日本エンタープライズ株式会社(4829) 新事業の推進、売上増を目指す
植田 勝典 社長 |
日本エンタープライズ株式会社(4829) |
|
企業情報
市場 |
東証1部 |
業種 |
情報・通信 |
代表者 |
植田 勝典 |
所在地 |
東京都渋谷区渋谷1-17-8 |
決算月 |
5月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(期末) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
205円 |
40,134,900株 |
8,227百万円 |
2.7% |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
3.00円 |
1.5% |
6.35円 |
32.3倍 |
125.08円 |
1.6倍 |
*株価は10/8終値。発行済株式数、DPS、EPS、BPSは22年5月期第1四半期決算短信より。ROEは前期実績。
連結業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2018年5月(実) |
3,892 |
174 |
257 |
166 |
4.11 |
2.00 |
2019年5月(実) |
3,413 |
242 |
292 |
97 |
2.44 |
2.00 |
2020年5月(実) |
3,588 |
267 |
310 |
176 |
4.40 |
2.00 |
2021年5月(実) |
4,346 |
338 |
355 |
134 |
3.35 |
3.00 |
2022年5月(予) |
4,730 |
375 |
380 |
255 |
6.35 |
3.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。21年5月期の配当には記念配当0.50円/株を含む。
日本エンタープライズ(株)の2022年5月期第1四半期決算概要と今後の見通しについてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2022年5月期第1四半期決算概要
3.セグメント別事業概況
4.2022年5月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 22年5月期第1四半期の売上高は前年同期比9.4%増の10億25百万円。法人向け「受託開発」及び人材不足問題にマッチした「業務支援サービス」などソリューション事業が拡大。クリエーション事業は減収。営業利益は同92.5%増の77百万円。営業力強化に向けた人材採用に伴う人件費が増加したものの、ソリューション事業の増収及び収益性の改善で吸収した。
- 業績予想に変更は無い。22年5月期の売上高は前期比8.8%増の47億30百万円、営業利益は同10.8%増の3億75百万円の予想。収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツの拡充、新たなコンテンツサービスの開発、主力事業であるキッティング支援の拡大、新規事業の推進、コロナ禍における社会のDX化に対応した受託開発や業務支援サービスの拡大等により売上増を目指す。また、収益性の高い事業の拡大により増益、利益率向上を図る。配当は実質前期比0.50円/株増配の普通配当3.00円/株を予定している。予想配当性向は47.2%。
- 第1四半期の進捗率は売上高で21.7%、営業利益で20.8%。第2四半期以降、どのように積み上げていくのかを注目していきたい。中期的な視点としては、「with and after コロナ」に対応した新製品、新サービスがどのようなスピード感で業績に貢献していくかを見ていきたい。
※2022年5月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、前年同期比は参考値。
1.会社概要
モバイルソリューションカンパニーを標榜。個人向けスマートフォンアプリの開発・提供、企業向けシステム開発、モバイルキッティング、e コマース等のサービスを提供しており、事業セグメントは、自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーションやシステムを提供する「クリエーション事業」と企業の業務用ソフトウェアやシステムの開発を請け負う「ソリューション事業」に分かれる。また、DXを背景に新たなサービスの創出にも取り組んでいる。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)へ株式上場。2007年7月10日の東京証券取引所市場第二部への市場変更を経て、2014年2月28日に同市場第一部の指定を受けた。
1-1 経営理念
