されるまでの平均年数である平均使用年数は2021年3月末で13.87年と、長期化傾向にある。(一般財団法人 自動車検査登録情報協会 統計情報より。)
自動車の利用に対するユーザーの考え方の変化から長期使用車両が増えていることで、自動車整備市場や部品・用品市場においては、整備・点検需要や部品・消耗品の交換需要が拡大している。
③認証工場数と指定工場数
自動車の原動機、動力伝達装置、走行装置などを取り外して行う自動車の整備や改造にあたる「分解整備」は、地方運輸局長の「認証」を受けた「認証工場」で行う必要がある。
認証工場のうち、設備、技術、管理組織等について一定の基準に適合し、地方運輸局長より指定自動車整備事業の「指定」を受けた工場を「指定工場」と言う。
認証工場数及び指定工場数とも、数は横這いないしは微増だが、近年、認証工場に占める指定工場の比率が上昇している。
これは、景気動向、後継者難などの理由から小規模の工場が中規模および大規模工場の系列やグループに組み込まれているためと考えられる。
同社によれば、全国に非ディーラー系の工場は約7万あるが、うち4万は整備士が3名以下の小規模工場で、同社が主要ターゲットとする中規模・大規模工場は約3万と二極化が進んでいるという。同社では、システムを導入する経済的な余裕もある中規模・大規模工場へのアプローチを引き続き強化するとともに、小規模事業者をメイン顧客とする業界第2位の株式会社タジマを2017年7月にM&A。顧客基盤の強化が進んでいる。
オートモビリティ産業においては、EV化シフト・CASE(※)に代表される自動車高度化が進むのに伴い、高度化した車両メンテナンスをサポートするITシステム需要増加、ナレッジの蓄積や共有の需要増加、大規模な事業者における経営効率化のためのDX投資需要増加が予想され、最新鋭のクラウドソフトへのニーズも高まると思われる。
この点も、整備工場における強固な顧客基盤を有する同社にとってはフォローの風と言えよう。
※CASE:今後の自動車における大変化を示すもので、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)の略。
④リサイクル部品市場
2005年に自動車リサイクル法が施工され、自動車解体、自動車リサイクル部品等の市場は、リサイクルグループ共有在庫システムの多様化やインターネットオークションの利用が進んでいる。リサイクル部品の活用は、CO2排出量抑制や環境問題への対応のため、社会的にも重要な取組みとなっている。一方、近年では廃車になった自動車を解体してリサイクル部品とするのではなく、海外に中古車として輸出される割合が高くなっている影響を受け、リサイクル部品市場全体の取引高は減少傾向にある。
【1-4 事業内容】
更なる成長を追求するためにパッケージベンダーからプラットフォーマーへの進化を目指す同社は、独自開発のクラウド基盤「Broadleaf Cloud Platform」上のサービス提供を18年12月期から開始した。これを機に成長戦略をより明確にするため、19年12月期より売上区分を、「プラットフォーム」と「アプリケーション」の2区分に大別した。更に、2022年12月期からクラウドソフト「.cシリーズ」が中心製品となるに伴い、両区分内の中分類、小分類にも変更を加えている。
◎売上区分
(1)プラットフォーム
中分類 |
小分類 |
内容 |
SaaS | ・クラウドソフト「.cシリーズ」の提供
・「.NSシリーズ」の月額サブスク提供 ・タブレット型業務端末「CarpodTab(CPT)」の提供 |
|
PaaS/IaaS
(基本) |
PaaS 一括 | ・「.NSシリーズ」の基本ソフトや共通機能の提供 |
PaaS 月額 | ・「.NSシリーズ」のデータベース(自動車部品・車両・指数情報、観光地データ等)の提供 | |
IaaS 月額 | ・「.NSシリーズ」の利用に必要なネットワークサーバー機能の提供 | |
EDI・決済 | PSF | ・自動車リサイクル部品の取引ネットワーク「パーツステーションNET」における決済代行サービスの提供 |
BLP | ・自動車部品の受発注プラットフォーム「BLパーツオーダーシステム」の提供 | |
サポート | 保守 | ・「.NSシリーズ」の顧客向けサポート、ハードウェア保守の提供 |
サプライ品 | ・専用帳票類やOAサプライ品の販売 | |
その他(DX) | ・HP作成ツールやグループウェアの提供 他 |
2022年12月期より、ソフト販売のメイン商材を、従来ソフト「.NSシリーズ」から新しいクラウドソフト「.cシリーズ」中心に変更する。従来ソフト「.NSシリーズ」を使用している顧客には5-6年のリース契約が満了となるタイミングで「.cシリーズ」の提供へ切り替えていく。
従来から提供しているプラットフォームを活用したサービスに加え、今後新たに「Broadleaf Cloud Platform」上で展開する新サービスは、プラットフォームに分類する。
「Broadleaf Cloud Platform」とは?
IT 革新を実現するためのクラウドベースのデジタルビジネスプラットフォーム。大量データの収集・高速検索・分析、業務 API(Application Programming Interface)サービスの組み合わせによる短期間でのサービス実装、利用規模に合わせた高いスケーラビリティが特徴である。「Broadleaf Cloud Platform」を起点に、業種・業界を超えた様々なパートナー企業と連携し、自動車関連ビッグデータ・インフラを活かした新たなビジネス、画期的なサービスを提供していく。
サポートにおいては、顧客の最適なビジネス環境を維持するために365日稼働のカスタマーヘルプデスク(コールセンター)や全国28拠点(2021年12月末現在)に専門スタッフを配置し、ネットワークやハード、サーバー等のトラブル時に迅速に対応するサポート体制を構築している。
EDI・決済の主要サービスは以下の2つ。
①自動車部品の電子受発注システム「BLパーツオーダーシステム」
整備工場向け業務システムと部品商向けシステムを接続し、見積・納期回答、受注業務をシームレスに行うサービス。
これまで、整備に際し部品が必要な整備工場は、既に取引のある部品商に電話やFAXで部品を発注していたが、手間、誤発注、納期などの点で課題が山積であった。
こうした状況を改善し、大幅な業務効率改善、商売の円滑化、価格・納期の即時対応等を実現したのが同システムである。
より多くの整備工場に接続して取引を増やしたい部品商と、必要な部品をタイムリーに入手したい整備工場を接続。
部品商に対し、月額利用料、整備工場からの問い合わせ件数に応じた従量手数料などをチャージする。
(同社資料より)
②リサイクル部品流通ネットワーク「パーツステーションNET」
リサイクル部品の販売者であるリサイクル事業者は商品を「パーツステーションNET」に登録し、リサイクル部品の使用者である整備工場や鈑金工場は必要な商品の検索を、仲介業者である部品商やリサイクル業者は適合確認を行う。現在、パーツステーションNETには約1,1700拠点の企業が参加している。
販売者と仲介業者の間で部品売買が行われた際にはリサイクル部品決済代行サービス「パーツステーションファクタリングNET」を通じて取引額の決済を代行し、手数料を徴収している。
※上記に記載されているデータ数・数値・会社数は2016年3月末時点のものです。
(同社資料より)
(2)アプリケーション
業種別 | ・「.NSシリーズ」(基本ソフトを除く)の販売
(自動車系: 整備業者、鈑金業者、車両販売業者、部品商、ガラス商、電装業者、リサイクル業者 他) (非自動車系: 機械工具商、携帯電話販売店、旅行代理店、観光バス事業者 他) |
OTRS | ・作業分析・最適化ソフトウェア「OTRS」の開発・販売 |
機器類 | ・PC、プリンターや周辺機器の販売 他 |
カーアフター産業に属する事業者の他、旅行取扱い事業者、携帯電話販売代理店事業者、機械工具取扱い事業者等に対して、業種特化型業務アプリケーションの開発・販売を行っている。同社の業種特化型の業務アプリケーションは、特定業種固有の業務フロー、見積及び請求管理等の汎用的な顧客ニーズを織り込んで利便性を向上させている。
また、パソコンに業務アプリケーションを搭載して顧客に販売しており、液晶ディスプレイ、タブレット端末、プリンタ、周辺機器などのハードウェアも販売している。
<OTRS>
OTRSは、経営工学 (Industrial Engineering)に基づいてつくられた生産・製造現場の作業時間短縮・省力化・コスト低減など、企業のカイゼン活動を支援するソフトウェア。
(同社資料より)
最新動画エンジンを搭載し、動画分析・加工による作業のバラツキの可視化、熟練工とそうでない作業員の作業の差異を可視化する比較再生、分析結果を作業手順書や動画マニュアルとして出力するレポート出力などの機能を有し、①作業のムリ・ムダ・ムラをなくしQCD(質・コスト・デリバリー)を高める、②作業の標準化による公平な評価を実現する、③モーションマインド(作業方法についてより能率的な方法を探求し続ける心構え)の向上で職場の活性化に繋がる、といったメリットを提供する。
(導入事例)
導入先 |
課題 |
結果 |
解決 |
自動車メーカー | 作業分析に係る労力・時間・コストを削減したい。 | 作業分析に費やす時間を50%削減 | 一般的な作業観測はストップウォッチを使用するが、正確な計測は難しく、計測のやり直しも必要だが、OTRSは使いやすいUIと早送り、コマ送りの動画制御でスピーディーな現場動画分析を行えた。 |
建設資材製造会社 | 新しい生産にマッチした最適な作業工程を創出したい。 | 一日当たりの生産個数が108個から150個に増加 | OTRSの動画連動・作業編成シミュレーション機能を使って、複数工程の流れとボトルネックを確認。 そのうえで、作業の組み換えシミュレーションを行い新たな工程を作成して実ラインに適用したところ、 一日当たりの生産個数を大幅に向上させることができた。 |
電子部品製造会社 | 教育・技術伝承に向けての環境整備を行いたい。 | ライン作業前教育時間を50%削減 | ライン作業前の作業者教育はOJTを主としていたが、OTRSを学習用に使い、新人が自ら撮影、分析し、新人と熟練者の作業比較を作業時間と組合わせて行うことで教育時間を大幅に削減することができた。 |
電気機器メーカー | 最適な作業工程による省人化を図りたい。 | 26名から19名へのライン省人化を実現 | OTRS分析で付加価値のない作業の削減シミュレーションを行った。シミュレーション作業を実現するためのライン前教育を行い、実ラインで実施したところ、移動・手待ちなどの付加価値のない動作の大幅な削減により、ラインの省人化が可能となった。 |
用途は製造業だけでなく、教育訓練の材料や技術伝承のツールとして、さまざまな現場に広がっており、世界21か国で、6,000以上の導入実績を有している。
【1-5 ROE分析】
15/12期 |
16/12期 |
17/12期 |
18/12期 |
19/12期 |
20/12期 |
21/12期 |
|
ROE (%) |
9.7 |
9.6 |
9.9 |
13.0 |
14.0 |
10.3 |
8.6 |
売上高当期純利益率(%) |
11.83 |
11.19% |
10.62% |
12.48 |
13.69 |
11.65 |
10.52 |
総資産回転率(回) |
0.62 |
0.65 |
0.68 |
0.74 |
0.74 |
1.25 |
1.12 |
レバレッジ(倍) |
1.33 |
1.32 |
1.37 |
1.41 |
1.38 |
0.71 |
0.72 |
*IFRS
【1-6 特徴と強み】
①カーアフター産業をリードできる唯一のIT企業
国土交通省は「世界最先端IT国家創造宣言」(2013年6月、閣議決定後、2015年6月、変更を閣議決定)を踏まえ、国が保有する検査登録情報(所有者情報等)をはじめ、車両の位置・速度情報や事故・整備履歴情報等の「自動車関連情報の利活用による新サービスの創出・産業革新」に関する将来のあり方について、「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会」を設置した。