同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田社長の考えである。そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田社長が興した会社であり、様々なIT機器を通して便利で面白い多種多様なコンテンツを制作し提供する事でユーザーの満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。こうした植田社長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・社会福祉施設・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災の折には、被災した方々の支援と東北地方の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われた。
1-2 企業グループ(連結子会社7社、非連結子会社1社)
連結子会社は、アプリ/WEBサイト企画・開発・運用、業務支援等の(株)ダイブ、アプリ/システム開発~運用、デバッグ等の(株)フォー・クオリア、音声通信関連ソリューションの(株)and One、スマートフォン向けキッティング支援ツール等の(株)プロモート、アプリ/システム開発等の(株)会津ラボ、太陽光発電の(株)スマート・コミュニティ・サポート、電子商取引サービス「いなせり」「いなせり市場」の企画・開発・運営を手掛ける いなせり(株)の国内7社。非連結子会社は、コンテンツ運営等を行うNE銀潤(株)の国内1社。
新規サービス開発による事業創出や事業価値の最大化を図るため、交通情報を中心にした情報提供を行っていた交通情報サービス(株)を2021年6月1日付で吸収合併した。
1-3 事業概要
事業は、クリエーション事業とソリューション事業に分かれる。
(1)クリエーション事業 : 自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーション・システムの提供
コンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、及びその他(太陽光発電)等、自社で保有する権利や資産を活用したサービスを提供している。
◎コンテンツサービス
総合電子書籍サービスやゲーム等のエンターテイメント系のコンテンツ、「ATIS交通情報サービス」、「ちょこっとゲーム」、「ラッキーステーション」、更には一般消費者向け鮮魚ECサイト「いなせり市場」といったライフスタイル系のコンテンツを提供している。
エンターテインメント |
・通信キャリア向け定額制サービスにおいて提供しているゲームをはじめ、多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍サービスや、コミュニケーションを促進する素材など、様々なコンテンツ |
ライフスタイル |
・各IC間の所要時間がわかる詳細渋滞マップや通過地点のリアルタイムの道路状況をお届けする交通ライブ映像等、全国の高速道路・一般道路の情報をもっと詳しく知りたいお客様に役立つ機能を搭載した実用アプリ ・月間20万人のユーザーに向けて、女性のための「美」と「健康」をサポートするアプリ。“妊活”をテーマに新サービス・機能を提供 ・ブランド品からファッションアイテム、電化製品までオールジャンルの商品を取扱うフリーマーケットアプリ ・一般消費者が、豊洲市場の仲卸の目利きに適った水産物や青果を購入できるECサイト。商品ラインナップと各種サービスを拡充 |
(同社資料を基に作成)
◎ビジネスサポートサービス
キッティング作業における人的負担の軽減と生産性・正確性を向上させる支援ツール『Kitting-One』の開発・販売及び『Kitting-One』を使ったキッティング作業の代行を行う「作業請負」、車両動態管理クラウド『iGPS on NET』等の提供も行う「ATIS交通情報サービス」、操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXソフトウェア『Primus』等の開発・販売を行っている「音声ソリューション」、東京魚市場卸協同組合所属仲卸業者のインターネット水産物販売サイト「いなせり」の運営といったサービスを提供している。
キッティング支援 |
・人的作業の軽減を可能とし「生産性」「正確性」の向上を実現できるキッティング作業支援ツール『Kitting-One』等を開発・販売 |
ATIS交通情報 |
・全国の高速道路・一般道の道路状況のみならず、地域に密着した気象情報・鉄道遅延情報をTV局やFM局へ24時間提供 ・交通事象をマップ上で確認できる物流企業向け交通情報サービス『ATIS on Cloud』や 車両動態管理システム『iGPSon NET』を提供 |
コミュニケーション |
・操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXソフトウェアとして、病院向け及びオフィス向け『NE-Phoneシステム』の開発・販売 ・「シンプル&かんたん」をテーマに、チャットと画面共有を一画面に集約していながら顔認証機能により高セキュリティ性も兼ね備えたWeb会議システム『NEEDS』を開発・販売 |
教育・調達・観光 |
・eラーニング、電子見積業務支援ASPサービス、観光促進等 |
いなせり |
・飲食事業者向けECサイト『いなせり』を東京魚市場卸協同組合(仲卸)等と連携を図り、水産物や青果の販売サービスを提供 |
(同社資料を基に作成)
◎その他
再生可能エネルギーによる地域活性化を目指し、太陽光による発電と、その電力販売等を行っている。
太陽光発電 |