同検討会が2015年1月に発表した「自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョンについて」によれば、日本の自動車関連情報の利活用の現状について、
* | 自動車が収集・発信できる情報は、近年の自動車のIT化の進展によって、膨大かつ多岐にわたっている。 |
* | ただ、我が国では、自動車に関連した膨大な情報について、個別の主体が情報をバラバラで有していること等のため、利活用が進んでいない。 |
* | 諸外国では、既に自動車関連情報を利活用した保険サービス、自動車履歴情報の提供等の多様なサービス展開が進んでおり、我が国においてもITを活用した自動車関連分野のイノベーションを促進していくべき。 |
と、現状分析及び課題の抽出を行っている。
その上で、重点テーマとして、
①「安全OBD(※)に対応したスキャンツールの共通化」を通じた次世代自動車等の安全使用の推進 |
②テレマティクス等を活用した新たな保険サービスによる安全運転の促進・事故の削減 |
③自動車の履歴情報を収集・活用したトレーサビリティー・サービスの展開による自動車流通市場の活性化 |
④検査と整備の相関分析等を通じた検査・整備の高度化・効率化 |
の4つを挙げており、膨大なデータの一元管理を通じた、安心・安全な自動車取引の活性化を民間主導で進めようとしている。
こうした状況下、数千万台に及ぶ自動車整備履歴情報を有する専門性と数万社の顧客をベースに、将来のカーアフター産業をリードできるのは自社のみと同社は考えている。
※:OBD:On-board diagnostics。自動車に搭載されるコンピュータが行う自己故障診断のこと。
②圧倒的なシェア
国内部品商の約7割に同社の業務用システムが既に導入されている。また、整備工場に関しては、同社のターゲットとなる中規模又は大規模の非ディーラー系工場を中心として同社グループ(タジマを含む)で23,000社超にシステムが導入されており、圧倒的なシェアを有している。
加えて、同社の様にプラットフォーム化して多様なシステムを提供している企業は他にはない。限定的なシステム販売会社が数社あるが、どれも売上規模では同社の10分の1程度であり、事実上競合は存在しない状態とのこと。
③豊富な実績
同社に「パッケージソフトウェア事業」を譲渡した翼システム株式会社(設立1983年)が最初のソフトウェアである自動車部品商向けシステム「パーツマン」の販売を開始したのが同じく1983年であり、この時から数えれば約40年の実績となる。30年前から自動車1台当たり約3万点にのぼる部品情報をデータベース化しており、独自ノウハウで作り上げた部品コードは業界標準となっている。
また収録データ数は膨大な量にのぼり、比類を見ない質・量ともに圧倒的なNo.1のデータベースとなっている。
④顧客との信頼関係
直販体制を敷き、顧客ニーズを的確に吸い上げ、きめ細かな対応を行っているため、厚い信頼関係が構築されており、重要な見えない資産となっている。
原則顧客とは5-6年間の期限付きライセンス使用契約を結んでいるが、契約の継続率は95%超と極めて高く、顧客の満足度も高い。
2.2021年12月期決算概要
(1)業績概要(IFRS)
20/12月期 |
構成比 |
21/12月期 |
構成比 |
前期比 |
修正予想比 |
|
売上収益 |
21,162 |
100.0% |
20,652 |
100.0% |
-2.4% |
+1.5% |
売上総利益 |
15,074 |
71.2% |
14,898 |
72.1% |
-1.2% |
– |
販管費他 |
10,939 |
52.0% |
11,503 |
55.7% |
+5.2% |
– |
営業利益 |
4,135 |
19.5% |
3,395 |
16.4% |
-17.9% |
+30.6% |
税引前利益 |
3,820 |
18.1% |
3,233 |
15.7% |
-15.4% |
+25.3% |
当期利益 |
2,465 |
11.6% |
2,173 |
10.5% |
-11.9% |
+32.5% |
*単位:百万円。当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益。
減収減益。修正予想を上回っての着地。月額サブスク化は着実に進捗
売上収益は前期比2.4%減の206億52百万円。デジタルトランスフォーメーションの積極化を背景に、顧客における業務ソフトウェア等の IT サービス投資が堅調に推移した一方、中長期的な売上収益の安定と成長のために進めている業務ソフトウェア販売における月額サブスクリプション契約への転換が売上収益の押し下げ要因となり減収となった。
営業利益は同17.9%減の33億95百万円。クラウドソフトの償却費が増加した一方、仕入高は減少したため売上原価が減少したが、クラウドソフトやプラットフォーム型サービスの多様化に備えた稼働基盤の強化拡張によるサービス基盤更新費の増加、人件費などの一過性要因による増加などで販管費が増加した。
21年7月に公表した修正予想に対しては、ソフトウェア販売において販売単価が想定を上回ったほか、ユーザーによる追加購入が増加したため、売上収益は予想を超過。加えて、ソフトウェア開発投資における資産計上の割合が増加したことや、営業活動費等を圧縮したため、利益も予想を超過した。
(売上収益について)
*増収要因
☆ | ソフト販売は、顧客へのソフト追加販売などで増収 |
☆ | ソフトの月額サブスクであるSaaSの売上が増加し、ソフトのユーザー数全体の増加に伴い、月額売上は増収 |
*減収要因
☆ | 機器類は、大口案件の反動減もあり減収 |
☆ | 一部の顧客に対して、従来のソフトを月額サブスクでの提供に切り替えたため、「16億54百万円の売上マイナス影響」 |
2022年からのクラウドソフト「.cシリーズ」への切り替えをスムーズにするため、従来ソフト「.NSシリーズ」の契約満了前での更新販売を抑制するとともに、複数年一括契約から月額サブスク契約への移行(一部ユーザー)を推進している。
また、特定大手ユーザーに限定してクラウドソフトを販売した。2021年は一般向けに販売は行っていない。
仮に、月額サブスクに切替えず複数年リースでの提供を続けていた場合、売上収益は前期比で増収となったが、将来の売上の安定と成長を共に実現するため、サブスク化を推進している。
月額サブスク (SaaS)の売上は前期比 24.0%増の8億58百万円。売上全体に占める月額売上比率は前期比3.9pt上昇し、39.9%となった。
また、月額保守サービスの提案を強化しており、月額保守サービスの契約率は前期末比11.1pt上昇の63.4%。
月額サブスク化は計画通り進捗している。
(2)主な動向
①売上区分別内訳
20/12月期 |
21/12月期 |
増減率 |
増減額 |
主な増減要因・金額 |
|
プラットフォーム |
10,692 |
11,479 |
+7.4% |
+787 |
|
SaaS |
692 |
858 |
+24.0% |
+166 |
月額サブスク契約のユーザー数増加(+166) |
PaaS/IaaS(基本) |
7,555 |
7,830 |
+3.6% |
+275 |
|
一括 |
2,365 |
2,448 |
+3.5% |
+83 |
サブスク化の進展(-496)/自動車系従来ソフトの追加販売等(+579) |
月額 |
5,190 |
5,382 |
+3.7% |
+192 |
ライセンス総数の増加(+192) |
EDI・決済 |
692 |
702 |
+1.4% |
+10 |
受発注プラットフォームのユーザー数増加(+21) |
サポート |
1,596 |
1,866 |
+16.9% |
+270 |
月額保守サービス契約率の上昇(+205)/サプライ品の販売増(+65) |
その他(DX) |
157 |
222 |
+41.6% |
+65 |
DXソリューション他の販売数増加(+68) |
アプリケーション |
10,469 |
9,173 |
-12.4% |
-1,296 |
|
業種別 |
8,868 |
7,868 |
-11.3% |
-1,000 |
サブスク化の進展(-1,158)/自動車系従来ソフトの追加等(+330)/非自動車系従来ソフトの販売減(-172) |
OTRS |
204 |
223 |
+9.6% |
+19 |
製造業の需要回復(+20) |
その他 |
1,398 |
1,082 |
-22.6% |
-316 |
携帯ショップ向け大口案件の反動減(-243) |
合計 |
21,162 |
20,652 |
-2.4% |
-510 |
単位:百万円。2021年12月期からSaaS区分を設定。クラウドソフトの販売開始に合わせアプリケーション売上の内訳を遡及して変更している。
顧客が、ソフトを複数年リースで購入した場合、アプリケーションの『業種別』とプラットフォームの『PaaS/IaaS(基本)』の双方に売上を計上している。
前述のソフトの月額サブスク化に伴う影響額16億54百万円は、プラットフォームの「PaaS/IaaS(基本)」とアプリケーションの「業種別」の減収から成る(上記表中の「サブスク化の進展」)。
②ユーザー数
ユーザー数は前期の37,400社から38,006社へ1.6%の増加。
月額サブスク化の推進により「SaaS」が増収しただけでなく、ユーザー数に比例する月額売上も増収となっている。
ソフトの月額サブスク化に伴い減収となっているが、顧客数は増加傾向にあり、事業実態は引き続き好調である。
*月額売上の内訳
20/12月期 |
21/12月期 |
増減率 |
増減数 |
概要 |
|
SaaS |
692 |
858 |
24.0% |
+166 |
・従来ソフトのサブスク化進展 ・特定大手ユーザーにクラウドソフト導入 |
PaaS/IaaS(基本) |
5,190 |
5,382 |
3.7% |
+192 |
・従来ソフトのユーザー数増加 |
保守その他 |
1,035 |
1,305 |
26.1% |
+270 |
・月額保守サービスの契約率が上昇 ・DXソリューションの販売数が増加 |
EDI・決済 |
692 |
702 |
1.4% |
+10 |
・ユーザー数が増加 |
合計 |
7,609 |
8,247 |
8.4% |
+638 |
単位:百万円
(3)財務状態とキャッシュ・フロー
◎BS
20年12月末 |
21年12月末 |
20年12月末 |
21年12月末 |
||
流動資産 |
7,752 |
8,405 |
流動負債 |
6,432 |
7,512 |
現金等 |
3,232 |
3,522 |
営業債務等 |
3,539 |
3,568 |
営業債権等 |
3,798 |
4,293 |
短期有利子負債 |
748 |
2,480 |
棚卸資産 |
356 |
208 |
非流動負債 |
1,239 |
850 |
非流動資産 |
24,522 |
26,071 |
長期有利子負債 |
788 |
338 |
有形固定資産 |
1,823 |
1,274 |
負債合計 |
7,671 |
8,362 |
のれん |
11,803 |
11,803 |
資本合計 |
24,602 |
26,114 |
無形資産 |
8,426 |
10,548 |
利益剰余金 |
13,266 |
14,489 |
その他の金融資産 |
1,421 |
1,242 |
負債及び資本合計 |
32,274 |
34,476 |
資産合計 |
32,274 |
34,476 |
有利子負債残高 |
1,536 |
2,818 |
自己資本比率 |
76.2% |
75.7% |
*単位:百万円。現金等は現金及び現金同等物、営業債権等は営業債権及びその他の債権、営業債務等は営業債務及びその他の債務
新しいクラウドソフトを含むクラウド基盤の開発投資による無形資産の増加等で資産合計は前期末比22億円増加。
短期借入を実施し、短期有利子負債が増加したことなどで、負債合計は同6億円増加。
配当支払いがあった一方、当期利益の計上により、利益剰余金が増加し資本合計は同15億円増加。
この結果自己資本比率は前期末から0.5%低下し75.7%となった。
◎キャッシュ・フロー
20/12月期 |
21/12月期 |
増減 |
|
営業CF |
5,056 |
3,783 |
-1,274 |
投資CF |
-2,774 |
-3,388 |
-614 |
フリーCF |
2,283 |
395 |
-1,888 |
財務CF |
-2,084 |
-108 |
+1,976 |
現金同等物残高 |
3,232 |
3,522 |
+290 |
*単位:百万円
税引前利益の減少、営業債権の増加などで営業CFのプラス幅は縮小。クラウドの開発投資を進めているため投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFのプラス幅は縮小。
キャッシュポジションは上昇した。
3.2022年12月期業績予想
(1)業績見通し(IFRS)
21/12月期 |
構成比 |
22/12月期(予) |
構成比 |
前期比 |
|
売上収益 |
20,652 |
100.0% |
12,300 |
100.0% |
-40.4% |
売上総利益 |
14,898 |
72.1% |
6,800 |
55.3% |
-54.4% |
販管費他 |
11,503 |
55.7% |
11,600 |
94.3% |
+0.8% |
営業利益 |
3,395 |
16.4% |
-4,800 |
– |
– |
税引前利益 |
3,233 |
15.7% |
-4,800 |
– |
– |
当期利益 |
2,173 |
10.5% |
-5,000 |
– |
– |
*単位:百万円。当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益。
事業実態は好調。月次売上計上のクラウドソフトがメイン商材となるため大幅な減収、損失計上
売上収益は前期比40.4%減の123億円、営業利益は48億円の損失を予想。
配当予想は、現時点では「未定」。前期より、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保し、安定した配当を継続していくことを基本方針としており、配当性向については概ね20%を目処としている。後述する中期経営計画の進捗状況と、内部留保の推移に鑑み、配当予想額を決定する。公表が可能となり次第、速やかに公表する。
(2)減収・損失の背景
大幅な減収とそれに伴い損失計上を見込んでいるが、以下に示すように、売上計上方法の変更によるものであり、同社収益の実際が悪化するものではない点を投資家は理解しておく必要がある。
①売上収益
事業実態
今期もユーザー数は増加傾向にあり好調を継続する。