・山口県における再生可能エネルギーによる地域活性化を推進 |
(同社資料を基に作成)
(2)ソリューション事業 : 企業の業務用ソフトウェアやシステムの受託開発
主にシステム開発・運用サービスを提供している。
クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、受託開発(スクラッチ開発)を中心としたトータルソリューションサービスに力を入れている他、中古端末買取販売サービスの育成に取り組んでいる。トータルソリューションサービスでは、アプリ開発やサイト構築等の受託に加え、サーバの設計から構築、運用監視、デバッグ、カスタマーサポート、コンサルティング等をワンストップで提供している。
一方、中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)は、キッティングサービスの取引先である企業や携帯電話販社を中心に仕入先が順調に拡大しており、端末の安定調達に向けた取り組みが進んでいる。
コロナ禍におけるテレワーク推奨や5G(第5世代移動通信システム)対応端末の普及による乗り換えで端末需要が増加し、中古端末の流通量が高まり、サービスの需要拡大が予想される(既に中古端末のマーケットは、スマートフォンを中心に拡大傾向)。
システム開発・運用サービス |
*ソリューションサービス AI、IoT、セキュリティ関連システムの需要が増大する中、コンサルティングから開発、保守・運用まで、市場のニーズに合わせたトータルソリューションサービスを提供 |
*業務支援サービス 常駐型でクライアント企業の課題解決へ向けた業務支援を行うサービス。幅広い支援内容でサービスを拡大 |
|
*中古端末買取販売サービス 中古端末を買い取りバイヤーに販売するサービス。厳正なグレーディング(査定)に加え、リファービッシュ(※)の提供を目指す |
|
*新型コロナウイルス感染症対策サービス ガラスコーティング剤『NEコート・ハドラス』の販売など |
※リファービッシュ:中古品等の端末を新品に準じる状況に仕上げること。
(同社資料を基に作成)
1-4 ROE分析
|
18/5期 |
19/5期 |
20/5期 |
21/5期 |
ROE(%) |
3.4 |
2.0 |
3.6 |
2.7 |
売上高当期純利益率(%) |
4.3 |
2.9 |
4.9 |
3.1 |
総資産回転率(回) |
0.6 |
0.6 |
0.6 |
0.7 |
レバレッジ(倍) |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
*同社決算資料を基に(株)インベストメントブリッジが計算。
収益性及び資産効率性の改善によるROE水準の上昇が期待される。
2.2022年5月期第1四半期決算概要
2-1 連結業績
|
21/5期1Q |
構成比 |
22/5期1Q |
構成比 |
前年同期比 |
売上高 |
936 |
100.0% |
1,025 |
100.0% |
+9.4% |
売上総利益 |
373 |
39.9% |
461 |
45.0% |
+23.7% |
販管費 |
332 |
35.5% |
383 |
37.4% |
+15.3% |
営業利益 |
40 |
4.3% |
77 |
7.6% |
+92.5% |
経常利益 |
42 |
4.5% |
78 |
7.6% |
+84.5% |
四半期純利益 |
12 |
1.4% |
48 |
4.7% |
+275.1% |
* 単位:百万円。
前年同期比9.4%の増収、同92.5%の営業増益
売上高は前年同期比9.4%増の10億25百万円。法人向け「受託開発」及び人材不足問題にマッチした「業務支援サービス」などソリューション事業が拡大。クリエーション事業は減収。
営業利益は同92.5%増の77百万円。営業力強化に向けた人材採用に伴う人件費が増加したものの、ソリューション事業の増収及び収益性の改善で吸収した。
「収益認識に関する会計基準」の適用により、適用無しの会計処理と比較して、売上高は88百万円、売上原価は45百万円それぞれ増加しており、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益はそれぞれ43百万円増加している。
2-2 セグメント別動向
◎セグメント別売上高・利益
|
21/5期1Q |
構成比 |
22/5期1Q |
構成比 |
前年同期比 |
クリエーション事業 |
492 |
52.5% |
481 |
47.0% |
-2.1% |
ソリューション事業 |
444 |
47.5% |
543 |
53.0% |
+22.2% |
連結売上高 |
936 |
100.0% |
1,025 |
100.0% |
+9.4% |
クリエーション事業 |
160 |
32.5% |
151 |
31.4% |
-5.5% |
ソリューション事業 |
23 |
5.4% |
85 |
15.8% |
+258.6% |
調整額 |
-143 |
– |
-159 |
– |
– |
連結営業利益 |
40 |
4.3% |
77 |
7.6% |
+92.5% |
* 単位:百万円。利益の構成比は売上高営業利益率。
①クリエーション事業
|
21/5期1Q |
22/5期1Q |
前年同期比 |
コンテンツサービス |