今期からの変化:メイン商材の変更と売上計上方法の変更
*メイン商材の変更
今期からソフト販売のメイン商材を、新しいクラウドソフト「.cシリーズ」中心に変更する。
従来ソフト「.NSシリーズ」を使用している顧客には5-6年のリース契約が満了となるタイミングで「.cシリーズ」の提供へ切り替えていく。
*売上計上方式の変更
「.NSシリーズ」は複数年分一括の売上計上方式であったが、「cシリーズ」は顧客との契約形態に関わらず月次での売上計上となる。
*PLへの影響
今期2022年は、ソフト総販売数のうち、クラウドソフトの販売数が大半を占める。従来のソフトを複数年リースで販売する場合と比較して、80億円程度、売上へのマイナス影響が発生する。
事業実態は好調が続くが、主力商材となるクラウドソフトが月次での売上計上であることから、大幅減収となる。
*区分別動向
21/12月期 |
22/12月期(予) |
増減率 (通期) |
増減額 (通期) |
増減額 (上期) |
増減額 (下期) |
|
プラットフォーム |
11,479 |
9,800 |
-14.6% |
-1,679 |
-932 |
-747 |
SaaS |
858 |
1,440 |
+67.8% |
+582 |
+72 |
+510 |
PaaS/IaaS(基本) |
7,830 |
5,400 |
-31.0% |
-2,430 |
-1,093 |
-1,337 |
EDI・決済 |
702 |
710 |
+1.1% |
+8 |
-6 |
+14 |
サポート |
1,866 |
1,830 |
-2.0% |
-36 |
+8 |
-44 |
DX |
222 |
420 |
+89.1% |
+198 |
+86 |
+112 |
アプリケーション |
9,173 |
2,500 |
-72.7% |
-6,673 |
-3,205 |
-3,468 |
業種別 |
7,868 |
1,600 |
-79.7% |
-6,268 |
-3,078 |
-3,190 |
OTRS |
223 |
250 |
+12.0% |
+27 |
-18 |
+45 |
機器類 |
1,082 |
650 |
-39.9% |
-432 |
-109 |
-323 |
合計 |
20,652 |
12,300 |
-40.4% |
-8,352 |
-4,137 |
-4,215 |
単位:百万円。2021年12月期からSaaS区分を設定。クラウドソフト「.cシリーズ」の販売開始に合わせアプリケーション売上の内訳を遡及して変更している。増減額(下期)は、通期増減と上期増減の差引額、インベストメントブリッジが計算。
☆ | ソフト販売の大半が、クラウドソフトとなるため、「SaaS」が増収。上期での販売分がストックとなるため、下期にかけて増収が加速する。 |
☆ | 従来ソフトの売上である、プラットフォーム「PaaS/IaaS(基本)」と、アプリケーションの「業種別」の双方が減収。
80億円程度のマイナス影響要因は、この部分に該当する。 |
☆ | クラウドソフトの月額保守サービスも、「SaaS」に計上される。従来ソフトからの切り替えが進むとともに、「サポート」も減収となる。 |
☆ | 自動車部品の受発注プラットフォームの売上にあたる「EDI・決済」は前期並みを見込む。 |
☆ | ホームページ作成ツールやグループウェアを含む、プラットフォーム「DX」は、顧客のDX対応を追い風に増収見込み。 |
☆ | ソフトのクラウド化に伴い、機器類の販売は減少する。 |
②営業利益
売上収益 | 前期比83億52百万円の減少。 |
売上原価 | 前期比2億53百万円減少
・クラウドソフトの商品リリースに合わせ、クラウド償却費が増加する。 ・機器類の仕入高が減少する。 |
販管費他 | 前期比97百万円の増加
・サービス基盤更新費は、クラウドソフトや新サービスのリリースにあわせ稼働基盤を強化拡張し増加。 ・人件費は、前期に発生した一過性の法定福利費が減少する。 ・広告宣伝費は、クラウドソフトや新たなサービスの販売強化により増加する。 |
コスト要因に加え、売上収益の減少が大きく影響し、営業利益は前期比81億95百万円減少し、48億円の損失を予想している。
(3)バランスシートへの影響
クラウドソフト「.cシリーズ」は月額サブスク契約と、5年リース契約から選択が可能である。リース契約を選択する顧客が、これまでどおり大半を占める見込みであり、バランスシートの各勘定科目に対し以下のような増減傾向があると会社側は考えている。
(資産)
クラウドソフトは、リース契約の場合でも売上は月額での計上となる。そのため、売上債権が減少する傾向。
現預金に大きな変動はないと見ている。
無形資産はクラウド開発を継続するため増加傾向。
(負債)
リース契約の場合、5年分代金を一括で受領するため、前受金が増加する見込みである。
また借入金は増加傾向。仮に、大半の顧客が月額サブスクを選択した場合も、既存の借入枠の活用により、運転資金不足の懸念はない。
(資本)
今期の当期利益は損失の見込みであるため、利益剰余金は減少し、資本合計は減少傾向。
ただ、既存の借入枠の活用で十分な運転資金を確保できるため、財務の健全性には問題は無いと考えている。
4.中期経営計画(2022-2028)
クラウドソフト「.cシリーズ」の提供開始に伴い、2021年2月に公表した中期経営方針を更新し、2028年までの業績計画を策定した。
(1)策定の背景
2021年2月に、2021年からの経営方針を発表した。
「DX① お客様のデジタルトランスフォーメーションを推進する」「DX② データエクスチェンジャーとして提供サービスを高付加価値化する」の、「2つのDX」を取り組みテーマとし、成長戦略、重点施策を設定したが、当時はクラウドソフト「.cシリーズ」のリリース前だったため、業績計画は公表していなかった。
その後、クラウドソフト「.cシリーズ」を、2021年10月に商品リリース、2022年から顧客への提供を開始するにあたり、2021年から進めてきた重点施策を更新するとともに、業績計画を新たに策定し、投資家に計画内容を明確に伝えることとした。
2022年から、従来ソフトを使用している顧客は、クラウドソフトに順次移行する。現在の契約形態は最長6年のリース契約であるため移行完了は2028年中を見込んでおり、2028年12月期を最終年度として計画を策定した。
改めて「2つのDX」をテーマとして、進化への施策を進める。
<参考:「2つのDX」>
DX①顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進
顧客企業の新たな価値創造につながるビジネス環境の構築へ貢献する。
DX②データエクスチェンジャー(DX)として、同社サービス基盤を高付加価値化
同社独自のITプラットフォーム上で、ソフトウェアの顧客企業だけではなく、様々な3rdパーティーとの共同で得た情報を収集、分析、予想、統合し、情報の付加価値を高めた上で提供する。
データエクスチェンジャーとなることはデジタルトランスフォーメーション(DX)、EVや自動運転など車の進化、MaaS領域における事業展開を有機的に結び付ける重要要素となる。
データエクスチェンジャー(DX)として、顧客企業への価値提供を通して、社会課題解決につながる取り組みを加速させ、高成長企業への進化を目指す。
※データエクスチェンジャーとは?
同社においては、業務ソフトウェアでの入出力データのほか、自動車部品の受発注プラットフォームでの取引データなど、自動車に関する情報や、点検、整備、修理、部品売買など履歴の情報が、ビッグデータとして蓄積されている。
これらのデータと解析、予測のノウハウは、MaaS事業者の車両管理において活かされ、車両運行の安全を確保するための整備や点検に寄与する。
一方、MaaS事業者を通じた、予約、乗車情報や決済情報として、一般消費者の行動がビッグデータとして蓄積される。公共交通だけでなく、様々なMaaS領域に展開することで、様々な消費者の行動履歴が蓄積される。
これらは国々のレギュレーションによって取扱いが変わるため、レギュレーションに合わせてデータの取得・活用を制御しながら分析・解析する。こうした情報は、消費者との接点拡大を通じ、バリューチェーンを拡大しようとする多くの事業者にとって、魅力的なものとなる。
同社プラットフォームに蓄積されたこれらのデータを、利用者が求める仕様形式に変換し、価値あるものへと化学変化させる仕組みが、同社のクラウドプラットフォームであり、データエクスチェンジャーであると同社では定義している。
(2)成長戦略
(2)-1 概要
成長戦略は「①クラウドの浸透」と「②サービスの拡張」である。
成長戦略①「クラウドの浸透」では、主力サービスであるクラウドソフト「.cシリーズ」の導入率を向上させることを、成長戦略②「サービスの拡張」では、クラウドソフトを核として、顧客の事業運営に不可欠となるITサービスを充実させることをそれぞれの重点施策としている。
この重点施策を、前述の、「DX① お客様のデジタルトランスフォーメーションを推進する」「DX② データエクスチェンジャーとして提供サービスを高付加価値化する」という「2つのDX」の観点で推進する。
同社の強みであるデータがサービスの付加価値となり、さらにデータが蓄積され、新たな価値の源泉となるという「データのエコサイクル」を生成し持続的な競争力の向上と成長を目指す。
(2)-2 成長戦略①:「クラウドの浸透」
後述する業績計画達成のカギは、クラウドソフト「.cシリーズ」の浸透である。
浸透策の進捗を確認するために以下の指標を重視している。
*クラウド化率(クラウドソフトへの移行率)
*クラウドソフト売上=ライセンス数 × ライセンス平均月額 × (1-解約率)
同社では、これらの指標の将来時点の設定値を開示するとともに、適宜、実績を公表する予定である。
◎クラウド化率
同社ソフトのユーザー企業数は、約38,000社で、クラウドソフト「.cシリーズ」の導入対象は自動車整備業、鈑金業、部品商、リサイクル業の4業種、33,000社である。
このうち、2024年末で40%がクラウドソフトに移行することが、2024年の売上計画の前提の1つとしている。
移行率40%を実現するために、従来ソフトのリース契約満了に合わせて、順次クラウドソフトへの移行を進める。
従来ソフトのユーザーリピート率は95%超であり、より商品性が高く、導入が容易なクラウドソフトでは、廃業などの特殊要因がない限り、ほぼ全てのユーザーが採用すると同社では考えている。今後は適宜、実績を公表する予定だ。
(同社資料より)
◎クラウドソフト売上
クラウドソフト「.cシリーズ」は、ライセンス体系を変更している。
従来ソフトでは、PC1台に1ライセンス、結果的に、1企業に1台、あるいは、1店舗に1台というケースが大半であった。
これに対しクラウドソフトでは、端末フリーのWebアプリとなるため、エンドユーザー個人1名のIDアカウントごとのライセンス付与となる。この変更により、対象顧客は企業数または店舗数から、従業者数へと変化する。
上記対象4業種の事業者数は10数万社であるが、従業者数は事業者数の5倍以上、50万人以上の規模となる。
対象顧客企業ごとに、社員数や職種構成を綿密に調査したうえで、設定価格と想定販売数を最適化する。
業種と職種の組み合わせや企業規模などにより、ライセンス種類は分かれており、ライセンス種類ごとに単価に幅があるものの、2024年末には、トータルで24,000ライセンスを提供すると見込んでいる。
2024年での平均のライセンス月額は23,000円と想定しており、「ライセンス数」や「ライセンス平均月額」についても、今後は適宜、実績を公表する考えだ。
※ライセンス形態について
クラウドソフト「.cシリーズ」は端末フリーのWebアプリとなるため、エンドユーザーのアカウントIDごとのライセンス付与となる。これにより各拠点の情報やシステムを本部でリアルタイムに統合管理が可能なほか、場所を選ばず使えるポータビリティも大きな特徴である。
「.cシリーズ」では、業種ごとに設定された「基本パック」を店舗ごとに導入し、1人目は、基本パックのみで利用可能。2人目以降は、職種に応じた職種別ライセンスである「ロールライセンス」を使用する。
例えば、基本パックに加えて、経営者ロール、メカニックロール、フロントロールの3ライセンスが追加されると合計で4ライセンスを付与する。
従来のソフト「.NSシリーズ」では、「1社または店舗につき、1ライセンスを導入」という形態であったが、クラウドソフト「.cシリーズ」では、社員1人1人にライセンス付与という形態に変化する。
このライセンス体系の変化により、店舗当たりの採用ライセンス数は、従来ソフトと比べて大幅に増加する。
*解約率について
従来ソフト「.NSシリーズ」では、リース契約満了時のユーザーリピート率は95%以上であった。6年毎に買い替えが発生しているので、全ユーザーを母数と考えた場合、1年間での解約率は1%未満ということとなる。
クラウドソフト「.cシリーズ」は、単なる事務処理システムではなく、顧客の事業運営にとって不可欠なトータルマネジメントシステムという位置付けで事業発展を支援する様々な機能やサービスを搭載する。
そのため、クラウドソフト「.cシリーズ」は、従来ソフト「.NSシリーズ」と比較して、より長期にわたって利用されるため解約率は極めて低水準となると見込んでいる。
*クラウドソフト「.cシリーズ」の特長
クラウドソフト「.cシリーズ」は、「Broadleaf Cloud Platform」のAPIにより、他システムや外部ネットワークと緊密に連携し、コントロールが可能である。
企業システムの中核的な役割を果たし、AIによる学習機能があるため、企業や店舗、あるいはIDごとに固有な操作方法や処理内容を学習し、ナレッジ化することができる。
これにより継続的かつ効率的な事業運営にとって重要なナレッジが集積され、企業や店舗の中でナレッジの共有を実現する。
また、前述のように、システムの位置づけ・役割が、従来の事務処理システムから、顧客の事業上の中核となるトータルマネジメントシステムへと変化する。ERPのように、システム間連携を非常に容易にできることも、クラウドソフト「.cシリーズ」の特長であり、ライセンス数の増加や、顧客当たりの単価の上昇に寄与すると見込んでいる。
(2)-3 成長戦略②:「サービスの拡張」
*「Broadleaf Cloud Platform」によるサービス展開
以下の技術的特長を持つ「Broadleaf Cloud Platform」を起点として新たなサービスを展開する。
「Broadleaf Cloud Platform」は、ITシステムに求められる機能をマイクロモジュール化しており、拡張性が極めて高く、マイクロモジュールを組み合わせることでサービス化が可能。このため、様々なソフトを柔軟に構成し、顧客に提供できる。
また、ソフトに限らず、モジュール単位でも提供できる設計としておりAPIとして、3rdパーティーが利用でき、他社製ソフトの稼働基盤となるだけでなく、ブロードリーフのクラウドソフトとAPIを通して、機能連動、データ連動が可能である。
加えて、システムの開発環境をキット化しているため、システム開発会社はブロードリーフのクラウドソフトのアドオン開発が可能である。
3rdパーティーであるシステム会社の開発リソースを利用できるようになるため、大手顧客からのカスタマイズニーズにも対応できる。