299 |
252 |
-15.7% |
ビジネスサポートサービス |
175 |
211 |
+20.3% |
その他(太陽光発電) |
17 |
18 |
+6.3% |
セグメント売上高 |
492 |
481 |
-2.1% |
* 単位:百万円
コンテンツサービスは、通信キャリア向け定額制コンテンツに注力したものの、月額コンテンツと通信キャリア以外が運営するプラットフォームでのコンテンツの減少により減収。
ビジネスサポートサービスは、キッティング支援、音声ソリューション等の拡大に伴い増収。
その他(太陽光発電)は良好な天候により増収。
②ソリューション事業
|
21/5期1Q |
22/5期1Q |
前年同期比 |
システム開発・運用 |
444 |
543 |
+22.2% |
その他 |
– |
– |
– |
セグメント売上高 |
444 |
543 |
+22.2% |
* 単位:百万円
システム開発・運用サービスは、法人向け「受託開発」 及び 人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」が拡大した。
2-3 四半期業績の推移
前期第4四半期比では13.5%減収、41.9%営業減益。
①クリエーション事業
|
21/5 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
22/5 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
コンテンツサービス |
299 |
281 |
287 |
263 |
252 |
– |
– |
– |
ビジネスサポート |
175 |
192 |
279 |
314 |
211 |
– |
– |
– |
その他 |
17 |
16 |
10 |
17 |
18 |
– |
– |
– |
売上高 |
492 |
490 |
577 |
595 |
481 |
– |
– |
– |
* 単位:百万円
*コンテンツサービス
前期第4四半期比4.2%の減収。月額コンテンツが減少した他、新規コンテンツの開発に時間を要した。
*ビジネスサポートサービス
前期第4四半期比32.9%の減収。年度末特需の剥落に伴い減収だったが、堅調に推移した。
ソリューション事業
|
21/5 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
22/5 1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
システム開発・運用 |
444 |
459 |
697 |
589 |
543 |
– |
– |
– |
その他 |
– |
– |
– |
– |
– |
– |
– |
– |
売上高 |
444 |
459 |
697 |
589 |
543 |
– |
– |
– |
* 単位:百万円
年度末特需の剥落に伴い前期第4四半期比では7.9%の減収となったが、引き続き、コロナ禍に伴う企業のDX化推進トレンドは継続しており、「受託開発」が堅調に推移し、第1四半期における最高売上高(2017年度以降)を更新した。
2-4 財政状態
◎要約BS
|
21年5月 |
21年8月 |
増減 |
|
20年5月 |
21年8月 |
増減 |
現金及び預金 |
4,739 |
4,492 |
-246 |
仕入債務 |
144 |
138 |
-5 |
売上債権 |
517 |
621 |
+103 |
短期借入金 |
23 |
23 |
― |
流動資産合計 |
5,395 |
5,251 |
-144 |
流動負債合計 |
693 |
564 |
-129 |
有形固定資産 |
333 |
325 |
-8 |
長期借入金 |
206 |
201 |
-5 |
無形固定資産 |
225 |
220 |
-4 |
固定負債合計 |
257 |
252 |
-4 |
投資その他の資産 |
177 |
161 |
-16 |
負債合計 |
950 |
816 |
-133 |
固定資産合計 |
736 |
708 |
-28 |
純資産合計 |
5,182 |
5,143 |
-38 |
資産合計 |
6,132 |
5,960 |
-172 |
負債純資産合計 |
6,132 |
5,960 |
-172 |
* 単位:百万円
現預金の減少等で総資産は前期末比1億72百万円減の59億60百万円。負債は同1億33百万円の減少で8億16百万円。純資産はほぼ変わらずの51億43百万円。この結果自己資本比率は前期末から1.7ポイント上昇し84.2%となった。
3.セグメント別事業概況
両事業において、注目すべき商材、サービスは以下の通り。
3-1 クリエーション事業
◎女性のリズム手帳
月間20万ユーザーが利用する女性向けライフサポートアプリ。(株)NTTドコモのスマートフォン向けサービス「スゴ得コンテンツ®」で7月より提供を開始した。「女性の一生をサポートするマストツールに!」をコンセプトに様々なコンテンツを提供している。「妊活」をテーマに追加した新機能の一つである「セルフチェック機能」では、パートナーの妊活診断も可能である。
更なる機能追加とともに、5Gコンテンツの配信や新プラットフォームでのサービス展開、プロモーション強化でユーザー拡大を図る。