こうした特長から、ブロードリーフのソフトユーザー以外からもデータが集まり、サービスの付加価値が循環的に高まっていく仕組みとなっている。
(同社資料より)
*受発注プラットフォームの業界スタンダード化
従来から提供しているプラットフォームサービスのひとつである自動車補修部品の受発注プラットフォームを業界スタンダードとし、年平均成長率30%以上を目指す。
自動車補修部品の受発注プラットフォームは、自動車整備工場などが部品商と売買取引をおこなう場合や、部品商同士、あるいは自動車リサイクル業者と部品商などが売買取引する際に利用している。
年々、顧客の採用率は上昇している一方で、2021年末時点のEDI採用率は28.4%にとどまっており、電子取引は依然低水準である。
そこで、クラウドソフト「.cシリーズ」に、自動車補修部品の受発注プラットフォームを標準搭載(100%採用)するだけでなく、連動性や操作性などを高める予定であり、利用頻度も増加を見込んでいる。
これまでも利用頻度の高かった整備工場や車検チェーンから順にクラウドソフトを提供し、それに呼応する形で部品商やリサイクル業に導入し、さらに中小規模の整備鈑金業での利用も促進するような拡張策を戦略的に推進する。
電子帳簿保存法対応なども、売買取引の電子化を進めるきっかけとなると見ており、高成長、収益化を加速する。
*オートファイナンス事業への展開
2021年10月に、トヨタファイナンスとの協業を開始し、オートファイナンス事業の本格展開に向けて準備を進めている。
トヨタファイナンスの金融サービスを、ブロードリーフのソフトユーザーである自動車販売店をはじめ、整備業者、鈑金事業者などに提供する予定。
これまでトヨタ系列店舗においてのみ提供されていたトヨタの自動車関連の金融サービスが、系列でないブロードリーフの顧客店舗でも、取り扱いができるようになる。
2022年の上半期中には、サービス提供を開始する予定。
さらに、様々な金融事業者による多様なオートファイナンスをラインアップすることで、「Broadleaf Cloud Platform」上でオートファイナンス商品のマーケットプレイスを構築する。
ブロードリーフには既に、多くのソフトユーザーと、その顧客である多くのカーオーナーがおり、ファイナンス商品の多様化が進むことで、総トランザクション数の増加が見込まれる。
(3)経営資源の配分方針
成長戦略である「クラウドの浸透」と「サービスの拡張」にあらゆる経営資源を集中させる。
2つをともに推進するためには、開発やセールスのリソースだけでなく、社内インフラの強化も必要と考えている。
2022年12月期・2023年12月期は、会計的には損失を計上する見通しである一方、今後の成長加速につなげるために、人材と知的財産を成長戦略実現のための中核資産と認識し、人的資本とIPリソースの最大化に向けて積極的な投資を行っていく。
同時に経営資源の最適な配分を実現するためにポートフォリオマネジメントを実施するとともに、厳格な事業管理をおこない、経営効率の最大化を目指す。
(4)環境変化と事業への影響
気候変動を中心とした環境課題や、交通事故などの社会課題解決のために、オートモビリティ産業や関連行政は、今後大きく変化するものと見ている。
オートモビリティ産業においては、EV化シフト・CASEに代表される自動車高度化が進む。
それは同時に、メンテナンスの高度化に繋がり、EVや高度化した車両メンテナンスをサポートするITシステムの需要増加、ナレッジの蓄積や共有の需要増加、大規模な事業者における経営効率化のためDX投資需要増加を意味し、最新鋭のクラウドソフトが必要となる。
また、全ての事業者がEVシフトや自動車高度化に対応できるものではないため、事業者数は減少傾向に向かうと予想される。一方で国内自動車保有台数は増加傾向にあり、今後は予防点検などのメンテナンス需要は増加が予想されるため、事業者の二極化が進むと同社では見ており、マーケットを捉える視点を社数から従事者数に変更する必要があると考えている。
行政においては、法制度の変更による電子化対応が必要で、書類の電子保存などの需要が増加する。
こうした変化はオートモビリティ産業事業者におけるDXに代表されるIT投資増に繋がり、同社にとってポジティブなものである。
同社の顧客企業は、変わりつつあるオートモビリティ社会のインフラを支え続ける存在であり、同社はクラウドソフトを始めとした様々なサービスの提供によって顧客を支援していく。、
(5)サステナビリティ方針
ブロードリーフの「企業理念」及び「社名の由来」に込められた想いの実践を通じて「持続可能な社会の実現」と「企業価値の向上」を目指していくため、サステナビリティの基本方針を策定した。
基本方針
「長期的な視点に立ち、「サステナビリティ」における重点項目<マテリアリティ>に取り組むことで様々なステークホルダーに対する直接的・間接的なポジティブインパクトの拡大(価値創出)とネガティブインパクトの低減(社会的責任)に努めます」
(6)事業とSDGsの関連
同社の事業は、企業にITサービスを提供しているため、同社の役割はいわば黒子ともいうべきものである。そのため、環境課題や社会課題との直接的な接点は見えづらいが、各種課題との関連を常に意識しながら、これからも活動を推進していく。
(同社資料より)
(7)業績計画
2028年12月までの業績計画は以下の通り。
2022年12月期をボトムに、2024年12月期黒字回復、2026年12月期過去最高業績を更新。その後も売上のストック化が進み増収を継続する。
全ての顧客において主力商品クラウドソフト「.cシリーズ」への移行が完了する2028年12月期には売上収益325億円、営業利益130億円、営業利益率40%、当期利益80億円を目標としている。
今来期は最終赤字となるが、自己資本が不足することはなく、資本強化のためのエクイティファイナンスも不要と考えている。
◎業績計画
21/12期 |
22/12期 |
23/12期 |
24/12期 |
25/12期 |
26/12期 |
27/12期 |
28/12期 |
|
売上収益 |
207 |
123 |
147 |
185 |
220 |
255 |
290 |
325 |
営業利益 |
34 |
-48 |
-27 |
10 |
33 |
67 |
100 |
130 |
営業利益率 |
16% |
– |
– |
5% |
15% |
25% |
34% |
40% |
当期利益 |
22 |
-50 |
-29 |
6 |
20 |
42 |
63 |
80 |
自己資本 |
261 |
200 |
175 |
180 |
– |
– |
– |
– |
自己本比率 |
76% |
60% |
50% |
52% |
– |
– |
– |
– |
単位:億円。22/12期より計画。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。自己資本は親会社の所有者に帰属する持分。
◎ビジネス別推移
22/12期 |
23/12期 |
24/12期 |
25/12期 |
26/12期 |
27/12期 |
28/12期 |
|
クラウドビジネス |
26 |
59 |
104 |
152 |
200 |
250 |
291 |
プラットフォームサービス |
7 |
9 |
14 |
16 |
19 |
29 |
41 |
ソフトウェアサービス |
19 |
50 |
90 |
136 |
180 |
221 |
250 |
従来ビジネス |
97 |
88 |
81 |
68 |
55 |
40 |
34 |
ライセンス販売 |
19 |
16 |
16 |
16 |
16 |
15 |
15 |
付帯サービス |
65 |
60 |
52 |
38 |
27 |
15 |
12 |
機器販売等 |
13 |
12 |
13 |
14 |
13 |
11 |
7 |
売上収益 |
123 |
147 |
185 |
220 |
255 |
290 |
325 |
単位:億円。22/12期より計画。
<クラウドビジネス>
クラウドソフトだけでなく、「Broadleaf Cloud Platform」からサービス展開するビジネスも含む。
プラットフォームサービスとソフトウェアサービス(SaaS)に大別され、ソフトウェアサービスに含まれるクラウドソフト「.cシリーズ」の提供がクラウドビジネス成長の原動力である。
プラットフォームサービスの、受発注プラットフォーム売上も成長する。
クラウドソフトウェアへの移行に合わせて、受発注プラットフォームの浸透を見込んでいる。前述のように、自動車部品の売買取引における受発注プラットフォームの業界スタンダード化を推進する。
加えて、業績計画には含まない「Broadleaf Cloud Platform」を起点とした新たなプラットフォームサービスも展開する。今後、売上計画を上積みできる新サービスも提供していく。
<従来ビジネス>
従来ソフトの販売が中心で、クラウドビジネスへの転換とともに縮小するが、ソフトは複数業種向けにラインナップがあり、クラウド開発が未定な従来ソフトもあるため、ライセンス販売は売上計画上、ゼロにはならない見込みである。
22年12月期から23年12月期は、従来ビジネスからクラウドビジネスへの転換初期にあたり、従来ビジネスは売上のストックがあるため売上規模が大きい。
24年12月期には転換が進みクラウドビジネスが従来ビジネスを上回る。以降はクラウドビジネスの成長が加速する。
付帯サービスは、各種の月額売上であるため、クラウドソフトへの移行とともに、一定期間をかけて縮小し、クラウドビジネスの売上へ置き換わる。
ソフトのクラウド化に伴い、PC販売は低下し、ペーパレスの流れで、帳票やプリンターの販売も低下する見込み。
5.今後の注目点
今期の大幅な減収および損失計上予想に対し、クラウドソフトの導入そのものに否定的な意見を持つ一部の投資家もあるようだが、クラウドソフトの利用は、今後のカーアフターマーケット市場を含めたオートモビリティ産業の将来像を見据えた上での、売上の安定と更なる成長を追求するための戦略であることも理解しておくべきであろう。特に、事業者数の減少が予想される中で、ライセンスの付与形態が、事業者・店舗単位から、従事者単位に変更されることも、重要なポイントと思われる。
会社側は投資家の不安を十分理解した上で、事業進捗に関わるKPIの将来時点の設定値の開示と、実績の公表を予定している。短期、中長期双方の視点でこれらKPIおよび業績計画の進捗・達成状況をウォッチしていきたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役会設置会社 |
取締役 | 6名、うち社外4名 |
監査役 | 3名、うち社外2名 |
◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2021年12月21日
<基本的な考え方>
当社グループは企業活動を支えるすべてのステークホルダーの利益を重視しており、コーポレートガバナンスの強化を経営の重要課題として位置付けております。そのために、当社の企業理念である「感謝と喜び」を実現し、企業価値の永続的な増大を図るとともに、経営の健全性及び透明性の確保に努めております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
「当社はコーポレートガバナンス・コードの各原則を全て実施しています。」と記載している。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
原則 |
開示内容 |
【原則1-4 政策保有株式】 | 当社では、株式の政策保有に関する方針及び政策保有株式の議決権行使の基準を以下のように定め、運用しております。
(政策保有に関する方針) 当社は、良好な取引関係の維持発展並びに新事業における将来の取引や業務提携の可能性等を勘案し、政策保有株式を保有します。また、当社の取締役会において、政策保有株式について保有目的、株価変動リスク等を検証し、保有継続に合理性がないと判断した保有株式については縮減を進めます。当社は、政策保有株主から株式売却の意向が示された場合には、当該株主の意向を尊重し、その売却等を妨げません。当社は、取引先が政策保有株主であるか否かにかかわらず、経済合理性を十分に検証しており、政策保有株主である会社との取引においても経済合理性を欠くような取引は行いません。
(政策保有株式の議決権行使の基準) 当社は、政策保有株式の議決権行使にあたっては、提案されている議案について、株主価値の毀損につながる議案でないかを確認します。また、議決権の行使について政策保有株主である会社の状況等を勘案のうえ、必要がある場合には当該会社に議案の趣旨を確認し、議案に対する賛否を判断します。 |
【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】 | 1.女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保について
当社は、変化の激しい市場環境に対応し、スピードをもった事業創造ができる組織力を高めていくため、女性、外国人、中途採用者の多様な人材の採用、起用を積極的かつ継続的に進めています。 当社管理職における中途社員比率は65%となっており、執行役員においても80%を中途採用者より登用しています。 また、女性・外国籍社員の管理職登用数の実績値開示はおこなっていないものの、現時点で複数の実績があります。 このように、国籍、性別等や入社経緯によらず多様な人材の登用を推進しています。
2.多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針について 当社は、今後も国籍、性別等に囚われず、その能力・成果に応じた人材を評価し、登用を行ってまいります。 特に女性活躍推進については、新規直雇用者における採用比率の30%以上を女性社員とすることを女性活躍推進法で求められる一般事業主行動計画に明記しています。 また、ライフステージ毎に柔軟な働き方ができる勤務体系整備や時間と場所にとらわれない新しい働き方の実現に向けた検討をすすめており、2022年度内の完了を目指し、社内環境の整備を進めています。 |
【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み等】 | 2022年2月に公表予定の中期経営計画において、自社のサステナビリティについての取組み、人的資本や知的財産への投資等について開示を予定しております。 |
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】 | 株主との対話(面談)は、代表取締役社長による統括のもと、IR担当部門であるインベスターリレーションズ室が行います。なお、対話の目的及び面談者の属性を考慮のうえ、必要に応じて代表取締役社長又は取締役副社長が対応いたします。IR担当部門は、関連部門との定期的な情報共有を実施することで、株主に対する十分な情報の提供と円滑な対話の実施に努めます。また、建設的な対話を促進するため、株主構造の把握に努めます。個別面談以外の対話の手段として、代表取締役社長又は取締役副社長による機関投資家向け決算説明会や個人投資家向け会社説明会を実施しております。また、当社ウェブサイトにIRに関する問い合わせページを設けております。対話において把握された株主の意見・懸念については、取締役会や経営会議等において随時、代表取締役社長又は取締役副社長から経営陣幹部にフィードバックいたします。対話に際しては、ディスクロージャーポリシー及びインサイダー取引防止規程に則り、インサイダー情報に該当する内部情報の管理を徹底いたします。
IR・お問い合わせ https://www.broadleaf.co.jp/form/ ディスクロージャーポリシー https://www.broadleaf.co.jp/ir/policy/ |
本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) Investment Bridge Co., Ltd. All Rights Reserved. |