◎ATIS交通情報サイト
コロナ禍で利用が増えた一般ドライバー向けに、渋滞マップの閲覧やルート検索を無料で利用できる「ATIS交通情報サイト」を8月に新設しマルチデバイスに対応した。
全国の高速道路に加え、1都3県における一般道の渋滞情報も提供するほか、ルート検索では距離順・時間順・料金順の結果や主要JCT間の参考所要時間も表示する。
アプリ「ATIS交通情報」の利用を促す他、広告収入を図る。
◎いなせり市場
豊洲仲卸の目利きによる高品質な魚介商品を購入できるECサイトである一般消費者向け『いなせり市場』は、SNS別の記事配信や独自のキャンペーン実施等でTwitterは1.9万フォロワーに達し、Instagramも配信強化により1年弱で1.2万フォロワーを突破し、サイト登録者も増加している。
新たなプラットフォームでの販路開拓により利用拡大を目指す。
◎キッティング支援
端末初期設定をRPAツールを用いて自動化し行うキッティング(端末初期設定)支援サービスは、アジア圏における新型コロナ拡大による製造部品停滞で新規端末不足の影響を受けているが、5G端末の普及等を背景に着実に伸長している。
◎電子見積業務支援ASPサービス『Profair』(プロフェア)
競り下げ式オークション(リバースオークション)サイト「日本オープンマーケット」において公明正大な取引と効率的な購買業務を実現する電子見積業務支援ASPサービス『Profair』は、国公立大学や中央省庁をはじめとした豊富な利用実績と社会における新生活様式の浸透で堅調に推移している。
引き続き、需要の拡大を背景に導入を促進していく。
◎NE-Phoneシステム
9月に提供を開始したオンプレミス/クラウド双方対応のIP-PBXコミュニケーションシステム。病院向け/オフィス向けの2種類を用意し、PHS終了により通信機器のリプレースが必要な医療機関や、2024年頃に実施される公衆交換電話網のIP網への移行に伴う企業の需要に対応する。
病院向けにおいては、PHS後継規格であるsXGPに対応し、医療現場のICT化に向けて貢献する。
オフィス向けにおいては、在宅勤務に向けたクラウド化ニーズの他、モニタリング・ウィスパリング(通訳者が聞き手側の人の隣で、ささやく程度の小声で同時通訳を行うこと)など、オフィス業務の効率化に対応する。
体制強化により販売を促進するとともに機能を拡充し顧客層も拡大する。
3-2 ソリューション事業
◎ソリューションサービス
2030年度には2019年度比3.8倍の3兆円規模にまで拡大されると見込まれるDX市場において、複合的な技術と顧客業務へのコンサルティングが求められるDX関連開発に対し、トータルソリューションサービスを提供してきた実績を基に、仕様変更や急な案件発生等にも柔軟に対応するラボ型開発での受託を拡大し、開発内容に因らない安定した収益確保を実現している。
多様な対応が求められるDX関連の開発案件に対し、豊富な実績と柔軟な対応力で受注を促進している。
◎業務支援サービス
大手通信キャリアをはじめとした各種企業に対し高度人材により上流工程からのサービスを提供している。既存顧客の深耕と新規顧客の獲得に向け、採用と研修両面で新たな取り組みを実施しているほか、採用力・人材教育を継続的に強化し既存顧客を深耕している。
◎中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)
企業のIT投資拡大による継続的な端末需要増加と取引先の拡大を背景に、中古端末処分を支援する同サービスが拡大している。世界各国で推奨されているソフトウェアを用いた安心・安全なデータ消去、東証1部上場企業としての信用力、不要資産の有効活用などの特長が評価されている。
取次店との関係強化を進め事業を拡大する。
4.2022年5月期業績予想
4-1 連結業績予想
|
21/5期 実績 |
構成比 |
22/5期 予想 |
構成比 |
前期比 |
進捗率 |
売上高 |
4,346 |
100.0% |
4,730 |
100.0% |
+8.8% |
21.7% |
営業利益 |
338 |
7.8% |
375 |
7.9% |
+10.8% |
20.8% |
経常利益 |
355 |
8.2% |
380 |
8.0% |
+6.9% |
20.6% |
当期純利益 |
134 |
3.1% |
255 |
5.4% |
+89.6% |
18.9% |
* 単位:百万円
業績予想に変更無し。増収増益予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比8.8%増の47億30百万円、営業利益は同10.8%増の3億75百万円の予想。
収益性の高い通信キャリア向け定額制コンテンツの拡充、新たなコンテンツサービスの開発、主力事業であるキッティング支援の拡大、新規事業の推進、コロナ禍における社会のDX化に対応した受託開発や業務支援サービスの拡大等により売上増を目指す。
また、収益性の高い事業の拡大により増益、利益率向上を図る。
配当は実質前期比0.50円/株増配の普通配当3.00円/株を予定している。予想配当性向は47.2%。
4-2 事業展開の考え方
「社会をより良い方向へ変える企業」として脱炭素社会実現に貢献することを目指し、コロナ禍で社会が直面せざるを得なくなった新常態、変革をチャンスと捉え、DXに向け多くの商材を提供する。
そのために同社、連結子会社7社、非連結子会社1社の8社から成るグループにおける経営資源を有効に活用するとともに、グループシナジーの最大を目指して事業を推進していく考えだ。
コロナ禍対応として、従業員と関係者の安心・安全確保と経済活動の促進との両立に向け、テレワーク体制の構築、会議などでのオンラインの活用のほか、ワクチン接種に際しては特別休暇制度及び報奨金制度を導入するなど対応策を構築した。
5.今後の注目点
第1四半期の進捗率は売上高で21.7%、営業利益で20.8%。
第2四半期以降、どのように積み上げていくのかを注目していきたい。
中期的な視点としては、「with and after コロナ」に対応した新製品、新サービスがどのようなスピード感で業績に貢献していくかを見ていきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 |
監査役設置会社 |
取締役 |
5名、うち社外2名 |
監査役 |
3名、うち社外2名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年8月27日)
基本的な考え方
当社グループは、経営目標の達成の為に取締役会が行う意思決定について、事業リスク回避または軽減を補完しつつ、監査役会による適法性の監視・取締役の不正な業務執行の抑止、また、会社の意思決定の迅速化と経営責任の明確化を実現する企業組織体制の確立により、株主利益の最大化を図ることがコーポレート・ガバナンスと考えております。
<実施しない主な原則とその理由>
<原則5-2:経営戦略や経営計画の策定・公表>
当社は中期経営計画を公表しておりませんが、毎期初において、当該期の目標額を開示しております。その目標額の策定にあたっては、資本コストを考慮した上で、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資、研究開発投資、人材投資を含めた経営資源の配分について計画を策定しておりますが、目標達成に向けた具体的な施策については、決算短信や決算説明会の他、日常のIR活動を通じて株主に分かりやすく説明、伝えるよう努めてまいります。
<開示している主な原則>
<原則1-4:政策保有株式>
当社の政策保有株式の縮減に関する方針、保有の適否の検証及び議決権行使に関する基準は、以下の通りであります。
1.政策保有株式の縮減に関する方針
当社は、取引先との安定的な関係維持・強化が企業戦略上重要且つ当社の持続的な成長と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、政策保有株式を限定的に保有する方針であります。その戦略上の判断は、適宜見直しを行い、意義が不十分であるか、又は資本政策に合致しない政策保有株式については縮減する方針でございます。
2.政策保有株式の保有の適否の検証
当社は、保有先企業の動向、取引の状況、当該保有株式の市場価額等の状況を踏まえて、当該企業との業務提携、取引の維持・発展等の保有目的の合理性を勘案し、当社の成長への必要性、一方では保有リスクも勘案し、資金活用の有効性の観点から、保有の適否について毎年検証を行っております。
3.政策保有株式の議決権行使に関する基準
政策保有株式に係る議決権行使は、その議案が当社の保有方針に適合するかどうかに加え、発行会社の企業価値の向上を期待できるかどうかなど、複合的に勘案して行います。
<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針>
当社では、「IR活動の基本姿勢と開示基準」、「情報開示の方法と情報の公平性」、「将来の見通しについて」、「IR自粛期間について」からなるIR基本方針を策定しており、当社ウェブサイトにて公表しております。
●IR基本方針
URL:https://www.nihon-e.co.jp/ir/management/line.html
現在、当社ではこのIR基本方針に基づき、株主との建設的な対話という観点から、以下の取り組みを積極的に実施しております。
(1)当社では常務取締役管理本部長を内部情報管理責任者に指定し、経理部、総務部、人事・広報部等のIR活動に関連する部署を管掌し、日常的な部署間の連携を図っております。
(2)社内各部門の会社情報については、内部情報管理責任者が一元的に把握・管理し、的確な経営判断のもと、有機的な連携に努め、IRに関連する他部署との情報共有を密にすることで、連携強化を図るよう努めております。
(3)広報・IRグループにおいて、株主・投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けると共に、アナリスト向けに決算説明会を開催し、社長又は常務取締役が説明を行っております。
(4)IR活動及びそのフィードバック並びに株主異動等の状況については、適宜取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。
(5)投資家と対話をする際は、当社の公表済みの情報を用いた企業価値向上に関する議論を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しております。